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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
202101<<12345678910111213141516171819202122232425262728>>202103
ワシミミズクのクイルボディニンフ
 いまさっき、
 里に下りてスーパーで食料品の買い出ししてきたんだけど、
 帰宅して、
 購入した商品をいれたエコバッグを置いている、
 クルマの後部座席のドアを無造作にあけると、
 そのはずみでバッグが勢いよくドサドサッと地面に落ちてしまった。

 中身の商品をぶちまけながら。

 おかげで、
 10個120円の特売で購入したタマゴが3個も!グチャッと割れてしまった。
 しかも、
 豚バラとか白菜とか豆腐とかナメコとかに、
 割れたタマゴの黄身と白身がベチャッとかかってネチョネチョになってしまった。

 普段なら、
 行き場のない怒りと自責の念でしばらくもうカチムッカムカ。

 でもきょうはいっこうに腹が立たない。
 「しょうがねえなあ、つぎから気をつけよ」
 な~んつって……。

 器でかいやろ?ボク

 きのうもまた、
 素晴らしい釣りだった。
 その満たされ気分の余韻に、
 いまもまだ浸っているからだ……。

 ちょっと聞いてくれはる?

201101 (1)1

 おとつい、
 終日冷たい雨がシトシト降りつづけ、
 川の濁りはさほどでもないけれど水量は多め。

 週末なので、
 めぼしいポイントにはかならず先行者がいた。

 人気のない場所を探して、
 いつもよりずっと下流に行ってみる。

 肝心のヒラタカゲロウの姿はいっこうに見えず、
 ライズらしいライズもない。

 のだが、
 釣りはじめてすぐ、
 目の前の立ち枯れた葦のバンク際でライズ発見。

 じつは、
 沖目のカケアガリを狙ってウェーディングしていた。
 なので、
 背後で響いたちいさな水音にドキッとして振り返ると、
 水面にポワ~ンと波紋がひろがっていたのだった。

 シーンと静まり返った静寂、
 溢れんばかりに透明な晩秋の空気のなか、
 「ポックゥゥゥン」
 という微かなライズ音が、
 まるでエコーがかかったように静かに反響した。

 すかさず、
 小さなニンフをライズ付近に投げた。

 軽いニンフがヒタッと静かに着水して数秒後……、

201101 (5)5

 まず、
 サカナのアタマがニョキッと水面から出てきて、
 つづいて肩と背びれがイルカのように水面から盛りあがり、
 そしてさいごに、
 この尾びれがビロ~ンと水面高く突き出て消えた。

 水面に浮いているティペットが、
 サカナの消えた方向にスーッと引かれていった。

 水面下数センチのところを漂うニンフを、
 下から吸い込むのではなく、
 上から抑え込むようにして食ったのだ。

 斑点模様がほとんどなく、
 金属質にギラギラ輝く肌。
 アンバランスにさえ見えるどでかい尾びれ。

 この釣り場のこのタイプのニジマスはほんとにキョーレツ。
 それもオスよりもメスの狂乱のファイトはすさまじい。

 重量級のフルパワー全開で、
 怒り狂ってパニックになったかのように走るし跳ぶし、
 気が狂ったかのように激しく魚体をくねらせる。

 そのクセ、
 ちゃんと計算して闘ってはる。
 
 走ってほしくない方向にばかり走っていくし、
 ここぞという場面で川底に頭を擦りつけるようにして延々ガンガン激しく首を振り魚体をよじる。
 「やめてえ~~」って叫んじゃう。
 こんなとき、
 川底の泥や砂がブワワ~~ッと煙幕のように舞いあがる光景はほんとにおそろしい。
 そして、
 一回も止まらすどこまでも激走してからいったん深く潜っておいて、
 そこから一気に浮上して水面高くハイジャンプされると、
 バッキングまで出されたラインの抵抗をモロに受けて、
 40センチほどのサカナでさえ、
 6Xのティペットなんかひとたまりもなく簡単に切れる。

 14番ショートシャンクのフックに6Xのティペットで掛けたこのメスのニジマスも、
 ハリに掛ってザバザバザバッと水面を蹴散らした瞬間、
 「あ、ダメだこりゃ」
 とおもった。

 この釣り場のこのテのニジマスを掛けたときのいつものごとく、
 リールの逆転音が数オクターブ高くなったような恐怖の至福の逆転サウンドを延々響き渡らせながら、
 はるか彼方でようやく止まったかとおもえば、
 ジャンプこそしないものの、
 川底にへばりついたようになってテコでもうごかなくなってしまったときは、
 「あ、こりゃティペット切れ待ちだな」
 と半ば諦めた。

 が、
 ツキがないときは、
 ほんとになにをどうあがいてもツイてないのに、
 逆に、
 ツイてるときはどうしてこうも思惑通りうまくいくのか?

 ツキってほんとにある。

 終始、
 一瞬たりとも気の抜けない攻防戦が繰り広げられたが、
 闘いを愉しむ余裕さえかんじながら、
 無事にサカナをネットに突っ込むことができた。

 うおおお~~~いいサカナ!
 こんにちは~
 ありがと~

 この日は、
 このイッピキでおしまい。

 午後おそく、
 冷気をたっぷり含んだ強風が刺すように吹き荒れ、
 水面は波立ち、
 サカナの気配も消えた。

 しかし、
 これ以上はないほど満たされた。

201101 (2)2

 ワシミミズクのクイルでボディを巻いたサイズ14番のノーウエイトニンフ。

 ボディもソラックスもワシミミズクのクイルを捩じり巻きして、
 ヘッドのところにインディアンコックのファーネスを一回転ハックリング。

 で、
 その同じ位置にレオンのチカブーのファイバー先端をちぎったもの数本を巻き止め、
 羽化に失敗した本物のイマージャーのクシャッと潰れたウイングを表現している。

201101 (3)3

 ボディには、
 ワシミミズクのクイルファイバーとともに、
 極細のコパーワイヤも捩じり巻き。

 なので、
 フライが乾いた状態ではわかりにくいけれど、
 濡れると赤銅色のキラメキがボディ表面にマダラ状に浮かびあがる。
 ゾクッとくるほどリアリティをかんじる。

 ボディにねじったコパーワイヤはごく軽量のウエイトの役目も果たす。

 ほんとうは、
 もっと軽いニンフをつかいたかったけれど、
 風が強かったので、
 多少なりフライに重量があってターンオーバーさせやすく、
 またさざ波に翻弄されずスムーズに水面下に沈められる、
 軽くウエイテッドになっているコチラをコントロール最優先で選んだ。

201101 (4)4

 サクサクと、
 立ち枯れた葦を踏みしめながら、
 …今年はあと何回来れるかな?…

 夢見心地でおもった。

 今シーズン、
 春から秋にかけて、
 もちろん日常的に釣りには行っていたけれど、
 偽らざる心境として釣り気分として、
 心の奥深くから晴れ晴れと釣りシーズンを迎えたような気持ちになったのは、
 まだほんの数日まえのこと。

 でも、
 長い釣り人生だもの、
 そんなシーズンがあってもいいよなあ、
 これもまた経験だよなあ、
 
 「苦あれば楽あり」

 な~んつって、
 器のでかいワタシはおもうのだった。

 それくらい、
 このニジマスは、
 ワタシを慈悲と慈愛の菩薩のヒトにしてくれた。

 出会いの瞬間からアプローチ、
 フッキング、
 壮絶なファイトと息をもつかせぬ攻防戦、
 そしてなにより、
 釣れてくれたメスのニジマスの
 見惚れるばかりの見事な野性の健康美、
 すべてなにもかもパーフェクト!
 ありがたく、
 そしてすばらしかったのです。

 デイドリームここに極まるってかんじ。
 
 ボクはいま、
 オホーツクの吟遊詩人。

 そらブログかて書きたなるで。


 
ヒラタカゲロウのイマージャーとエゾリス
 きのうの天気。
 雲間からときどき青空と陽の光が顔をのぞかせるけれど、
 断続的に小雨がパラパラ。
 おまけに、
 この季節にはつきものの冷たい強風が吹いている。

 けして条件は良くないし、

 なによりも退院した翌日、
 これからがほんとの治療になるのですよ、
 「手術がうまくいったからゆうてあんまり調子にのるなよ」
 とのアドバイスもいただいていたけれど……、

201030 (1)1

 きゃは♪

201030 (2)2

 ザバザバーンッ!!

201030 (3)3

 昨年のまさにいまごろの季節、
 この釣り場でライズしている大中小多数のマスを釣るのはとても難易度高めだった。
 素晴らしいのがライズしているのに手も足も出ないときがなんどもあった。

 なにかこう、
 決定打に欠けるかんじ。
 たまに釣れるけれど…けしてハマってはいないので、
 どこか煮え切らない。

 と・こ・ろ・が・

 昨シーズンのほんとに最後の日、
 おなじカゲロウを模したフライではあっても、
 すこし仕様を変更して、
 アプローチの方法をガラッと変えてみたら……、

 ちょっと状況が変わった。

 何日もかけて、
 たくさんの無駄を重ねて、
 ようやくずっぽりツボにハマった気がする。
 グッとくる手応えを感じることができた。

 というアンビリーバブルな一幕があった。

 ところがその直後、
 河川改修のために重機が川底を掘り起こし、
 しかも本格的に雪も降り出して、
 昨年のシーズンはこうして幕を閉じた。

 そんなわけで残念ながら、
 さらなる実地検証は、
 ひとまずここでおあずけとなった。

201030 (4)4

 おそらく、
 ヒメヒラタカゲロウの近似種とおもわれる、
 フックサイズ16番前後のヒラタカゲロウの仲間。

 この釣り場のこの季節、
 このカゲロウの羽化と流下が、
 サカナの活性を左右する重要なカギであることはすぐにわかったけれど、
 そこから先が長かった。

 水面から口吻がニョキッと生えるような連続ライズ…まんまモグラたたきのモグラ。
 背びれや尾びれの先端がサメのようにほぼずっと突き出たまんまムワ~ムワ~と水面から身を乗り出すようなライズ。
 どいつもこいつもほんとにまったく、
 お見事なライズおうつくしい嗚呼切なやこのムネ釣りゴコロ……、

 という、
 あまりにもいかにもなライズだった。
 なので、
 じつはマスたちは水面に浮いてるものはほとんど眼中になく、
 水面下数センチ数十センチくらいの流れの表面の流速の壁のところで、
 羽化しようと浮上しつつ流下するヒラタカゲロウのイマージャーばかり食っていていることにしばらく気がつかず、
 またそれに対応するアプローチを発見するまで時間がかかった。

 マスたちは、
 水面近くのイマージャーを軽く追い喰いしたその勢いというかはずみで、
 あのように魅惑的すぎる波紋を水面に広げていたのだった。

 ここに至るまで長らくのあいだ、
 薄く巻いたクリンクハマー・スタイルのパラシュート・フローティングニンフ16番と18番ヘビーワイヤ仕様各種が、
 この釣り場でのじぶんの先発選手でもあり勝負フライでもありファイナル・ウエポンでもあった。
 
 で、
 話しは変わって、
 このフライは、
 そんな小型のヒラタカゲロウのイマージャーを暗示したスキューズ・ニンフ型の私家版ニンフ。

 これは昨年巻いたやつ。
 昨年の最終日、
 このフライがマスたちのトリガーを引きまくったのだった。
 いや、
 魅きまくったのだった。

 つかったフックはTMC921 の14番。
 ショートシャンク・ワイドゲイプ・ヘビーワイヤな大物対応小型サイズ・フックの傑作。

 傑作だが、
 きのうまでは、
 あ~このサイズのフライにイト通すのかあ……なんつって、
 自虐の意味で切なかった。

 とても切なかった!

 術後翌日のきょう、
 この場面でこそ!実感したい手術の成功。

 そのためにオレはいま水辺にいるのだ、
 きょうは釣るというよりも、
 むしろこのような検証目的を主なテーマに据えて釣りに来たわけだが……、

 それよりも、
 なんか釣りはじめてすぐ、
 なにか、
 どこか、
 忘れていたフレッシュな視覚感覚?

 しかし、
 
 すぐそれに順応するかのように慣れて、
 たちまち当たり前のような気になって釣りに夢中になっていた。

 フックのアイにティペットがどうこうて…忘れてた。
 そして、
 6Xのティペット(ちなみにフロロ)にひっきりなしとっかえひっかえ14番のハリを結んだ。

 すばらしい!

 メールくれた悩んでる困ってる同胞?同病諸氏のみなさん、

 今後どう変化するのかは分からないけれど、
 これがワタシの術後すぐの偽らざる感慨です。

 ご決断を…。

 と、
 いきなりニンフの話しに戻って、

 ボディにはトンビのファイバーを数本、
 オパール色のフラッシャブーとともにキリリと絞って捩じり巻き。

 すると、
 ボディ上にヒカリモノのアクセントとなるフラッシャブーが、
 このように段々状に浮きあがる。
 
 フライはノーウエイト。
 これがものすごいキモ。

 通常、
 このような軽い小型ニンフを確実に意図したように水面下に沈めるのは、
 なかなか大変なこと。
 経験のある方はよ~く身に沁みているとおもうけど、
 使用前に濡れた指先で揉んだりして濡らしたつもりでも、
 ティペットの表面張力にひかれて、
 ニンフがいつまでもポッカリ水面に浮いているとか、
 フォルスキャストのたびにフライが水切りして浮いちゃうとか、
 とかくいろいろ難儀。

 と・こ・ろ・が・
 エゾリスのファーをソラックス部分にフワ~ッと毛羽立たせてダビングしておくと、
 着水と同時にたちまちファーが吸水して、
 ノーウエイトであってもすぐに水に馴染んで水中に没する。
 で、
 そのままスーッと沈下する、
 というよりも、
 軽いニンフがフワ~~ッとゆるやか~に、
 しかしたのもしく確実に沈んでいく。

 ここが最大のポイント。

201030 (5)5

 濡らした指先にフライを載せただけで、
 水を吸いとろけたようになっている、
 毛羽立たせてダビングしたエゾリスのソラックス。

 その、
 透明感のある微細なファーにくるまれている引き締まったクイルボディ表面に、
 フラッシャブーのキラメキが線上に浮き出ている。
 これはまるで、
 空気膜に覆われて鋭くギラギラ反射しながらボディの体側にへばりついている、
 本物のヒラタカゲロウの羽化直前のイマージャーの未成熟なウイングのようだ。

 しかも、
 ボディ材のクイルもろとも捩じり巻きしているので、
 切れやすい脆弱なフラッシャブーがすこぶる丈夫に固定されるだけではなく、
 ボディに巻き込んだフラッシャブーがデコボコなので、
 そのぶんキラメキが乱反射して強調されている。

 ヘッドにはインディアンコックの硬いファイバーのファーネスをクルッと一回転だけハックリング。
 なので、
 とろけるエゾリスのソラックスから、
 このファイバーが数本ピンッと張りだして立ちあがる。
 芯黒ハックルのこの一回転だけで、
 本物のイマージャーのレッグや割れたウイングケースや頭や目玉までも表現できてしまうタイイング・マジックの妙。

201030 (6)6

 こちらは、
 ボディのクイル材をフェザントテイルで巻いた赤茶色ボディの作例。

 ソラックスやフラッシャブーなど素材や作りはトンビ・ボディのニンフとまったくおなじ。

 この日、
 淡いシルキーグレイのトンビでも、
 赤銅色のフェザントテイルでも、
 おなじように釣れた。

 サイズやシルエット、
 それになにより水中でのバランスは大事だけど、
 色はあまり気にしていないようだ。

 しかしためしに、
 ソラックスに重いワイヤーをがっちり巻いたいつものノーマルなフェザントテイル・ニンフや、
 ヒカリモノを装着していないニンフなどを、
 短時間ながらいくつか試したけれど、
 あきらかに反応に差が出た気がする。

 クルージングしているマスの進行方向を予想して、
 その前方1メートルほどにニンフを落としてややしばし、
 フライが沈んでいるであろう地点でムワッと波紋がひろがる、
 ギランッと水面下で魚体がひるがえる……、

 かぎりなくドライフライな、
 というよりも、
 あるいみドライフライよりも視覚的カイカンのニンフの釣り。

 ワシいまツボりまくりやんけー。

 というような、
 水面直下ステージの釣りにしばし夢中。
 20センチ~40センチほどのニジマスやアメマスが次から次にキュンキュン竿を曲げてくれて満足だった。

 だったんだけど、
 それで大物はどこにおるねんと、
 フライはそのままですこし狙いの趣向を変えてみた。
 こんどはこのノーウエイト・ニンフをいったん深く沈めておいて、
 そこからスーッとゆっくり浮上させてみるアプローチ。

 まるで、
 本物のイマージャーが川底から浮上していくようなイメージ。

 ニンフ自体はとても軽量なので、
 水面に浮いたリーダーにひっぱられると、
 水中深く沈んだニンフであってもわずかな動きにつられて、
 そのまんまフワーッとゆる~く浮上していくかんじ。

 これがやねえ……、

201030 (7)7

 とたんに釣れるサカナのサイズがガラッとかわって、

 目測で47~48センチくらい?
 泣きの50ってとこ。
 グイッと盛りあがった肩のラインと、
 猛々しくガラの悪そうな顔つきにウットリ。

 充分に深く沈めたニンフを、
 ソロ~ッと、
 うかがうような面持ちで、
 ゆ~っくり浮上させると、
 …ここで来るな…と直感的にビビッとくるかんじで、

 ツ…

 と水面に浮いたリーダーのバット部分にかすかな重みがのった感触があって、
 そのままバシッと合わせるのではなく、
 グイーンと竿に荷重を乗せるような感覚であわせると、

 竿を持つ手のひらと肘にドスンッときて、
 ジンクリアな水中深くでグワグワグワッと暴力的に魚体をよじるのが遠目にもよく見えて興奮した。

201030 (8)8

 クライマックスは堂々の50オーバー。

 こりゃでかいのは深いところにおるなと、
 すかさずウエイト入りのやビーズヘッド搭載の同サイズなニンフに変えて、
 まったくおなじように狙ってみたが…………、

 アレ?

 なので、
 またもやコチラのノーウエイトで釣ってみれば、

 たちまち、
 ツ…
 ときた。

 ハマっとるんちゃうん?
 ツボっとるんちゃうん?
 ちゃうちゃう、
 チャウチャウちゃうんちゃうん?

201030 (9)9

 どいつもこいつも、
 ぶっとくて、
 たくましかった。

 とっぷり日が暮れてもツ…ときた。
 しかし
 日暮れと同時にグッと冷えて、
 たちまち芯から凍えるかんじになったので、
 しばらく耐えたけど後ろ髪引かれつつ帰宅。

 ちょっと、
 いや~さすがにちょっと腕がダルなったわ~……とかなんとか、
 言ってみちゃったりとかしてスイマセン。

 すばらしい一日。
 フレッシュや。

 ほんまはきょうも行ことおもっててんけど、
 朝から凍えるような雨がシトシトシトシト降りやまず。

 なので、
 みんな聞いてくれよオレさま釣り自慢の作文を書いて余韻に浸ってまあ~す。



夕暮れ小渓流
200727 (1)1

 川底の砂利や小石を筒状にした「筒巣」のなかに入っている、
 トビケラの幼虫を表現した「ケースドカディス・ラーバ」作例 tied on TMC102Y の9番。

 ボディは、
 ミニオストリッチのファイバーを2~3本と、
 トンビのセカンダリークイルひと束をまとめて、
 コッパーワイヤで捩じり巻き。

 そして、
 極小ビーズヘッドのうしろにエゾリスのファーをループダビングで一回転。
 エゾリスの毛のエリマキつきケースドカディス。

200727 (2)2

 いつもの愛竿6フィート半の3番に、
 リーダー部分が両手いっぱいくらい、
 そして6Xのティペットが片腕ぶんくらいの長さ。
 
 という道具立てでもって、
 このような開けた明るい小渓流を、
 まずはこの私家版「ケースドカディス」で釣りのぼって愉しんだ連休初日。

200727 (3)3

 何匹か釣ったあとで、

200727 (4)4

 手のひらに水をすくって、
 そこにフライを載せてジックリ眺めてみる。

 エゾリスの半透明なエリマキが、
 まるで立ちのぼる湯気のようにユラユラと……。
 生命感ムンムン、
 リアリティ満点。
 ニヤけまくる。

 トンビのクイルとミニオストリッチを同時に捩じり巻きしたボディ、
 使いつづけると萎んじゃうミニオストリッチが、
 トンビのクイルに支えられてフリューがほどよくバラけて毛羽立ち、
 使いはじめの乾いた状態よりも良い感じに変化していることにヒジョーに満足。

 この組み合わせの捩じり巻きボディ気に入った。
 さっそくドライフライやウエットフライにも転用応用してみようと思いついてワックワク。

200727 (5)5

 この流域は、
 この地域でもとくに知られたヒグマの巣窟であることも半分忘れて、
 誰に気兼ねすることなく独りで自由にアメマス釣りながら、
 試作のフライあれこれ試していじくって……、
 
 いろいろ考えながら、
 いろいろ膨らませながら、
 夢見心地のゴージャスなプライムタイムにどっぷり浸る。

 と、
 すぐ上流に「ここはいないわけがない」と確信しちゃう超A級ピンポイント発見。

200727 (6)6

 ティペットやリーダーはケースドカディスのときそのまんまで、
 
 フライだけコレに交換して、
 ちいさな落ち込みのスポットをことさら丁寧に探りつつ、
 釣りゴコロを高めながら、
 ワザとゆっくり時間をかけて、
 A級ポイントを目指します。

 おいしいところはあとのお楽しみネ……みたいな。

 ところで、
 ちょっと話しは飛ぶけれど、
 いつのころからか、
 このような渓流を探って釣り歩く釣りでは、
 フライが水面に浮いているあいだはドライフライとして、
 よしんばそのフライが沈んでしまったらウエットフライもしくはニンフとして、

 というファジーな姿勢の釣りを好んでいて、
 水面でも水中でもどちらでもつかえるスタイルのフライを好んでいたけれど、

 さいきん、
 片目がほとんど見えなくなって(…手術したら治るそうなので、くれぐれもご心配なくお願いします…)
 釣りをしているとコレってけっこう不利なんだな~とおもうに至ったとたん、
 嗜好が変わって、
 ドライフライはポッカリ浮いてはっきりクッキリ見えてほしい、
 とおもうようになったのはなんでだろうか?
 
 というわけで、
 こんなハレンチなのも巻いてきた。

200727 (7)7

 橙色のHIVIZドライウイングに、
 レーヨン素材やヒカリモノをごくごく少量ブレンドして、
 マシュマロ・エクステンションでシャンクに巻き止め、
 ヤーンの余りをそのまま突き立てて、
 そのしたにコック・デ・レオンのサドルを一回転。

 なんちゅうても、
 オレンジのインジケーターをダブルでフックに縛りつけてるようなもんなので、
 視認性バツグンというよりも、
 見え過ぎちゃってハズカシイ。

 ただねえ、
 このフライのこのスタイルは、
 ちょっと難あり。

200727 (8)8

200727 (9)9

 釣れたアメマスのほとんどが、
 このようにフライを飲んじゃう。

 フックはほぼ剥き出しで、
 いうなれば、
 フライをフックにチョン掛けしただけ、
 というような体裁なので、
 どうしてもそうなってしまう。

 なので、
 フォーセップ必須。
 サカナの喉からフックを外すのが非常にわずらわしい。
 
 やっぱ、
 フックは口吻の端っこに掛っていて、
 サカナを引き寄せたらフックつまんでクイッとしたらすぐ外れる手間いらず、
 っていうのが理想だ。

 とはいえ、
 フライを飲み込んだサカナがかわいそうとか、
 サカナのダメージを最小限にしたいとか、
 そのような紳士な慈悲の心でこのように言っているのではないので念のため。

 チャチャッと手早く簡単にフックを外したいという、
 あくまでも自分都合です。

 サカナにしてみれば、
 口の中のどこにハリが刺さろうが、
 ものすごく苦痛でイヤに決まってる。

 罪深さに変わりはありません。

200727 (10)10

 という、
 傲慢な独断はさておき、
 予想的中!
 案の定このピンスポットには、
 ええサカナがいてました。

 水深はじぶんの膝よりも浅いくらい。
 だがしかし、
 流れのいちばん勢いのある流芯が、
 バンク際に寝っ転がってる倒木の根っこのところにモロにあたっている。
 ここに流れてくる流下物はほとんどこの流れに揉まれながら、
 この地点を通過することでしょう。

 そしてしかも、
 その倒木の根っこの下がすこし掘れててエグレてる。

 いわば、
 自動的に御馳走の流れてくる、
 屋根つきの隠れ家。

 いないわけないやろ~。
 
 しかもこの浅場、
 水面を見てないわけないやろ~。

 ちゅうかんじ。

 流芯にフライをのせて流して、
 倒木の根っこにもうすこしでぶつかりそ~、

 というとき、
 ポッカ~ンと浮いて流れる橙色がポコンッと水中に引き込まれて……、

200727 (11)11

 会心のイッピキ。

 コンディションもバリバリ最高。
 むちゃくちゃ引いてくれた。

 やはり、
 このような山岳渓流でドライフライをつかって良い型のアメマスを狙うなら、
 水深は浅めで、
 倒木でも岩でもなんでも、
 とにかくえぐれた隠れ家があって、
 そこに良い流れが直接ぶつかっている場所こそ……。

200727 (12)12

 フッキングもじぶんにとっては理想のところにチョン掛かり。
 さらに満足度数高め。

 それにしても、
 とびきり良いサカナの口吻で、
 レオンのゴマダラ模様の超ロングなハックルファイバーがユラユラしてる様子は、
 なんかい見てもホンマにええわあ、

 なんておもってウットリ。

 だったけど……、

200727 (13)13

 このフライ、
 つかうまえからわかっちゃいたけれど、

 アメマスの歯にフライのヤーンがひっかかってしまって、
 この一撃でフライは早々に、
 見るも無残こうなってしまった。

 マシュマロ・エクステンションをこのような単純構造に巻くと、
 ヤーン・ボディになにかが引っ掛かって張力がくわわると、
 どうしてもヤーンがひきつれたようになって、
 こんな悲しいおダンゴ形状になってしまう。

 こうなってもマシュマロなら釣れるよ、
 なんて野暮はいわんといてや。

 それもわかっとるがな充分過ぎるほどに……。

 ワイは丈夫で長持ち、
 そしてかっこええフライでサカナ釣りたいんやで。

 というのはさておき、

 で、

 ちょっと聞いてくれはる?

 会心のアメマスとサヨナラして、
 岸辺の岩によっこらしょと腰かけて、
 至福の余韻しみじみタバコ一服ゆっくり吸い終わって、

 …さあ次はどのフライつこてみよかな~…

 なんつって、
 ボックスのぞきこんでいた、
 まさにそのとき、

 せせらぎの瀬音と、
 小鳥のさえずりのほかは、
 シーンと静まり返ったなかで、

 パーンッ!パーンッ!!

 耳をつんざくような銃声がいきなりとつぜん響いて、
 ビック~~ンと心臓がはねくりかえって、
 おもわず腰が浮いた。

 しかもこの轟音、
 ものすごい近いんちゃうん?
 
 なんちゅうか、
 オレが標的なの?
 みたいなくらい近いかんじ。

 え?なに?なに?

 周囲をオドオドキョロキョロ見渡していると、

 またもやパーーンッ!

 うっわ、
 メッチャちかいやんけ。

 そして脳裏をよぎるのは……、

 ただひとつ。

 金毛なのか黒毛なのか、
 成獣なのか若獣なのか、
 それはわかりませんけれど……、

 ちなみに今日、
 じぶんが入渓した橋のたもとは、
 ほんの数年前にとあるハンターがヒグマを撃ち損じて、
 翌日の早朝未明、
 再度探索したところ、
 藪のなかで待ち伏せしていた手負いのヒグマに襲いかかられ、
 臀部に大怪我をおいながらも、
 ほうほうのていで命からがら逃げ帰ったという、
 いわくつきの場所なのだそうだ。

 だそうですよって……聞いたんだけどボク……。

 そしておもった。
 銃声が一発必殺ではなく、
 ムダに三発も響き渡ったということは……、

 ひょっとして、
 しくじりはったの?

 そしてビビった。

 ちょっとチビった。

 上流からか、
 下流からか、
 対岸からか、
 それとも背後からか、
 それはわからんけど、

 もしかして、
 怒り狂った手負いのヒグマがこっちにむかって逃げてきたとしたら……、

 河原にて、
 これ以上最悪の出会いがあろうか、
 あろうはずがないではないか!

 そしてここでダメ押し。

 背後の藪の崖の頭上高くにある林道を、
 パトカーがえらいものすごい勢いで走ってったよ上流へ。

 サイレンこそ鳴らしてへんけど、
 赤色灯ちゅうの?
 クルマのうえの赤いのグルングルン回しながら。

 ということは……、

 おいおいおいおいおいシャレになれへんやんけ泣きそう。

 そのとき、
 シムスの高級ウェーダーを履いた猿飛び佐助に変身したワタシ。

 さっきまでのらりくらりと彷徨うように歩いていた河原を、
 脱兎のごとく駆け抜け跳び抜けて、
 汗ダッラダラでクルマにもどって……ハアッと全身の力が抜けるようにひと安心。

 ひと安心して……、
 さっそくこのことブログにしたためなきゃ、
 なんておもいながら帰路につきました。

 そんな夕暮れのひととき。

 みなさま、
 暑中お見舞い申しあげます。


 
ひねもすのたり春のエゾリス
200428 (2)2

 昨年の5月最後の週末の釣り。

 この日の釣りは、
 ついこの前のことのようによく憶えているのに、
 アレ気がつけばもはや一年前のこと。

 なんでやねん?

 歳を重ねるごとに、
 時の流れがどんどん流速を増して、
 早瀬どころか岩をも噛みくだく激流のごとく過ぎ去っていくようだ。

 この現象は一体全体どういうことなんだ?

 という話題になると、

 「ビゼンさんね、それ、あと10年経ったらも~っと早くなりますから」

 「そして、その10年もアッという間ですから」

 ひと回り年上の仲良くしていただいている先輩が、
 もう心底から実感ひとしおのていで、
 …覚悟しとけよ…みたいな口調でいつもそう言う。

 ほんとにおそろしいことだ。

 200428 (1)1

 エゾリスのストリップド・スキンをボディに巻き止めて、
 マジックで黒く塗った銀色のビーズヘッドのうしろに、
 エゾリスのファーをハックル状にパラッとひろげてヘッドに巻いた。

 一見するとゾンカー風。

 というようなフライを、
 6フィート3インチ2番の竿でつかうって……どうなのソレ?

 この日、
 当初はこのようなフライをつかうつもりなどまったくなく、
 オホーツク地方の遅い春を迎えたばかりの山上湖に、
 ニジマスやアメマスのライズ求めて、
 ウキウキとフロートチューブで漕ぎだしたのだった。

 予想では、
 ちょうどミドリカワゲラの仲間の羽化がはじまって、
 バンク際ぎりぎりの倒木の下や枯れた葦のキワなんかに、
 若いニジマスやアメマスたちが集結。
 クルージングしながらせっせとライズしているはずだった。

 フロートチューブでにじり寄っていって、
 そんなライズを2番の短竿でエレガントに、
 そしてテクニカルに釣りまくっちゃおう……という目論見だった。

 フライボックスには、
 ワシミミズクのクイルをボディに巻いて、
 ヒグマの柔金毛をダウンウイングに据え、
 ハニーダンやらシャンパンダンやら秘蔵のハックルをパラッとハックリングした、
 サイズ14番や16番ほどのミドリカワゲラちっくでカスタム・タイドなドライフライを数本忍ばせて。

 フライもすっかりおめかししちゃいました春だもの。
 
200228 (7)7

 風もなく、
 おだやかに晴れた春の日、
 思惑どおり、
 春霞のなかミドリカワゲラがそこかしこでヒラヒラ舞っていた。
 ライズも、
 あっちこっちでそこそこあった。

 午前中めいっぱい釣って、
 イッピキだったかニヒキだったか、
 ニジマスだったかアメマスだったか、
 ここは記憶が定かではないけれど、
 ドライフライで釣ったような……。

 しかしそれは「釣った」というよりも「たまたま釣れてしまった」サカナ。

 まったく会心の一発ではなかったがゆえに、
 定かな記憶はない。

 なにがどうなったのかこの日、
 一事が万事、
 やることなすことすべて、
 歯車のどこかがズレていた。

 ライズを見つけて、
 倒木の下にフライを送り込もうとして、
 フライを枝や木の幹に引っ掛けること数十回。

 いかにも釣ってくれといわんばかりのイージーに見えるライズ発見。
 こんどこそはと、
 慎重にフライを投じるも、
 無駄な力が入っていて、
 ぜんぜんおもったところにフライが落ちない。

 まったく冴えない。

 なんでやねん?

 そして、
 ようやくパコンッと出ててくれて、
 しかも、
 もう疑いもなくパクッと喰ってくれてるはずなのに……、

 ことごとくスッポ抜け。

 なんでやねん?

 気持ちはギスギスささくれるばかり。

 穏やかで晴れやかで慈悲に満ち満ちた菩薩の釣りゴコロで、
 ウキウキワクワクで湖上に浮かんだはずが、
 いまやイライライライライライライライラ最高潮。

 そうなると、
 封印していたはずの記憶の蓋がいきなりパカッと開いて、
 なんでか次から次に思い出す、
 イラッときたりムカッときた思い出がスーパーハッチ。

 負の連鎖全開モード突入。

 そしてフライを枝やら草やらに引っ掛けつづけ、
 フライに出てもスッポ抜け、
 たまに掛ってもすぐバラし……。

 もはや気持ちのもっていきどころがなくなってしまった。

 しゃかりきになってスッポ抜けバラしつづけて正午過ぎ、
 空が曇ってきたと同時にライズもすっかりなくなった。

 なんでやねん?

 もはや肉体でははなく気持ちが疲れ果ててしまって……、

 それでも納まりがつかず、
 一大決心をして、
 この山上湖の奥のはるか彼方にある大物ポイントまでフロートチューブで遠征して、
 そこに必殺のニンフを沈めてやろうと漕ぎだしたのだった。

 そのとき、
 ふと思いついた。

 200428 (5)5

 …どうせなら、この機会にエゾリス・ファーの水中でのうごきをじっくり確認しよう…

 なんてったって、
 エゾリスのスキンをはじめて入手できたのは、
 この年の冬のこと。
 まだまだ未知のマテリアル筆頭格。

 おもえばこれまで、
 グレイ・スクイレル、
 パイン・スクイレル、
 レッド・スクイレル、
 そしてフォックス・スクイレルなどなど、
 異国のリスのオケケはたくさんいじくってまいりました。
 
 さあ、
 我が北海道が誇るリスの毛はどうなんだ?

 アンニュイ過ぎるにもほどがある、
 よどんだ気持ちの午後の気分直しにはもってこいの思いつき。

 フロートチューブの真横にこのエゾリス・フライをチョンと沈めて、
 竿を立てて、
 リーダーとティペットだけが竿先から出ている状態で、
 そのままフライの動きを眺めながら、
 彼方のポイントにむけて足ヒレを漕いだ。

 フロートチューブの素晴らしいところは、
 浮き輪に乗って水面のうえに座っている状態なので、
 目線が水面にすごく近いところだ。
 なので、
 フライの動きや浮き方や沈み方などなどの仔細を間近でじっくり見ることができる。

 このままこのフライをひっぱって動きを観察しながら、
 ポイントまで漕いで行こうとおもっていた。

 ほぼエゾリスの毛だけで巻いたフライは、
 たちまち水を吸って、
 スッと水面下に沈んだ。

 そしてヒラヒラユラユラと、
 なんとも艶めかしく柔らかく全身の毛をなびかせて泳いだ。

 エゾリスの毛はほんとに不思議だ。

 ふさふさの毛が生えているほかの動物の毛は、
 ほとんど例外なく濡れにくいように出来ている。
 そして、
 毛皮の状態になったとしても、
 種類によって程度の差はあれど撥水性に富んでいるのが、
 毛のある動物というものではないか?

 だって、
 すぐに濡れると野外の暮らしに困るじゃん。

 なのに、
 エゾリスの毛は、
 おどろくほどすぐ濡れる。
 まるで水分を吸うように濡れる。
 そしてそのままずっと濡れている。

 保水性もばつぐん。

 これはフライとして、
 吸水させて速やかに水面下に馴染ませる、
 という点ではものすごく都合が良い。

 そのうえ、
 水を吸った柔らかな毛が、
 ものすごく敏感に、
 まるでとろけるようにユラユラ水流になびいている。

 しかしエゾリス、
 こんなヘタレな毛では、
 雨の日とかたちまち濡れそぼって、
 凍えたりせえへんのやろか?……。

 などと、
 エゾリスの身のうえを身勝手に心配しつつ、
 足ヒレをゆっくり漕ぎながら、
 目の前でユレユレテレテレゆらぎながら泳ぐエゾリス・フライをボ~ッと眺めていて、

 ……そうだ!エゾリスの毛のキャッチコピーは
 「まるでマラブーのようなヘアーズイヤー」
 これでいこ……

200428 (6)6

 などと夢想を巡らせていると、

 いきなり、
 手を伸ばせばすぐ届くところで泳いでいるエゾリス・フライにむかって、
 イッピキの若いニジマスが深みから突如浮上してきたかとおもうと、
 猛然とチェイスしはじめたではないか!

 うおおお~。

 視線の先1メートルもないようなところで、
 ニジマスがフライにバンバン体当たりしながら、
 右に左に魚体を翻して、
 まるでなにかにとりつかれているかのように興奮しながら、
 執拗にフライを追っている。

 その様子の仔細がすぐ目の前で手に取るように丸見え!

 すっげ~。

 で、
 ここはいっちょフライを食わせてやろうとおもって、
 垂直に立てていた竿をかるく倒して送り込んで、
 フライの泳ぐスピードを緩めた。
 フライの泳ぐ姿勢がビーズヘッドの重みもあいまってスッと変化したそのとき。

 ニジマスはハッと我に返って呪縛から解けたように、
 「あっヤベエ!」
 なんて仕草で一瞬で消えていった。

 なんだったんだ?

 そしてまたも間をおかず、
 おなじように目の前で泳がせつづけていたエゾリス・フライに、
 さっきとおなじような若いニジマスが浮上してきて、
 フライを追った。

 こんどはそのままのスピードを保ちながら、
 ず~~っとテレテレテレテレゆっくり足ヒレを漕ぎながら、
 固唾をのんでニジマスの様子を見守った。

 かなりの距離をそのまま進んだ。
 けれど、
 ぜんぜん逃げない。
 そればかりか、
 どんどん興奮の極に達してフライを追っている。
 
 そんなニジマスがフライを喰い損ねたり、
 体当たりするたびに、
 スックと立てた2番の竿がビクンビクンとおじぎをした。

 そしてとうとう、
 ニジマスがバクッとフライをくわえてグルッと反転。

 リールがジジジと逆回転して、
 竿を握る手にグンッと重みがのって、
 竿がギューンと曲がった。

200428 (3)3

 おもしれ~~~。

 名づけて「サイト・ハーリング」

200428 (4)4

 この日の午後、
 こうしてひたすらエゾリスの毛のユラユラを眺めて、
 十数匹ほどのニジマスのチェイスに興奮しながら、
 その様子をガン見観察して、
 数匹のニジマスを釣りあげた。

 いずれのニジマスも、
 一定の速度で泳いでいるフライになんらかの変化をつけた瞬間、
 ハッと我に返って慌てふためいて脱兎のごとく深みに消えた。

 しかし、
 そのまま同じ速度とテンポでフライをずっと泳がせていると、
 ニジマスはいつまでもどこまでもしつこく追ってきて、
 そのうち何匹かはとうとうフッキングしてしまった。

 大物ポイントにはたどりつけなかった。

 楽しみにしていたドライフライの釣りは終始散々だった。
 
 でも、
 転んでもタダでは起きまへん……。

 いろんな示唆を得て満たされ、
 脳内にワラワラ湧き出てきたアイディアと妄想にワクワクしながら、
 午後おそくに水からあがった。

  
梅雨の晴れ間の大物自慢
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190719(1)1.jpg

 つい先日、
 いつものように我が家に遊びに来てくれた、
 函館のいつもの吉田さんと笹尾さん。

 函館から高速道路をひたすら走って約7時間!
 深夜、
 皆さんが我が家に到着して、
 さあ明日はいずこの釣り場へ、
 という話題になったとき、
 現在の状況だとあの川が有望ですが、

 「じつはいま、このへんの釣り場の新規開拓に励んでいるのです」
 という雑談をすると、
 それじゃあ明日はぜひとも未知の釣り場に行ってみようじゃないですか、
 と吉田さん。

 はるばる7時間かけてやって来て、
 当たりか外れかどっちかの「賭け」を愉しんじゃう吉田さん。
 やっぱスゲ~なとおもった。

 その提案をコレ幸いに、
 かねてよりたいへん気にはなっていたものの、
 あまりにもヒグマの気配が濃厚過ぎて、
 独りで奥に入るのはさすがにちょっとな~、
 とおもっていた釣り場に三人で行ってみた。

 三人ならへっちゃらだ。

190718(1)1.jpg

 じぶんが函館に住んでいたころから、
 何度も三人で釣りにでかけていた。
 そのときからずっとおもっていたことがある。

 フツ~の規模の渓流を、
 三人がかりで抜きつ抜かれつ交互に釣りのぼっているにもかかわらず、
 負担を感じない丁度よいペースで、
 阿吽の呼吸でポイントをゆずり譲られしながら、
 お互いにまったくストレスをかんじないで、
 リラックスした気分で好き勝手に釣りに没頭できるのって、
 かなり稀有なことではなかろうか。

 そのようなお付き合いをさせていただいているので、
 お二人が帰られたあとは、
 いつもなんだかちょっぴりセンチな気分。

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 サイズはTMC9300 の8番。
 ボディはヒグマのアンダーファー。
 ハックルはヒグマのガードヘアーをハックリング。
 見た目ソフトハックル的なヒグマの毛だけで巻いたシンプルなフライ。

 名前は「キンクマ」
 姉妹品「クロクマ」と「チャクマ」もあります。

 フックシャンクにリードワイヤをグルグル巻きにしてウエイテッドにしたのと、
 ノーウエイトの2種類がある。
 ドライフライとしてもニンフとしてもウエットとしても、
 水面から川底までコレ一本で探っちゃう、
 どのようにでもつかえるファジー系。

 そんなフライをつかって……、
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 森の奥の小渓流でひっそりと暮らすオショロコマももちろん大好き。
 
 なんだけど、
 開けた渓流で、
 大胆に早瀬やプールのヒラキに出てきてバンバン餌食ってる、
 コンディション抜群のオショロコマはもう格別。

 萌え萌え。

 ヒグマの森を流れる川で、
 ヒグマの毛で巻いたフライをつかって、
 ヒグマの森の川で太古から命をつないできた美しいサカナを釣る。

 なんという贅沢な釣り。

 そんなとき、
 美しい渓をそぞろ歩きながら、
 優雅にほどほどに竿を振って、
 紳士にほどほどのサカナと戯れて満足。

 それでこそナチュラリストなフライフイッシャーマン。

 などとおもったら大間違いなのじゃ。

 無垢なコマっちゃんをズッコンバッコン釣りたい。

 ひとつのポイントで、
 まず「キンクマ」をドライフライとしてフロータント塗布してフツ~に流すやん、
 そんで首尾よくヒラキとか流芯脇で二~三匹釣れるとするやん。

 そっからが本番でっせ。

 濡れそぼってすぐ沈んじゃうようになってしまった「キンクマ」を、
 そのまま沈めて表層あるいは中層を流すと……、

 ハマるとここでゴンゴンくる。
 カイカン。

 ポイントの水深が浅いばあいは、
 ここらへんでゆるしたるけど……、

 ココはでかいのおるやろ~、
 とおもえる深場のポイントならば、
 ウエイト入りの「キンクマ」登場。

 落ち込みとかに叩きつけて、
 さらに深く沈めてしつこくねちっこく流す。

 水面から川底までぜんぶくまなく探って、
 「あんた根絶やしにする気?」
 くらいの勢いで夢中で釣っちゃう。

 なんかハマっちゃって、
 釣っても釣ってもまだ釣りたい、
 中毒みたいになるときがある。

 とはいえ、
 歳とったからなのか、
 醒めるのも早くなりましたけど……。

 それはさておき、

 このとき、
 フライを沈めるからといって、
 わざわざいちいちティペットやリーダーを変えたりはしません。
 ドライフライを結んでいたそのまんまのリーダー。
 なので、
 手軽にこまめに浮かせたり沈めたりできるというわけです。

 「キンクマ」にいたっては、
 浮かせるのも沈めるのも自在なので、
 フライすら交換しない。

 下の写真は、
 コレ一本を数日間ず~っと使いつづけて、
 いったいぜんたい何十匹のコマっちゃんを釣ったのか、
 もう定かではない状態の「キンクマ」
 ボディにダビングしたヒグマの剛毛がバサバサ突き出してきて、
 それがまたいかにもムシの脚みたい。
 釣れば釣るほどに、
 どんどん釣れそ~な雰囲気を醸し出すのも「キンクマ」の特徴。

 そして、
 この「コマっちゃんにかじられまくったキンクマ」は、
 ワタシにさらなるシアワセと興奮を連れてきてくれたのであった。

 さ、
 以下イヤミな釣り自慢をくどくど延々語りまあ~す。

190720 (5)5

 話しはちょいズレるんだけど、
 函館の皆さんが我が家に来られる数日まえ、

 遠来の友人の希望で、
 一発大物巨ニジマス狙いで川を案内していた。
 そして、
 その川のこの区間ではもっとも実績のある深瀬のポイントにやってきた。

 おりしも川はどこもかしこも大渇水。
 しかも真昼間。
 この状況でドーンと大物の可能性があるならば、
 自分の知るかぎりココしかない、
 とおもっていた超A級ポイント。

 なので、
 他のポイントは極力ほったらかしで好きなように釣ってもらっていたけれど、
 この場所は確実にいるはずなので
 「ここはちょっとアドバイスさせてね」と一言ことわってから、
 必殺のフライもわたして、
 太いティペットに変えてあげて、
 「あそこに投げて」だの、
 「こんどは向こうに投げてみて」だの、
 横に立って事細かに指示した。

 しかし反応はなし。

 そそくさと上流に向かおうとする友人に「もうちょい粘ったほうがいいよ」と声をかけて、
 ニンフの仕掛けに変えてあげて、
 もしアタリがきたら声に出すから安心しといてと励まして、
 いろんな流れの筋にニンフを沈めたんだけど……、

 反応はなし。

 ほとんどドライフライしかやったことのない友人はいまいち釣れる気がしないらしく……、

 疑心暗鬼丸出しの視線で、
 「ちょっとビゼンさんやってみてよ」
 「なんでやねん、オレがやってどうするねん」

 などといいつつ、
 さっきからティペットに結んでいた「キンクマ」を、
 白泡をたてて流れ込む落ち込みの流芯にぶつけるように叩きこんで、
 そのままリーダーにおもいきりスラックいれて弛ませて、
 フライを流れに揉ませながら深く沈めて……、

 そして、
 おおきく湾曲して流れるリーダーが完全に水中に沈んでいったとき、
 ブルッとリーダーが揺れるように震えた気がして……、

 半信半疑ながらグイッと力強くあわせてみれば……、

190718(6)6.jpg

 「な、おったやろ」

 とうそぶきつつ、
 あれだけフライを流したあとで出てくれるとは思いもしなかった。

 それも一投目で。
 
 下アゴしゃくれ系のオスのニジマス。
 しかもめちゃくちゃオトコマエ。

 落ち着きはらって対処いたしましたけれど、
 内心は万歳三唱スカーッと抜けまくりパーフェクト!
 ……あ~このイッピキでもう充分。これでガイドに徹することができるわい……
 などと溜飲下がりまくりの午後でございました。



 というようなことがあった10日後くらいに函館の皆さんがやってきて、
 初日はヒグマの気配プンプンの渓流に行って、
 じぶんもまだ釣ったことのなかった区間を三人で釣り歩いて、
 「キンクマ」投げまくって良型オショロコマの入れ食いを堪能。

 その夜、
 さて翌日の釣り場はどうしましょうか?
 となったとき、
 我が家の壁に貼ってある地図を眺めながら吉田さんが言った。

 「どうせならビゼンさんがまだ釣ったことのない川に行こうよ」

 さすがでございます。
 願ったりかなったりでございます。

 そして翌日、
 「この川のこのあたりが気になってたんですよ」
 なんて、
 ワクワクドキドキで勇んで川に降りてみれば……、

190718(12)12.jpg

 なんか、
 チャラッチャラの大渇水なんですけど。

 全体的にしょぼい。

 それでもフライを投じてみれば……、
190718(11)11.jpg
 どこに投げようとも、
 どのようにフライを流そうとも、
 新子ヤマベのピン子ちゃん軍団ピチピチパチャパチャ大猛攻。

 萎えまくり。
 
 この川、
 おもいきり外したかんじ?

 笹尾さんとともに、
 吉田さんに場所変えを提案してみたところ、

 「いや、せっかくだからここで釣りましょうよ」
 きっぱりおっしゃった。

 吉田さんのこの決断が、
 ワタクシのこの日の釣りをマンモス・メガ・ハッピーなものに変えてくれるとは、
 この時点では夢にもおもわず……、

 じぶんでこの川を提案しておきながら、
 むしろ内心、
 「ええ~、この川を釣りのぼるの~。萎えるなあ」

 流れはしょぼいし、
 釣れるサカナはみなピン子ちゃん。
 そのうえ蒸し蒸しと湿気ムンムンの不快な陽気。

 グデグデダラダラと、
 しばらく釣りのぼっていて……、

 この川にしては、
 ほんのすこし水深があって、
 支流の沢からの流れもドーッと流れ込んでいて、
 水量があるっちゃああるかも…それでもしょぼいかんじ。

 みたいなプールにさしかかったとき、
 前を歩いていた吉田さんが立ち止まって、
 流れのなかをジッと凝視しはじめた。

 (あ、サカナ見つけたな…)とおもって、
 「なんかいますか~?」
 なんつって近寄っていくと、
 「ホラ、あそこ……」
 と吉田さんが指さした方角の川底に、
 40センチほどのサカナが定位していた。

 きょうは手の平に納まるようなサカナしか釣っていないので、
 なんだかやたらとでっかく見えるぞ。

 しかし、
 この季節のこの状況で、
 こんな貧弱な流れにそぐわないような大きさのサカナがいるということは、
 アナタ…海からはるばる遡上してきはったんちゃうの?

 すごくあやしいぞ。

 「これ、チェリリンとちゃいます?」

 「ああ、そうかも。もうこんな上流にもあがってきてるんだねえ」

 チェリリンとは、
 チェリーなお名前のご法度マスのこと。

 おっきなサカナをみつけて、
 一瞬色めきたったけれど、
 なんだよチェリリンかよと意気消沈。

 ところが、
 ふたりでよ~く観察していると、
 どうもチェリリンにしては色とか影とかヒレの具合とか、
 なんかちがう。

 「やっぱこれ、ニジマスだよね」
 と吉田さん。
 「ですよね」
 とワタシ。

 即座に、
 「吉田さん、ぜひやってみてください」

 ところが、
 「いや、ここはビゼンさんがやりなよ」
 と吉田さん。

 この吉田さんの一言がワタシの運命を……以下略。

 川底に定位しているサカナの目前に沈めるために、
 さいしょはちょい重めのニンフを投げてみた。

 フライがチャポッと着水した瞬間、
 微動だにしなかったサカナがスパーッとフライにむかって一直線。
 「よっしゃ!」
 とときめいた瞬間、
 あろうことかサカナはフライの直前でUターン。
 そして元の位置に戻ってしまった。

 「だ~めだこりゃ」

 それでも立ち去り難く、
 しつこく狙っていると、
 その様子を背後でしばらく見守っていた吉田さんと笹尾さんが、
 こりゃダメだなと判断されたのか、

 「我々、上流に行ってるよ」
 「どうぞどうぞ~」
 なんつって、
 お二人が同時に河原を歩いた瞬間、
 目のまえの川底にいたはずのサカナが脱兎のごとく消えてしまった。

 二人とも気をつかって、
 水際から極力離れて歩き出したにもかかわらず……このありさま。

 なんたってこの超渇水。
 そりゃあサカナも神経質になるって。

 「ダメダメじゃん」

 と、
 そのつぎの瞬間、
 目のまえにいたやつよりもはるかにでっかくてぶっといのが、
 ズイ~ッと対岸沿いに泳いでいるのが視界に映った。
 そしてそのサカナは、
 対岸の倒木のエグレの奥にはいっていった。

 ドッキーン。

 あまりにおどろいて、
 しばらくそのまま立ちすくんでいると、
 その極太のサカナがソロ~ッとした様子でエグレから出てくるではないか。
 そして、
 またもやゆっくりプールの流れ込みのなかに消えていった。

 あんなのいるんだ……。

 そのとき、
 ふとひらめいたのだった。
 
 何十匹ものオショロコマにかじられてボディがボッサボサになっているだけでなく、
 彼らの怨念ものりうつっているかのようなボッロボロの「キンクマ」を、
 慎重に流れ込みに落として沈めてナチュラルに流してみた。
 
 ウエイトのはいったフライだと、
 着水音に怯えそうな気がしたからだ。
 そして、
 一気に川底に沈めるよりも、
 なるだけナチュラルに繊細に流したほうが良さげにおもえた。
 
 ダメ元でやってるけど、
 あんなごっついのいるんだったら、
 おもいついたことは全部ためしてみたいじゃん。

 そして、
 ちょうど流れ込みのヒラキのあたりにフライが流れていったとおもわれたとき、
 水中に突き刺さっているリーダーが、
 微かにククンッと……、

 「え?」
 とおもってグイッと竿を立てた瞬間、
 6フィート3インチ2~3番の短竿が有無を言わせないパワーでなぎ倒されて、
 まるで葦の茎をポキッと折り曲げたかのようになった。
 竿のバットというよりもグリップのところからお辞儀をしたまま動かない。
 動かせない。

 そのつぎの瞬間、
 グググググーーーンッ!と竿がのされて、
 ものすごいのがドッパーンと空中高く跳んだ。
 ドッボーンと水面に落ちて、
 ダッパーンッ!とプール中に水飛沫をまき散らした。
 そして、
 そのまま対岸の倒木めがけて力任せに疾走。
 ものすごい重量感。

 竿はもはや常にグリップのなかから曲がっている状態。
 どうにも止められません。

 しかも最悪なことに、
 つかっていたティペットは昨日からずっとつかっていて、
 そのまま結びっぱなしになっているフロロ5Xという体たらく。

 もう絶体絶命の負け戦。

 なので、
 どうせやられちゃうなら勝負や、
 なんておもって、
 倒木のエグレにサカナのアタマが突っ込まれる直前に、
 竿先が川辺の砂利にこすれそうなくらい竿を寝かせて荷重をかけプレッシャーをかけた。

 なんと幸運にも、
 そのおかげでサカナがいやがって向きを変えてくれた。

 よっしゃコレはひょっとしたらイケるかも。

 もう強気で攻めるしかありません。
 このような華奢な竿とイトで長期戦なんかしたら、
 いずれやられちゃうに決まってる。

 短期決戦あるのみ。

 サカナの走る方向とは逆に竿を寝かせて常にプレッシャーをかけつづけ、
 とにかく右に左に絶えず竿をうごかしながら、
 めまぐるしくサカナをひっぱる方向と向きと角度を変えつづけていると、
 パニックになってグオオーッとコチラ岸の浅場で魚体を激しくよじったサカナが、
 ついバランスをくずしたような横向き姿勢になった。

 このチャンスのがしてなるものか。

 いちかばちか、
 そのまま後ずさりしてサカナを強引に水際に引きずりあげた。
 その瞬間、
 リーダーのつなぎ目からティペットがブツッと切れた。

 間一髪。

 そして、
 まだまだぜんぜん疲れていなくて余力ありまくりの巨体が水際でドッパンドッパン跳ねまわり。
 取り込まれちゃって勝負がついたことにしばらく気がついていないようなかんじだった。

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 この貧弱な流れにいたとはおもえない、
 おそらく本流からのぼって来たのであろうメスのニジマス。

 ニシキゴイみたいな幅広の体高も、
 グッとひろがった横幅も、
 なにもかもボンボンのパンパンのパッツンパッツン。

 豊満という言葉がピッタリな熟女。

 でもねえ、
 このでっぷりしたお腹を、
 そっと指先で撫でてみれば、
 もうカッチカチの筋肉なんだよね。

 すげえや。

 20センチほどのオショロコマを釣るのにピッタリの竿でこのニジマス。

 ぼく……ほんとはとってもこわかった。

 半ば放心状態でこのニジマスを見つめるワタシにむかって、
 「いや~、これぞ執念だねえ」
 と吉田さん。

 吉田さんにいただいたそのお言葉、
 ワタシのこの夏の勲章です。
 
 「なんか、五月みどりみたいに熟しきった豊満ニジマスでしたね」
 というと、
 笹尾さんがプハッと吹きだしてウハハと笑った。

 そして、
 お二人は7時間かけて函館に帰っていった。

 また来てね。
  
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