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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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フライフィッシャー 2019年 秋号
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 そんなわけで、
 今月発売の季刊フライフィッシャー誌2019年秋号の連載「オホーツク通信」では、


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 ディアヘアー・ボディ・ドライフライのスタンダードでもあり、
 ビッグサイズ・ドライフライのこれぞ王道「イリジスティブル」をとりあげてみました。

 冬のあいだ、
 来たるシーズンをアレコレ夢想しながら、
 時間をかけてコツコツ入魂の一本を仕上げるには、
 うってつけのかっこいいドライフライ。

 記事のなかでは、
 古典オリジナル・イリジスティブルから、
 60年代~70年代古き良き時代のアメリカ各地ご当地スタイルなイリジスティブルのヴァリエイションなど、
 時代ごとのスタンダード・イリジスティブルの紹介はもちろんのこと、

 現在たったいま我が家の近所で大活躍中の私家版イリジスティブルを主役に据えて、
 エゾジカの極上ヘアーをつかって巻くイリジスティブルの愉しみと能書きを中心に、
 スタンダード・ハックリングな特大サイズ・ドライフライをつかっての印象的な釣り体験記なんかを、
 これでもかといわんばかりのフライやサカナの写真とともに書きなぐっております。

 ただ、
 正直に白状いたしますと、

 当初、
 脳内で練っていた計画では、
 まずイリジスティブルを記事の最初のオープニング・フライにして、
 そのうえで私家版ディアヘア・ボディ特大ドライフライを色々紹介しようとたくらんでおりました。
 だからこそ、
 記事のタイトルを「蝦夷鹿の毛フライズ秘宝館」と銘打っておきながら、

 いざ実際に書きだすと、
 記事冒頭の「つかみ」役だったはずのイリジスティブルだけでも、
 紹介したいスタンダードなヴァリエイションとか、
 アレコレ書きたいこととか、
 あとからあとから溢れるようにでてきて、
 それだけでも予定の8ページをはるかにオーバーする量になってしまい、

 案の定というかなんというか、
 またもや写真も文章も削りに削りまくり。

 んがくっく。

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 で、
 そんな記事のなかで紹介したいなとおもっていたフライのなかから、
 今回ここで取り上げたいのがコチラ。

 仮名「エゾバグ」

 今シーズンからつかいはじめたボテボテボディのファジー系巨大ドライフライの新しいおともだちです。

 ボディもウイングもヘッドも全身エゾジカのヘアー。
 そこにレオンのハックルをパラッとひと巻きのみ。

 エゾジカ・ボディの量と刈り込み方とシェイプがなによりもキモ。

 この冬のタイイングデモとかイベントなんかで、
 あーだこーだしゃべりまくりながら自慢まみれ能書きまみれでご紹介させてください。

 コレ、
 巻く作業自体がこれまたすごく愉しくて、
 ご陽気につかえる機能優先の巨マス・キラーです。

 んで、
 今シーズンこのフライで釣りあげた、
 でっかめのニジマスたちのなかから、

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 ここではなんといっても、
 この雄のイケメンを自慢します。



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 ハルゼミの蝉しぐれが川面に降り注ぐ晩春のころ、
 荒瀬の流芯脇の巻き返しでグワッとでっかいアタマを水面高く突き出して、
 エゾバグの6番をばっくりくわえてくれたのでした。

 今年のドライフライ・シーズンの本格的な幕開けを知らせてくれたイッピキ。

 んでんで、

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 このニジマス写真は、
 今回のフライフィッシャー誌の連載記事に載せてもらった写真の別角度。

 最初の写真のニジマスを釣った日から一カ月ほどたった真夏のころ、
 ちょうど、
 毛虫やコガネムシなどなど、
 大型テレストリアルまっさかりの季節、
 おなじ荒瀬にイリジスティブルの6番をバシッと叩きこんだらドバッと出た。

 ゴンゴン流れる荒瀬の、
 足元がツルッツルに滑る苔むした川底の岩のあいだを、
 ギュギュギュギュギューーーッと力強く走り回って、
 追いかけるのが大変だった。
 というよりも、
 重い流圧のなかツルツル滑りながらひっぱりまくられて怖かった。

 そしてヒイヒイハアハア汗まみれで取り込んでみれば、
 
 「あれま、一カ月ぶりのご無沙汰ですやん」

 ここで前回釣ったのと、
 まったく同じニジマス。

 スケールのおおきな荒瀬のピンスポットで、
 フライにでた地点も2回とも寸分狂わずピッタリ同じ。

 彼にとっては最悪だけど、
 ワタシにはうれしい2度目の再会。
 しかも、
 最初はエゾバグ、
 つぎはイリジスティブル、
 と、
 2回ともエゾジカのヘアーをつかったフライというところがまたなんともオツなことで。
 
 ただ、
 最初の出会いとちがっていたのは、
 晩春のころよりもはるかにキョーレツかつギンギンに暴力的なパワーに変身しておられたこと。

 ますますお元気で、
 そしてたくましくお盛んなご様子、
 なによりでした。

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 今シーズンの光り輝いていた思い出と、
 そんな釣りの日々で得た課題やテーマを糧にして、
 この冬もまた、
 エゾジカの毛皮一頭まるごとツルッパゲにしそうな勢いで、
 フックシャンクに巻きつけてフレアさせて刈り込んだり、
 スタッカーでタントンしてウイングにしばりつけたりして、
 アレコレいろいろ巻きまくりたい所存です。

 
フライの雑誌 第118号
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 「フライの雑誌」最新号となる第118号!の特集は「シマザキ・マシュマロ・スタイル」だそうです。




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 末席にて、
 お恥ずかしながらワタシの駄稿と与太話も掲載していただきました。

 道内各地のいろんな釣り場を舞台にした、
 マシュマロ・ビートルと野生のニジマスたちとの濃密な数年間のまとめとして、
 良い機会を与えていただきました。
 ほんとにありがとう。

 そんなわけで、
 その記事に添えたいナとおもった写真のなかから、
 どれをつかおうか迷いに迷っていくつか候補を挙げて、
 そこからさらに絞りに絞って「コレでいこ」と決めて、
 またもやさらにそこから、
 誌面の都合で割愛された写真たちを以下に……。

 題して 「鱒たちの口許でこそ雄弁に語りたい」

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 フライの雑誌に書かせてもらうのは16年ぶりです。

 

 
 
 
アンプリチュードな近況
 このところ、
 仕事がもりだくさん。
 やるべきことも、
 やりたいこともいっぱい。
 なんとありがたいことでしょう。

 でありながら、
 毎日こつこつ仕事しながらも、
 毎日せっせと足しげく釣りにも行ってる。
 多少無理してでも行く。

 時間が足りないかんじ。

 といっても、
 その日の天気や条件、
 そして仕事の進行具合によって、
 午前中だけとか、
 午後のいっときとか、
 ほんの数時間のチョイ釣り。

 ときにはライズ横目に、
 うしろ髪ひかれながら帰宅することもある。

 なんだけど、
 ストレスになるどころか、
 逆に釣りがさらにものすごくおもしろくなった。

 濃密なかんじ。

 しかも、
 そんな毎日だと気分晴れ晴れ仕事にすごい集中できる。
 これ、
 ちょっとした発見ですワタシにとって。

 なんか、
 規則正しい生活って、
 いいなあ。
 
 と、
 まっとうな大人ならごくフツ~の当たり前のことを、
 いまさら得意満面で語るのもどやねん?
 て話ですが……、

 以前から、
 「こんど一緒に釣りに行きましょう」とか、
 「近いうちに釣り竿もってそちらにご挨拶にうかがいます」だの、
 まだお会いしたことのない、
 いろんな方々と無責任に口約束しながら、
 このような事情により、
 ワタシの一方的な都合でいっこうに実現しないままなのが申し訳なくて。
 そんな、
 遠方の皆々様への不義理にチクッと心を痛めてもいます。

 来る日も来る日も釣りに行ってんですけど、
 ほんのチョイの間の手慰みです。
 どうかどうか気ィ悪くせんといてくださいね。
 ほんとにすいません。

 それにしても、
 我が釣りゴコロを奥底から奮い立たせてくれるようなサカナがいてくれはる釣り場が、
 自宅のすぐ近所にいくつかあるというのは、
 もうなにものにも代えがたい極上の幸せ……その豊穣にただ感謝の日々。

 そやからゆうて、
 かんたんにたくさん釣れるとか、
 いつでもごっついのが釣れるとか、
 そんな、
 すぐ醒めてたちまち飽きるようなもんとちゃうで。

 そうやすやすとは振り向いてくれない高嶺の花に恋焦がれて、
 夜毎アレコレ巻いて作戦練っては日々試行錯誤。
 結果、
 冷たく袖にされても、
 キッツイ肘鉄くらわされても、
 めげないで、
 むしろよけいに燃えたって、
 あのテこのテでそのケツ追っかけて、
 すべてがビタッとハマったとき、
 ようやく麗しのキミが相手してくれるから、
 満たされるねんで。

 そういう釣りにふさわしいサカナがいてくれる、
 ゆうことやで。

 そこ、
 メチャ大事やで。
 

 

 ところで、
 話はガラッとかわるけどアンプリチュードって、
 なんだか楽譜の音符記号みたいな語感やなあ…と常々おもってたけど、
 あらためて Wiki みてみたら、

 なんでも振幅という意味なのだそうで
 「波動の振動の大きさを表す非負のスカラー量である」なんだってさ。

 わっけわからんけど。

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 かれこれ一カ月半ほどまえのこと、
 新しいフライラインをリールに巻いて釣りに行き、
 かるく満を持してさあ一投目…とリールからラインをギーギー引き出していたら、
 横で並んで釣っていた近所の友人が目ざとく
 「あっ、ライン、新しいのに替えましたね」と気がついてくれた。

 「お、わかってくれた?そやねん。コレ新品やねん。
 しかも、
 コレ最高級のラインやねんで」

 「いっすね~」

 「ええやろ」

 「色、かわってますね」

 「かわってるやろ。アンプリチュードっていうねんで」

 「高級そうな名前っすね」

 「そやろ。あ~、最高級のラインが良く似合う最高級のオトコになり…………

 ……たくないな。やっぱり」

 「え?どうしてですか?」

 「常に最高級でおるのなんか、しんどいやん」

 「アハハ」

 「要所要所、かんじんなところでたま~に最高級になれるようにがんばって、あとは低級品のダメなヒトのほうが居心地ええわ」

 「それもそうですね」

 「そやろ」

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 夕暮れまえ、
 風がやんで水面は波ひとつないベタなぎ。

 どこからともなく浮いてきたアメマスが、
 鏡のようになった水面に、
 ちいさな波紋をいくつも残しつつ、
 浮き漂う極小の昆虫たちを静かに静かに吸い込みながら、
 ゆっくり上流に移動していく。

 ポワッポワッと波紋がひろがるたびに、
 水面にくっきり映っている対岸の森の紅葉がかすかにユラッと揺れる。

 そんな夕暮れ。
 
 アメマスの進行方向を予想して、
 フライをフワッと浮かべてしばし……、
 すべてが思惑通りにはこぶと、
 とつぜんフッとフライが水面から消える。
 ひかえめに、
 そっとついばむように、
 まんまとアメマスがフライを吸い込んだ。

 一呼吸も二呼吸も間をおいて、
 スッとやさしく竿を立てると、
 ググッとサカナの重みが伝わってきて、
 つぎの瞬間ダババッ!と激しい水飛沫が散る。

 静と動のギャップの快感。

 それはまるで、
 アンプリチュードに転調する楽譜のうえを奏でる、
 おごそかなオーケストラのようだ。

 なんのこっちゃ?

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 アンプリチュード「スムーズ」トラウト・ラインWF

 このフライライン、
 すっごく気に入った。

 夏の終わり頃からつかいはじめたので、
 時節柄おもに14番サイズ以下の繊細なマッチ・ザ・ハッチ系フライや、
 小型の軽いニンフばかり投げている。
 なので、
 空気抵抗をガンガン受けるスタンダード・スタイルや巨大なドライフライ、
 それにヘビーウエイトな大型ニンフなどを投げてみれば、
 またすこし印象は変わるかもしれない。

 それに、
 使用感として、
 ラインスピードをあげてバビューンとかっ飛ばしたり、
 風を切ってスパーンとすっ飛ばしたりするためのラインでもないようにおもう。

 けれど、
 中近距離をジェントルに投げると、
 もうじつにじつにものすごく気持ちが良い。
 まさに名前のとおり、
 すばらしくスムーズ。
 そしてたまらなくシルキータッチ。

 あと、
 特筆すべきはラインがポカッと水面にのっているような「浮き」
 そこにハイテクかんじるわ~。

 さすがは最高級だけのことはある。

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 15番のフックにヒグマの金と茶褐色のグラデーションがかったガードヘアーをボディに巻いた、
 パラシュート・スタイルのフローティング・イマージャー。

 これ、
 アトラクターなドライフライとしても、
 黄褐色な中小型カゲロウのイマージャーとしても気に入ってる。
 
 このフライをつかった、
 アンプリチュードな快挙のはなし、
 聞いてくれはる?

 先週の金曜日のこと。
 とある里川の広大な大プールの流れ込み。
 はるか彼方の下流で、
 数匹のニジマスがものすごい高活性な態度で、
 右に左にガンガン動き回りながらバンバンライズしているのを発見。

 心臓バクバク。

 正午まえから、
 ドンドン流下しているヒメヒラタカゲロウの仲間の羽化にビンビン反応していることは明白。

 もうなんていうか、
 水面直下のイマージャーだろうが、
 水面のうえで羽ばたこうとしているダンだろうが、
 流れてきたものはなんでもバクッといっちゃうよ、
 みたいなかんじ。

 こんなの、
 めったにない。
 っていうか、
 まずない。

 きっと、
 ヒメヒラタの今シーズン最初とおもわれる大量流下なので、
 御馳走に興奮したサカナたちは我を忘れて日ごろの警戒心もどこへやら、
 といった面持ちなのでしょう。

 だって、
 この数日まえまで主食だったケバエやハネアリ、
 はたまたヨコバイの流下に反応していたときは、
 こんな祭りだワッショイみたいな展開ぜったいなかったもん。

 フラットな水面で疑心暗鬼の塊みたいな態度でライズしていた小憎たらしいツワモノども。

 こんどこそと勝負を挑むたびに、
 毎度おのれの未熟と稚拙ばかりをつくづく思い知らされ、
 叩きのめされてオヨヨと泣かされっぱなしだったもん。

 かように、
 ものすごいチャンスではあるのであるけれど、

 ただねえ、
 ライズしている地点が問題。
 いかんせん距離が遠すぎる。

 じぶんが立っているプールの流れ込みから下流の、
 いちばん近そうなところでライズしているヤツまで、
 フライラインを流して距離を測って目測だいたい25ヤードくらい?
 
 そしてそれ以上、
 地形と水深の関係上、
 どうやっても近づくことができない。
 という、
 あまりにも切なく歯がゆい状況。

 な・ま・ご・ろ・し。

 ところが、
 何度も何度も投げ直して、
 ドンピシャではないけど、
 まあまあの流れの筋にフライをのせて、
 ぶわんぶわんラインを繰り出しながら流し込んで、
 ようやくいちばん近いところでライズしているサカナの近くまでフライを送り込んだところ、
 ありえないくらい簡単に出ちゃった。

 けど、
 スカッとすっぽ抜け。

 明らかにドラッグかかってるし、
 ラインはほとんどぜんぶリールからでていて、
 流れのうえでくねっている状態。

 にもかかわらず、
 痛恨の早アワセ。

 クワーッと頭に血がのぼりながら、
 落ち着こうとタバコに火をつける。
 が、
 さらにその下流でがんがんライズしているヤツを見ていると、
 よけいに血がたぎり、
 まるでストローでジュース飲んでるみたいにチューチュータバコを吸い終わり、
 またも何度も何度も投げてはラインを繰り出しフライをはるか下流に送りこむ。

 そして数十投目、
 (うおおお……そのままそのままいけいけいけいけ……)
 みたいなかんじでフライが流れ込んでいったとき、
 ズボッとサカナの頭が水面から突き出て、
 ものすごい勢いよくダバッとフライに出た。

 距離にして30ヤードくらい。

 「うりゃ!」
 みたいな勢いでおおきく竿をあおりつつ、
 にぎったラインをギューッと引っ張りながら、
 渾身のアワセ。

 ドスンッとかんじる重み。

 「やった!」
 とおもったその瞬間、
 スッパーンッとサカナが水面高く飛び出したんやわ。
 40センチくらいのサカナが、
 水面に浮いてるフライライン30ヤードぜんぶを空中に持ち上げるような勢いで。

 空中でたるみまくるフライライン。
 狂ったようにたぐると軽かった。

 スカッと一瞬ジャンプ一発でバレちゃった。

 もうなんていうか、
 情けないやらなんやら、
 完敗過ぎて……。

 ナチュラルドリフトもメンディングもカーブキャストもへったくれもなく、
 30ヤード先のライズを狙おうゆうことが、
 土台無茶な話しやでと、
 じぶんを慰めた。

 けど、
 そのさらに下流でも、
 いちばんでかそうなのがグワッグワッと魚体を水面から乗りださんばかりにライズしとるんですわ。

 なんどもなんども投げては失敗する。
 っていうか、
 ライズ地点まで届かない。

 すでにもはや手ににぎっているのはフライラインではなくバッキング。

 バッキングラインが2メートルくらい竿の先から出ている状態で、
 ようやくライズ地点に届くかな、
 みたいなかなんじ。

 しかも、
 どうしても流芯の強い流れにラインが押されて、
 ライズ地点に流し込むころにはフライが流れの筋をおおきく逸れてしまう。

 カッカカッカと頭に血が上っているときは、
 もう失敗の連続で、
 噛みしめたクチビルから血が出てきそうやってんけど、

 ……これ、もうムリやわ……

 と、
 あきらめたら、
 逆に肩の力が抜けたからか、
 これまででいちばんいいキャストがきまり、
 この筋にフライをのせたいって流れの筋にのり、
 フライ先行のものすごい良いプレゼンテーションで、
 フライが下流のライズ地点付近にむかって流れていく。

 竿先をブンブン上下しながらラインを繰り出しフライを送りこんでいって、
 バッキングも竿先から出ていって、
 やがてフライが視界から消えて……、

 距離が遠過ぎて水面のフライがもはやまったく見えない。
 っていうのも、
 アワセのタイミング的によかってんな。
 あとでかんがえたら。

 フライが浮いているであろう地点で、
 ニョキッとサカナの頭が水面から突き出て……、

 「あっ」
 とおもって、
 竿はほとんど立てないで、
 手のひらでギュッと握りしめたバッキングをグイーッとひっぱると、
 はるか彼方からグウーンッとかんじる生命の重み。

 (うっわ、掛ってしもた、どないしよ……)
 みたいな。
 すでに負け気分。

 そのサカナは、
 掛った瞬間その場でゴンゴン首を振ると、
 そのまま水中深くに潜り、
 そしてじぶんとは反対方向に突っ走りだした。
 ものすごい勢いで。

 キュイーーーーンと高音けたてて鳴り響きまくりながら逆転するリール。

 バッキングまで一瞬ではなく、
 すでにバッキングが出ていて、
 それがサカナの走りにひかれて、
 チャーッと音を立てながらU字状に曲がって水を切っている状態。

 おっそろしいで。

 リール巻いても巻いても巻いても寄ってこないし、
 巻いたら巻いたら巻いたらまた爆走されてキュイーンとけたたましい音たてて出ていくし……。

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 ドッドッドッと波打ち高鳴りながら血が逆流する心臓が、
 さっきからすごい邪魔で、
 いっそ口から吐き出したいとおもいながら、
 ようやく寄せることができたサカナは50センチにはやや足りない雄のニジマス。

 だが、
 この釣り場のこのタイプのニジマスの、
 このくらいの大きさのやつは、
 体力気力ともに炸裂させてる、
 生粋のウォリアーでソルジャーなんや。

 魚体の斑点が極端に少ない、
 いかつく鋭い顔つきの、
 もうとにかくカッコイイやつ。

 こいつらは、
 フッキングするやいなや、
 どこまでも一心不乱に激走する猪突猛進型の戦士なんや。

 これまたあとでかんがえると、
 だからよかった。
 この距離で、
 しかもフライは確実にドラッグかかりまくり。
 となると、
 当然ものすごいフッキングは浅かったはず。
 その状態で、
 さっきのサカナのように掛った瞬間にジャンプされたらテンション緩みまくり。
 15番のちいさなフックなんかひとたまりもなく弾き飛ばされる。

 でも、
 掛ってすぐ深く潜って反対方向に爆走してくれたから、
 その抵抗で掛りの浅かったフックがズイッと深く刺さってくれたことは、
 サカナの口にかろうじてチョン掛りしていたフックを見れば明白。

 いずれにせよ、
 そうめったにない会心のミラクル。

 っていうか、
 かるく30ヤード以上離れたところでライズするサカナを釣ったのなんか、
 これがはじめて。

 し・か・も・
 7フィート半の短竿と15番サイズのちっちゃなフックで。
 キャハッ。

 これを我が快挙と言わずして……、

 足元の水面に浮かんでなお力強く抵抗するサカナの雄姿をパシャパシャッと手早く撮らせてもろて、
 魚体をそっと支えて口許にチョンと掛っていたフックを指先で摘まんでクイッとひっくりかえして外すやいなや、
 そのまままた脱兎のごとくダッシュ。
 一瞬で消えていった。

 ああ、
 心底から抜けました満たされました。
 これでまたしばらく、
 余韻に浸りながらイロイロがんばれそう。
 ありがとうありがとう。


 追伸:
 今回の台風の甚大な被害を見聞するごと唖然としております。
 被害にあわれた方々のご苦労にひたすら頭が下がります。
 胸中いかばかりかとお察しいたします。
 まことに僭越ながら、
 心よりお見舞い申し上げます。

 
私家版ビッグサイズ・ドライフライ・アラカルト販売のご案内
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 エゾジカとヒグマの毛で巻いた、
 私家版大型サイズ・ドライフライ各種の詰め合わせアラカルト・ボックスを、
 限定で3セット販売のご案内です。



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 ボックスA 合計20本 売り切れです。



191004 (2)2

 ボックスB 合計18本 売り切れです。



191004 (3)3

 デラックス 合計24本 売り切れです。

 以上の3セットになります。

 ご注文は bizen-m@olive.plala.or.jp まで、
 ご連絡おまちしております。


 各ボックスの内訳と内容は、
 この冬にじっくり販売させていただこうと計画している特選エゾジカとヒグマのスキン素材を、
 まずはなにをさておき自分が「これはサイコウ!」とおもえるまでテストしまくるために、
 昨年の暮れから今シーズンはじめにかけて、
 それらのスキン各部位の毛をバッサバサ切りながらアレコレひたすら巻きたおして、
 ハイシーズン中はズッコンバッコン釣りまくったフライたちのストック分が中心です。

 想い入れ度数ヒジョーに高めです。

 そしてさらに、
 雑誌記事や当ブログにてすでに掲載したフライや、
 これからクドクド詳解しながら掲載するつもりのフライたちもはいってます。

 そんな、
 おもいっきり個人的シークレット臭プンプンの私的カスタム・タイドなスペシャル・フライズです。

 もちろん、
 ビッグサイズ・マシュマロビートルや、
 ヒグマとエゾジカのコラボで巻いたマドラーミノーといった、
 もはやすっかり当社ベストセラーとなった定番ドライフライたちも、
 私家版チューンアップ仕様満載でラインナップしております。

 が、
 各ボックスともに最大の見どころというか興味の目玉は、
 なんといってもヒグマの毛のみで巻いた超ファジーなドライフライ各種各サイズと、
 エゾジカの毛を活用した簡素な巨大ヘアカディスとハルゼミ・フライ軍団でしょうか。

 どちらも、
 一見するとなんじゃコリャ?とおもうようなモジャモジャ・フライズですが、
 ワタクシ的に蝦夷フライズ・プロジェクトを代表する、
 というか、
 北海道産素材にこだわりたいキッカケをくれた特選必殺ドライフライのスタイルです。
 
 お求めいただいた方には、
 各ボックスともに手書きではございますが、
 各フライの名前と簡単なコメントを添えたお手紙を添えて送らせていただきます。

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 どうぞよろしくお願い申しあげます。


秋のイロとカタチ
 ついほんの数日まえのこと。 
 毎日のように通りかかる桜並木を見上げて、
 
 …近所の桜並木がほんのり色づいてきましたよ…

 なんてブログに書いたらオシャレかなとおもって
 すっきり晴天となった翌日、
 カメラをもっていくと、
 もはやがっつり紅なっとるやんけ。

 そしてまたほんの数日後のきょう。

 今やもはや落葉のてい。

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 オホーツクの秋は駆け足というよりフルスロットル全力ダッシュで冬までまっしぐら。


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 エゾジカのヘアカディス13番。
 冬のあいだに巻き貯めた一本。
 
 スレッドをマーカーで着色してボディ末端に真っ赤な極小アクセント。
 それが、
 春から幾度となく水面に浮かんで水を吸って変色。
 いまやすっかりワイン色。

 しかしむしろ、
 新品ホヤホヤの春のころよりも、
 ずっとムシっぽい生命感が宿っているような……、

 今後は大事につかいたい気持ちになる、
 さんざん使い古した一本。

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 川の流れのように……、
 ではなく、
 ハックルの流れに浮かぶマダラ模様の蜂蜜色のセッジ。

 ハニーダンのサドルで巻いた。

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 ファーネスの水面に浮かぶレッドセッジ。

 エゾジカの毛にハマッたおかげで、
 超ビギナー・ドシロート時代以来ウン何十年ぶりかにヘアカディスがじぶんのなかで大復活。
 そのあげく、
 ヘアカディスの原型というかアイディアの源泉となったとされる、
 古典トビケラ・フライにまで興味と関心がおよび……、

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 晩春のころ、
 ご近所の農家さんが我が家の裏庭をトラクターでガガガと耕してくださって、
 そこに簡単な畑を作ってタネを蒔いて育てた枝豆。

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 丹精込めて育てた、
 とはけして言いかねるけど、
 たわわに実ってくれました。

 おかげさまで、
 今月はまいにち枝豆三昧。

 手前みそながら、
 たいへんおいしゅうございます。

 食っても食って食ってもすこしも飽きることなく……。

 来年は、
 さらなる収穫と品質向上を目指したい。

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 と、
 そんな我が家の畑のまえにある朽ちかけた廃屋を根城にしているノラネコ。

 こいつは、
 この春にうまれたばかりの三兄弟のなかのイッピキ。

 以前から我が家周辺の野山を縄張りにしている、
 漆黒の毛並みがとても美しいクロネコ・ママからうまれたブルーダン・ベイベ。
 ほかの二匹の兄弟は母親同様に真っ黒なんだけど、
 こいつだけこんな色してんの。

 この引き締まった不敵の面構え見たって。
 凛々しいというかふてぶてしいというか。
 もはやすでに猛獣のオーラをまとった子ネコ。

 目の前は、
 シカもキツネもヒグマも闊歩する豊かな大自然。
 ライバルも強敵もそこらじゅうにひしめいている。
 
 厳しい酷寒の冬ももうすぐそこ。

 そりゃあ生まれたとたんにワイルドやないと生きられません。

 野性なんだよなあ。

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 そしてコイツもまた、
 野性なんだよなあ。

 

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 ちじれた太い繊維のクリンクルジーロンをスペントウイングにあしらった真っ黒15番。

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 ストレートな細い繊維のマイクロジーロンをスペントウイングにあしらった真っ黒15番。

 ヒグマの柔毛をマッチ・ザ・ハッチ・パターンや小型のフライに活用することにも没頭した今シーズン、
 そんな興味は化学繊維をふたたび見直す課題にも多方向に幅をひろげて現在進行中。

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 そのモデルとなったムシのひとつがコレ。

 筋肉の塊で丸々肥え膨らんだニジマスたちが、
 水面に浮かぶこのムシを「コプッ」という水音をたてて吸い込んでいる。
 なんと甘美で誘惑に満ちた響きであることか。

 「天高く、
 マス肥ゆる秋」

 
 あと半月ほどですかね?。

 嗚呼くるおしい。
 

 
 
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