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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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ユスリカの園
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 お盆がやって来る数日前のこと、
 この日も朝からいきなりカッカと暑い日だった。

 北海道に越してきて10有余年をへて、
 コチラではじめて「熱帯夜」を体験した。
 今年の夏は辛かった。

 夕方、
 陽が陰ってくるのを待って、
 自宅からすぐ近所の釣り場に行くと、

 駐車場にコムロさんとイシザキくんのクルマが並んでいた。
 
 「お、ラッキー。来てる来てる……」

 なんつって、
 その横にじぶんのクルマをとめ身支度を整えて、
 釣り場に通じる林の小道を小走りに抜けて水辺に出ると、
 案の定みんないた。

 ふたりとも、
 水深が腰くらいのところまで立ち込んで、
 20メートルほど間隔をあけて並ん釣っていた。

 岸から、
 「まいど~~~」
 といきなり叫ぶと、
 ふたりとも同時に振り返って、
 「あー、来たーー」
 と言った。

 「おふたりの真ん中に割り込ましてもろてもよろしいでっか?」

 「もちろん割り込んじゃって~~」
 とコムロさん。

 60代半ばのコムロさん、
 50代半ばのワタシ、
 40代半ばのイシザキくん、
 三人仲良く並んで釣った。

 「今日もキケンな暑さでしたね」
 というと、
 「いや~、もうさ~暑くて暑くて家にいられないから、ここに来て立ち込んで涼んでるところ~」
 「でもここもさ~、水に浸かってる下半身は涼しいけど、上半身は暑くて暑くて……」
 とコムロさん。

 いっさい殺気をかんじさせないけど、
 「やる気」もかんじさせないコムロさん。

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 そしてコムロさんが、
 「さっきイシちゃんがすごいの掛けたんだよ」
 と言った。

 「うっそマジで!」

 「ひっさびさにものすごいファイトでした!」
 
 「やる気」と「釣る気」を常にムンムンムラムラ全身全霊で発散させつづけているが、
 けして自己主張や誇張はしないイシザキくんが、
 興奮を抑えきれない口調でそのように言った。
 めずらしいことだ。

 それだけに、
 掛けたニジマスは相当のヤツだったのだなとおもわれた。

 「ホンマかあ~、それメッチャ見たかったわ~~」
 と悔しがると、

 「どっぼ~ん!ダッバ~ン!って、ものすごいジャンプもしたしね!」
 と横からコムロさん。

 「マジか~~~、え~~な~~~。つこたフライなに?」

 「ユスリカのピューパです。」

 「うっそマジ?けっこう沈めてたん?」

 「いや、それがですねえ、ライズはすごく散発だったんですけど、
 さっきユスリカがものすごくいっぱい水面に浮いてたんですよ。
 それで、おもいきってタナをすごく浅くして30センチくらい沈めてゆっくり流したらすぐ、
 ツーーンッとインジケーターが引き込まれたんです」

 「うっは~~~マジか~~~。めっっちゃエエやん。で、いまは状況どうなの?」

 「いま、さっきからずっとシーーーンとしてます。ライズもピタッと止まりましたね」

 「んがくっく……」
 とワタシ。

 それでも、
 ビシッバシッとするどく竿を振って、
 めぼしい場所すべてにフライを打ち込み丁寧に流しつづけるイシザキくん。
 集中してはる。

 その横で、
 立ちこんだまま釣りそっちのけで、
 終始どうでもいいようなご近所の噂話に熱中するワタシとコムロさん。

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 陽がかんぜんに暮れようとしているころ、
 静まり返った水面でいきなりザババッ!と激しい水しぶきの音がして、
 ハタとイシザキくんのほうを見やれば、
 良い型っぽいサカナを掛けたけれど惜しくもバラシたところだった。

 その瞬間、
 さっきまで弛緩していた釣りゴコロがシャッキーーン。
 渇はいりましたー。
 時は来た。

 「イシザキく~ん、フライはなに?」
 
 「ドライです~。ポワ~ンってちいさなライズがあったんで、そこに投げてチョンチョンッてフライをうごかしたらガバッ!と出ました」

 「マジか~。チョンチョン作戦いけるね~」

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 真っ暗になる直前、
 じぶんの道具立てでもなんとかフライが届く距離のところで、
 ポワ~ンポワ~ンと2回連続してライズした。

 確実におなじサカナが浮遊物をついばみながら移動している。

 3回目にライズしたとき、
 進行方向が予測できたので、
 ライズ地点よりも2メートルほど横にフライを浮かべて……、

 一呼吸待ってツ・ツ・ツ・と、
 パラシュートハックルに薄く一回転だけ巻いたレオンの長いファイバーをプルンと揺らす……、
 みたいなイメージで水面のフライをうごかすと……、

 ガボッと出てくれてしてやったり。

 おそらく、
 水面あるいは水面直下に無数に漂っているユスリカの脱皮殻や溺れたスペントなどに執心して、
 そんなちっちゃいのばかりせっせとついばんでいるけれど、
 視界の先でなにかムシっぽいのがツツツとうごいたので、
 おもわず飛びついちゃった……という反射喰いだろう。

 ムチャクチャ引いた。
 このサイズのニジマスでさえ、
 ひとたび走り出すとフライラインがギュギュギュギュギューッと音を立て水を切りながら弧を描く。
 そしてその先でドーンッ!バーンッ!と水面高~く見事な連続ジャンプ……おもわず拍手しそう。

 きょうはこのイッピキで満足。

 帰り道、
 林の小道を歩きながら、
 
 「昼間に掛けたごっついの、写真に撮った?」
 とイシザキくんに聞くと、
 「いや~、それがですね、手元まで寄せてきて、さあリーダーをつかもうと手を伸ばしたとき、
 スコッとバレちゃったんです」

 「そうなんや~。まあ、それやったら釣れたことにしたらええやん」

 「そうだよ~、もうほとんど手元に寄せてたし」
 とコムロさん。

 「……いや、やはり、自分の手でサカナの口からハリ外してリリースしてこそ完結なので…それはダメです」
 
 「アンタよ~ゆうた!それでこそ釣り師やで」

 すっかり真っ暗になった駐車場で三人ウハハと笑いころげて、

 「じゃ、またね~」

 なんでもないような、
 なにがあったわけでもない、
 めずらしくもなんともない、
 いつもの日常のような一日。

 なんだけど、
 ほのぼのと穏やかで平和で、
 気持ちがあたたかく満たされた一日。

 これがかけがえのない一日というものなんだな~と、
 しみじみおもったりする……ようになっちゃった50歳半ばの夏です。

 なんなんやろ?このかんじ。

 そ・し・て・
 帰宅して風呂からあがって夕ご飯を食べて、
 さっそく巻いた。

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 アカムシちっくなユスリカ・ピューパ2019キラキラ。


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 大学1年生のころ、
 いつもつるんでいた仲間内3人のあいだで空前の筒井康隆ブームが巻き起こり、
 アレよんだコレわろたヤレよめソレよめと…夜な夜な熱く語り合いながら、
 とにかくどれもこれも貪り読んだ。
 
 30年以上ぶりにコレ読んだ。
 うわ~我知らず…よろず直球で影響受けててんな~自分…とおもって感慨深かった。

 いま読んでもやっぱおもろい。
 しかも、
 懐かしい回顧でなく今の視点でおもろかった。

 



BONBON
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 エビ茶色のロードアイランドレッド・クイルボディが印象的な、
 ランズ・パティキュラやホートン・ルビーといった古典スピナー・パターン金字塔。
 その考案者としてつとに有名なウイリアム・ジェイムス・ランの黄色いスピナー「ランズ・イエローボーイ」の私的アレンジ。

 ウイングにはホワイティング・アメリカンのジンジャー色のヘンネック。
 ボディはヒストリックスの茶色のハックルストーク。
 ハックルはヒストリックスのハニーダンのサドル。
 そしてテイルはライトジンジャーのスペードハックル……このファイバーの長さと太さそしてテーパーのかかり具合など、
 こうしたスピナー・パターンのためにあるようなテイル素材なんだけど、
 ありそうでなかなかないっていうか、
 いまやぜんぜん見かけない……何気にものすごくレア素材。

 ちなみに、
 両方ともまったく同じ素材をつかっているけれど、
 ハックルの量やウイングの長さバランスなどまったく異なる。
 こうしてみると、
 まったく別物のようなフォルム。

 下側のはハックルをこれでもかと厚くハックリングした、
 ニッポンでお馴染みのスタイル。
 上側のは短めのハックルをスペントウイング周囲に三回転だけパラッとハックリングした、
 全体的に細身かつ華奢でスッカスカに薄い作り……このスタイルがW.J.ランの元祖オリジナル・スタイル。

 W.J.ランのスピナー・パターンのオリジナルは、
 フラットな水面でコカゲロウやフタバコカゲロウなどのスペント・スピナーを神経質に吸い込んでいる、
 セレクティヴかつスレッスレのマスを狙うために考案された、
 もともとはスペントウイングな繊細系マッチ・ザ・ハッチ・パターンの元祖なのだよ。

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 ただいま、
 このオリジナル・スタイルなスピナーをいろんなハックル素材を駆使して巻き貯めるのに夢中です。

 これから秋が深まるごとに本格的になるであろう、
 ヒラタカゲロウやコカゲロウの仲間の流下にライズしている、
 近所の怪力ニジマスをあえてコレで狙うのが非常にたのしみ。

 それも、
 4Xくらいのぶっといティペットに結んで、
 短いリーダーで、
 できればアップストリームで下流から狙う英国チョークストリーム・ドライフライ王道の作法と流儀で……。

 と、
 「盆休みこそ家にこもって巻いて稼いで仕事するんやで~~~。誰もボクのこと釣りに誘わないでよ」
 なんて公言してはばからず、
 この数日間はタイイングデスクのまえに一日ず~っと座っておるわけですけれど……、

 なんか、
 ちょっと、
 向かうべき方向がちゃうやんていうか……、

 趣味がフライタイイング、
 仕事はフライタイイング……、

 ガッと集中して仕事やりまくらなアカンのに、
 仕事せなアカンなあアカンなあボクってダメだなあと自らを責めつつ、
 いつものごとく趣味にどっぷり集中してるダメダメな無能のひと。

 きょうもまた、
 ユーチューブを垂れ流しながらいろんなの巻きまくるよ~~妄想と夢想の権化みたいなフライばっか。

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 河内音頭 生駒 一 第15回 伝法連合納涼盆おどり (←ここクリック)

 ものすごいシロートですけど、
 この季節になるとかならず聴きたくなる。

 なので、
 河内音頭の盆踊りの様子がユーチューブで多数観られるようになったのはホントにうれしい。

 この季節のタイイングの時間がとてもはかどる良いBGM。

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 江州音頭(お伊勢参り道中記) 月乃家 小菊(←ここクリック)

 そしてさらに、
 ユーチューブのおかげで江州音頭に出会うことができました。
 感謝MAX。

 月乃家 菊若会さいこう!

 どれもこれも素晴らしい演目かたっぱしから魅入って踊ってもうすっかり熱烈大ファン。

 行きてえええええええ・・・・・・・・・。

 来年の夏は、
 かならず行きたい。

 みなさま、
 ア・ハッピー・ニュー・ボン。

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Count Ossie and the Mystic REvelations RASTA REGGAE(←ここクリ)
 そしてハイル・ラスタ。

イブニングライズつれづれ
 五日ほどまえのこと、
 この日も朝もはよから蒸し暑く、
 昼間はこれでもかとカンカン照り。

 夕暮れを待って水辺に立ったときも、
 まだ陽の光があるうちは湿気を帯びた暑苦しい空気が全身にまとわりついて不快だった。

 ニチャッ……ってかんじだった。

 いつものごとく、
 耳元にまとわりつくヌカカの類がブ~ンブ~ンとウザかった。

 リーダーにティペットをつないでフライを結んで準備を終えて、
 あとはライズ待ち。

 太陽が山のむこうにしずんであたりが薄暗くなってきた。
 そのとき、
 いきなり空気が変わった。
 ほんとにとつぜん。

 涼しげな心地よい微風が、
 虫除けのハッカ油にまみれた頬や手の甲をサーッと撫でていくと、
 あれほど不快だった湿気がスーッと消えていった。

 暑くもなく、
 寒くもなく、
 絶妙にほどよい体感にカイカンな気温。
 空気はいつのまにかカラリと乾いて、
 イラッとウザかったヌカカも消えてしまった。
 いきなりとっても快適。
 
 夕暮れの空を見上げると、
 雲がいつもより一段高いところに浮かんでいるように見えた。

 なんだか、

 ……はい、ただいま本年の酷暑の夏終了いたしました~……、

 みたいな。

 その日の釣りを終えて、
 真っ暗になって帰宅して、
 夕ご飯をたべて風呂からあがって、
 シーンと静まり返った部屋でヤレヤレとくつろいでみれば、
 どこからともなく、
 ……リリリ、リリリ、リリリ、……、
 家の周りで秋の虫が鳴いている。

 いきなり唐突に、
 なんの前触れもなく、
 ほのかにただよう秋の気配。

 この地の季節の移り変わりは、
 春夏秋冬いつも突然いきなり。

 まだまだ新入りの者としては、
 いつもいちいちおどろく。

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 イブニングライズは、
 「きょうはコレで勝負や」と決めた入魂の一本を、
 ムダに時間をかけながら丁寧にティペットに結んでフロータント塗って準備万端。
 そしてひたすらライズ待ち。
 毎夕でかけているのに、
 毎回毎回とてもフレッシュな期待いっぱいでライズ待ち。

 裏切られてもライズ待ち。

 「ダメだこりゃ」とおもっても、
 せっかく来たしとライズ待ち。

 一日のしめくくり、
 有終の美を飾るフライです。
 めちゃくちゃ悩んで選んで結んでライズ待ち。

 待ってるあいだに、
 まだ一回も投げてないのに、
 「やっぱコッチのにしよかな~」
 迷いはじめて結局結び変えたりとかして……ものすごくムダな二度手間、
 揺れるココロのライズ待ち。
 
 実際に釣ってるよりもはるかに長い、
 このワクワクドキドキ待ち時間こそが、
 イブニングライズの贅沢な愉しみでもあり、
 醍醐味ですよね。

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 ボッテボテぼて腹ボディのアダムス。

 ハックルはクリーのコックネックを一枚パラッと7回転くらい。
 テイルはエゾジカの腰の毛数本。
 ウイングはグリズリーのヘンネック。

 ハックルの表面張力で水面高く浮かせるのではなく、
 ボディがベタッと水面に張り付いてボディで浮かせるタイプ。

 薄暗がりのなかで、
 羽化したてのヒゲナガに化けちゃうバケラッタなアダムス6番2Xロング。

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 ちょっと濃いめのハニー色のサドルハックルを厚めにハックリングした、
 キューティハニーなライトケイヒルかわいいわよ。

 そして、
 薄めの色調のクリーのコックとライトダンのヘンの二枚をハックリングしたグレイフォックス。

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 ゴールデンバジャーのコックネックとレオンのサドルをパラッとハックリングした私家版キャッツキル・スタイル。

 ボディはこの4本のキャッツキル・スタイルどれもレッドフォックスの足のファーを、
 きっちり細身でシュッとしたテーパーでダビング。
 今シーズンは、
 元祖古典のオリジナル素材をあらためて検証する年になった。
 
 そしてこれらは、
 もともとはモンカゲロウの羽化にあわせて巻いたけれど、
 薄暗がりの水面に長いハックルをフワッと立て浮かせるとすごくよく見えるので。

 ウイングにご注目を。
 左はレモンウッドダックを束ねてバンチウイング・スタイル。
 右はマンダリンを左右二枚つかってファンウイング・スタイル。

 などなど……、
 いろんなフライを気分のままにアレコレつかって、

 サカナの都合よりも、
 「あしたはどのフライでやろうかな~キャハッ」
 みたいな、
 コチラの好み優先のセレクトで愉しんでいた初夏から真夏にかけてのイブニングライズでしたが、

 あの日、
 唐突にいきなり変わったのは、
 季節だけではありませんでした。

 あの日を境に、
 サカナの行動も食指もガラッとかわって……、

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 季節はすっかり中小型のテレストリアル。

 フックはTMC212TR の13番。
 ジバチのような翅アリのようなビートルのような……ムシっぽいの全般を模したシンプルなスペント・スタイル。
 これがワタシのたったいまの秘密兵器です。

 「コレ効くなあ……」とヒシヒシ感じるここ数日の釣り。

 そして、
 ボディやヘッドが完全に水中に没しても、
 チリチリの毛のスペントウイングが水面膜にず~っと張り付いて浮いているメンテナンス・フリーの手間いらず。
 そこがまた日暮れに追われる気ぜわしいイブニング・タイムにとっても頼もしいです。

 もうすこしコッテリ煮込んで、
 またあらためて詳細などご報告させてください。

 とりいそぎ。

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  暮れる水面(みなも)に
   のたうつシッポの水飛沫、
     嗚呼バレないで切れないで





湿度お見舞い申し上げます
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 おとついの夕暮れどき、
 我が家のすぐ近所の川で釣りをした帰り道。
 川沿いの道をクルマでダラダラ走っていたときのこと。

 山から里まで下って来て、
 数軒の民家が河畔林のあいだにチラホラ見えるあたりまで来たとき、
 川と道路がいちばん接近しているところの開けた川のなかに、
 親子連れのヒグマがいた。

 ぼくのクルマに気がついた親子は、
 おどろきあわてふためいた様子で水飛沫蹴散らせながら川からあがると、
 なにをおもったのか川の対岸にひろがる森のなかではなく、
 コチラ側の河畔林のなかに一瞬で転がるように消えていった。

 そこは民家まで目と鼻の先。

 (うわ~、ヤバイなあ……)
 とおもいながら道路の前方を見ると、
 ちょうどクマ親子が走り去った河畔林のちょい下のほうから、
 手押し車を押したお婆ちゃんがヨレヨレトボトボ歩いてくるではないか。

 (うっわ、これはたいへん!)

 猛然とクルマを走らせてお婆さんの目のまえでキーッと急停車。
 お婆ちゃんビックリ顔。

 なにせ人間よりもシカやキツネに会うほうがよっぽど多い、
 人影まばらな山間の寂しい農道。
 お婆ちゃん、
 ぼくに誘拐されるんとちゃうかと思ったんちゃうやろか。

 クルマから飛び出して、
 「こんにちは!あのさ、いまそこでクマ見たよ!それも親子連れ!」

 「あれま……」

 「ご自宅まで送っていくからクルマにのってください」

 と提案すると、
 しばし間があって……、
 お婆ちゃんは聞いてきた。

 「どのへんにいた?」
 「あそこ!そこの河原にいた!」
 「クマ、どっちに走ってった?」
 「そこ!もうすぐそこ!!」

 すると、
 お婆ちゃんはちょっとこわばった表情を一気に緩めて、
 そしてなんだかワケ知り顔でこう言ってのけた。

 「ああ~それなら大丈夫。その子たちなんも悪さしねえから。わたし、歩いて帰るよ。家はもうすぐそこだから」
 「えええ??ほんとに大丈夫?」
 「だーいじょうぶだいじょうぶ。クマも暑くてたまらないから、家族で水浴びしに来たんだねえ」

 お婆ちゃんは、
 ヒトの好さそうな柔和なお顔をさらに緩めて、
 なんともいえず福々しい表情で、
 「わざわざ知らせてくれてありがとうねえ。気をつけて帰るから心配しないでね」
 と言ってくださった。

 そしてお婆ちゃんは、
 すっかり曲がった腰を支えるように、
 コロコロと手押し車を押して、
 また川沿いの道をゆっくりゆっくり歩いてった。

 すこしのあいだ、
 その後ろ姿を見送って、
 クルマを走らせた。

 愛して止まない我が集落には、
 すっっごいやさしくて穏やかだけど、
 そのじつマジモンのツワモノ、
 めっちゃカッコイイ素敵なお婆ちゃんがいっぱいいてはる。
 
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 ミュージックワークス・レーベルの名盤オムニバス・アルバムより、
 納涼の一曲……Bunny Maloney - Land And Sea

 皆さま、
 暑中お見舞い申し上げます。

 今年の夏はほんとに辛いっす。

 まいにちまいにち湿気ムンムン湿度グングンねっちゃねちゃムレムレやんけ!

 どないなっとんの?
 カラッと乾いた空気がすがすがしい北海道の夏はどこいったの?

 こんなにヌチャヌチャした不快な夏は、
 北海道に越してきてからはじめてだ。

 暑さよりも、
 湿気にやられる自分は現在とても低活性。

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 と、
 そのような、
 ワタシからすべての「やる気」を奪うネチャネチャ湿気のくせに、

 コマ切れに降る雨はいつもほんの「おしめり」程度。
 川に「うるおい」をもたらすことはなく。
 どこもかしこも未曾有の超渇水。

 マスたちもすっかり低活性。

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 ああ、
 水がほしい。

 ひと雨渇望。

 ほんのちょっとでも水況に変化があれば、
 この金色に輝く特大サイズのウルフが魔法のドライフライになるのに……。

 お馴染みフォルムの定番巨大サイズ・ドライフライにはすでに激スレ激渋、
 春から攻められすぎてもはや見向きもしなくなった巨マスたちが、
 まるで赤子のような無垢な態度で、
 このフライにグワボッ!とむしゃぶりつく絶好の季節なのに……。

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 ヒグマの親子もたまらず水浴びするような酷暑の日、
 ヤマセミさえもダルそ~~に川面を飛んでいく夕暮れ。

 ヒグマの毛で巻いたウルフで釣った貴重なイッピキ。

 雨乞いの日々……。

 皆さま、
 どうぞご自愛くださいませ。
ここでイッピキ
 おとついの午後おそく、
 独りで近所の渓流にでかけてきました。

 夕暮れ前のチョイ釣りです。

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 この日つかったフライは結局コレ一本。

 サイズはTMC212TRの13番。

 ボディはフツ~のフェザントテイルのファイバーを数本、
 いつものように捩じって巻いてアント型に。
 ハックルは濃いめのジンジャーのコックハックルを厚めにパラシュートハックリングして、
 そこにレオン・サドルの長いファイバーをほんの一回転。
 ノーマルなファイバー長のコックハックルを厚めに7~8回転ほどハックリングしたところに、
 長いレオンのファイバーをパラッと薄くハックリングするのが大事なコツ。

 釣れるよ~コレ。

 といいつつ、
 川に降りてすぐに先行者の真新しい足跡発見。
 
 水量のある深瀬や、
 いかにもな落ち込みや岩回りのスポットを探っても、
 たまにヒラキのところでチビっちゃいのがピチャッと出るくらい。
 案の定ものすごく反応が薄い。

 なので、
 そのような好ポイントはサラッと流すくらいにしておいて……、

 「竿抜け」ポイントに期待をかける算段。
 
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 画面左側にふたつ並んでいる岩のくぼみのところキワッキワにしつこく4~5回投げたらカポッと出た。

 水深はなんと「ふくらはぎ」くらい。
 
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 ルアーや餌釣りでは狙えないような浅場だけど、
 岩のエグレや雑草や倒木のキワなど、
 隠れ家になるような場所があって、
 かつ水通しのよいポイントを重点的に、
 なるべく遠くから静かに狙ってみる。

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 この場所なんか、
 砂利で埋まった浅い川底に、
 ザーッと一直線に水が流れているだけという、
 みるからにスルーしそうな場所なんだけど……、

 よ~く観察してみれば、
 
 対岸のキワに流芯がまともにぶつかっていて、
 そこだけちょい深くなっていて、
 木の根っこや岩のキワがすこしエグレている。

 画面右側の、
 フキの群生のなかに岩がのぞいているところ。
 流芯の強い流れがそこにむかってドーンをぶつかっているところに、
 ヒョイっとフライを投げたら間髪いれずモコッと出た。

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 サカナを掛けた位置から微動だにうごかず、
 そのまま取り込んでやろうとおもったけれど、
 あまりにもパワフルにグイグイ流れを下っていくので……、

 さすがやな~とおもいながら、
 じぶんもサカナを追いかけて川下にくだって……、
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 満足のイッピキ。

 6フィート3インチ4番で愉しむにはもう最高のイッピキ。

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 そのあと、
 小場所やチャラ瀬をこそ丁寧に探って歩いて、
 コマッちゃんを釣って、
 いちいちその美しさに吐息を洩らし……、

 どんどん夕暮れが近づいてくると、
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 なんでか急にプックプクお腹のヤマメも釣れはじめ……、

 アメマスとニジマスとオショロコマとヤマメのオールスターズ勢ぞろいでグランドスラム。

 もうちょい奥まで釣りのぼりたいところではあったけれど、
 あたりはもうすっかりうす暗くなってきて、
 ちょいビビリはいって、
 クルマの止めてあるところまで川通しに下ってきて、
 さっさと川からあがろうとおもったけれど……、

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 ちょうど川におりた場所となる橋げたのちょい上流の対岸に、
 倒木が小枝を絡みつかせるように堆積している。

 ここもメチャ浅いんだけど、
 入り組んだ倒木が流れのうえに覆いかぶさっている。

 釣り始めてすぐ、
 下流側からアップストリームで狙ったときには、
 いちばん良い場所から手の平サイズのアメマスかニジマスがピチャッと出たけど、
 ハリに掛らなかった場所。

 こんどは上流側からこっそり忍び寄って、
 画面左側の倒木の枝が二本、
 水面に触れているところにフライを流し込むと……、

 薄暗がりのなか、
 流れのなかでかすかに見えるオレンジ色のインジケーターが、
 波に紛れてフッと視界から消え入るような、
 とっても控えめで静かなかんじで出た。

 しかし竿を立てるやいなや、
 ダバダバダバッ!と派手な水飛沫。

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 じつは、
 さっきニジマスを釣ったとき、
 フックのゲイプが若干のびていたんだけど、
 「まああいいやろ」なんて指先で直してつかっていたので、
 無事に取り込めてラッキー。

 きっとおそらく、
 明るいうちは用心して倒木の奥でジッとしていたけれど、
 暗くなってきて、
 さあお食事タイムとばかりにソロ~ッと倒木の外をうかがっていると、
 そこにちょうどワタシのフライが流れてきたので、
 ついついパクッと……。

 といったところでしょう。

 こうして、
 満たされた一日が暮れていきました。
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