BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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黄昏のヘビトンボ浪漫
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 お盆明けのおとつい、
 ご近所の友人と3人で近所の川を朝から晩までかけて上流下流あっちこっち釣り歩きました。

 さすがに足にきました。

 しかし、
 連日曇りがちのパッとしない天気は夏の虫たちの活動を鈍らせ、
 そのうえ雨がほとんど降らずに川は大渇水。
 そして夏休みで入れ替わり立ち替わり攻められ誘われしたニジマスはもはやウンザリ系プレッシャーかかりまくり。

 いろいろと条件は悪かったんです、

 が!

 「うおぉ」とうなるライズはいくつか見た。
 そのなかの数匹には渾身のつもりのフライを投じたり流し込んだりもした。

 にもかかわらず、
 完膚なきまでに完敗でした丸坊主。
 皆ボウズ。

 ま、
 言い訳をすればイッロイロあるんですが…ヤボなので。

 とはいえ、
 朝も早よからイブニング真っ暗になるまで、
 あっちのポイントはこっちのポイントはと3人でウロウロしましたがまったく釣れない。

 という、
 空回りな状況にもかかわらず、
 終始3人和気あいあいペチャクチャたいへん和やかに愉しく充実した良い一日になりました。

 釣れない一日をたのしく過ごすためのマインドコントロールや同行者への気配りというのは、
 釣りの技術というか会得するべき呼吸のなかでもすごく高度で大事なことだな~なんて、
 この日は学んだんですよ。

 だがしかし!
 ひとつちょっと気ィ悪いことがあった。

 ぼくが、
 「きょうはね~、秘密兵器のフライ巻いてきてますねん」
 というと、
 二人とも「え?どれどれ見せて見せて」とかゆうてノリノリでくいついてきたくせに、

 「これ!」
 とフライを指でつまんで自慢げに差し出すと、

 「え??」

 二人とも目が泳いどったど~~~~ウハハハハハ。

 さもありなん……、
 このフライを見せられて返答に困ったご両人の胸中お察しいたします。

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 こにゃにゃちは。

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 ヘビトンボの成虫、
 いっときこの川でやたらと見かけたのがちょっとした驚きと発見だった。

 めちゃくちゃたくさんいるんだね。

 そして、
 この川にはコレに食らいついてもなんら不思議ではない巨体な方々が、
 流れのそこかしこ確実にひそんでいらっしゃいますよね。

 巻かないわけがないやん?
 

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 とはいえここ数日、
 パタッと見かけなくなってしまって、
 だいぶ時期外した感もあるんですが……、

 黄土色のポリヤーンでボディ・ヘッド・インジケーターが一体構造のヘビトンボ5センチ・デルタ型スペントウイング仕様。
 目玉もポリヤーンちょい焼き。


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 きょうの朝イチ、
 お盆の休み中に友人たちと連日水面から川底まで叩きまくって流しまくった平瀬のポイントに行った。

 釣る目的というよりも、
 まずははたしてこのヘビトンボが実用に耐えうるのかどうか、
 お試ししてみよう…的な気分で2Xのティペットに結んでしげしげ眺めてみればアラ可愛くない?

 こう見えて、
 ナナハンのグラファイトの5番ラインでまったく問題なくスムーズに投射できます。
 空気抵抗があまりかからない構造ゆえに4番サイズのディアヘア系投げるよりかぜんぜん軽々。


 んでんで聞いてくれる?

 その瀬のヒラキのところでヘビトンボとりあえず投げてみて、
 「お、軽いやんフツ~に投げれるやん」なんて悦に入ったところ、
 瀬の真ん中らへんの流芯脇でガボンッと「グッ」とくるライズがあった。
 が、
 ここんとこスレ切っているのかこういう単発ライズはほとんどフライに出たためしがない。
 しかも
 ここはすでに皆で叩きまくったあと「つわものどもが夢のあと」状態。
 出るわけないけど一応投げてみよう、
 なんつって、
 ビュワ~~ンとヘビトンボをロングキャストしてライズ地点のやや上流にポトンと落としたわけ。
 「うお~、飛ぶな~ヘビトンボ」
 なんつって、
 バサッと流れに乗ったヘビトンボがどんぶらこっこ流れはじめたやいなや、

 ジュボッ、

 なんつって、
 ヘビトンボが軽い水音たてて水中に引きずり込まれるように視界から消えた。

 「え?うそ?なに?」
 反射的にグイッと竿立てたらドスンッときてアンビリーバブル、
 ドダーン!ドダーン!と二度、
 切ないほどに見目麗しすぎる虹色の巨体がド派手に水面をたたきながら躍りあがった。
 そして、
 こともあろうか下流に向かって稲妻激走。
 自分の目の前を口元にヘビトンボなびかせたものすごいのがギュワーーンと通り過ぎていって、
 (…うっわフッキングめっちゃ浅そうヤバいな~)とおもいつつ、
 サカナの走りにラインがついていけずVの字に曲がってます。
 「ああああっ」
 あわててラインを手繰ろうとしたそのとき、
 スカッとバレた。

 ありがちな、
 いつもの、
 もうちょっと冷静に対処したらなんとかできたかもしれないと、
 いつまで経ってもウジウジ悔やむ系の己の未熟がイタい痛恨のミス。

 この一発で、
 パッキーーーンときたのは当然のことでしょう?

 ヘビトンボを竿先にぶら下げ、
 きょうは独りで夕暮れまであっちこっちめぐりました何処もかしこも渇水でした。

 気持ちが萎えかけるたびに、
 早朝の一発を思い出し奮い立たせました釣りごころ。

 ヘビトンボいっぽん、
 一日投げて流してまた投げて流して投げ抜きました。

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 な~んもこんかった。

 きょうは53歳のお誕生日メモリアルなヘビトンボDAY。

 まことに自分らしく過ごせた良い一日だった。
 
脳内虹鱒絵図
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 これは自分のジンクスにも似た感覚なんだけど、
 どでかいドライフライでニジマスを狙った夏の釣りにおいて、
 河原や河畔林でこんなクワガタを頻繁に見かけるときは、
 いつもたいがい素晴らしく良い釣りになっている気がする。

 そこにどのような自然の因果関係が隠されているのかはわかりませんが、
 このような夏の蟲どもが活発に行動するような日は、
 単純に川のなかも賑やかになるってことでしょうね。

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 みなさま、
 暑中お見舞い申し上げます。



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 ひとよんで、
 「金のたてがみをなびかせるクワガタ」
 サイズはノーマルシャンクなウエットフック#2。
 ほんとはもっと巨大なのもつかいたいんだけど、
 5番ライン程度のライトタックルで支障なく快適に投げられるマックス・サイズはここまでなので、
 いたしかたないところ。

 コレ、
 いまのマイブームのひとつ。

 ボディ全体は水面下に没していて、
 金色のヒグマの毛が水面膜にはりついて、
 それを支えにかろうじてようやく水面に浮いている、
 というバランスと浮き方なのに、
 つかいはじめにウイングのところにフロータントを擦り込んでおくと、
 たのもしいほどにずっと浮いてる。
 しかも荒瀬を流れ下るフライを見ているとポカッと軽々水面高く浮いているように見えてしまう、
 不思議感覚なビッグバッド・ドライフライ。

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 何匹か釣って、
 濡れそぼった状態の「金のたてがみクワガタ」

 つかっているうちに、
 ボディのヤーンがすこしほつれてピロッとオケツから伸びているけど、
 これがたいへんに良いのだリアリティ醸し出しまくり。

 このほつれたヤーンが水面に触れるとフワ~とひろがって、
 それが甲虫類の下翅を連想させる。

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 こんなのもあるよ。

 やらないわけがない釣りたい欲望下心剥き出し系ラバーレッグ・ヴァージョン。
 ハレンチですわ~。

 でも…釣れちゃうんだもの……。

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 この世でもっとも気高くかっこいいケモノの毛を、
 畏敬の念をもってありがたくつかわせてもらって、
 その毛で架空の虫を創作して、
 そしてその偽物の虫をつかって、
 ギンギンの夏の虹色の野性と一発勝負。

 孤高の金と黒の毛をつかって、
 至高の虹色のサカナを釣る、

 嗚呼ニジマス吐息は金の色。
 なんのこっちゃ?

 今年のワタシのキーワードはもうだんぜん「ヒグマ」

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 そして釣り呆けサマー2017

 もう現在ボケボケ大進行中でぇ~す。
 現実復帰……できますか?

 てゆーかバッチリ復帰するぞガンガン仕事するぞバリバリ雑事こなすどーーーー!
 でもお、
 きょう、
 これを書き終えたら釣りに行くから、
 そしたらそのあとがんばろうっと。

 日々、
 きのうもきょうもそのまえもそのまえもそのまえも、
 いつもそのようにおもって出かけるんですが……、
 


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 そしてなぜか唐突に黒曜石とバイビジブルの4番。


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 そしてとある深夜、
 「マグナム・サイズで超ファットなドライフライを、12番のアダムス・パラシュートをあつかうかのごとく、
 軽々と繊細にビミョ~にゼツミョ~にプレゼンテーションしたいじゃないか」
 との課題とヴィジョンを掲げて、
 各種のスレッドがさまざまな仕様で撚りあわされ……、

 撚り子の佐藤くんは夜が更ければ更けるほどにハイテンション、
 終わりなきマシンガントーク炸裂、
 話に熱中するあまり度々作業の手が止まるので、
 「佐藤くん、口だけやなくて手ぇもうごかさんかいな」
 とクソ偉そうに指示するワタシはソファに寝っ転がった中年のトド。

 おだやかに熱い夜は更けていったのでした。

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 ジャカジャン!
 特製ファールドリーダーのプロトタイプできあがりました~by 佐藤くん。

 日の丸とジャマイカ国旗でぇ~す。

 特製グリースを擦り込んで、
 それでは今日もまた行ってきま~す。

 嗚呼…今日も行くのね明日も行くよ…だれかこのとめどなく溢れる釣り欲をとめてくれ~~~。
 わりと真剣にそうおもってます。

 かしこ



北海サファリ
 ものすごい体験をした。

 おとつい、
 友人と二人ですこし遠出をして暗くなるまでみっちり釣って、
 帰宅するのは面倒だしたまには山奥で寝たいなとおもって、
 友人と別れてから釣り場の近所にあるキャンプ場跡みたいなところに行った。
 ひさしぶりだ。

 見事な名月の夜で、
 なぜか夜が更けると風が強くなった。
 月明かりに照らされて、
 影絵のようなシルエットになった山の木々がザワザワ揺れているのを、
 飽きずに眺めてからクルマに敷きっぱなしの万年シェラフにもぐってぐっすり寝た。

 翌朝、
 といっても正午まえくらい、
 太陽はカッカと照りつけ初夏をスルーしていまやいきなりの猛暑酷暑。
 当日の当地の気温35度越えて・・・なんやそれ?

 道の両側には背丈ほどもある雑草が生い茂っている。
 その向こうがわには広大な牧草地が広がっていて、
 そのはるか向こうが深い森の樹海につながっている山間の小道。
 周囲何キロかは民家もなんにもない。

 その小道を、
 ガンガンとレゲエを爆音で鳴らしながら、
 窓全開で風を受けて、
 チンタラチンタラテレッテレとゆっくりクルマ走らせていた。

 この日は、
 カンカン照りの真昼間にもかかわらず、
 道のカーブを曲がるたびに、
 小道でたむろしていた鹿やキツネやタヌキや兎の小動物オールスターズがワラワラ逃げまどい、
 「さすが北海サファリや」と愉快だった。

 この小道は、
 深夜に走ろうものならいつも道のそこかしこオールスターズだらけでまともに走れないくらい。
 なので、
 個人的に北海サファリと呼んでいるお気に入りの山道なのだ。

 それはおいといて、
 「くっそあっち~」とウダりながらテレテレ走っていたとき、
 とあるカーブをまがると、
 そこにでっかい角が生えそろいはじめている雄シカが道の真ん中でボ~~~ッとしていた。
 ゆっくり近づくとノタノタッと雑草の茂みに消えた。
 ものすごい暑そうでグデグデで笑った。
 陽の光に反射して琥珀のように輝いている体毛にうっとり見惚れた。

 ケモノも鳥も虫もサカナも命あるものはすべて、
 陽の光の下でこそ本当の美しさを発揮する。
 
 これは、
 フライタイイングから学んだ自然界の摂理であり真実だと確信している。

 で、
 もうすっかり愉しくなって、
 弾んだ気持ちで
 「さあ次はなんや?」
 と期待しながらカーブをまがると、
 運転席側の茂みからなんと!ドドドッとヒグマが飛び出してきて道をわたり、
 一瞬で反対側の茂みに消えた。

 ほとんど徐行運転なので、
 いきなりの出現にもさほどあわてることなく、
 むしろすごい落ち着いていてキキッとブレーキを踏んでスピードをゆるめた。

 そのときは、
 それほど巨大には見えずまだ若いヒグマかなとおもった。

 とはいえ、
 でっかいケモノが草の茂みにド~ンと身体ごと飛び込んだように見えたのに、
 そういえば草がほとんど揺れていない。
 それがすごく印象的だった。

 で、
 森の王様の唐突なお出ましに超ラッキーやと大喜びしながら、
 「うおおおうっ」
 と興奮しつつ視線はクマが消えた方角に……、

 そしたらそのとき、
 視線とは反対側のヒグマが飛び出て来たほうの雑草の茂みのなかから、
 小さな黒いものがポーンと飛び出してくるのがチラッと視界を掠めた。

 ウワッ!とおどろいてメッチャ急ブレーキ。

 間一髪やった。
 ぶつからなくてほんとによかった。
 
 母グマのあとを追って飛び出してきた小熊が、
 クルマの真ん前で腰を抜かしたようになって、
 ペタッとへたり込んでしまった。

 そのときは、
 余裕しゃくしゃくで、
 「うわ~、びっくりしたやろな~、かわいそうに。はよお母さん追いかけていきや」
 みたいな慈悲と慈愛に満ち溢れていた。

 が、

 グギョギョ~~~~~~~~~~~~
 そんなかんじやった。
 いきなり小熊があらんかぎりの甲高い声で吠え叫んだんやわ。

 そのつぎの瞬間、
 バッサバサバサーッとぶっとい雑草をバッキバキなぎ倒して、
 骨の髄から怒り狂った形相の母グマがドンッ!と茂みのなかから躍り出てきた。
 そして小熊のまえで仁王立ちになって立ちはだかった。
 さっきあわてて道を渡っていったときにかんじた大きさどころではなく、
 立ち上がった母グマは大げさに言わせてもらうと3倍くらい巨大に映った。
 
 で、
 グワッとたちあがったヒグマの巨体がバーンと弾けるようにひるがえって、
 一瞬で運転席の側に母グマがせまってきた。
 それで、
 ボクを威嚇してる母グマを運転席からちょうど見下ろすようなカッコになった。
 全身の毛が逆立つようにふくらんでいて、
 ハラワタが揺れるというか心臓をギュッと握られるような重低音の唸り声がビリビリ周囲に響きわたった。
 まるで強靭で鋭利な武器のような犬歯?がズラッと並んで剥き出しになっており、
 歪んだ口元がブルブル震えていた。
 このときほんとに一瞬やとおもうけど目と目がビタッとかちあった。
 殺意のこもった視線と空気がのしかかってくるようだった。
 本気で「殺られる!」と本能の奥底で感じた。

 で、
 母グマがグワッと身体を起こして、
 目と鼻の先までせまってきて、
 なんちゅうか鼻をつく臭いというか気配というか、
 「匂い」なのか「気」なのか、
 よくわからないケモノ臭が塊のようになってボクの鼻孔を突き抜け、
 脳天に直接ガッツーンとくるような圧力をモロに受けてウッとむせかえったのと、
 おもわずクルマをバックさせたのがほぼ同時やった。

 クルマの窓に手をかけようとした母グマが地面に手をついて、
 クルマを追いかけるような、
 追い払うようなそぶりで威嚇してきたけど、
 すぐ追いかけるのをやめてくれたので、
 10メートルかな?
 それ以上かも?
 もうわからん。
 けど、
 母グマの表情は鮮明にわかるくらいの距離で止まったんやわ。

 そしたら母グマがグワーッと立ちあがって、
 そのままこっちの様子をうかがってるというか、
 しばらく睨みあいになった。

 
 どのくらいそうしていたのか、
 もうそういう時間感覚がまったくなくなっていて、
 視線と意識は母グマの表情の変化だけに集中していて……、

 なんでかというと、
 あとからつくづくおもってんけど、
 母グマはこの間クルマそのものではなく、
 クルマのなかにいるボクをちゃんと認識していた。
 そして、
 ず~~っとボクのことを睨みつけてた。
 
 どうなるんや?

 とおもってからも、
 だいぶそのまま睨みあっていたようにおもうんやけど、
 あるとき、
 母グマの視線がチラッと動いたような、
 ボクから注意を逸らしたような、
 そんな一瞬があって「あっ」とおもったつぎの瞬間、
 それまでものすごい巨体で仁王立ちになっていた母グマが急にしぼんだようになって地面にパッと前足をついて跳ねあがると、
 忽然と視界から消えた。

 え?

 とおもったときには、
 牧草地帯を走り抜けて、
 はるか向こうの森のなかに脱兎のごとく駆けながら消えていく小グマと、
 そのあとをまるで宙を飛ぶようにグングン追いかけていく母グマの後ろ姿が見えた。

 いまになっておもうに、
 母グマは子供が安全な場所まで逃げるのを待っていたのかもしれない。
 で、
 それを確認したので無用な争いを避けてくれたのだろう。

 心臓がドッドッドッと早鐘のごとく鳴りやまず、
 汗ビッショリかいて、
 しばらくそのまま放心状態。

 かんがえてみれば、
 運転が下手でヘタレなじぶんが、
 この小道を後方確認もせずいきなりバックして走ってよくぞ何事もなく……、
 あらためて心底ホッとした。

 ってゆーか、
 ず~~~っと窓全開のまんまだったことに、
 落ち着いてから気がついた。

 そして、
 この間ずっとズッカンズッカン大音量で鳴り響いていたレゲエ・ミュージック。

 してみると、
 おそらくあの親子はレゲエを聴いた世界で初めての野性のヒグマなのか?、
 などと感慨深くもあったが、
 あの遭遇の最中、
 まったくなにも聴こえなかった。
 無音。
 まるで無音映画のコマ送りのように音のない場面が刻々変化していくような感覚。
 そしてそんな場面のひとつひとつが、
 ぼくの魂のなかに鮮烈に焼き付けられていった。
 とても非現実的……。
 そのなかで、
 子グマの悲鳴や母グマの唸り声と息遣いだけが激烈な存在感でぼくの耳と脳髄の奥に残響としてのこった。

 自分にも、
 そしてなによりもなによりもあの親子に、
 何事もなくてほんとによかった。

 一歩まちがえれば、
 大惨事になるところだったかもしれない。

 そうなったらあの親子がまず不幸になる。
 それはいやだ。

 そして、
 惨事になれば自分は自業自得としても、
 周囲の方々に迷惑と心配をかけてしまう。
 それだけは避けたい。

 だが、
 無事にやり過ごすことが出来て、
 それゆえにこの体験は一生忘れ得ない貴重で美しい思い出の財産として変換され、
 こうしてありのままを書き散らせる幸運に感謝したい。

 かつて、
 これまで何度か遭遇したヒグマたちは、
 クルマのなかから見たときも河原で出会ったときも、
 すべて駆け逃げていく後ろ姿ばかりだった。
 もちろんそれらの体験も深く感動した。
 だが、
 本気で怒り狂ってパニックになったヒグマの表情をまじかでまざまざと見てしまった。
 あのときに感じた「人智叡智などかるく突き抜けた恐怖と畏怖の感動」の念を、
 最近ちょっと調子こいていた自分への戒めとして、
 けして忘れないようにしたい。
 自然のなかではいつも謙虚であろうとあらためて誓った。

 空気そのものが光り輝いているような、
 うんざりするほど透明な北国の夏空のした、
 白昼堂々のできごと。

 
つれづれ
 ささやかな暑気払いになりますかどうか。

 函館にいたころ、
 足しげく通っていた釣り場がある。
 そこに、
 お気に入りの車中泊スポットがあった。
 すばらしく雄大な景色が広がっているのに、
 誰とも会うことなく誰はばかることなく、
 寝泊まりできる山奥の小さな広場。

 広場のガードレールのむこう側は夏草生い茂る切り立った崖、
 そこから眼下に見わたす限り広大な樹海のパノラマ。
 小さな尾根が重なりあうように山並みが広がっている。

 これまで何日もここで車中泊しているけれど、
 ほかのクルマが来たことがあるのは一回。
 
 ヒトの気配がまったく感じられない大自然。
 そんなところにクルマでお手軽かつ快適にそして自由にお泊りできるっていうのがたまらなくゴージャス。
 すばらしい。

 昨年の初秋、
 いつものように函館から7時間かけてひた走り、
 夕方まだ明るいうちに到着。
 そして、
 見わたす限りの森深い山並みを舞台に繰り広げられる、
 ものすごいスケールの夕焼けを独り占めしながらゆっくり食事して、
 パジャマに着替えて歯磨きながらそのへんウロウロして、
 立ちションしてグッスリ熟睡。

 


 翌早朝未明、
 我慢に我慢を重ねたけれど耐えきれず、
 立ちションしようと寝ぼけまなこでクルマの外に出たら……、

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 じぶんのクルマの真ん前にコレ書いてあった。

 え?

 なんなん?

 どうゆうこと?
 
 なにしたん?

 この崖、
 降りたん?
 ほんで、
 探しにいったん?

 てゆーかココ、
 降りれるん?


 ちゅーかきのう、
 ここに来たとき、
 まだふつうに明るかったしそのへんウロウロもした。
 のに、
 なんでこんなデカデカしたのに気ィつかへんかったん?じぶん…。

 え?
 どゆこと??????

 え?
 
 だれ?
 
 え~~?
 なんなん?????

 クエスチョンがとめどなくいっぱい。

 わけがわからないだけに、
 そして場所が場所なだけに、
 あるいみホンマモンに会うよりも……、

 ワッケわからんのはやっぱビビるで~。

 それはそれとして、 
 わたし、
 この春この近所に引っ越してきたんですよ。



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 このリールの真骨頂は、
 なんといってもドラグ鳴らした逆転音。

 チィィィィィ~~~~ンなんつって、
 シルキーでなんともいえない耳触りの、
 快感を増幅させる乾いたクリック音にキュンとなる。

 くしくも、
 函館での9年間で培った方々との交わりのなかで学んだ、
 「清濁あわせ飲む」
 良くも悪くも陰陽善欲福貧、
 個人的にいろんなことがここに集約されることになったリール。

 あるいみ不遇でもあり、
 それでいながら幸運でもあったリール。

 安心してください、
 ドラグ鳴らしまくってます。




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 北海道のちいさな街の、
 そのまたちいさな地区に越してきて、
 はや2か月がたちました。




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 つい数日前まで、
 朝夕ストーヴを焚く日もあったというのに、
 季節はある日とつぜん、
 すっかりいきなり真夏になりました。

 お楽しみはこれからだ!

 というところですね?
ライトケイヒル・ヴァリアント12番
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 濡れそぼる昼下がりのライトケイヒル。

 と書くとなんだかエロイ。

 前回取り上げたミドリカワゲラのスペントとおなじハックル材をつかって、
 まったくおなじようにハックリングしたライトケイヒルの私家版ヴァリアント。

 ワシミミズクのファイバーを数本ボディにキリリと巻いた。

 可憐な黄褐色をしたミドリカワゲラにピッタリなクラシック・スタンダードとしても、
 ライトケイヒルはやっぱりうつくしい。

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 あくまでも体感として、
 6月半ばのほぼ一週間ほど正午前から昼すぎくらいまで、
 ミドリカワゲラの仲間の羽化と流下量が安定していたころの午後おそく、 
 ライズが集中している広大なプールに流れ込む、
 砂利で埋まったあっさ~いチャラ瀬、
 いつも流れを蹴散らしながらザバザバ歩いているところで、
 ゴボッと水飛沫があがる。

 おそらく、
 ミドリカワゲラの流下に我を忘れたヤツが、
 夢中でむさぼるあまり、
 喰い呆けちゃって、
 安全な溜まりから我知らずズンズン開けた上流に……、

 すぐそばに隙あらば手篭にしてこますぞと、
 目をらんらんと光らせている邪なオッチャンがおるというのに……、

 ムハッ 
 
 チャラッチャラのチャラ瀬。
 流れの筋は一定でフライをヒジョーに流しやすく、
 開けた河原はフライをスゴーク投げやすく、
 サカナはいまを盛りに右に左に移動しながら波立つ流れでお食事中。

 例の溜まりでの気難しく気まぐれな素振りはなんだったんだ?
 とニヤリとしちゃう態度の変わりよう……。

 ここはひとつ、
 とびきりオシャレに釣りたいじゃん。

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 空気も水も澄みわたった初夏の晴天の真昼間、
 こんなフライを4Xのティペットに結んで、
 こんなサカナのライズを一撃必殺で……、

 ゴージャスすぎてもうしわけない。



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 その夜、
 こんなん巻いた。

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 シェルピンク色に染めたフラットウイング・ストリーマー用のサドルハックルと、
 ホワイティング・ヒーバートのクリーム色のヘンネック・ハックルを、
 前回とりあげた私家版スタンダード縦巻きハックリングで巻いた。

 フライのハックル部分のシャンク上側だけ、
 淡いピンク色がとろけるようにグラデーションがかっているライトケイヒル。

 桃のライトケイヒル。

 フックはTMC9300の12番。
 ヘビーやろ~?
 必須やねん。

 
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