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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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RIDDIM WISE
200519 (2)2

 Spring Harvest inna de Backyard

 今年も、
 我が家の裏庭、
 というか裏の空き地に、
 行者ニンニクの群生がお芽見え。

 すでに旬の季節は過ぎましたが、
 今年もまた採って採って採りまくり、
 冷凍庫でパンパンに冷凍しています。

200519 (3)3

 もうだいぶまえ、
 とある釣り雑誌に行者ニンニクを褒め称える小噺入りの記事を書いたとき、
 「アイヌネギ」と書いた。
 心情的に敬愛の念を込めた親愛の愛称的なきもちで。
 そしたら当時の編集長から電話がかかってきて、
 ワタクシ個人的にはその呼称おおいに賛同しておるのですが……、
 と前置きして、
 ものすごく申し訳なさそうに、

 「もしかしたら、受け取り方によっては差別用語にとられかねない危惧もありまして……」

 「あ、そういうことなら月並みに行者ニンニクということで……」

 ワタクシことなかれ主義。

 たかだかそんなんで揉めたらしんどいし。

200519 (4)4

 春の陽射しを浴びてフカフカしている枯れた夏草の地面いっぱいに、
 行者ニンニクが生えてきて勝手に群生しているボクんちの裏庭。

 うらやましがってもいいよ。
 
 もともと行者ニンニクはご存じのとおり、
 山間の渓流の日当たりの良い斜面なんかに生えている植物。

 それがなぜ我が家の裏庭に生えているかというと、

 かつてそのむかし、
 この周辺に暮しておられた方々が、
 手間を惜しまず移植して、
 庭先にて丹精込めて育てておられたものなのだそう。

 そして時代が変わり、
 ここから人々が去り、
 さらに数十年を経て、
 ほとんどの家々は住む人もいない廃屋と化してしまった。

 けれど、
 冬を越して、
 春が来れば、
 ここに連れてこられた行者ニンニクたちの子孫は、
 かつての時代となんら変わることなく芽を出して、
 豊穣の春の訪れを告げてくれる。

 そんな輪廻転生を、
 長い時間を経て現在、
 流れ流れて流浪の新参者のワタシ、
 ご縁があってありがたく引き継がせていただいた。

 とくに手入れなど一切してないけど。

 来る日も来る日も食卓に並べ、
 飽きる気配もなく、
 たいへんおいしくいただいている。

 季節は巡る。
 因果は巡る。
 時代も巡る。

 和洋中どのような料理に添えても、
 ひと際味わいを引き立たせてくれる魔法の葉っぱ。
 
 ほんまに旨い。

 あの、
 シロートがあらたまっていまさらナニゆうてるねん…てかんじの発言なんですが、
 定番の「しょうゆ漬け」は漬かった葉っぱもさることながら、
 漬けたショーユがまたイロイロたまんないですね。

 200519 (5)5



 さいきん、
 じっくりレコード聴くときは、
 スタジオ1のレコードばかり聴いている。

 このアルバムがリリースされた69年から70年代後半くらいまでのスタジオ1のレコード。

 レゲエは年代として明確に一線引いて、
 1989年までがじぶんにとってのレゲエなんですが、
 その年代までのレゲエをいろいろ聴いていても、
 一周回ってやっぱりここに帰って来ました……っていうのがスタジオ1。



200519 (6)6
 極太ラージサイズのゴールドオーバルティンセルを、
 エゾリスのファーで包んだティンセルクイルボディな小型サーモンフライ。

 サイズ8番と6番。

 ウイングはコック・デ・レオンのルースター・クイル。
 ハックルはレオンのサドル。

200519 (7)7
 ヒグマの金毛とマンダリンダックのフランクフェザーのファイバーをミックスした、
 フェザーウイングでもあり、
 ヘアウイングでもある小型サーモンフライ。

 ボディはフラットティンセルのうえにロードアイランドレッドのハックルストークを巻いて、
 さらにそのうえにエポキシ樹脂でコーティング。

 サイズは金メッキ・フックの8番と4番。

200519 (8)8

 そしてこの一カ月、
 タイイング仕事のBGM として、
 ほとんどまいにち聴いている最近の必殺中の必殺は……、

 
 
 これすごいから。

 「ドレッド・アット・ザ・コントロール」
 マイキー・ドレッドによる70年代ジャマイカ国営ラジオ放送の名物深夜番組のエアチェック。

 78年のクリスマスの放送だそう。

 

200519 (10)10

 ヘアーの根元付近が黒くて先端が真っ金色に輝いている、
 コントラスト鮮やかなヒグマの金毛をウイングにあしらった、
 簡素でシンプルだけど、
 ものすごく複雑な構造のストリーマー。

200519 (11)11

 ボディに皺くちゃのゴールドシートを巻き込みながら、
 何層かに分けて重ねつつエポキシでコーティングしている。

200519 (9)9

 マイキー・ドレッドのプロダクションでリリースされたアルバムで、
 とくにコレ一枚といえば、
 やはりジュニア・マーヴィンのこのアルバム。



 リー・ペリーとの共作「ポリスとコソ泥」がジュニア・マーヴィンの奇跡の代表作というなら、
 この曲は隠れた名曲だとず~っとおもっている。

 ユーチューブのコメント欄には、
 おなじような想いの見ず知らずの方々の言葉が並んでいて胸が熱い。

 このレコードを購入したのは、
 83年の夏、
 渋谷のタワーレコードにて。

 大学一年生のころ。

 数少ないレゲエの情報を貪るように読むというよりも暗記して、
 都内の輸入盤レコード店をはしごしていた。

 わけもわからず聴き漁っていた時代の思い出の一枚。

 でありながら、
 今もことあるごとにターンテーブルに載せる一枚。

200519 (12)12



 ジュニア・マーヴィンのレコードで、
 個人的に忘れがたいのをもう一曲。

 このシングルは大学を卒業した88年の春、
 ロンドンのハーレスデンにあったジェットスターの旧倉庫にて、
 山のように積みあげられたレコードの塩化ビニールの香りにむせながら見つけ出したもの。

 ユーチューブのコメント欄には、
 故ジュニア・マーヴィンのお譲さまのコメントが。
 いわく「父の歌でこの曲がいちばん好きでした」との書きこみ。

 それに対するオッサンがたの返信がなんともステキだ。
 ある方の返信
 「子供のころに聴いて、今もまだずっと聴いていますよ」と……。

 おんなじヒト、
 ここにもいてます。

 ジャマイカからはるか彼方の東の国の北の端っこで、
 いまも変わらずず~っと聴いています。
Feathers,Hairs & Furs at the Control Vol.2
200519 (1)1

 アーガス・フェザントのテイル・カバー・クイルをハンプバック・ウイングにあしらったマーチ・ブラウン風サイズ3/0。
 
 先月の初めころ戯れに巻いてすっかりお気に入り。
 それからずっと、
 タイイング机のいつも眺められる特等席に鎮座している。

 鬱屈とした重い気分の日々がずっとつづいている。
 朝、
 目が覚めるたび「ハァ~アやだなあ」とため息ひとつ。

 渋々布団から抜け出してカーテンを開け、
 作業場の明かりを点けると、
 まずこのフライが視界に映る。

 すると、
 かるくときめいて、
 ちょっと気分が弾む。

 けして釣りにつかうことはないけれど、
 こんなふうに愛でられるフライが手元に置いてあるのっていいな。

200521 (1)1

 つい先日、
 ご注文をくださった方の元に送らせていただいた、
 ドライフライとウエットフライ私的セレクションのフレーム。

 むしろ、
 製作した本人が気に入って写真に撮り、
 パソコンの壁紙にして眺めている。

 どのフライも奇をてらわない伝統のスタンダード・スタイル。

 なんだけど、
 素材も巻き方もぜんぶ私家版。

 温故知新をテーマにした2020年度版というところ。

 新しいことを発見するために、
 過去を理解して実践することがいかに重要で、
 いかに豊かで深いことか身に沁みる。

 薄っぺらいことはしとうないねん。

200519 (13)13

 数年まえ、
 志半ばで故人となられた方の遺品のなかから見出した一本。

 生前、
 その方が英国の釣り具オークションや古物商などから収集されていた、
 古い時代のフライボックスのコレクション一式が、
 いろいろな経緯を経てワタシの手元にやってきた。

 なかには、
 万人が認めるお宝もいくつかあった。

 けれど、
 こうしたマニアックな趣味の常で、
 まだ経験も知識も浅いコレクターなら誰しもが勉強代として通過するであろう、
 「……まんまとつかまされはったんやな……」
 という、
 夥しい数量のジャンクも山積み。

 そしてそのフライボックスのなかにズラッと並んでいた、
 経年劣化はなはだしく錆びついて腐っている、
 ただ古いというだけのこれまたジャンクなフライ群。

 そんな、
 ゆうに数百本を越すゴミのなかに、
 なぜだかたった一本、
 コレがまぎれていた。

 ハッとしてボックスから摘まみあげた瞬間、
 劣化したファイバーが惜しくも数本ポロポロとれてしまうほどの傷み方ではあったが、
 仔細じっくり観察してみれば……、

 おもわず鳥肌が立った。

 現在のフックサイズに換算して8番ほどの小さなフックに、
 レシピどおり全ての素材が巻き留められているフルドレス・ジョックスコット。
 もはや、
 原形を留めないほどボロボロに傷んではいるけれど、
 全体のバランスや素材の量や配置から察するに、
 あっぱれ見事な技術の逸品であることが想像できる。

 このサイズのフックに、
 このフライをこのように巻くことが、
 どれだけ修練の賜物であることか……。

 そして、
 マイクロサイズなインディアンクロウやトウキャンにコティンガなどなど、
 使われている素材はすべてホンモノ。

 そんなミクロな羽根素材を収集するだけでなく、
 それを使いこなすことが、
 どれだけ執念の賜物であることか……。

 尋常じゃないデこれは。

 しかも、
 ズラ~ッと並んだフライのなかで、
 なぜかこのフライだけがものすごく使用感が漂っている。

 サカナのヌメリによる素材の固着をかんじる。
 血糊のようなものも付着していた。

 あきらかに歴戦のツワモノであっただろうことが窺える。

 一緒に並んでいたジャンクなフライ群が巻かれたであろう時代から想像するに、
 このボックスの先々代のオーナーもまた、
 このフライを誰ぞ前時代の大先輩から譲り受けたのではなかろうか?

 遠いかの地の、
 往年の時代、
 いつ、
 だれが、
 このフライでどのような物語を刻んだのか……、

 そしてそのフライが現在、
 たくさんの時代を超えて、
 いろんな道のりを経て我が手元にある不思議な縁。

 このフライを巻いた方は、
 まさか自分のフライがこのような運命を辿るとは思いもしなかっただろう。

 そしてまた、
 おおいに僭越ながら、
 数百を超すジャンクに埋もれていたこの一本を、
 とんでもない価値あるものとして見出すことのできた我が審美眼は、
 けして一朝一夕に培われるものではなく、
 長年の経験によって我知らず備わったもの。
 その「見る目」をこそ、
 じぶんにとって数少ない財産として誇りたい。
 
 語り継ぐべき古典は、
 こうして引き継がれていくものなのか。

 期せずして尊い歴史のバトンをうけとったワタシは、
 また誰かにこのバトンを託すことができるだろうか。

 200519 (14)14

 数年まえ、
 ティンセルやシルクフロスのメーカーとして絶大な信頼をよせていたラガータンの先代が亡くなって、
 製造販売をやめる、
 という事態になったことがあった。

 ちなみに現在は誰かが引き継がれて、
 また復活されているとの由。
 現行品はじぶんはまだ見ていないけれど、
 まずはひと安心というところ。

 なんだけど、
 当時はものすごく慌てた。
 ティンセルに関しては死活問題ですよ。

 そんなわけで、
 ラガータンのデッドストックや在庫あればなんでもありったけください。
 と、
 お知り合いのプロショップ関係者各位に声をかけたことがあった。

 ゾクゾク集まってきましたがな。

 めったにつかわないというか、
 普通ならまずつかわれないサイズと色の売れ残りばっかり。
 
 なかでも、
 極太サイズのゴールド・オーバルティンセルがどっさり。

 大見栄きった手前、
 ありがたくしかたなくぜんぶ購入さしてもろたけど……、
 なににつかうのよ?ソレっちゅうやつ。

200520.jpg

 しかしいま、
 ここにきて我が家では、
 この極太ゴールド・オーバルティンセルが空前の大ブーム大爆発中。
 
 あのときの大失敗から転じた幸運を噛みしめております。

 作為的に毛羽立たせたダビングボディではなく、
 ヒグマやエゾリスのファーがボディ全体からフワッと生えているような……、
 そしてその下から、
 まるで金色のクイルボディのように変化した極太ティンセルが透けている。

 これやねん、
 このかんじが表現しと~てずっとアレコレやっとってん、、
 と、
 おもわずワクワクする、
 ワタクシ的満足かつ理想のファジー・スタイルなボディができました。

 それは、
 ヒグマの金毛をつかったドライフライにも、
 エゾリスのファーをつかったウエットフライやニンフにも……、

 蝦夷フライズ・プロジェクト水面下でイロイロ拡がって。

 過剰在庫になって持て余していた我が家の極太ゴールド・オーバルティンセル。
 だったんだけど、
 現在、
 ティンセル類を収納した引き出しを開けては、
 「キャハ、まだこんなにようけあるやん当分いけるやん」
 ニヤついちゃうヨ。

 この、
 鬱々と悶々と引き篭もる毎日のなかで、
 アッと思いついた極太ゴールド・オーバルティンセル私家版ボディ成形スタイルは、
 ワタシの日々の暮らしの活力の源。

 人生、
 なにがどう転んでいくのかホンマにわからんもんですな。

200521 (2)2

 先月と今月にマーヴェリックHP のコラム欄に掲載していただいた拙コラム記事にリンク。
     ↓
 コンプリート・ウイングからクイルをバラして炙って直して巻いてウットリの巻
 私家版シルバーマーチブラウン・フルチューニング仕様、スロートハックルにこだわるの巻
 私家版シルバーマーチブラウン・フルチューニング仕様、ウイングにこだわるの巻

 この三つの記事をまとめているときに、
 この極太オーバル活用方法に「アアッこの手があったか!」と思いが至ったのだった。

 いっしょうけんめい書いたかいがありました。

 そんなわけで、
 このコラムのオマケ的シルバー・マーチブラウンのヴァリエイション作例を……、

200521 (8)8

 TMC2312 10番のロングシャンク・フックのソラックス部分に、
 エゾリスのファーをほんの少量毛羽立たせたタイプ。

 ファーがしっかり吸水してくれて水馴染みの良さ際だつスタイル。

200521 (9)9

 TMC9300 8番のソラックス部分に、
 秋ヒグマの柔毛をよく揉んでクシャクシャにしたものをごく少量毛羽立たせたタイプ。

 たったこれだけの量でも、
 フロータントをここにグリグリ塗布すると、
 このようなウエットフライをものすごく良い感じで張り付くように水面に浮かせることができる。
 クイルウイングを水面にちょこんと突き立てるバランスで。

 このテのスタンダード・スタイルなウエットフライを水面に浮かせて流すテク、
 ちょっとバカにできませんよ。
 ときとして威力絶大。

200521 (3)3

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200521 (6)6

200521 (7)7

 つかったフックは「がまかつ」のSC15 の6番。
 セイゴバリ型の本来はソルトウォーター用フック。

 シルバーマーチブラウンなので、
 フックも銀メッキのやつでもええやん、
 という安易な発想。

 でもあるけれど、
 フックの形状的に6番サイズであっても、
 フック・シャンクの長さは通常のウエット用フックで12番くらいの長さ。

 超ワイドゲイプ・ショートシャンク。
 そしてライトワイヤーながらものすごく頑丈。
 かつ、
 ニッポンの釣りバリ伝統のフッキングの良さ追求型セイゴバリで、
 ライトな小型ウエットフライってどうよ?

 みたいなところ、
 はやくお試ししてみたいものです。

 
ひねもすのたり春のエゾリス
200428 (2)2

 昨年の5月最後の週末の釣り。

 この日の釣りは、
 ついこの前のことのようによく憶えているのに、
 アレ気がつけばもはや一年前のこと。

 なんでやねん?

 歳を重ねるごとに、
 時の流れがどんどん流速を増して、
 早瀬どころか岩をも噛みくだく激流のごとく過ぎ去っていくようだ。

 この現象は一体全体どういうことなんだ?

 という話題になると、

 「ビゼンさんね、それ、あと10年経ったらも~っと早くなりますから」

 「そして、その10年もアッという間ですから」

 ひと回り年上の仲良くしていただいている先輩が、
 もう心底から実感ひとしおのていで、
 …覚悟しとけよ…みたいな口調でいつもそう言う。

 ほんとにおそろしいことだ。

 200428 (1)1

 エゾリスのストリップド・スキンをボディに巻き止めて、
 マジックで黒く塗った銀色のビーズヘッドのうしろに、
 エゾリスのファーをハックル状にパラッとひろげてヘッドに巻いた。

 一見するとゾンカー風。

 というようなフライを、
 6フィート3インチ2番の竿でつかうって……どうなのソレ?

 この日、
 当初はこのようなフライをつかうつもりなどまったくなく、
 オホーツク地方の遅い春を迎えたばかりの山上湖に、
 ニジマスやアメマスのライズ求めて、
 ウキウキとフロートチューブで漕ぎだしたのだった。

 予想では、
 ちょうどミドリカワゲラの仲間の羽化がはじまって、
 バンク際ぎりぎりの倒木の下や枯れた葦のキワなんかに、
 若いニジマスやアメマスたちが集結。
 クルージングしながらせっせとライズしているはずだった。

 フロートチューブでにじり寄っていって、
 そんなライズを2番の短竿でエレガントに、
 そしてテクニカルに釣りまくっちゃおう……という目論見だった。

 フライボックスには、
 ワシミミズクのクイルをボディに巻いて、
 ヒグマの柔金毛をダウンウイングに据え、
 ハニーダンやらシャンパンダンやら秘蔵のハックルをパラッとハックリングした、
 サイズ14番や16番ほどのミドリカワゲラちっくでカスタム・タイドなドライフライを数本忍ばせて。

 フライもすっかりおめかししちゃいました春だもの。
 
200228 (7)7

 風もなく、
 おだやかに晴れた春の日、
 思惑どおり、
 春霞のなかミドリカワゲラがそこかしこでヒラヒラ舞っていた。
 ライズも、
 あっちこっちでそこそこあった。

 午前中めいっぱい釣って、
 イッピキだったかニヒキだったか、
 ニジマスだったかアメマスだったか、
 ここは記憶が定かではないけれど、
 ドライフライで釣ったような……。

 しかしそれは「釣った」というよりも「たまたま釣れてしまった」サカナ。

 まったく会心の一発ではなかったがゆえに、
 定かな記憶はない。

 なにがどうなったのかこの日、
 一事が万事、
 やることなすことすべて、
 歯車のどこかがズレていた。

 ライズを見つけて、
 倒木の下にフライを送り込もうとして、
 フライを枝や木の幹に引っ掛けること数十回。

 いかにも釣ってくれといわんばかりのイージーに見えるライズ発見。
 こんどこそはと、
 慎重にフライを投じるも、
 無駄な力が入っていて、
 ぜんぜんおもったところにフライが落ちない。

 まったく冴えない。

 なんでやねん?

 そして、
 ようやくパコンッと出ててくれて、
 しかも、
 もう疑いもなくパクッと喰ってくれてるはずなのに……、

 ことごとくスッポ抜け。

 なんでやねん?

 気持ちはギスギスささくれるばかり。

 穏やかで晴れやかで慈悲に満ち満ちた菩薩の釣りゴコロで、
 ウキウキワクワクで湖上に浮かんだはずが、
 いまやイライライライライライライライラ最高潮。

 そうなると、
 封印していたはずの記憶の蓋がいきなりパカッと開いて、
 なんでか次から次に思い出す、
 イラッときたりムカッときた思い出がスーパーハッチ。

 負の連鎖全開モード突入。

 そしてフライを枝やら草やらに引っ掛けつづけ、
 フライに出てもスッポ抜け、
 たまに掛ってもすぐバラし……。

 もはや気持ちのもっていきどころがなくなってしまった。

 しゃかりきになってスッポ抜けバラしつづけて正午過ぎ、
 空が曇ってきたと同時にライズもすっかりなくなった。

 なんでやねん?

 もはや肉体でははなく気持ちが疲れ果ててしまって……、

 それでも納まりがつかず、
 一大決心をして、
 この山上湖の奥のはるか彼方にある大物ポイントまでフロートチューブで遠征して、
 そこに必殺のニンフを沈めてやろうと漕ぎだしたのだった。

 そのとき、
 ふと思いついた。

 200428 (5)5

 …どうせなら、この機会にエゾリス・ファーの水中でのうごきをじっくり確認しよう…

 なんてったって、
 エゾリスのスキンをはじめて入手できたのは、
 この年の冬のこと。
 まだまだ未知のマテリアル筆頭格。

 おもえばこれまで、
 グレイ・スクイレル、
 パイン・スクイレル、
 レッド・スクイレル、
 そしてフォックス・スクイレルなどなど、
 異国のリスのオケケはたくさんいじくってまいりました。
 
 さあ、
 我が北海道が誇るリスの毛はどうなんだ?

 アンニュイ過ぎるにもほどがある、
 よどんだ気持ちの午後の気分直しにはもってこいの思いつき。

 フロートチューブの真横にこのエゾリス・フライをチョンと沈めて、
 竿を立てて、
 リーダーとティペットだけが竿先から出ている状態で、
 そのままフライの動きを眺めながら、
 彼方のポイントにむけて足ヒレを漕いだ。

 フロートチューブの素晴らしいところは、
 浮き輪に乗って水面のうえに座っている状態なので、
 目線が水面にすごく近いところだ。
 なので、
 フライの動きや浮き方や沈み方などなどの仔細を間近でじっくり見ることができる。

 このままこのフライをひっぱって動きを観察しながら、
 ポイントまで漕いで行こうとおもっていた。

 ほぼエゾリスの毛だけで巻いたフライは、
 たちまち水を吸って、
 スッと水面下に沈んだ。

 そしてヒラヒラユラユラと、
 なんとも艶めかしく柔らかく全身の毛をなびかせて泳いだ。

 エゾリスの毛はほんとに不思議だ。

 ふさふさの毛が生えているほかの動物の毛は、
 ほとんど例外なく濡れにくいように出来ている。
 そして、
 毛皮の状態になったとしても、
 種類によって程度の差はあれど撥水性に富んでいるのが、
 毛のある動物というものではないか?

 だって、
 すぐに濡れると野外の暮らしに困るじゃん。

 なのに、
 エゾリスの毛は、
 おどろくほどすぐ濡れる。
 まるで水分を吸うように濡れる。
 そしてそのままずっと濡れている。

 保水性もばつぐん。

 これはフライとして、
 吸水させて速やかに水面下に馴染ませる、
 という点ではものすごく都合が良い。

 そのうえ、
 水を吸った柔らかな毛が、
 ものすごく敏感に、
 まるでとろけるようにユラユラ水流になびいている。

 しかしエゾリス、
 こんなヘタレな毛では、
 雨の日とかたちまち濡れそぼって、
 凍えたりせえへんのやろか?……。

 などと、
 エゾリスの身のうえを身勝手に心配しつつ、
 足ヒレをゆっくり漕ぎながら、
 目の前でユレユレテレテレゆらぎながら泳ぐエゾリス・フライをボ~ッと眺めていて、

 ……そうだ!エゾリスの毛のキャッチコピーは
 「まるでマラブーのようなヘアーズイヤー」
 これでいこ……

200428 (6)6

 などと夢想を巡らせていると、

 いきなり、
 手を伸ばせばすぐ届くところで泳いでいるエゾリス・フライにむかって、
 イッピキの若いニジマスが深みから突如浮上してきたかとおもうと、
 猛然とチェイスしはじめたではないか!

 うおおお~。

 視線の先1メートルもないようなところで、
 ニジマスがフライにバンバン体当たりしながら、
 右に左に魚体を翻して、
 まるでなにかにとりつかれているかのように興奮しながら、
 執拗にフライを追っている。

 その様子の仔細がすぐ目の前で手に取るように丸見え!

 すっげ~。

 で、
 ここはいっちょフライを食わせてやろうとおもって、
 垂直に立てていた竿をかるく倒して送り込んで、
 フライの泳ぐスピードを緩めた。
 フライの泳ぐ姿勢がビーズヘッドの重みもあいまってスッと変化したそのとき。

 ニジマスはハッと我に返って呪縛から解けたように、
 「あっヤベエ!」
 なんて仕草で一瞬で消えていった。

 なんだったんだ?

 そしてまたも間をおかず、
 おなじように目の前で泳がせつづけていたエゾリス・フライに、
 さっきとおなじような若いニジマスが浮上してきて、
 フライを追った。

 こんどはそのままのスピードを保ちながら、
 ず~~っとテレテレテレテレゆっくり足ヒレを漕ぎながら、
 固唾をのんでニジマスの様子を見守った。

 かなりの距離をそのまま進んだ。
 けれど、
 ぜんぜん逃げない。
 そればかりか、
 どんどん興奮の極に達してフライを追っている。
 
 そんなニジマスがフライを喰い損ねたり、
 体当たりするたびに、
 スックと立てた2番の竿がビクンビクンとおじぎをした。

 そしてとうとう、
 ニジマスがバクッとフライをくわえてグルッと反転。

 リールがジジジと逆回転して、
 竿を握る手にグンッと重みがのって、
 竿がギューンと曲がった。

200428 (3)3

 おもしれ~~~。

 名づけて「サイト・ハーリング」

200428 (4)4

 この日の午後、
 こうしてひたすらエゾリスの毛のユラユラを眺めて、
 十数匹ほどのニジマスのチェイスに興奮しながら、
 その様子をガン見観察して、
 数匹のニジマスを釣りあげた。

 いずれのニジマスも、
 一定の速度で泳いでいるフライになんらかの変化をつけた瞬間、
 ハッと我に返って慌てふためいて脱兎のごとく深みに消えた。

 しかし、
 そのまま同じ速度とテンポでフライをずっと泳がせていると、
 ニジマスはいつまでもどこまでもしつこく追ってきて、
 そのうち何匹かはとうとうフッキングしてしまった。

 大物ポイントにはたどりつけなかった。

 楽しみにしていたドライフライの釣りは終始散々だった。
 
 でも、
 転んでもタダでは起きまへん……。

 いろんな示唆を得て満たされ、
 脳内にワラワラ湧き出てきたアイディアと妄想にワクワクしながら、
 午後おそくに水からあがった。

  
Feathers,hairs & Furs at the Control
200424 (1)1

 夢は夜ひらく。

 衝動的に、
 無秩序に、
 無計画で、
 無思慮に、
 そのときいじりたい素材を、
 気分のおもむくままに……。

 そして、
 今宵もまた夜は更けていくのでした。


200424 (2)2

 グレート・アーガスフェザントのメスのセカンダリークイル。

200424 (3)3

 ボディはオスのエゾジカと、
 各色にダイドしたものをフレアさせてトリミング。

 スロートハックルはオスのアーガスのボディハックル。

 ハックルの根元のところに、
 エゾリスのファーをループダビングで一回転。

 エゾリスのファーはたちまち水に濡れて、
 フワ~ッととろけるように馴染んでハックルにしなだれかかる。
 ので、
 ハックルの根元のところに適度なヴォリューム感がでて、
 かつユラッとゆらめく動きが強調される。

 エゾリスのファーで巻いたウエイテッドニンフからの転用アイディアのひとつ。


200424 (4)4

 アンダーソン・フェザントのテイル・フェザー。

 シマウマみたい。
 そんなわけで別名ゼブラ・フェザント……言い得て妙。

200424 (5)5

 エゾジカの脇腹の純白の毛と、
 背中の毛をマーブル模様にフレアさせて刈り込んだボディのうえに、
 シマウマ模様の羽根を載せて……。

 ヘッドは漆黒のオストリッチ・ハール。



200424 (6)6

 アンダーソン・フェザントのテイル・カバー・フェザー。

200424 (7)7

 エゾジカ・ヘアーのイリジスティブル・カット・ゴマ塩ちらしエゾリス添え。

 スパンディア・ボディ末端に、
 金のタグがチラッと覗いてるねんで。


200424 (8)8

 ブラウン・アンダーソン・フェザントのテイル・フェザー。

 珍キジ羽根ワールド選手権に出場できるんちゃうの?この羽根。

 

200424 (9)9

 スパンディア・ボディは、
 エゾジカの背中のヘアーの、
 色味の薄いヘアーの根元付近と、
 色の濃いヘアー先端部分を交互にフレアさせて縞々模様にフレアさせてトリミング。

 なんでだかディアヘアー・スパンボディの、
 羽根部分が激レア希少キジ羽根…メチャ高級大型マーチブラウンってところでしょうか?

 ワタシときどき、
 このようにメチャ無茶な衝動にかられて、
 フライの製作後にハッと我にかえることがあります。

 そして、
 ここまでくると自分が自分でないようなハイ状態になっているので……、

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 ま、
 いいか、
 なんつって、

 こんどはブラウン・アンダーソン・フェザントのテイル・カバー。

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 まるで全身ゾンカーのようにガードヘアーをおっ立てた状態で、
 ループダビングして巻いたエゾリスのボディ。

 水中でのユラユラ感エロエロ。

 エゾリスのファーは、
 繊細なガードヘアーが全身先端がビシッとそろっているうえ、
 アンダーファーが極細でありながらストレート。
 そのためすごく意図通りに巻きやすい。
 まるでループダビングされるためにあるような素材だ。

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 アンダーソン・フェザントのセンターテイル。

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 ボディはエゾリスの脇腹の白い部分をループダビングしてシマウマ作って〆ました。

 気がすみました。

 おやすみなさい。

ハンプバック・ストーリー
 タマゴたべたらタマゴン♪
 怪獣産んじゃうタマゴン♪


 しらんやろ?

 ナウな昭和のヤング・キッズはみんな歌ってたんやで。

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 といっても、
 タマゴの殻とちゃうねんで。

 真っ白なアタマのところがボッと燃えてるみたいに見えへん?





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 貴重な白い羽根を知人から頂いたとたん、
 パッと閃いて…ためらいなくバッサと切った。


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 いまから25年前に購入した、
 サーモンフライのアート的写真集。

 この当時、
 まったく興味もなく門外漢だったフルドレス・サーモンフライ。
 むしろ、
 どちらかといえばアンチ的でさえある冷やかな視線で、
 横目で見ていたフルドレス・サーモンフライのタイイングの世界。

 そんなにも縁遠かった世界に、
 手のひらをコロッとひっくりかえして、
 おおいに興味を抱いただけでなく・・・あろうことかレッツ・ドゥー・イット。
 ボクもこんなの巻いてみたい。
 とおもわせてくれた、
 じぶんにとっていちばん最初の参考書がこの写真集なのでした。

 いま見なおして、
 たまたまこの写真集が最初の第一歩になったことは、
 つくづく幸運だったとおもう。

 当時、
 この分野の最前線で活躍していた、
 古今東西のたくさんの著名タイヤーの方々それぞれの自信作の数々を、
 キレイな写真でつぶさに眺められる写真集。

 いろんな方が巻かれた、
 いろんなフライを客観的に比較しながら仔細観察できるというのが、
 駆け出しのシロートには得るものが多かった。

 おかげで、
 世評や評判や先入観に惑わされることなく、
 じぶんの感性でフライを見る目を養うことができたからだ。

 なかでも、
 この写真集ではじめて知ることになった、
 スティーヴ・フェルナンデスとポール・シュムークラー御両人のフライは、
 まったくトンチンカンだった白紙状態のじぶんにさえ、
 なにもかも次元がちがって見えた。

 ガビガビガビーンときちゃったのだった。

 そしてつくづく、
 世界はものすごくひろくて、
 とんでもないヒトがいるのだと感じ入り、
 視野をおおきくひろげてくれることになった。

 感謝してもしきれない。
 
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 そんな写真集に収められたスティーヴ・フェルナンデスのイッポンにおおいに感化されて、
 22~23年くらい前にこしらえた処女作がコレ。

 いまこのフライを見ると、
 どうにかしてこのカタチが作りたいと四苦八苦していた、
 当時の努力と苦心と腐心のあとが懐かしく「フフフ…」としのばれる。
 
 もうなんとしても、
 コレが作りと~て作りと~てたまらんかってんな~、
 あのころのぼく。

 この写真集で出会った Steve Fernandez のフライたちは、
 「サカナを釣ることとは別の目的のフライ」
 という、
 あるいみ矛盾の権化でもある特異な世界に飛び込むことをためらい、
 躊躇していたじぶんの背中を、
 あらがいようのない魅力でドンと押してくれるパワーがあった。

 衝撃だった。



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 そして25年後、
 一カ月ほどまえの深夜、
 興がのったのでお戯れに……。



 そしてその翌日の深夜、
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 永遠の銘鉤シルバー・マーチブラウンへのオマージュでもあり、
 はたまたパロディでもあり……。

 もっぱらジョックスコットのアンダーウイングを巻くのにつかった、
 ホワイトティップ・ターキーテイルの余りのところだけ、
 どっさりあるんだけど、
 どうにももったいなくて捨てられないので……。

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 とどめにロイヤル・コーチマン。

 ちなみに下の実戦投入フライはリマリック・ベンドのサイズ4番。

 上の巨大なのは、
 ウイングの根元のファイバーだけワザとキュッと絞るように束ねてフックに巻き止めた。
 そうやっておいて、
 緩やかな曲線を描きつつ、
 後方にむけて末広がりに拡がるようなウイングのカタチになるよう企んだ。
 
 「牧歌」の時代の古典フライは、
 意図的に垢ぬけてないイモっぽい素朴フォルムに仕上げると、
 いかにもソレっぽく見える法則。

 で、
 そのように巻いてブワッと拡がったでっかいウイングが、
 テイルにつかったバード・ウッドダックのカーブと調和して、
 脳内で思い描いたイメージ通りのカタチになって、
 フライが出来あがったとき「キャハッ」となった。

 そして、
 ルンルン気分でヘッドセメントをヘッドに塗布した。





 中島誠之助さん、
 おもしろいな。

 ……なにごとも本物を知らなきゃダメってことさ、
 美術品にかぎらずすべて、
 音楽でも文学でも付き合いでも酒でも演劇でも、
 本物を知ってからやれと……、

 …虚飾を嫌うんだワタシは ヌハハハハハ…
 
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