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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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五勝手屋羊羹 from 函館
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 まだ雪代水がガンガン流れていた春のころ、
 ヘビーウエイトなニンフの釣り中心だった季節に、
 あくまでも手駒のひとつとして、
 ヒジョーに気楽に「お戯れ」に巻いたフライのひとつ。

 が、
 フト思い返してみれば、
 本流でも渓流でもダム湖でも湖でも、
 今年の春から現在までに釣りあげた、
 大物と呼べるニジマスのおそらく半数以上は、
 このフライで釣りあげることになった。

 ぶっちぎりなのでございました。

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 もちろんヤングなチャイルドもズコバコいじめたった。

 そんなわけで、
 このフライの目的であった
 「沈没して水面下を流下するビートルを模したナニソレ」という当初のスタート地点からも遠く離れて、
 現在では、
 なにを模したというわけでもないけれど、
 サイズやウエイトやバランスなどをマッチさせれば、
 当地オホーツク地方の各釣り場で季節や条件環境問わず、
 たいていどこでも良く釣れる、
 ときにメチャ効きの水面下ファジー系アトラクター・フライとして急成長急発展したのだった。

180919(10)10.jpg
 ちなみにコチラは、
 初夏のころからダム湖や湖でつかっているヴァリエイションのひとつ。

 もともとコガネムシの類を表現していたはずのフライが、
 ところ変われば湖底を蠢くヒルや水生昆虫やカジカ的イメージに変身するとはコレいかに?

 これをさあ、
 湖流を読んで湖底の変化を把握しながら、
 ポチャッと水面に落としてフワ~ッと狙ったピンポイント目指して沈めていくわけ。
 沈むフライに引っ張られるカタチで、
 水面に張り付いているリーダーがジワジワッと沈んでいく。
 んで、
 読みとイメージが的中す・る・と・・・・・、
 水面をジワジワしていたリーダーがいきなり「ツーンッ」と鋭く引きずり込まれて・・・・・・・、
 このアタリをビシッとあわせてドンッ!とくるの…もう最高に快感。

 が、
 ヒジョーに悩ましい問題がひとつあって、
 ジーロン系のヤーン素材をつかったフワトロ・ボディなソフト質感は、
 あまりに口当たりが良すぎるのかツルッと飲み込めちゃうのか、
 とかくフライが口中奥深くに飲み込まれてしまいがち。

 リーダーでアタリをとるスタイルならまだマシだけど、
 インジケをつけたルースニング的アプローチだと、
 かなり頻繁にガッポリやられちゃう。
 なのでときどき後味がとても悪いこともある。

 それにくわえて、
 いろんなヴァリエイションをせっせと作って、
 いろんな釣り場でさまざまなアプローチでつかっているとはいえ、
 このフライにばかり頼っているとマンネリ感も漂ってきて……、

 そんなこんなで、
 このフライはここ最近ちょっと封印気味。

 だったのだが……、

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 おそらく、
 数日まえにこの場所を歩いたのであろう、
 足跡の大きさから察するにまだ若いヒグマの足跡の横を通り過ぎて、
 上流へと歩くいつもの函館の吉田さん。

 話しはガラッと変わるけど、
 オレ、
 さいきん常々ひそかに思ってたんスよ。

 ウェーダーとウェーディングシューズの「早脱ぎ早着替え世界選手権チャンピオンシップ」ぜったい出場したいなって。
 オレ、
 誰にも負けねえぞと、
 「世界のてっぺん、獲ったるデ!」なんて、
 内心めっちゃ自負してたんスよ。

 でもスイマセン調子こいてました。

 函館にいたころ、
 吉田さんとはあんなにあちこち釣りにご一緒させてもろたというのに、
 コチラに越してきてから一緒に行くのひさしぶりだったもんで、
 このお方の超早技、
 すっかり忘れてました。
 
 釣り場に到着して、
 クルマを降りたとおもうと、
 アレと気がついたときには、
 もはやすでにお着替え身支度完了の吉田さん。
 悠々と釣りざおのガイドにラインを通して、
 さっさとティペットにフライを結んでおられます。

 しかも、
 バタバタ急いでいる様子なんか微塵もなし。
 むしろのんびり。
 
 このヒトにはかなわねえ……。

 常日頃、
 どんな世界でも、
 どんな分野でも「上には上が必ずいる」
 そう確信していたつもりなのに……。

 井戸の中のカエルと厚顔無恥を晒すほどイタイタしいものはないって、
 いつもつくづくおもっていたのに、
 調子こいて思いあがっていた自分がトテモハズカシイ。

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 ちょっと来ないあいだに、
 川はすっかり初秋の様相。

 森のたたずまいも、
 川の流れも、
 夏から秋へと移り変わろうとしていた。

 川面には、
 水面にも水中にも落ち葉が絶え間なく延々と流れており、
 それが浅瀬に堆積しつつあった。

 「このポイント、見た目はショボイけど、ヒラキのところにいつもやる気満々のおっきいのが定位してます。
 ソ~ッと近寄って、あそこらへんにバーンと大胆にフライ投げ込んで果敢に流してみてください」

 「わかりました。フライはコレでもいいですか?」
 と、
 シマシマ模様なラバーレッグ搭載のタランチュラ的パラシュート8番くらいのを差し出された笹尾さん。

 「バッチリです!ここのサカナ、ラバーレッグ大好きですから。それ、ぜったいイケます!」
 自信を持って太鼓判を押した。

 ものすごい期待して、
 三人して固唾をのんで水面を流れるフライを凝視。

 その殺気が伝わってしまったのか、
 何度も狙ってみたけれど、
 水面を流れる枯れ葉のあいだを漂い流れたフライには、
 残念ながら反応はなかった。

 そんなわけで、
 このピンスポットをあきらめて、
 上流に向かおうとしたのだけれど、
 いちおう念のために……、

 まったくおなじポイントに、
 しばらく封印していた例のフライをジワ~ッと沈めてフワ~ッと流し込んでみた。

 すると、
 水中に沈んで流れていたリーダーが「ブルンッ」と震えて……、


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 まるで翼のような胸鰭をめいっぱいひろげてカンカンに怒っている美人さん。

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 すべてのヒレがスラリと伸びてシュッとした凛々しいモデル体型。
 この川のニジマスの特徴でもあるゴマ模様をビッシリ全身に散らしてお肌ツヤツヤ傷ひとつなし。

 釣りあげられちゃってプリプリ怒っているところ申し訳ないけれど、
 ほんのちょいの間辛抱してもらって、
 落ち葉のベッドに横たわっていただいてポーズ決めてもらって、
 我が最愛のキュートで小悪魔な6フィート3インチ4番の竹竿とともにツーショット萌え写。

 大満足なイッピキとなった。

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 良き友ありて
 遠方より来たる。


 函館に住んでいたころ、
 筆舌に尽くしがたいほどにお世話になった。
 仲良くしていただいている友人でもあり、
 じぶんにとっては人生の大先輩でもあり、
 そのくせ腹を割って素顔で付き合っていただいている悪友、
 でもあるお二人が、
 連れだって遠路はるばる我が家に遊びに来てくださり、
 この連休を三人でめいっぱい愉しんだ。

 睡眠不足のまま一日中釣り巡ってもうヘロヘロ。

 なんだけど、

 積もる話しと愉しい話題が汲めど尽きない泉のごとく湧いてきた。
 そして川の流れのように、
 あとからあとから言葉が流れ流れて終始ペチャクチャおしゃべりは止まらず、
 軽やかな瀬音のように気持ちが弾んだ。
 そしてなにより、
 小春日和の日の陽だまりのように心がポカポカしていた。

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 フライフイッシングがとりもってくれた大切なご縁。
 
 年齢も、
 環境も、
 社会的立場も、
 なんなら考え方も、
 なにもかもがちがう。

 なにもかもがちがうのに、
 どうしてこんなにも近しい気持ちなんだろう?

 「類は友を呼ぶ」っていうのは、
 つくづく真理だと自分はおもう。

180919(9)9.jpg

 なんでも、
 吉田さんが小学生だったころにも、
 道内で記録的な大地震があったのだそうだ。

 そしてその地震がおきたとき、
 おりしも学校で授業中だったのだそうだ。

 「あのとき、先生がイの一番にスッとんで逃げちゃったんだよなあ、生徒全員そのままにして……」
 と吉田さんが言った。

 「そうですかあ、それじゃあ吉田少年はそのとき、大人の身勝手や社会の不条理を学んだんですね?」

 「そういうことだね……」

 釣りを終えて公衆浴場にむかう道すがら、
 そんな話しをした。

 風呂上がりのソフトクリームが、
 たまらなくおいしかった。

 
納涼ゲゲゲのオホーツク
 8月のはじめ、
 ここオホーツク地方も、
 想定外の連日の酷暑にうんざりしていたときのこと。

 そのダム湖のクルマ止めの対岸は、
 うっそうと生い茂る森が、
 崖のような急斜面の湖岸ギリギリまで迫っている。

 湖岸には、
 夏のいまを盛りにワッサワサ葉っぱを茂らせた木々の枝が湖面に低く高く張り出している。
 
 竿を振れる場所はおろか、
 足場が狭すぎて湖岸を移動することもままならない。
 
 はるか遠目に見える岸際ぎりぎりの重々しく激しいライズの水飛沫が、
 いつもなんとも切なく恨めしかった。

 ……行きたい……あそこまで行ってフライ浮かべたい……。

 切実にそう願いながら、
 その湖岸は長らく難攻不落かつ未知の領域であった。

 この日、
 そのダム湖がかなり渇水していた。
 いつもの釣り場となるインレット付近に立ち込んで、
 静かな水面にフライを浮かべたり沈めたり軽くひっぱったりしてみた。

 渇水して浅くなって勢いのなくなった流れ込みはとても貧弱。
 サカナの反応は皆無だった。

 しかし、
 はるか彼方の湖岸はたいへんにぎやかだ。
 岸際ぎりぎりの倒木の際や水面にはりだした大木の枝の下で、
 かなりの頻度で水飛沫があがっている。

 ザバッ!なんつって……。

 切ないっていうよりも、
 なんかこのナマ殺し状態に業を煮やしてしまった。

 テレッと流れる減水した流れ込みは、
 ベストの裾を濡らすだけで無事に対岸に渡ることができた。

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 ライズ地点を目指して、
 おっかなびっくり湖岸を歩きだしてみる。
 岸際は足元からストーンと切れ込むようにほぼ垂直の岩壁でドン深。
 青々とした水の底はまったく見えない。
 
 岩盤質の湖岸はでこぼこで、
 ちいさな岩のでっぱりとか、
 埋まった石なんかが水際に点在している。
 そこに足をかけて、
 湖面にはりだしている枝につかまりながら進んでいくと……、

 なんか、
 けっこう行けちゃうかんじ?

 これは大発見だと枝をかき分けながら奥に突き進んでいくと、
 なんだか周囲の雰囲気というか空気がガラッと変わった。

 湖面にはりだした木々のトンネルのしたは、
 風通しがすこぶる悪く、
 さらに炎天下の熱射にカッカと照りつけられている。
 薄暗い日陰なのに、
 ナマぬる~く熱気と湿気を含んだ空気が澱んでいる。
 
 水際に堆積した泥がズルズルネチャネチャ足元をすくいヒヤッとさせられる。

 しかも、
 ズルッと滑ってヒヤッと冷や汗をかいたところに、
 蚊とかアブとか無数の微細なウザくて痒い虫がブワンブワンたかってくる情け容赦なく。

 なんしかイロイロものすごく不快。

 しかし、
 こうして湖岸をじりじりと進んでいるあいだにも、
 あそこの倒木の下の水面では、
 ザバッ!
 ザバッ!
 と水飛沫。

 奮い立つじゃん、
 行くしかないじゃん、
 まっとれよ、
 と思うやん。

 かくして、
 しゃがんで背中丸めてサイドキャストすれば、
 左利きならどうにかアプローチできそう……かも?
 という地点にまで近寄ることができた。

 そ~っとしゃがんで、
 リールからラインだして、
 チャンスをうかがう。

 とつぜんグワボンッ!!とすごい水音がして、
 水面がグワッとへこむように揺れながら、
 ドバッと水飛沫があがった。

 遠目に焦がれるような気持ちでずっと見ていたこのライズ。

 目と鼻の先で、
 射程距離から見たそのライズは、
 そりゃあもう迫力満点だった。

 そして、
 これは出る……そうおもえた。

 が、
 いざ勝負、
 と勇んでみれば、
 案の定、
 頭上ぎりぎりに高く低く張り出した木々の枝が、

 ブチ切れるほど邪魔!

 四苦八苦してどうにかこうにかフライを水面に浮かべたが、
 ライズ地点よりやや手前。
 だが、
 これがいっぱいいっぱいなので、
 このまま待つ。
 ジーッと待つ。

 まったく出ない。

 そして、
 あれほど頻繁にドバッ!とライズしていたのに、
 フライを投げだしてからは一回もライズしてくれない。

 近寄りすぎて警戒されたのだろうか?

 しかし、
 ここからしか投げられる場所はない。

 ヤツがまたライズするまで、
 待つしかない。

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 背後に生えているフキの葉っぱを泥の湖岸に敷いて、
 そのうえに座って、
 夏草とフキの葉っぱのなかに埋もれて、
 膝を抱えるような格好で、
 背中を丸めて待つ。

 一心に水面を見つめながら、
 ……来い……来い……とひたすら念じながら、
 息を殺して待つ。

 そのときだった。

 背後の、
 鬱蒼と生い茂る深い森の奥で、
 カサ・・・カサ・・・カサ・・・とかすかに何者かの足音がきこえる。

 耳をすませると、
 なんか、
 なんか、
 なんか、
 こちらに近寄って来てるんですけどウッソマジで?

 おそるおそる背後をうかがっても、
 森の奥はなんにも見えない。
 草木も揺れない。
 でも、
 カサ・・・カサ・・・カサ・・・
 足音は確実にこちらに近づいている。

 もちろん一瞬クマ?とおもいキンタマがキュッとちじみあがった。

 が、
 足音はとても軽い。
 重量感は感じさせない。

 シカ?
 それなら脱兎のごとく逃げていくはず。

 なんだこれ?
 キツネ?
 タヌキ?
 そ~だそれなら納得そうに決まった。
 ボク、
 ゼ~ンゼンこわくないもん。

 にしても、
 カサ・・・カサ・・・カサカサカサ・・・

 もはやほとんど自分の背中の真後ろで響く足音。
 こんな、
 身動きすらままならない場所で、
 なんか、
 薄気味悪さがどんどんつのってくる。

 ちょっとお…しつこいのとちゃう?

 いいかげんムカつくでアッチいってんか。

 いや、
 ムカつくのとおなじくらいメッチャうすら怖い。
 しばくどワレ~…もうこのへんでゆるしてくださいませんか?。

 「あの~、ボクここにいるんですけど~」

 たまりかねて、
 森の奥に大声で呼びかけてみた。

 すると、
 竿先でつつけそうな、
 ほんのすぐ目の前の草藪のなかで、
 カサカサ……
 と足音がして、
 何者かが森の奥に消えていった気配がした。

 うっわそんなとこにおったんや!とブルッと軽くトリハダがたった。

 しかし姿は全く見えない。
 これがもう不気味で不気味で……。

 そして、
 足音はようやく消えた。

 とはいえ、
 ライズはまだいっこうにない。
 サカナの気配もない。

 でも、
 ボクもう悠長におサカナがまた来てくれるの待ってらんない。

 せっかく苦労してここまで来たんやから、
 釣れないまでもせめて水面にフライを浮かべたい…、
 という切なる釣りごころと、

 もうヤダこんなとこ…はよ撤退したい。
 というヘタレごころが、

 胸の奥ではげしく交錯しせめぎあう。

 せめぎあったが、
 けっきょく、
 フライは水面に浮かんだ。

 この状況ではむやみやたらにフライを打ち返すのはトラブルの元。
 そしてサカナを警戒させるだけ、
 とにかく待つのだ……と肝に銘じて、
 水面のフライをひたすら凝視。
 視線と気持ちと欲望のすべてを集中させる。

 そうやって、
 どれくらい待っただろうか?
 
 なんの変化もなく、
 フライはひたすら水面を浮き漂っている。

 打ち返そうかな、
 どうしようかな……、

 心が揺れていたときだった。

 背後に、
 なんかほのかな気配がして……、

 ハッとうしろを振り向くと、
 ほんのすぐ目の前の湖岸に、
 全身をサランラップでくるんだようなテカテカ艶光りしている真っ黒な塊りがドテッと横たわっていた。
 
 大きさは、
 キツネほどもあっただろうか。

 え?
 なにこれ?

 そのとき、
 その物体からヌ~ッと長い首が伸びたかとおもうと、
 唖然としている自分とバッチリ目と目があった。

  うっっわっ!!

 おもわずずっこけ腰が抜けたようになって尻がズルッとすべった。
 ウェーダーも竿も両手もたちまち泥まみれ。

 その瞬間、
 真っ黒な塊もまた、
 のけぞるような態勢になって驚愕の表情を浮かべると、
 そのままズルンッと身体を滑らせるように音もなく水中に潜っていった。

 キミは、
 くっそビッチなミンクの驚きふためいたナマ顔を間近で見たことがあるだろうか?、
 まるでムンクの名画「叫び」そのもの。
 わろてまうでホンマ。

 ふってぶてしいっちゅうかクッソ生意気ちゅうか、
 わっるいツラ構えしとんでミンク。
 それがクワッと口あけてアホみたいなビックリ顔晒して、
 そのくせこちらを小馬鹿にしたような態度で、
 ズルルルルンッとウナギ犬みたいな身体を滑らせて、
 水飛沫もたてず一瞬で水中に消えていった。

 そして全身脱力、
 なんだよミンクかよ~。

 そのときだった! 

 背後でガボンッ!

 え?

 ふりかえってみれば、
 大きな波紋とともに、
 我がフライが水面から消え去っておるではないか!

 うっっわ!

 おもわず竿をグイッとあおった。
 ググンッとたしかな手ごたえ。
 やった!

 が、
 リールや竿についた泥がビチャビチャッと飛び散り、
 顔や首にベチャッとかかった。

 それはまあいいとしよう。

 最悪なのは、
 事前にあれほど掛ってからのシミュレーションをしていたにもかかわらず、
 おもいきり竿を立ててしまったので、
 頭上の木の枝に竿先とラインがガッツリ絡みついてしまった。

 ど~すんのコレ?
 ラインが絡んだ小枝がサカナにひっぱられてグングン曲がって揺れている。

 なんとかしなければ……、
 立ち上がった瞬間、
 ズルッとすべって泥のうえにモロに尻もち。

 もはや全身グッチャグチャのドッロドロ

 負けるもんか、
 ラインをガガガと力任せにひっぱって、
 木の枝ごとむしりとり、
 ロッドを背後に放り投げて絡んだラインをほどこうとするも、
 グルグルに絡みついてにっちもさっちもいかない。
 
 ラインの先は水中深くに突き刺さっており、
 もはやダルダルにたるんでいる。

 嗚呼無情。
 せっかく掛けたのに外れてしまったか……、
 
 が!
 そのラインがギューンと水中を走っていくではないか!

 まだ掛ってる!!!!!

 無我夢中でラインを両手でにぎってそのまま引っ張る。
 グイグイくる手ごたえ。

 まだ掛ってる!!!!!!!

 が、
 さっきまで指をくわえて眺めているだけだった激しく重い水飛沫のライズから想像していた手ごたえとは、
 なんかちがう。
 ものすごい闘いになると予想していたけれど、
 なんか、
 えらい簡単に手元に寄ってくるんですけど……。

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 サカナに罪はない。
 むしろ、
 釣れてくれたことに感謝。

 なんだけど……、
 
 きっとおそらく、
 狙っていた巨マスは、
 ぼくの存在にすぐ気がついて、
 さっさとどこかに消えてしまったのだろう。
 そして、
 そんなボス不在の一級ポイントに、
 育ち盛りのヤングがコレ幸いにやって来て、
 ぼくのフライに喰いついちゃったのだろう。

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 泥まみれで脱力のイッピキにサヨウナラ

 ドロドロのラインと竿を洗って、
 絡んだラインをほどいていると、
 ちょっと離れた場所の水中から唐突にミンクがポカッと浮かんでズルンッと湖岸にあがってきた。
 そしてコチラをチラッと一瞥すると、
 スルスルと森のなかに消えていった。

 ミンクか消えていった木々と藪の奥で、
 カサ・・・カサ・・・カサカサ・・・
 という乾いた軽い足音がしばらく響いていた。

 アホミンクめ。

 アイツのせいでもうふんだりけったり。

 ではあるけれど、
 クククと忍び笑いが気持ちの奥からとめどなくこみあげてきて、
 あ~オレいますっげえたのしい。
 シアワセだな~~とおもった。

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 この夏の、
 忘れがたい小さな冒険をこのフライとともに……。

 名作中の名作ファンシー・スタンダード「レッドタグ」サイズ10番。

 18世紀の英国で生まれた夢見るファンシーフライは、
 ここ北の大地のサカナたちにも評判すこぶるヨロシ。

 浮かせても、
 沈めても、
 漂わせても、
 軽くひっぱっても、
 夏のボクらをシアワセにしてくれるフライ。

 

 
エネルギッシュ婚姻色は「性」の目覚め
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 いぶし銀のウグイ。
 いつものウグイ。
 キミはウグイ。
 どうしてもウグイ。

 いかにもな素晴らしい渓相に惹かれてはいったはじめての川。
 「ここはいるでしょ~!」
 などとおおいに盛り上がって期待して、
 いかにもなポイントをワクワクで釣りはじめてみれば、
 そこはウグイの魔境だった。

 すこし下流で釣っていた吉田さんがあがってきたので、
 「ここ、ウグイすごいっすね」
 と気が抜けたかんじで言うと、
 「いや~、ウグイに罪はないけれど、萎えますね~」
 と脱力した口調で言った。

 けして憎んでるわけやないけれど……、

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 6月のはじめ、
 うららかな陽の光のした、
 くるぶしくらいの深さしかない砂利で埋まったチャラ瀬に、
 数百数千数万のウグイが集結して、
 さかんに水飛沫をあげながら、
 いまを盛りに産卵していた。

 「ウグイの瀬づき」

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 どぎつい橙色の婚姻色がクッキリ浮き出たウグイ。

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 頭から背中にかけて、
 白いボツボツがびっしり鳥肌のようにひろがっている。

 発情の証し。

 イカ臭い思春期真っ盛りの子供のころ、
 ウグイやオイカワの婚姻色を指して、
 「もし人間にも婚姻色があったらどないする?」
 という、
 子供らしい素朴な議題で、
 アホの子たちみんなでよってたかって真剣に議論した。

 「かんがえてみ?ちょっとでもエロい気分になったら、
 身体にオレンジ色の線がうきあがって、顔中にブワ~ッてボツボツがでてくるんやで」

 「プールとか行ってエッチ気分になって婚姻色でてしもたら、
 うっわ、アイツこんなとこで婚姻色だしてるやんけ、とかヒソヒソされるんやで」

 それはとても困る、
 と、
 アホの子たちはみんなおもったものだった。

 
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 時は流れて、
 大人になってかんがえてみれば、
 もし人間に婚姻色があったら、
 陰口どころか、
 人間社会のありようは、
 なにもかもすべて根底からちがっているだろうな、
 といろいろ想像してしまう。

 ていうか、
 大人になってもそんなことばっか夢想している。

 嗚呼婚姻色。

 婚姻色といえば、
180714(9)9.jpg
 7月にはいってすぐのこと。

 この場所はエサを探しているビッグが定位する超A級必殺トップシークレット・ゴージャス・ミラクル絶好ポイント。
 なので、
 ここを釣るときはものすごい気合いがはいる。

 この日、
 このポイントに行ってみると、
 胸くらいの水深の川底の岩盤の切れ目のところに、
 真っ赤なビニールのようなゴミが引っ掛かっているのが、
 波間を通してチラチラ見え隠れ。

 「無粋だな~、あとで回収でけへんやろか」
 などとおもいながら、
 ぶ厚く重い流れの底にヘビーなニンフをドスンと沈めて流しはじめて数投目。

 水中に突き刺さって流れているラインを通してグッと感じる微かな生命感。
 バシッとあわせたつぎの瞬間、
 さっきからず~っと川底で微動だにせずユラユラしていた真っ赤なビニールが、
 いきなりスイッチははいって電流が流れたみたいに暴力的にガガガガガーッと上流に突っ走って、
 そこでダッパーンッドッバーンッと真っ赤な魚体をくねらせながら飛び上がって、
 ドッボーンッと水飛沫けちらして水面をたたきながら力まかせに落下した。
 そしてこんどは下流にギイイーーーーーンと激走した。

 なんだなんだと一瞬パニくったけど、
 あまりに強引で金属的かつ直線的な走りに、
 きっと遡上魚的な何者かの魚体の背中らへんにフライがスレて引っ掛かってしもたんやな…とおもった。

 正体が見たいけど、
 この激しい荒瀬の川底で有無を言わせない重量級の走りっぷり。
 
 じきに外れるか、
 もう永遠にあがってこない感じかも……、

 ところがいつまで経っても外れないし、
 しばらくの攻防戦で、
 なんとなくサカナの動きがコントロールできてきてるかんじで……、

 意を決して、
 ダーッと下流の澱んだところまで走っていって、
 おそるおそるそこに誘導して、
 グワングワン魚体をくねらせる正体不明を至近からチラッとみてみれば、
 なんとフライがちゃんと口に掛ってるっていうか、
 フライがっぽり飲み込まれてんじゃん。

 こ~れはイケルかも!

 ぜひとも正体が見たい!





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 ヒイヒイハアハアでようやく無事に謎の遡上魚的な何者かをめしとって眺めてみれば……、

 頭のてっぺんからクエスチョンマークがスーパーハッチ。

 これって……ソッカイ・サーモン?……紅鮭??????
 なんでこんなところに?? 
 どういうわけ???
 え?
 どういうこと?????

 ここ、
 海からかるく数十キロは上流なんだけど??????
 今年はまだサクラマスもここまでのぼって来てないんですけど???

 っていうか、
 ソッカイサーモンて、
 そもそも日本の川に遡上するの??????

 聞いたことないけど……、

 ていうかこのばあい、
 このサカナは法律的にどういう扱いなん?
 アキアジやカラフトやサクラマス的待遇なん?

 なんかボク、
 いけないことしちゃった?

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 だれか詳しい方おられたら教えてほしいです。

 たくさんのハテナを残したまま、
 孤独な遡上魚はたちまち回復して態勢を立て直すと、
 なんとも力強く荒瀬のなかに消えていった。

 蛍光色のような真っ赤な婚姻色の魚体と、
 抹茶にミルクを混ぜたような暖色オリーヴなアタマの色のコントラストが、
 鮮烈な鮮やかさで美しいなとおもった。

180714(12)12.jpg

 そしてなにより不思議なのは、
 このサカナがコレをがっぽり飲み込んだこと。
 
 ロングシャンク4番に巻いた超ヘビー・特大ウエイテッドニンフ。

 川底に定位した魚体をまったくうごかすことなく、
 ニジマスの大物がいつもやるような「居食い」で、
 上流から流しこまれたこのニンフを静かにフッと吸い込んだのだった。



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 このようなヘビーウエイトなニンフを轟々流れる荒瀬の底にうまく誘導して、
 まんまと喰わせて、
 あの微妙で微かなアタリをバシッとドスンッ!と掛けたときの電撃の「してやったり感」はたまらないものがある。
 
 そして、
 こんなフライが必殺キラー・パターンになることも多々ある当地の釣り場。
 しかもそこは人跡稀な秘境でもなんでもなく、
 人の生活の隣を流れている川。
 それって、
 あるいみ世界でも稀有で特殊な環境とちゃうのかと、
 誇らしくおもっている。


  
オショロコマのナブラ
180714(1)1.jpg
 ここは静謐と畏怖が同居しているところだ。

 どこでもたいがい覚悟決めて単独でグイグイいきまっけど、
 ここはさすがに川通しは独りでよう歩けん。
 
 そこかしこヒシヒシビシビシ感じる野性の気配にビクビクおののきながら、
 沢にかかっているいくつかの橋のところだけチャチャと釣る。

 でもぶっちゃけ、
 ここでの釣りはそれで充分。

 目のまえの林道にクルマをとめて、
 橋の上から小さなフライをヒョイと落として釣る。

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 シルキータッチな6フィート3インチ2番がギュギューンと橋の下に突っ込まれて、

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 橋のうえから記念に撮ったクソショボイ写真。

 これでたぶん40センチくらいのアメマス。
 それぞれの橋のたもとの一番良いところに、
 必ずといっていいくらいこういうのがイッピキづついる。

 そしていちばん最初にフライに出る。

 どの橋の親分格も掛けたとおもうが、
 まだイッピキも取り込んだことはない。
 橋のうえから釣っているので、
 この道具だてでは引っ張り上げられない。
 そして16番くらいのファインワイヤなバーブレスフックを、
 わざわざチビッチビに砥いでつかっているので、
 グイグイ暴れまわっているとじきに外れるかフックがのびてバレる。

 でもそれでいいの。

 目的は、
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 こまっしゃくれたコマっちゃん。

 おちょぼぐちのコマっちゃん。

 フックをチビッチビに砥ぐのはこのため。

 さいしょに橋の下をところせましとアメマスが走り回って、
 いばっていた親分が隠れ家に逃げ込んでからしばし待つと……、

 橋の下はなんだかたちまち賑やかな生命感。

 怖ろしい親分不在となった流れのどこからともなく、
 このときを待ってましたとばかりにワラワラワラワラとオショロコマが湧くようにでてきて、
 フライの奪い合いが始まるのだった。

 そんな様子仔細が、
 澄んだ流れを通して橋のうえから丸見え。

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 コマっちゃんええなあ。

 巨ニジマス恋慕の日々でグラグラ煮えたぎりすぎた釣り気分を、
 ときにコマッちゃんいじめでいったんリセットしてクールダウン。

 コマッちゃんいつもおおきに。

 
Dim The Light
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 今夜はわたくしの厳選秘蔵メロメロ動画ライブラリーからひとつご紹介です。

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 〆はこの曲で → ピピカソ

 
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