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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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グリングリングラスオヴホームリバー
190623 (1)1

 独り、
 藪の斜面を下りて河原へと。

 川はもうすぐそこなのに、
 森のなかは生い茂った草木でまえが見えない。

 空間が緑で埋まっている。

 こうなると、
 目のまえのクマザサの茂みにクマっこさ潜んでてもな~んもわかんねえだユリッペ。

 じぶんはカンショ病みなもんで、
 クマ鈴を常時カランカラン鳴らして歩くのは癇に障って気が散るのでとても苦手。

 なので、
 川がカーブしているところとか、
 入渓地点など、
 要所要所でホイッスルを熱唱する。
 しかし、
 ピーーッと警告音的なカドのあるかんじで上から目線で吹くのもどないやねん?ておもうねんな。
 
 むしろ、

 「いや~どうもどうも突然おじゃましてお騒がせしちゃってホンマすんませ~ん。
 ちょっと釣りさせてもろてます~。
 どうか穏便に、そして平和的におねがいします~ホナどうも~」

 というようなニュアンスの態度で、
 ものすごく低い姿勢から、
 「ここにおるけどほっといてね」という切なる気持ちを、
 ホイッスルの音に込めて森の奥まで伝えたい。

 なのでいつも、
 単独行では吉本新喜劇のテーマをホイッスルで吹きまくりながらバッサバサ藪を漕いで行進する。

 吉本新喜劇のテーマ

190623 (2)2

 早朝、
 河原におりて見上げた空は快晴。

 すでに夏の暑さ。

 この日つかった道具は6フィート9インチの4番。
 ティペットは終始4Xのフロロ。
 リーダーとあわせて全長11~13フィートくらい?
 
 フライを6,9フィート竿の先端から3番目くらいのガイドに引っかけて、
 ティペットをリールにまわして二重折りして、
 ライン先端がトップガイドから出ているかんじ。

 中規模程度の開けた明るい渓流です。

190623 (3)3

 さいしょはコレで。

 ソラックスはエゾリスのファー。
 マシュマロ・エクステンション部分はジーロン繊維。
 アンダーボディにエッグヤーン。
 ハックルはボディ中央にレオンのサドル一回転。

 どのパーツも吸水しやすく保水性も高い素材。

 この濡れやすく沈みやすい素材の荷重を、
 ウイングに巻き止めたエゾジカの小麦色の毛だけで支えながら、
 どのようなぐあいに水面に張り付いてくれるのか、
 という負荷実験。

190623 (4)4

 なんだけど、
 ほどなく背後の高枝に引っ掛けてフライをなくし、
 
 もはや夏の減水の様相を呈した流れをみて、
 これはでっかめフライで景気ようドバーッてかんじとちゃうな、
 って気配なので……、

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 つぎはコレ。

 控えめに、
 ヒグマのアンダーファーをボディに巻いた「北海バグ」

 未知の区間を釣るので、
 さんざん使い倒したお馴染みフライでもって、
 早めテンポで探って歩く算段。

 使い慣れてるフライだと、
 「このフライでこういう反応なら現在の状況はこうなのかも」
 なんて、
 判断の目安にしやすいですね。

 チビッ子くんを数匹いじめた。

 すると、
 ドーンと大場所出現。

 岩盤でできた両岸が、
 足元からスパーッとえぐれた青々としたプール。
 そこに、
 段差のある流れ込みから圧力のある流れが白泡立ててダーダー流れ込んでいる。
 水深はいちばん深いところで目視で2メートルほど。
 
 「これはおるやろ~」

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 コレはねえ、
 タンタンタヌキの毛を細工して巻いたファジーなウエイテッドニンフ。
 
 これが流れに揉まれると、
 なんともまあ「もがくカワゲラ」ちっく。

 北海バグをティペットからブチッと切って、
 そのままそこにこのニンフを結んで、

 流れ込みの流芯脇にチャポッと投げて、
 フライが充分に沈みはじめてリーダーが流れに飲み込まれつつ……
 ってときに、
 ツッツーーーンと鋭角的にリーダーが引き込まれ……、

 会心のカイカンのアタリ。

 すっごい気持ちよかった。

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 むちゃくちゃ引いた。
 対岸の岩盤沿いに、
 川底からギューーーーンッと助走してドッパーンと水飛沫あげて月面宙返り。
 
 おみごと。

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 姿態もおみごとのメスのニジマス。

 まさに極上黒点美人。


190623 (9)9
 
 午後おそく、
 川からあがって見上げた空は、
 しっとりと湿気を含んだ鉛色。

 本日は夜半からまとまった雨になりますよ、
 との天気予報。

 山を下りて、
 イブニングライズを期待して里の川の大プールにむかいます。

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 この天気だからか、
 なんと幸運にも、
 つぎの釣り場に到着早々散発ながらライズ発見。
 しかもけっこうなサイズのサカナのよう。

 バンク際の倒木の上流側。

 もうず~っとフライパッチに刺しっぱなしで、
 ことあるごとに荒く酷使されているエゾジカのヘアカディス10番をチョイス。

 このフライのヘアウイングがボロボロに擦り切れて、
 ボキボキ折れて劣化するまで徹底的に使い倒そうとおもって、
 わざと劣悪な使い方をして経緯を観察しているけれど、
 エゾジカの耐久性がたいへんたのもしい。

 抜き足差し足で上流に回り込み、
 しばらく待ってみたけれど、
 ライズが続かないので待ち切れず、
 フライを流しこんだらゴボッと出た。

 ムチャクチャ引いた。

 しかも、
 このサカナの余韻に浸る一服が終わらないうちに、
 さらに上流のバンク際の崖ギリッギリのところで、
 ポワワ~ンッと波紋がひろがっておるではないですか!

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 フロータントを再度塗布したりはせず、
 ニジマスの口から外したそのまんまのフライにフッと息を吹きかけて水気を飛ばして、
 そして三回くらいビッビッと強めのフォルスキャストでさらにフライの水気を切っただけで、
 バンク際ギリギリにフワッとフライを浮かべる。

 良質なエゾジカの毛は、
 ヘアー自体の浮力もさることながら、
 なんといっても水切れの良さにこそ妙あり。

 ライズ地点に流し込むと、
 ポワワ~~ンッと水面が軽く盛りあがってフライが吸い込まれ……、

 ひと呼吸置くかんじで、
 かる~く竿をたてればアナタ、

 ちいさなライズとは裏腹に、
 ザバザバザバッ!と激しい水飛沫。

 やれうれしやと余韻に浸りながら、
 夕暮れを迎えようとしておりますと、
 大プールの対岸バンク際ぎりっぎりのところのそこかしこで、
 ポワンポワンと波紋がひろがりはじめた。

 ウッハー釣りまくったるデと例のカディスを自信満々投じてみるも……、

 サカナたちの態度がガラリとかわって、
 さっきの会心の痛快の二発はなんやってん?
 といいたい冷たい無反応。

 いま、
 目のまえで盛んにライズしているやつなんか、
 さっきの二匹にくらべれば、
 「さあ釣ってくれ」といわんばかりのイージーな場所に定位しているというのに……。

 ムッキ~となったけどダメだダメだと冷静になってみれば、
 そのお答えは灯台もと暗し。
 ほんの足元でもスーパーハッチ。

 川はいまお祭り騒ぎだぜ。

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 フタオカゲロウの集中羽化まっさかり。

 これで、
 ヘアカディスを無視しはじめた理由が判明。
 なおかつ、
 サカナたちがバンク際すれすれに並んで定位してライズしている理由も判明。

 うっひょーオラ過呼吸すんぜん。

 冬の夜長、
 妄想や夢想いっぱいで巻いた、
 スペシャルな一本を4Xフロロにタールノットで結ぶ。
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 キャッツキル・クラシック本領発揮。

 おおきなアメマスの鋭い歯に何度も何度もガシガシ擦れた私家版ヘンドリクソン10番。

 鉄錆色のラスティダンのコックハックルをパラッと一枚。
 そしてボディにつかった素材は、
 まさにいま釣っているこの河原にて昨年ひろったトンビの羽根のクイルボディ、
 をいつものごとく捩じってしぼって巻いたヤツ。

 これがフタオカゲロウの流下にピタッとハマったようで……。

 夢中で釣りました。
 ヘンドリクソンさすがにボディ末端が多少ささくれたけれど、
 クリッパーでささくれを切ってやればじゅうぶん修正可能。
 そして肝心のハックルはここまでつかってもまだビクともしていない。
 ウフフフフフフウレシイ。

 ここのところにこそ、

 ものすご~く満足してすっかりご満悦。

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 いよいよ夕暮れが迫ってきて、
 ラスティダンのハックルだと暗い水面に同化してしまったように視界から消えてしまう。

 なので、
 ヒーバートヘンネックのライトダンと、
 ホワイティングのダイド・ライトダンのコックネックの二枚をハックリングした私家版クイルゴードン。

 これらのハックルは、
 地味~な繊細系カラーでありながら、
 マットな質感なので、
 暗い水面に浮かべるとたいへんよく見える。
 なのでそんな特徴を利用して、
 スタンダード系やマッチザハッチ系フライを繊細な色調でありながら視認性をも加味したいとき、
 なにかとイロイロ有効活用できる、
 たいへんありがたいハックル二種。

190623(20)20.jpg

 で、
 アタリに当たったヘンドリクソンよりも、
 ひと回りほどオーバーサイズでもあるこのフライに交換したのには、
 こんな理由もあった。

 めっちゃビッグなフタスジモンカゲロウ。

 ジャイアント馬場みたい。

 過去の経験より、
 見慣れていたはずのフタスジモンカゲロウのサイズのイメージよりも、
 体感的にゆうにひと回りはでかい。
 もっと言うと、
 普通のモンカゲロウよりもでかく見える。

 モンカゲロウ・ファミリーのなかでは、
 ひときわエレガントで可憐で小柄なフタスジモンカゲロウがこんなにもジャイアント。

 なんか、
 作りモノみたい。
 ウイングなんか、
 ぶ厚い存在感がまるで和紙でつくったみたい。

 感動しながらおどろいたがな~。

 んで、

 川面に夜の帳がおりようとする刹那、
 この花びらみたいなウイングが、
 ひとひら、
 そしてひとひら、
 水面のそこかしこに浮かびはじめて……、

 ハタハタと翅はためきながら流れに乗るイッピキを目で追っておりますと、
 待つ間もなく、
 
 ゴボッ!

 フタオカゲロウの流下に反応しているときのポワ~ンと静かな波紋とは真逆の激しいライズ、
 エエ音さして水飛沫あげてくれちゃってほんまにまったくもう……。

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 ゴージャスな一日。
 

 


 

 
セミセミセミシカ
 これは、
 一週間ほどまえに体験した実話であります。

 真夏日をおもわせる晴天好天がしばらくつづいていたけれど、
 それから一転。
 どんよりと曇って小雨交じりの鉛色の空、
 そして底冷えのする寒々しい天気になったころのこと。

 ワタクシは、
 ちょい山奥の川を独りで釣りのぼっておりました。

 午後おそく、
 両岸ともに雑草の生い茂る小高い崖にはさまれた区間にさしかかったころ、
 どうも妙なかんじがしてならない。

 瀬音のせせらぎの音、
 小鳥たちのさえずる声、
 木々が微風に揺れて葉っぱが擦れ合う音、
 そんな、
 いつもの自然の音のなかに、
 消え入るようなほどちいさく、
 しかし断続的に、
 なんだか、
 妙な不協和音が……背後の崖のうえから聞こえてくるような……しかし気のせいのような……、

 ペキッ、
 ポキッ、
 枯れた小枝を踏みしめたような微かな足音。

 ザザッ、
 ザザッ、
 風ではなく、
 何者かがクマザサの葉に擦れたような音。

 それらが、
 さっきからずっと、
 聞こえてくるような……。

 ペキッ……、
 ザザッ……、
 そのたびに、
 ちょっと、
 いや、
 だいぶビビりながら、
 ハッとなって背後の崖のうえを見あげるんだけど……、

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 なんにも見えない、
 なんにもいない。

 気のせいやろか?

 しかしまたしばらくすると……、
 
 パキッ、
 ズザッ。

 これは気のせいじゃない。
 なにかがいる。
 ぜったいいる!

 そういえば昨年の夏、
 とあるダム湖畔で釣りをしているとき、
 背後の森のなかに潜んでいたらしい野性のミンクにつけ回されて、
 その足音にびびりまくった思い出がある(昨年の8月くらいの当ブログ参照)。

 でもねえ、
 今回のはちょっとちがう。
 ミンクごときの小動物がたてる足音とはだいぶちがう……気がする。

 音はとっても微かなんだけど、
 明らかに、
 確実に、
 うたがいようもなく、
 なにかとってもおっきな生き物が、
 抜き足差し足忍び足で……ぼくのあとをつけている……としかおもえない。

 ものすご~~~く、
 とっても、
 イヤだよ~~~ユルシテオネガイ。

 こんなとき、
 かんがえることはただひとつ。

 こんな釣り生活をおくっていれば、
 いつか、
 あのお方と、
 野外で、
 丸腰で、
 生身のまんま、
 ご対面してしまう……かもしれない。
 このような出会い方をしてしまう……かもしれない。

 そんなときが、
 とうとうやって来てしまった……かもしれない。

 おそるおそる、
 奥底からビビりたおしながら、

 背後の崖のうえを目を凝らしてジ~ッと凝視。

 そして凝視。

190610 (2)2

 わかった?
 いちばんうえの写真のどこかにも、
 コイツ写ってんだよね。

 擬態とは、
 まさにこのこと。

 こんなん、
 目のまえにいたとしても、
 その気になって探さないと、
 周囲の木々や草に完全に溶け込み紛れ込んでしまって、
 ちょっと見ただけではぜんっぜんわからんど。
 
 正体がわかったその瞬間、
 食べられちゃうかもしれない恐怖や、
 ぶち殺されるかもしれない恐怖とは、

 まったく別の、
 もっと得体のしれない、
 現実的ではない恐怖で、
 マジちびった。

 腰から下に力が入らなくなって、
 ガクンと砕け落ちそうだった。

 あのさ、
 シカって真正面からの姿を遠目に見ると、
 パッと見なんていうか、
 人間じゃないけど二本足で立ってる二足歩行のナニモノかに見えるんやで。

 「千と千尋の神隠し」あるやん、
 アレに黒装束の「アッ」しか言わん無表情なモノノケでてきたやん。
 得体のしれない恐怖でいっぱいになってたワタシの目には、
 あの感じ的な妖怪というか精霊というか……そういうものを連想せずにはいられなかったのだった。

 崖の上と下で、
 見つめあうエゾジカとワタシ。

 ぼくが「ウワッ」と声に出しておどろいて慌てふためいたとき、
 シカの野郎もズザッと一瞬ヤブのなかに消えかけたんだけど、
 またすぐ戻って来て、
 またもやジ~ッとコチラを見下ろしている。

 「どないしたん?なにしてるん?」
 「あっち行ってくれる?」

 心底ホッとして、
 声をかけた。

 シカはなんにも言わないけれど……、

 見つめあいながら、
 タバコに火をつけた。

 すると、
 シカの鼻がヒクッとなった。
 一瞬、
 顔をしかめたようにも見えた。

 愛煙家は、
 こんな場所でも肩身が狭い。

 気を取り直して晴々と釣り再開。
 
 するとまた背後でペキッザザッと微かな音がして、
 しばらくぼくのあとをつけていたようだけど、
 シカはいつのまにか消えていた。 

 なんだったんだ?

190613(1)1.jpg

 そのときつかっていたフライ。

 エゾジカの毛で巻いたエゾハルゼミなフライ。

 エゾシカに監視されながら、
 エゾシカの毛で巻いたフライで釣る。

 それをシュールというべきか、
 それとも浪漫というべきなのか……。

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 各メーカーいろんなタイプのフロータントをドサッと大人買いして、
 あれこれゴシゴシ擦り込みながらつかっている、
 ワタシの2019年度版ハルゼミ。

 コレ一本で、
 大中小特大幼魚あわせて、
 もはや何匹釣ったか定かではないけれど……、
 つかうたびに、
 いろんなフロータントをモミクチャに擦り込んでいるけれど……、

 まだまだぜんぜんイケるかんじ。

 それがどれだけウレシたのもしニヤけることかは、
 ディアヘアー系のフライをフロータント塗ってドライフライとして多用しておられる方なら、
 きっとわかってくださることでございましょう。

190610(5)5.jpg

 ちなみに、
 野山で生身ではぜったいお会いしたくはないお方の、
 とある部分のオケケをウイングにあしらったハルゼミも、
 お日さまの陽の光を浴びてギランギランと金色に輝いております。

 これが水面に浮かぶと、
 金色の後光に包まれて、
 なんだかとっても霊的で幻想的。
 ポ~ッと魂が抜けちゃうような夢見心地

 それがいきなりグワバッ!水飛沫けちらして炸裂。

 魂が、
 魂が、
 もっていかれちゃう~~~~。

 もちろんこちらにも、
 さまざまなフロータントを塗布して……、

190610(6)6.jpg

 そして、
 それだけでは飽き足らず、
 挙句の果てに……。

 瞑想中、
 じゃなくて迷走中……ですね?

 感動と刺激と発見に満ち満ちて、
 まことに濃厚な、
 こゆ~い初夏の毎日です。

スケルトンなカジュアルドレス
 10日ほどまえの、
 真夏日がつづいていたころのこと、
 炎天下のした、
 友人とふたりしてエッチラオッチラはじめての川を釣りのぼっておりました。

 状況は悪くはなく、
 ここぞというポイントにセミ・フライを叩きこんでドンブラコと流せば、
 かならずといってよいほどにドバッとでた。

 ただ~し、
 川は行けども行けどもほとんど砂利で埋まっており、
 ここぞというポイントがほとんどない。
 まったくない。

 ようやく巡り合ったここぞというポイントで、
 どちらかがイッピキ掛けて「ウッヒョ~」と盛りあがると、
 またもやザバザバザバザバ川のなかを何キロもひたすら歩く……、
 ただひたすら歩く……、

 という日でありました。

 そんななか、
 午後おそく、
 いいかげんダレ気味で川辺を歩いておりますと、
 前を歩いていた友人が、
 とある砂底のおおきなプールのほとりでピタリと歩みを止め、
 しばしジッと水面を見つめると、
 「ビゼンさん、アレ、サカナじゃない?」

 クリアに澄みわたった深いプールの中央の川底に、
 このお方がへばりつくように定位していた。

190609 (1)1

 よくよく観察してみれば、
 40~50センチクラスの子分?がさらに4~5匹ほど、
 このサカナに寄り添うようにジッと定位して流れにゆられていた。

 小高い土手のうえからは、
 その様子の仔細が手に取るようによく見えた。

 しか~し、
 遮蔽物などなにもなく、
 サカナがものすご~くよく見えるということは、
 先方もまた我々の姿がもっとよく見えているということでもあり、
 川底にビタッとはりつくように静止して定位しているということは、
 もはや我々はとっくのむかしに感知されており、
 サカナたちはすでに警戒態勢にはいっているものとおもわれた。

 「ビゼンさん、やってみてください」

 サカナの姿を発見したつぎの瞬間には、
 セミから重いニンフにソッコー結び変えていたワタシ。

 「もちろんやってみるけど、コレもうたぶんサカナに気づかれてメチャびびられてるかんじやで」
 「まあ、ダメ元でイチかバチかやってみるよ」
 「ちゅ~か、水辺に近寄っていった時点で逃げられるんとちゃうか」

 などとのたまいながら、
 ソ~ッと忍び足でアプローチできる水際まで下りていったけれど、
 サカナは同じ場所でまだそのまんまジ~ッと定位しておられる。

 第一関門はどうにかクリア。

 ただ、
 水際に下りてしまうと、
 陽の光のかげんで川底にいるサカナの姿がいまいち見えにくくなってしまった。

 サカナの定位している水深がけっこう深いこと、
 サカナの姿がはっきり視認できないこと、
 こうなると、
 かりにサカナの鼻先にフライをうまく流し込んだとしても、
 定位して微動だにしないサカナがフライを吸い込んだかどうか判別しにくい。

 なので奥の手、
 サカナのかなり横方向にフライを沈めて流して、
 サカナにうごいていただいてフライを追ってもらって、
 そのうごきで反応をたしかめるしかない。

 これ、
 サイトニンフィング鉄則のコツ。

 おそるおそる、
 サカナが定位している地点よりも1メートルほど横に手前、
 かつフライを沈めるために2メートルほど上流にフライを落とす。

 ウエイテッドニンフがチャポンと小さな水飛沫をあげて着水したとたん、
 かなり離れたところに定位しているマスたちが全員ビクンッと魚体をふるわせて着水音に反応してしまった。
 
 そしてあろうことか、
 全員がいっせいに定位していた周辺を落ち着きなくウロウロしはじめてしまった。

 「あっちゃ~、もう気づかれちゃったみたい」

 しかも、
 投じたニンフはウエイトが軽すぎ。
 水深が深すぎて、
 ぜんぜん沈んでいないじゃん。

 ダーメだこりゃ。

 ま、
 この状況ならしかたのないことでございましょう。

 ところが、
 しばらくするとサカナたちがまたスーッと同じ場所に戻って来て、
 川底にビタッと静止して定位したんだよね。

 あれ?

 とおもって、
 こんどはさらにガッツリとウエイト入れたニンフに変えて3投目。

 チャポンと着水したニンフがぐんぐん沈んでいく。

 す・る・と!
 子分クラスのイッピキがフライが沈んでいるであろう地点にむかってスーッと泳いでくるではないかドッキドキ。、

 「あ、これ食うかも!」

 心臓バックバク。

 と・こ・ろ・が・
 それまで微動だにしなかった親分がフライのほうにむかって、
 ゆっくりグーンと旋回するようにうごきはじめたとたん、

 それまでノリノリで一直線にフライのほうにむかっていた子分が、
 スッと遠慮するかのようにどいてしまった。

 子分っていってもゆうに50センチクラスしかも極太。
 そりゃ~もうガッカリですよ。

 そして、
 フライよりもいったん上流側にまわりこんだ親分が、
 グル~ンと頭の向きを変えて、
 フライが沈んでいるであろう付近を通過して、
 そのままとまることなく川底で大きく円を描くようにうごいて……、

 その途中、
 土手のうえからジッと様子をうかがっていた友人が、
 サカナがフライを吸いこんだような気がしたらしく、
 ちいさく「アッ」と声を漏らした。

 なんだけど、
 な~んかおかしいぞ疑わしいぞ、
 とおもいながらも、
 じぶんのほうからはとくに変化はなにも見えない。

 なので、
 こうした状況での空アワセによる場荒れを避けるために
 アワセてみたいのをグッとこらえた。

 で、
 そのあと、
 親分が川底を這うように悠々と旋回していく様子を、
 心から切なく、
 そして狂おしく見守っておりますと……、

 なななんと!

 水面に浮かんでいたリーダーのバット部分が、
 ツーーッと親分の泳ぎ去る方向に引っ張られていくのが視界の片隅に映った。

 「喰っとるやんけ!」

 グイッとアワセてドンッ!

 真っ赤な巨体を翻して、
 おおきなプールのなかを所狭しと跳ぶわ走るわ首振りまくるわ、
 その様子がクリアな水中で丸見え。
 はげしい水飛沫がドッパンザッパン。

 丁々発止の大捕りもの……みごと召し獲ったり~~~抜けまくりました。

 「やっぱりあのときフライ喰ってたんですね。フライが沈んだあたりでサカナが白い口を開けたの、ここから見えたんですよ。
 でもビゼンさんなにもしないから、アレ?喰ってないのかな?っておもったんだよなあ」

 と、
 友人が興奮しながらまくしたてた。

 してみると、
 この親分は、
 フライをくわえてから2メートル以上は移動していることになる。

 ここに、
 示唆するものがものすごいたくさんある。

 釣れた親分は、
 その大きさもさることながら、
 魚体や口吻の釣り針傷跡から見ても、
 過去に何度も痛い思いをしているはず。
 数々の修羅場をかいくぐって、
 ここまで成長してきたことが一目瞭然。
 まちがいなく百戦錬磨。

 そのようなヌシ的なサカナが、
 4Xのティペットに結ばれたフライをがっぽりくわえたまんま、
 その違和感をかんじることなく、
 こんなにも長い時間、
 こんなにも自然な素振りで移動するなんて……。

 しかもこの状況で……。

 この親分は、
 釣れてくれた感動と感激のみならず、
 じつにじつに有益かつ、
 今後に役立つことは間違いない、
 すばらしい情報をもワタシに与えてくれたのでございました。

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 ヘビーウエイトなニンフのタイイング私見。

 まずは普通のブラス・ビーズとともに、
 フックシャンク前面に糸オモリをグルグル巻き。

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 で、
 リードワイヤ(糸オモリ)を爪先でグッと押し込むようにして、
 ビーズの穴に突っ込み、
 ビーズを固定してからリードワイヤをスレッドでグルグル巻きして補強。

 スコーンとスムーズに沈めるために、
 手っ取り早くタングステンのビーズをつかうテもある。
 けれど、
 タングステンの泣き所はとにかくキャスティングが億劫になるほど投げにくく、
 そして投げるたびに耳元をフライが弾丸のようにヒュンヒュン行ったり来たりするのでとても恐ろしい。

 そしてさらに、
 スッコーンと沈むのは良いけれど、
 勢い余ってそのまま川底の石のあいだに一直線にもぐっていきがち。

 なぜかというと、
 タングステンビーズだとフライの重量が極端に一点集中するため。
 そのため、
 投げれば弾丸になり、
 沈めれば岩盤の切れ目や石のあいだに挟まりたがる。

 ごつい道具でスイングさせたりとか、
 そういうパワー系な釣りにはいいけれど、
 深場を繊細に探りたいような、
 こんな釣りにはちょい不向き。

 このように、
 普通のビーズにリードワイヤの組み合わせで、
 フライの重量を分散させたほうが、
 投げやすくて、
 沈めても根掛りを軽減させられるようにおもっている。

190609 (4)4

 で、
 リードワイヤのうえにスレッドをグルグル巻きにしたら、
 エゾリスの背中の毛をこのようにテイルに巻き止めて……、

 その根元に二つ折りにしたオーバルティンセルを巻き止めて……、

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 ティンセルを捩じって荒縄状にして、
 このように密にリビング。

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 マルチグルーを塗布したスレッドに、
 ボディ部分はよくほぐしてホワホワにしたエゾリスのファーをかる~くフワッとつけて、
 ソラックス部分にはエゾリスの背中のファーをガードヘアーごとそのまま塗布。

190609 (7)7

 で、
 これをグルグルッとねじって、
 ソラックス部分に巻くファーの部分を、
 写真のように濡らした指先で一方向に向くように撫でつけておいて……、

190609 (8)8

 んで、
 これをリビング材に挟む込むようにグルグルッと一気にボディに巻くと、
 ソラックス部分のファーがハックルのような体裁になり……、

190609 (9)9

 んでんで、
 ヘッドのところに黒のオストリッチなんかを巻いて、
 川虫のアタマやウイングケース的なアクセントにして、
 あっというまに完成の一体構造ファジー・ニンフ。

190609 (10)10

 出来あがったニンフを、
 水を張ったシャーレに落としてみると……、

 エゾリスのファーがたちまち吸水してスッと水に馴染む。
 しかもそのファーは、
 このように巻くことでボディ全体にモサモサ立ちあがっているので、
 これが流水に揉まれると、
 ボディ全体がユラユラ揺れ動きつつ、
 かつ透明な皮膜のように金色のボディを包み込む。

 なんともいえず柔らかで、
 指でつまむと潰れてしまいそうなジューシーな質感。

 当初は、
 水馴染みの良さや、
 流水の抵抗をモロに受けて流しやすく、
 かつファーがザワザワなびき揺れ動く、
 という機能面をこそ目的にこのように巻いてみたけれど……、

 このソフトな質感こそが、
 あのように長時間サカナがフライをくわえてくれる要因になったのではないかと、
 このように考察して……、

 翌日、
 この写真のニンフをティペットに結んで、
 こんどは轟々と流れる深瀬の川底を、
 ヘビーアウトリガーで探って……、

 深みからかすかに感じられたヌンッと重みが加わったような、
 「気配」をかんじるアタリに躊躇なくグイッとアワセてみれば……、

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 なんか、
 このフライをつかうとフッキングもよいような、
 というか、
 このように口吻脇のすごく良いところに掛ってくれることがやたらと多い。
 なので、
 このテの釣りにありがちな、
 しばらくファイトしていてある瞬間、
 ポロッと外れて「なんで?」
 というような悲しい展開が激減しているようにおもえる。

 やっぱニンフって、
 口当たりの良さも重要なんだな~なんておもったりして。

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 ウルトラベストコンディションのビッグでファットな完熟ビッグ・ママ。

 深みの、
 そのまた深場の、
 そのポイントのもっともVIPな場所に、
 ひっそりと隠れるように陣取っていた大女将を、
 白昼堂々引っ張り出したったご満悦。

 ドワーッと波立って流れる荒瀬の、
 分厚い壁のような重い流圧なんかものともせず、
 掛ったつぎの瞬間にはもうとんでもないところでドッパンドッパン跳ねまくり、
 そのまま狂ったように荒瀬を上流に激走。
 
 ヒイヒイハアハアで無事に取り込んでみればこのサカナ。

 ああんもう…みつぐ脳がトロけちゃう。
  
シースルーなカジュアルドレス
 ポーリー・ロズボロに最大限の敬意とココロからの共感をこめて……。

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 仮題)蝦夷フライズ・プロジェクト中間報告てゆーかシーズンはじまったばかり報告第一弾。

 エゾリスの背中のファーで巻いたカジュアルドレスの私的アレンジ版ニンフ。

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 を、
 逆光にかざして陽光を透過させてみる。

 ボッサボサにドサッとファーをダビングしているにもかかわらず、
 ファーが光を透過してなんだかとてもスッカスカな印象に映る。

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 そしてとにかく、
 このテのダビング素材のなかでは、
 群を抜いて水馴染みバツグン。

 水面に投げ入れれば、
 ほとんど一瞬でファーが吸水するような感覚で、
 このように全身濡れそぼる。

 この透過性と親水性は、
 エゾリスのファー独特の質感だとおもう。

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 銅色ヘッドとボディのとか、

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 ブロンズマラードのシッポつけたりとか、

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 ヘッドの黒いオストリッチのかわりに、
 ファーネスのヘンハックル巻いたのとか、

 いろいろアレコレ巻いておおいに悦に入って、
 すっかり気に入って、
 
 モジャモジャ・ファジー系ユニバーサルニンフとして、
 過去の経験からも考慮するに、
 そりゃーもうコレで釣れないわけがないやろとおもって、
 さいしょから自信満々で確信に満ちて、
 つかいはじめた。

 わけですが、

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 私家版超簡易インジケーターをつけたルースニングで、
 はたまたパチンコ玉サイズなガンダマ連結のヘビーアウトリガーで、
 あるいは軽快にリーダーとティペットのみで、
 ときにはサカナを見つけてサイトフイッシングで、
 さまざまなニンフフイッシングな場面にて……、

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 ここらへんで、
 なんだか、
 ちょっと、
 
 とおもいはじめた5月半ばからの私のシーズン開幕数日後……、

 そりゃ~釣れるって!
 と断言する勢いでつかいはじめたけれど、

 なんか……、
 
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 予想をちょびっと越えちゃう勢いなかんじ?

 これから、
 本格的な水面のシーズンを迎えて、
 このニンフを通して得たエゾリスならではの旨味をドライフライにも投影させるべく……。

 嗚呼、
 たまらない日々でございます。

 
徒然乾式毛鉤
 芽吹きのクイルゴードン。
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 くすんだ鉄錆色のハックルの薄いのと濃いのをハラリと巻いて……、

 枯山野、
 春遠からじ。

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 ほんのり色づいて春霞み。



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 めっきり色づいて春爛漫。



 トビケラが、
 みなも転がりはためく春一番。
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 ミンクのシッポのガードヘアーをダウンウイングに巻き止めて、
 バック・トゥ・ザ・ゴールデンエイジ60~early80’S
 元祖フラッタリング・カディス・クラシック。

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 ゴールドリブド・ヘアーズイヤーなボディをボテッと巻いた金色ヘッドと、
 太軸フックにスッカスカのパラパラ全体的にスパースに巻いたやつ。

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 もちろんサカナは釣りとーて釣りとーて釣りた過ぎるけど、
 どちらかといえば自分にとっての旬、
 「このフライでこそ釣りたい」を優先して巻いた、
 夢想と妄想の賜物的スペシャル・ドライフライズを、
 
 このスペシャルな小箱に詰め込んで、

 準備万端。

 
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