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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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輪廻転生
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 サヨナラのまえに手尺でパパッとはかって60センチにすこし足りないかんじ?
 泣きのロクマルってとこ。
 
 ひっきりなしに釣り人が往来する人気河川にもかかわらず、
 魚体に傷や欠損がまったくない完璧無比のメスのニジマス。
 も~たまりまへん麗しのベッピン絶品筋肉マダム。

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 この場所にいた。

 一見しただけだと素通りしてしまいそうな、
 見た目いかにもショボイ岩盤滑床の瀬にいた。

 だが、
 マダムがここを根城にしていたのには、
 ちゃんと理由があった。

 対岸の雑木生い茂るバンク際が、
 畳二畳分くらい岩盤がガバッとはがされたように深みになっていて、
 川底には大小の岩や石が転がっている。
 そして、
 そこに適度な流圧の流芯が流れ込んでいる。
 そのため、
 ここを流下する昆虫たちは、
 ほとんどこの深みを通過することになる。
 しかも、
 雑木林のバンク際は深くえぐれていて、
 剥き出しになった木の根っこが張り巡らされた洞窟のようになっている。

 狭い空間ではあるけれど、
 巨体を忍ばせる深みや障害物の隠れ家あり~の、
 エサは追わずとも勝手に目のまえに流れ込んでき~の、
 釣り人はほとんど素通りし~の、
 彼女にとっては理想の棲家だったにちがいない。

 が、

 今年7月半ばのこと、
 そんな彼女の安住の地に、
 下心ムンムンの邪悪な魔の手が忍び寄ったのじゃ。

 上流にある人気ポイントを目指して、
 この瀬をザバザバと急ぎ足で歩いていた魔の手は、
 ふとこのバンク際が気になった。
 それで、
 行きがけの駄賃とばかりに、
 なんの気なしに、
 まったく期待もせず、
 ダラけたムードで、
 2Xのティペットに結んでいたフォーム製の特大フライを、
 ポーンと投げ込んだのじゃった。

 重量級のでっかいフライがベチャッと着水したその刹那、
 揺れ流れる波間のしたで、
 グラッと赤紫色に見えたでっかいのがフライにむかって浮上しそうになったかとおもうと、
 スッと魚体をひるがえしてまた深みに消えていった。

 フライを投げ込んだ立ち位置がすこしでもちがっていたら、
 光の加減や角度で水中のその魚体は見えなかったかもしれない。
 ビミョ~なかんじだった。

 魔の手はつくづく幸運だった。

 …おるやんけおるやんけおるやんけ!!

 しかも、
 サカナのその反応と挙動から察するに相当スレてるっぽいけれど、
 反面かなり喰い気が立ってるっぽい。

 イケル…コレハイケル…ゼッタイイケル…キットデル…

 アレハゼッタイデル!

 確信した。

 そして、

 …まず、
 ここからフライを投げるよりも、
 あっちに立って、
 あそこに投げて、
 フライをこう流して……、

 …さらに、
 掛かっても下流の轟々流れる荒瀬に下られて走られたらおしまいだ。
 きっと岩盤のカドでティペットが擦り切れるか、
 激流に揉まれてバレてしまいそう。
 それはなんとしても阻止したい。
 そのためには、
 あ~してこ~して掛けたらあそこに走ってってサカナを上流に追いやって走らせて……、

 めまぐるしく脳内シミュレーションしながら、
 ジリジリと立つ位置を変えティペットを4Xに変え、
 フライのサイズも落として地味目なのに交換した。

 で、
 一投目。

 岩盤のくぼみにフライが流れていくと……、

 水面のフライにスーーッと一直線に浮かびあがってきた巨体が、
 迷うことなくグボンッと鈍い水音を立てて、
 もうなんとも理想的なかんじでフライを吸いこんだ。

 フライに出た瞬間、
 喉元奥にがっぽり飲み込まれるのがわかるようなかんじ。

 よっしゃ!こ~れはバレない絶対バレない。

 掛かった瞬間、
 二度三度ダッダーンダッダーンッ!と魚体をくねらせながらド派手に跳んだけれど、
 ハリが外れる気はまったくしないので、
 めっちゃ強気の勝負。

 すぐさま下流に回り込んでザッバザバ水を蹴散らしてサカナを上流に追いたてた。

 あっぱれ素晴らしい闘いだった。

 いつもはけして意のままにはなってくれない、
 高根の花と恋焦がれる絶倫筋肉美女をあいてに、
 狙い定めた細心のアプローチも、
 掛かってからの丁々発止なファイトも、
 すべてが計算ど~り!ぱーふぇくと!!

 こんなこと、
 そうめったやたらとあるもんじゃない。

 ムッハーッてかんじ。

 天狗の鼻はにょきにょき伸び放題。
 ボクはいま、
 調子こきまくりのピノキオ状態。

 ゼペット爺さんに叱られそうだ。

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 ほんとにありがとう。

 ヒグマの金毛だけで巻いた、
 我が最愛の、
 絶大な信頼の特製ドライフライが、
 美熟女の口許で鈍い金色(←ココ、キンイロと読むんやなくてコンジキと読んでくれたまえ)に輝いている。

 たまらんなあ……。

 ほんとにほんとにありがとう。

 万物の長すべてに感謝。
 ありがとうありがとう。

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 気持ちがおちついて、
 ふと我に返ってみれば初夏の季節。

 命あるものすべてが輝き、
 生と性を謳歌する初夏の季節。

 深い森のなかを流れる美しい川には澄んだ水が流れ、
 さまざまな鳥たちが盛んに歌いさえずり、
 大中小の蟲どもはひっきりなしに飛び交い、
 木々の緑は鮮やかに色濃く我が胸に迫ってくる。

 すばらしいな美しいな……。

 満たされすぎたココロを持て余しながら、
 夢遊病のように、
 野性の自然にこのまま埋もれていくかのように、
 川のほとりをただそぞろ歩いた。

 もはや釣りなんかそっちのけ。
 きょうはもう充分なのです。

 ワタシ、
 これいじょう釣っちゃったら、
 もうどうにかなっちゃいそう……。

 世俗に戻れなくなったら、
 ボク困っちゃうワハハハハハハ。

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 鳥のさえずりに耳を澄ませながら、
 この岩壁をゆっくり歩いていたときだった。

 木の根っこのところから、
 なにか小さな茶色いものが、
 カサカサと音を立てて、
 崖をころがるように落ちてきた。

 さいしょは落ち葉かとおもった。

 のだが、
 それは小鳥の雛だった。
 幼い未成熟な翼をひろげ、
 ふるえるようにもがきながら、
 崖から落ちてきた。

 …うわ~かわいそうに…

 そうおもって、
 頭上を見上げると、
 目と鼻の先の枝にオオルリ(←wiki)がいた。

 …うっわすげえ!…

 当地ではさほど珍しくはないという話しも聞いたが、
 じぶんははじめて見た。
 いつか見てみたいとおもっていた憧れの小鳥。

 きょうはなんと幸運な日であろうか。

 これ以上はない幸運をかみしめているときに、
 シアワセの青い鳥がすぐ目の前で盛んにさえずっているなんて。

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 だが、
 様子がへん。
 
 目のまえに自分がいるのに、
 まったく逃げない。
 というよりも、
 ぼくの存在に気がついていないかのようだ。

 すぐそこの木の根っこや枝に飛び移りながら、
 さえずるというよりも、
 甲高い声で鳴き叫んでいる。

 そして、
 数羽のオオルリのメスとおぼしき茶色の小鳥もまた、
 その周囲でさわがしく鳴いていた。

 なんだなんだ?

 不思議におもって、
 その様子を眺めていたとき、
 視界の隅に映っていた木の根っこが、
 ズルッとうごいたような気がして、
 ハッとそちらを注視すると、
 そこに大きなアオダイショウが這っていた。
 こんな太くて長いヘビは久々に見た。

 とつぜん崖から雛鳥が落ちてきたこと、
 オオルリが逃げもせず鳴いていること、
 これで謎は解けた。

 オオルリの雛を襲うべくジリジリ巣に近づいているアオダイショウ。
 それに驚き恐怖した雛鳥が巣から転がり落ちてしまった。
 親であるオオルリは盛んに警戒音をだしているが、
 アオダイショウのまえにはなすすべもなく……。

 これはたいへん、
 すぐにヘビをどかしてやろうと、
 アオダイショウに近寄って手を伸ばした。

 が、
 ズリッズリッと木の根っこのうえを這うアオダイショウを見た瞬間、
 掴もうとした手をおもわず引っ込めてしまった。

 マムシなどの毒蛇は別として、
 ヘビを掴むことなんか自分にとって子供のころから造作もないことだった。
 むしろヘビを見つけたら嬉々として捕まえたい爬虫類大好きっ子。

 だが、
 オオルリ同様に、
 ぼくの存在などまったく無視して、
 ゆっくりと這っていくこのヘビを捕えることは躊躇してしまった。

 まじまじとヘビを見た瞬間、
 じぶんの奥底にあるなにかが射抜かれてしまったようだった。
 魂が抜かれてしまったようだった。
 心底ゾクッとくるものがあって立ちすくんでしまった。
 触れられない…とおもった。

 それほどまでに美しいとおもった。
 
 いや、
 その表現は適切ではない。

 いつ出会えるとも知れない久々の獲物をまえにして、
 興奮の極に達しているアオダイショウの身体は、
 深く暗い玉虫色にギラギラ底光りしていた。

 その輝きはどこまでも妖艶で、
 得体のしれない妖気と精気に満ち満ちていた。

 山仕事にいそしむいにしえの昔人が、
 伝説の大蛇をまえにして、
 大蛇が発する妖気のオーラにあてられて気がふれてしまった、
 などという昔話の源泉を見た気がした。

 おとぎの世界に迷い込んでしまったようだ。

 もはや、
 大切な雛をアオダイショウに喰われるしかないオオルリも必死。
 だが、
 アオダイショウもまた、
 生きるために必死だった。
 
 そんな光景を、
 生きるのにまったく必死ではない自分が、
 なにもせず、
 どうすることもできず、
 ただ、
 呆然と眺めているだけ。

 外の世界など、
 なにも知らなかっただろう雛鳥が、
 ぼくの足元で立ちすくみ、
 ただ震えていた。

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 そして、
 夏の陽が、
 ゆっくり暮れていった。

 いつもとおなじように。


戦慄ヒゲナガ・アタック
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 近所の釣り場のヒゲナガのサイズに合わせたシンプルなヒグマヘア・カディスTMC102Yの9番。

 竿先を震わせてビビビとフラッタリングさせると、
 ヒグマのガードヘアーを折り返して巻き止めて作った小さなヘッドが、
 いかにもな引き波を立てて、
 グリズリーのヘンハックルをつかったソフトなパーマハックル・ボディは、
 浮いているときは水面にベタッと張り付く下翅スペント。
 フライを沈めてスイングさせればファイバーが流水にザワザワ震えなびく下心満載のフライ。

 あれは6月のはじめ、
 近所の釣り場でのことだった。
 その日の夕暮れのイブニングライズは、
 そりゃ~もう素晴らしかった。

 晴天の昼間、
 生命感をまったく感じさせなかった水面のうえに、
 チラホラとヒゲナガが飛び交いはじめてしばらくすると、
 まずは対岸のバンク際でグボンッ!と重量感のある水飛沫があがった。

 陽が落ちるにつれ、
 どんどん数を増していくヒゲナガの群飛。
 真っ白な下翅をバタつかせながら、
 右に左に無秩序にジグザグに滑るように走るヒゲナガがたてる引き波が、
 薄暗がりの水面あちこちに見える。

 と、
 そんな水面をバタつき走るヒゲナガが対岸の岸際にやっと辿りつこうかという刹那、
 バンク際ぎりぎりのところでバサッ!と水飛沫があがって、
 次から次に水面からヒゲナガが消えていくではないか……。

 15ヤードから20ヤード先の対岸の際ギリギリにフライを投げ入れ、
 流れに押されるラインとリーダーに引っ張られるようにフライが水面をゆっくり滑りはじめた瞬間、
 ギラッとおおきな魚体が翻ってゴボッ!と重々しく水飛沫が飛び散り、
 フライもまた水面からかき消された。

 それはそれはエキサイティングでファンタスティックでアンビリーバブルな瞬間。

 そしてリールがギャーンッと悲鳴をあげ、
 極太の魚体が暗がりのなかシルエットになって魚体をくねらせながら何度も水面高くとびあがった。

 サカナを取り込んでいる最中にも、
 あっちこっちのバンク際でゴボッと水飛沫があがっているのが横目に見える。

 グオーッはよフライ投げたい!

 狂乱タイムのゴングが高らかに鳴り響いたのだった。

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 そして一心不乱に闘い抜いた。
 その余韻はとても甘美だった。
 夢のようだった。

 これはヤッバイでスッゴイでと、
 真っ暗になるまで水辺でとりつかれたように竿を振って、
 帰宅してからも、
 ああもあろうこうもあろうと、
 深夜までとりつかれたようにフライを巻いた。

 なんといってもすぐ近所の釣り場。
 明日から当然はじまるであろう連日連夜の夕暮れ川詣。
 昼は昼でどこかしら他の場所に釣りに行くし、
 はたして我が体力気力はもつのだろうか?

 明けて翌夕暮れ。
 昼間、
 ほかの川で釣りをしていても、
 あの狂乱タイムな夕暮れをおもうと気もそぞろ。

 まだぜんぜん陽が高いうちからこの釣り場に到着して、
 早々に準備して待機。
 川岸に座って、
 あまりにもヒマなので、
 ああなったらどうしよう?
 こうなったらどうなのか?
 ああでもないこうでもないと独り脳内妄想がはかどりまくる。
 それゆえ、
 ティペットに結んだばかりの濡れてもいないフライを別のやつに交換する。
 まだ一回も投げていないのに……。
 なんせ昨夜は巻きに巻いたのでヒゲナガ・フライ超充実。
 それだけに、
 コッチのほうがエエんとちゃうか?
 それともコレのほうが?
 いまかいまかとライズを待ちながら揺れに揺れる釣りごころ。
 たしか、
 そうやって4回くらい無意味にフライを交換したころ、
 遠目に見ると真っ白に見えるヒゲナガの飛翔する姿が川面にチラホラと……、

 見えはじめたな~とおもってすぐ、
 川面は産卵飛行のために上流にむかって飛翔するヒゲナガの大群飛で満ち溢れた。
 それはまるで水面にかかる天の川のよう。
 壮観。

 昨夕とはくらべものにならないほどのヒゲナガの量。

 これは……高まる期待。
 いや、
 高まりすぎる期待。

 ところがだ、
 このテの釣りに精通しておられる方ならば、
 もうすでにお察しかもしれない。

 この日の夕暮れ、
 羽ばたくヒゲナガの翅音が聞こえてきそうな集中群飛のなか、
 真っ暗になるまで待ってみたけれど、
 とうとう水面が弾けることは一度もなかった。

 (…ま、こういうこともあるでしょう、明日に賭けよう…)

 トボトボ川からあがって着替えてクルマにのって、
 その川沿いの道を帰路について、
 橋をわたってカーブを曲がったときだった。

 いきなりとつぜん、
 クルマのフロントガラスにバチバチバチーッと当たって砕ける無数のヒゲナガ。
 前方が霞むほどにあとからあとからぶつかってくるヒゲナガたち。
 ほんの一瞬で、
 つぶれたヒゲナガの亡骸と潰れて飛び散った脂の塊りで、
 もうなんにも見えなくなってしまった。

 まさに、
 ヒゲナガの集団大遡上飛行のピークの真っただ中にクルマを乗り入れてしまったのだった。

 「うわわわわ~~~!」

 路肩にクルマを止めて、
 外に出てガラスを拭こうとすると、
 こんどは我が身を包み込むようにブワ~と全身にたかってくる無数のヒゲナガ。

 たちまちヒゲナガのヒト柱。

 カサカサ全身を這いまわるヒゲナガ。
 シャツの襟元首筋ズボンの足元いたるところから侵入してくるヒゲナガ…あとからあとから…。

 「や~め~て~もうゆるして~~~!!!!!!」 

 発狂した。

 ふんだりけったりで帰宅。

 この季節のあの時間、
 あそこの道を通るのはとてもキケンなのだなと学習した……つもりだったのに……。

 明けて翌日の夕暮れ。
 のど元過ぎればなんとやら……「夢よもう一度」と。

 昨夜の天の川状態ほどではないものの、
 ものすごい大量のヒゲナガが上流にむかって川面を飛び交い、
 水面を走り回っていた。

 そして、
 昨夕と同様、
 一回も竿振ってないのにフライだけ無駄に結び変えながら、
 そんなヒゲナガの様子を川辺に座ってただひたすら眺めただけで日没。
 今夜もトボトボ帰路についた。

 そして……

 あのカーブを曲がった瞬間……、
 「しまった!」とおもったけれど時すでに遅し。
 バッチバチバチバチーーーッと、
 昼間きれいに洗ったクルマは、
 哀れ一瞬にしてブチャッと潰れた無数のヒゲナガの亡骸と脂でグチャグチャのベチャベチャ。
 ついでにニュルニュル。

 行き場のない怒り。

 もう懲りたこんなとこもう来るもんか!

 

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 でも、
 来ちゃったんだよねその次の日も……なんでだろうね?釣りたいんだね?。

 そしてこの日の夕暮れも、
 無数のヒゲナガ飛び交う水面はまったく異常なし。

 だったんだけど……クルマを走らせ例の橋のカーブにさしかかって、
 「あ、ヤッバイまたやってしもた!」
 とおもったつぎの瞬間……、

 バッチバチバチバチーーーという、
 数え切れない小さな命が弾け潰れ飛び散る後味のワル~イいや~~な破裂音が、
 しばらく耳に残ってしまった……。
 夢にも出た。

 しかし、
 じぶんはなんでこうも学習能力と危機管理能力に欠けているのだろう?

BOOM IT UP
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 早上がりした釣りの帰りに、
 ちょい寄り道の良い眺め。

 「おじいさん、クララが立った!」

 少女の、
 そんな歓声がこだましてきそうですね。

 こんな景色が、
 近所にごろごろ転がってる季節。

 浮き立ってます。


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 ミドリカワゲラの翅の色と質感を指して、
 「タバコのケムリのような色」
 と表したのは島崎憲司郎さん。

 本題とは関係ない余談ですが……、
 みたいにサラリと流すようにおっしゃっていたけど、
 「ほんとうまいこというな~」と脱帽。

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 きょうはニンフしかしない、
 と決めてドライフライなど他のボックスは家に置いてきた。

 なのであいにく、
 ミドリカワゲラを模したフライの持ち合せがなかったけれど……、

 ニンフボックスの片隅にコレがあったのじゃ。
 マンモスラッキーなのじゃ。

 10年くらいまえに富士山の麓の湧水の里川にて、
 シマトビケラの仲間の流下のときにつかっていたスパークルピューパ16番の残党。

 バンク際の筋に定位して、
 ずっと浮きっぱなしで、
 右に左にノリノリでライズを繰り返している、
 もう明らかにミドリカワゲラしか眼中になくなっているのだろう状態のニジマスに、
 けっこう確信を持ってスパークルピューパ16番をソッとおとどけ。
 
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 やや逆光気味の角度でフライを見てみれば、

 細身のアンダーボディを、
 スッカスカでフワッとくるんだスパークルヤーンの透明感。

 もともとはカディス・ピューパの脱皮殻の皮膜を表現して巻いたけれど、
 ここではそれを流れに揉まれたミドリカワゲラのクシャとつぶれたウイングとして……見ていただけますか?
 
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 超予感的中超一撃超会心。

 水面におちょぼ口突き出して、
 カプンッなんつって甘~い捕食音たまらんでホンマ。

 ギィーンとリールが鳴って、
 釣り気分がスカッと抜けた。

 透明感って奥が深いな。

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 風がとまって、
 波ひとつなくなった夕暮れの湖面に、
 無数で、
 いや無限に浮かぶユスリカ。

 足元からはるか沖まで、
 もうそこらじゅうでライズ。

 お察しのとおり、
 これがなんともかんともどうにもならない。

 本物が湖面をびっしり覆うように浮いてるときに、
 フライなんか糸がついてるだけで、
 ものすごい違和感。

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 もう意地ですよ。

 あのテこのテでナニして、
 ようやく三日目にして、
 弾かれてばかりで全然フッキングしないんだけど、
 それはそれでイライラするけど、
 昨日までのアタリもカスリもってかんじから一転、
 生命反応ビンビンになってきて、
 「お、ビゼンさん、きょうすごいアタッてるじゃないですか」
 なんつって、
 横で立ち込んで釣っていた、
 この状況をよく知る友に言われてメチャうれしかった。

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 っても、
 ライズの主はみんなオチャッピーなヤング手のひら大。

 ユスリカ呆けしているこの子たちを、
 コンスタントにいじめれるようになるのは至難の業だ、
 が、
 ようやく狙って釣れるかんじになってきてやや溜飲が下がったら、

 つぎはところでキミらのパパやママはどこにおるねん?

 ってなるやん。

 ここからの試行錯誤がまたえらい長かったんやわ。

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 満を持してダディおでまし。

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 6.5X のティペットと18番のフックで、
 重戦車ファイトのダディを2メートル以上の水深からひっぱりあげるのは、
 なかなかのスリリング。

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 たてつづけに超スリリング。
 バシバシッと連続して当たって色めき立つワタシ。

 よっしゃこれでわかった!
 パパもママも一網打尽やでえ、
 とめちゃくちゃエキサイトしたけれど……、

 なぜだか後がつづかない。

 この湖はほんとに甘くない。

 ダカラスキ。

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 ピーコックボディの隙間から、
 オストリッチのフワフワのファイバーがハックルみたいにツンツンしてるのが特徴です。

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 触手ユラユラゆらめくウニみたい。

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 底光り感はまんまヒゲナガのラーバの深緑光輝色そのもの。

 エグイ生命感です。

 いま、
 このスタイルばっか巻きたがって使いたがってるマイブームなボディ造作を、
 シンプルなニンフで巻いたみた作例サイズ12番。

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 コレはさっきのニンフのボディに、
 トッピングでいろいろ盛り付けた作例ウエットフック6番エクステンドボディ。

 いわば、
 「1800年代WC.スチュワートのスパイダーと、
 平成ニッポンのマシュマロ・エクステンションと、
 伝統のテンカラ毛バリ・スタイルが、
 オホーツクの川辺で出会ったあ、
 そして合体……」
 みたいな。

 ワタクシ的に、
 いろんなオマージュこもってるフライなんやで。

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 マジよ~釣れる。

 ともすれば調子こきそうになるけれど、
 調子こいたら釣り運がソッコー逃げるので戒めてます。


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 トロ瀬をドンブラ流れるセミに、
 いきなりダダダダダンッ!と水しぶき蹴散らし激しくもんどりうってヘッド&テイルで躍りかかった。

 いつ見てもアドレナリン噴射のこの光景を、
 ワタシは……白昼の奇跡……と密かに呼んでいる。

 そんな昼間のセミの釣りの余韻に浸りながら、
 友と河原にすわってイブニングライズをぼ~っと待っていたとき、
 いきなり唐突に、
 「ヤツは、まるで大海のホホジロサメのようにオレのセミに襲いかかったのだった…ちゅ~かんじやったやんな?さっき」
 とあらたまった文学調で語ると、
 なぜかすごくウケたのでうれしかった。

 セミの釣りはアゲアゲになるよねど~しても。

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 そんなオレ様のハルゼミ2018年度版。
 

 はああんもう、
 やりたいこと試したいことありすぎて……ものすごく切な愉しい。


釣り納め
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 我が家の玄関を開けるとこんな風景がひろがっている。
 いつのころからか、
 朝おきて、
 まず風で揺れているこの木の梢の揺れ具合と朝日のあたり具合を見て、
 その日釣りに行くかどうか決めるようになった。

 天気予報はまったくあてにならない。

 氷点下となったおとついの朝、
 いつものようにこの木を眺めて、
 なんとな~く「あ、きょう釣り納めの日だな」とおもったので出かけた。

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 こう見えて、
 対岸寄りに押しの強い流芯が流れていて、
 その両側が緩やかな巻き返しになって澱んでいる。

 サカナはその流芯のむこう側のバンク際の巻き返しに溜まっている。
 その地点まで距離にして20ヤード弱というところか。

 なかなか手ごわいポイントだ。

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 アウトリガー・スタイルなニンフィングで、
 この距離を投げて、
 自分の背丈よりも深そうな川底に軽いニンフをズッポリ沈めて、
 流芯の流れや水面に浮く落ち葉や北風に邪魔され翻弄されながらも、
 水面に浮いているリーダーが一瞬クッとおさえこまれるような微かなアタリをバシッと合わせて……、

 じぶんにとっては「これぞ!」会心の快挙。

 しかも、
 いまじぶんがもっとも関心と興味をよせている素材をこねくりまわして巻いた自分的最新ニンフに変えて、
 ほんの数投目でガッツーンと掛ってくれちゃって……、

 すばらしかった夢見心地。
 出来過ぎだ。

 案の定、
 午後を過ぎてすぐ鉛色の雲が空を覆って、
 冷たい北風がピープーふきはじめた。
 たちまち水面がどんよりと暗い色になってザワザワ波だち、
 ザザザーザザザーと川辺の木々が揺れながら最後の枯れ葉シャワーを川面に降り注ぎはじめた。

 万物の長にひたすら感謝。

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 翌日、
 朝起きたら我が家のまえがこんなんなっていた。

 天気予報はぜんぜんあてにならない。
BUBBLIN' POT RISE
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 Maxi Priest - Some guys have all the luck


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 波ひとつない水面。
 対岸スレスレに沿うように、
 ゆるやかな流れの筋がはいっていて、
 そこだけ水面がすべるようにうごいており、
 そこかしこ浮いた枯れ葉がその流れにのってノロノロと下っていく。

 風はピタリとも吹かず、
 霜が降りそうだった早朝の冷え込みから一転、
 濃厚な晩秋の陽の光がそのまま河原と水面に降り注いでいる。

 オホーツク地方の小春日和はものすごくこゆい。

 先週末、
 朝起きて外の景色を見て、
 「ヤッバイこれは行かなきゃ」
 とおおいに釣りごころが疼いた日があった。

 そこまで予感がする日なんて、
 シーズン通してそうザラにはないんやで。

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 16番サイズのビートル型のフライ一本でとおした。
 
 予感的中。

 ついこのまえは、
 22番サイズのハネアリに翻弄されて一日が暮れた釣り場。
 一見すると、
 ハネアリのときのほうがライズの数は断然多い。

 んが、
 ちがうの、
 全体的なライズの数じゃないの、
 「フライに反応してくれるライズ」であることが大事。

 水面いっぱいに浮かんでいる極小サイズなハネアリに、
 気まぐれで散発な定位していないマスのライズがたくさんある状況ではなく、
 ライズの数こそ少ないけれど、
 ライズしているマスはどれもこれも水面直下に浮いていて、
 特定のエサに執着しているわけではなく、
 水面にほどほどの数で浮いているちっちゃな色んな虫を拾い食いしながら、
 呆けたようにゆったりクルージングしてパッカパッカと水面に口先を出し、
 そのたびに背ビレや尾ビレがビロ~ンと水面から突き出ては沈んでいく。

 そんな光景が、
 目の前で途切れることなく繰り広げられるという、
 とってもとってもエキサイティングな状況。

 ひさびさにひっぱりだしたフライウエイトがシャウトしまくり。
 ちっこいくせして、
 なんとけったたましいリールなのか。
 ギャギャギャギャギャーーーっとリールが逆転するたびに、
 それまでシーンと静まり返って、
 鳥のさえずりの声さえ周囲の深い森の木々に吸い込まれていくような静寂の場が、
 一気に癇に障る感じの工事現場的けたたましさ。

 アタイちっちゃいけどテンションちょ~~高めよ~~、
 みたいな。

 かわええやんけこのおてんば。

 来シーズンは、
 このリールいろんな場所でギイギイいわせたろ。

 と、
 もはや来シーズンに想いを馳せてしまうような、
 これで今年は釣り納め的スペシャル・デイとなったこの日も、

 やはり、
 数匹の満足のいくマスを思い通りのアプローチで釣って触って放したら、
 満ち足りたというよりも、
 スーッと釣り気分がひっこんだ。

 この日に限らず、
 めったにないエックス・デイの日は、
 なにはともあれそのとき自分の知る限りココ!ってベスト釣り場に「オレのもんじゃ~」くらいに勇んでのりこんで、
 河原でガイドにライン通しているときとかもどかしすぎて発狂しそうになるわりに、

 おもったようにポンポーンと釣れちゃうと、
 最初は天にも昇る征服感と達成感に満たされるんやけど、
 それをしばらく繰り返していると、
 不遜にも飽きるのではなく、
 ましてや満足するのでもなく、
 なんか……さいきん気分が納まる。
 っていうか落ち着いてしまう。

 といっているくせに、
 そこかしこでライズするくせに反応激シブ、
 フライのサイズは本物ドンピシャ必須で、
 かつよっぽどタイミングが合わないと出てくれないシリアスでマイクロなハネアリ週間のときは、
 朝から夕暮れまでカッカカッカとしゃかりき。
 そしてイブニング、
 どうやってもフライを見てもらえないにもかかわらず、
 目の前は雨アラレ状態の夕暮れライズのあの無力感と脱力感。

 つれない相手には必死のぱっちであのテこのテでご機嫌伺い、
 そのくせ愛想良し器量よしにはスッと引いちゃって……いやね~ナニ様のつもり?

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 透明な陽の光に溢れた晩秋の空と、
 来たる冬にむかって鉛色に冷え澄んでいく川面の境目が曖昧になるような、
 オホーツクの秋。

 すばらしいな。

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 秋の空の一点が、
 カポンと揺れて、

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 音もなく、
 しずかな波紋がひろがって、
 秋の空をふるわせながら消えていきました。

 ワタシは詩人になりました。




 


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 ウヒウヒウヒ、
 ね~ちゃ~んカワイイ顔してバクバク食ってエエ腹しとるやんけパンパンやんけポチャポチャやんけムラムラやんけ、
 たまらんやんけ~

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 はよもっとおおきなってムチムチプリンになるんやでえ、
 ほんでまたオッチャンだけに釣られるんやでえウヒウヒ。

 オッチャンはドン引きのド下品な中年になりました。


 
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 光と影の織りなすイリュージョン。

 冬よりも、
 むしろ冬直前のこの季節が物憂げで苦手だった。

 けれど、
 こちらに越してきて、
 この季節もまた格別であるなゴージャスだなと感じ入り、
 実り多い日々が早瀬のように流れております。

 冬こそ巻く、
 巻くったら巻く、
 巻きまくるド!

 かるく、
 自己宣言もしつつ……、

 かしこ

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