BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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アーガス・セレナーデ
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 レオン雄のコンプリートウイングのセカンダリークイルの根元に生えている、
 ウイングカバー部分を水に濡らして半裂きにしてセパレーター処理したものをボディハックルに巻いた小型ディーウイング。

 つかったフックはTMC202SP の6番。

 バリッというかブルンッというか、
 ハリとコシのある適度な長さのファイバーで、
 タイガーヘロンもかくやの鮮明な霜降りマダラ模様。

 なんちゅうか、
 一歩先行くモダン・ハックル的未来感?


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 そしてジュラシックな妖鳥アーガス・フェザントのセカンダリークイル。
 

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 かつて、
 私の家にはアーガス丸ごと一羽分のセカンダリークイルがありました。
 というか、
 一羽丸ごとおりました。
 それはそれは壮観だった。
 圧倒的でした。
 「こんなん一生かかっても使い切れへんなあ」
 とつくづくおもっていた。
 
 が、
 お世話になった友人にセカンダリーを一組進呈したほかは門外不出。
 後生大事にがっつり抱えておりました。

 そしてあれからもう早10年あまりの時が流れ……、

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 バッツンバッツンてかんじでザクザク切っていると、
 やっぱなくなるんですねアーガスといえども。

 気がついてみれば確実に、
 終わりが見えてきた在庫量。

 が、
 自分のフライタイイングにおいて、
 この羽根との出会いがなければ……、
 くらいに感謝したい勢いで後悔はまったくないんですよ。

 でもヤッパこれからはチョビット計画的にネ。


  
JOCK SCOTT に捧げる愛のポエム
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 トラディショナル・ジョックスコット#7/0

 いまさらながらハタと気がついたのですが、
 意識していたわけでも意図的でもなく、
 フライのジャンル問わず当ブログにおいてブッチギリ最多登場しているのは、
 期せずしてこのジョックスコットだったというのが、
 我ながらなんとも感慨深いです。

 おもえば、
 フルドレス・サーモンフライのタイイングに本腰入れて取り組みだしたのが、
 このブログをはじめたのと同時期。

 んで、
 その当初からなんだかんだ毎年ジョックスコット巻いては掲載しているはず。
 ということは、
 それらのジョックスコットを年代ごとに並べれば、
 それはそのまんま「ミツグのフルドレス修練日記」になるわけで……。

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 ただキレイに巻きたい…と渇望してひた走っていた道からは、
 いつのころからか知らず知らずおおきくそれて、
 気分のおもむくままにたくさんの曲がり角をまがってダラダラと寄り道をこそ愉しみながら、
 そして得たひとつのゆるぎない結論。

 「なんであれ自分らしく巻きたい」

 なんだかんだゆうて、
 興味と目的のすべてはここにこそ集約されるわけで……。

 ということは、
 終着点もしくは着地点あるいはゴールなど、
 いわゆる到達の域というのはもはや意味がなくなってしまったわけで……。

 父さん、
 ミツグはいまだ迷宮です。

 From 羽根の国から

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 みんな見て見て~、
 今回のジョックスコットは、
 ウイング素材もスロートも、
 ぜ~んぶヘッドぎりぎりのとこに一点集中でピンスポットのまったく同じ位置に縛りつけてみた。
 スレッド4~5回転数ミリ幅が土俵ですキャハ。

 そして、
 幾多の素材を巻き止めたヘッドのところは、
 なにか金物のキャップをパカッと嵌めたみたいな、
 円盤型のコーティングヘッド。

 このように巻くことで、
 スロートハックルが一糸乱れず、
 フライの喉元ギリギリからスパーンと鋭角的に整然と並んで生えている、
 というのが今回のジョックスコットに掲げたテーマのひとつ。

 で、
 そんなギニア・フォウルをつかったスロートハックルは、
 通常みんながつかっているギニアの背中のところの霜降りの羽根じゃなくて、
 あえて翼の下にはえているシンプルな白黒スポット模様の羽根をつかう、
 というへそ曲がりっぷりだ。

 とうそぶきつつ、
 とくに肩肘張ってこだわっているわけでもなく、
 この部分の羽根をハックリングしたときの鮮明なモノトーン・ゼブラ模様チョ~いかしてんじゃん、
 というのが、
 ボディとスロートハックルの造作がものごっつ「フライのかなめ」に映るワタシの今の気分。

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 本来、
 ボディ・ヴェイリング素材のオリジナル指定は「トウキャン」の胸の羽根。
 
 これはまえにもきっと書いてるとおもうけど、
 個人的にこのパーツにはゴールデンフェザントの頭のうなじのところに数本生えている、
 短くて幅の広いクレストフェザー……その形状を指してスプーンフェザーと呼ばれている小羽根をメチャクチャ気に入っている。

 この羽根はもともとトウキャンの代用品としてつかわれていた素材。
 なんだけど、
 ぶっちゃけたこというけど、
 トウキャンの消え入るようなバター色をしたフワフワのファイバーをつかったボディ・ヴェイリング、
 まるでハワイアンの腰蓑みたいな健康的お色気もそりゃ~たまらん。

 ねんけど、
 スプーンフェザーの金黄色にギラッと反射しながらゆるやかな曲線をえがきつつ、
 スッケスケに透けてるピッチピチのタイトスカートばりのシャープなボディコン的妖艶さにワシたまらんくらいグッとするねん。

 この素材に関しては、
 もはやトウキャンの代用品などとはまったくおもっておりません。
 最高のエキゾチック・フェザー・マテリアルのひとつ。

 あと、
 これも私見なんだけど、
 この素材をボディ・ヴェイリングにつかったジョックスコットを額装して照明をあてると、
 この部分がトッピングやテイルと絶妙に調和しながら光を反射して、
 まるでフライが後光に包まれているかのようにより映えて見えるところも素晴らしいとおもう。

 と、
 そんな魅惑の小羽根をやねえ、
 タグの末端からギュ~ンと急テーパーをかけた存在感ムンムンの特製極太つるっつるシルク艶ボディのうえに、
 フワ~ッとかぶせるわけですよ……いや~んもう自画自賛。

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 とかなんとかマニアック・トーク全開ですが、

 そんなメチャメチャ好きです~とか、
 マイ・モ~スト・フェイヴァリットですう~とか、
 そんなふうには全然おもってもないっていうか、
 あくまでもほかのトラディショナル・クラシックと並んでどれもこれも大好きです、
 という位置づけのジョックスコットなんですけれど、

 これまで、
 こんなにたくさん掲載しているのに、
 毎回毎回飽きもせず、
 これでもかといわんばかりにこのフライに関して妙に饒舌なワ・タ・シ。

 これって、
 もしかしてホンモノの恋?……なんですか?
 
 この冬もまだまだジョックスコット巻くで~あ~だこ~だと自己満足炸裂の能書きつけながら。
 また見てネ。

Over the Rainbow
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 考え込みすぎて脳が煮えてしまうんだったら、
 考えるのやめたらいいじゃん、
 そうすればあとはやりぬくだけじゃん?

 という「気づき」は、
 自分にとってちょっとした革命だったかもしれない。


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 「無我」をこそ意識するという自己矛盾に蓋をして、

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 脳内にひろがる極彩絵図に導かれるように、
 曲線の美学に酔いしれたい。


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 無機質な金属の棒のうえに縛りつけた種種雑多な羽根たちは、
 まるでそこから生えているかのような一体感で、
 それぞれに艶美な曲線を描き、
 丸みと厚みを帯びてふくらみ、
 のびのびとひろがって、
 すべて本来あるべき姿で光を受けて輝いている。





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 便宜上、
 フルドレス・サーモンフライのカテゴリーに置くが、
 もはや、
 そのようなジャンル分けは意味をなさず……、

 しかし、
 ここで展開させた手練手管のすべては、
 フルドレス・サーモン・タイイングの世界に没頭することで、
 誰に教わることもなく、
 誰に聞くでもなく、
 独り長い年月をかけてすこしづつ積み上げてきたもの。



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 まるで、
 無垢な幼児がまっさらな未完の感性の衝動に逆らうことなく描いた、
 自由で無邪気で混ざりけのない「お絵描き」のような、
 
 それでいて、
 その舞台裏では、
 無秩序であるがゆえに、
 ほんのわずかな乱れがすべてを台無しにしてしまう、
 そんな「綱渡り」のうえに成り立っているような……、

 目指したいのは「計算されつくした無我と忘我の羽根絵図」



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 ぬわ~んちって、

 このカピパラ涅槃像写真は、
 お江戸在住のいくつになってもSっ気ムンムン小悪魔な人妻みよちゃんが、
 「これサイコーじゃね?でもホンモノかな?」
 と、
 インターネットでひろって送ってきたものでえ~す拾い画像。

 はっきりゆうて、
 仮にこの写真が合成であったとしても、
 オラまったくかまわねえだ。

 ちゅ~か、
 わざわざこんな写真を作りたいとおもって、
 コツコツ時間をかけて合成した方がいたとしたら、
 その方のセンスと「無駄ごと」にかけるお人柄を想って、
 ますますこの写真が愛おしいやんけ。

 そして思い出した、
 とある事件のことを話そうじゃないか聞いとくれ。

 むかしむかし、
 オレ様が30歳くらいのころじゃった。
 
 舞台はスキー場や温泉観光地としても有名な、
 飛騨の高原川の支流の蒲田川上流にて。
 現在はどうなってるのかしらんけど、
 その当時は、
 ちょうど蒲田川の禁漁区間の橋のたもとのところに、
 無料の混浴露天風呂があった。

 あれは、
 まだ解禁間もない早春のころ、
 雪がちらついておった。
 いや、
 というよりもちょっとしたプチ吹雪。

 早々に釣りをあきらめて、
 我々は混浴露天風呂に飛び込んだのじゃった。

 で、
 天才のオレ様は、
 湯船のなかで四つん這いになり、
 背中だけお湯からだして、
 ポカ~ンと水面に浮かんでいるような姿勢でジ~ッとしておった。

 こうすると、
 お腹は温泉でぬっくぬく、
 背中と頭にだけ冷たい雪がヒタヒタふりそそぎ、
 たいへん気持ちがエエ。

 そうやって、
 ジッとたたずんで温泉に浸っておると、
 いきなりとつぜん、
 温泉につづく階段のところでガヤガヤッと年配の女性らしき話し声がした。
 かとおもうと、
 いきおいよく、
 温泉の開き戸がバーンと開いて、
 関西方面から来たらしいオバハン五人グループが、
 ドヤドヤッと一気になだれ込んできた。
 どいつもこいつも全身ヒョウ柄がバッチリ似合いそうな、
 厚かましさでは誰にも負けまへんと顔に書いてあるような、
 バリ関西弁のいかついオバハンたちじゃった。

 そして、
 その開き戸のちかくで、
 スッポンポンフルチン四つん這いでジ~ッとしていたオレ様が、
 こともあろうにオバハン軍団の足元で見下ろされるようなカッコウになってしまったのじゃ。

 ものすごくしかたがないので、 
 そのままの姿勢で、
 オバハンたちを見上げながら、
 コクンと会釈すると……、

 オレ様のあられもない羞恥をエンリョもなくジ~ッとガン見凝視したババ~(あえてそう呼ばせてくれ)のひとりが、
 おもむろにこう言ったのじゃった。

 「あら~、カピパラみた~い」

 つぎの瞬間、
 「ほんまや~、カピパラやカピパラや~」
 「おにいちゃんカピパラみたいやんか~」
 「えらいお肌白いカピパラやん、ピチピチやな~」

 真っ白な粉雪がシンシンと宙を舞っている、
 幻想的で静かな蒲田川の谷間に、
 オバハン軍団の嬌声とバカ笑いが絶えることなくカピパラカピパラとこだましたのじゃった。

 おもえばあの当時、
 朝のニュース番組なんかで「温泉に浸かって暖をとる冬のカピパラ」が放映されて、
 ちょっとした話題になっていた良き時代だった。

 そしてオバハン軍団もドボンと湯船に飛び込んだ。

 ウレシハズカシ、
 ではなく、
 うれしくはないし、
 あまりはずかしくもなかった混浴温泉の思い出じゃ。


  
フラミンゴの迷宮
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 フラミンゴの羽根は、
 背中や胸や翼の付け根、
 どの部位をとってもそれぞれ純白のうえに紅色と桜色がほんのり交差して、
 そこはかとなく奥ゆかしくもめでたきかな「和」のテイスト。
 
 品がありますよ。

 で、
 そんな羽根を手にとって眺めているぶんには、
 なんともいえず癒されながら創作心が奥底からジワ~ッとうずいてくるような……、

 そんなわけで、
 羽根ゴコロときめきつつ、
 それじゃあこの羽根をひとひら釣り針に縛りつけましょうと、
 ステキな紅白の毛鉤に仕立てましょうと、
 いそいそ作業にうつると……、

 とたんに豹変するんですわこの羽根。

 フラミンゴの紅白模様って、
 その色調といい質感といいあまりにも独特すぎて、
 ほかの鳥の羽根との親和性や協調性が皆無。
 どのような羽根とあわせようとも……なんかちがう、
 ぜんぜん調和して映らない。
 
 ほかの羽根と並べたり重ねたりすると、
 どうしてもフラミンゴの羽根だけ浮いて見える。

 脳内イメージにしたがって、
 アレヤコレヤとっかえひっかえするんだけど、
 なんちゅうかこうどれもピンとこない。

 フライを巻く机の上はアレコレの秘蔵の羽根でたちまちとっ散らかるんだけど、
 どれもこれもボツぜんぶボツ。
 たちまちグッツグツ煮えたぎるんですわ~タイイング脳が……。

 そしてしかも、
 フラミンゴの羽根のイケズっぷりはそのストークにこそあり。
 通常、
 鳥の羽根のストークは例外なく釣り竿のように先細り構造で、
 かつ内側に湾曲している。

 もちろんフラミンゴの羽根も例外ではないのだが、
 コヤツのストークは根元付近はえらい極太でカチカチのくせに、
 先端に向かって中間付近から急にテーパーがかかって先っちょだけ柳の木のようにヘニャヘニャ。
 と、
 そのような構造で、
 かつ放物線のように豪快に湾曲している。

 これがどういうことかというと、
 ピタッと左右ペアで羽根をあわせてフックに縛りつけても、
 ちょっとズレるとズルッとすべってグネッとねじれまくり。

 可憐で清楚な見た目とは裏腹に、
 なんと底意地の悪いイジワルっぷり。

 過去、
 この羽根を主役に据えたフライがほぼ見当たらない、
 というのもさもありなん、

 というところなんですけど、

 このフライの製作ご依頼をいただいたとき、
 いろいろ御希望のイメージを拝聴し、
 また、
 お世話になった大切な方へのおめでたいお祝いの御贈答にするために、
 なんと光栄にもワタシのフライを選んでくださった格別の想いを伺うにつけ、

 今回はフラミンゴでいこう、
 コレしかない、
 と勝手におもってしまったのでした。

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 テイルはまず真っ赤なクレストをドーンと据えて、
 そのうえにヒヤシンス・マコウの尾羽根とヴァルチェリンギニアのラベンダー・クイル、
 そしてアマゾン・パロットのクイルをそれぞれツノ状にのせてみた。

 ボディは、
 黄色と緑のシルクをピーコック・ハールで仕切り、
 そこにゴールドティンセルを一回転させながら、
 ボディハックルとしてイエロー・マコウとアマゾン・パロットを交互に一回転ハックリング。
 そしてこのハックルをスレッドワークですべて急角度に倒しつつ、
 葉巻型の重量感のあるボディに呼応させて、
 ボディ全体のテーパーを強調させた。

 スロートハックルはフラミンゴの超ロングファイバーな肩羽根の片側を削いで、
 それをハックル・セパレーターでほぐしてバラバラにしてハックリング。
 フックのポイントのぎりぎりの長さにセッティング。

 ここまではもうノリノリ。
 もんだいはここから。

 さいしょは、
 フラミンゴの肩羽根をつかったホールフェザーウイングのうえに覆いかぶせるようにして、
 ウイング上部全面にぶあついマリッドウイングをおおきくカーブさせて屋根のように沿わせてみた。

 けれど、
 なんかイメージとちがう。
 厚化粧すぎてフラミンゴの清楚な印象が薄れてしまう。

 つぎに、
 そのマリッドウイングを五本ほどのセグメントにわけて、
 それをウイングの横に放射状に散りばめてみた。

 おっ、
 なんだかとってもイイ感じ?
 深夜、
 悦に入って「明日はいよいよ最終仕上げだ」とウキウキ床につき、
 そして翌朝、
 (……これでいいの?ホントにいいの?……)
 自らに問いかけてみれば、

 (なんかコレ、苦労したわりにフラミンゴの羽根の存在感が霞んで見えるんやけど)
 という意見が脳内会議の多数決で決まり、

 やっぱ最初からやりなおし。

 最終的に、
 2本の太めのマリッドウイングをグイッと曲げてウイングに巻き止め、
 まるでウイングが風になびいているような、
 動きというか生命感を連想させる造りでいってみようじゃないかと、
 このフォルムに落ち着いたのだった。

 で、
 最終的に「日の丸模様」のフラミンゴのウイングカバーをサイドに据えて、
 「幸せの青い鳥」ことフェアリー・ピッタの肩羽根をチョコンとつけて、
 チークはインディアンクロウで〆ようと目論んでいたけれど……、
 フラミンゴのピンクにインディアンクロウの紅色って、
 いかにも相性良さそうなんだけど……、
 だいぶまえに同じこと散々試して失敗したのを思い出し苦笑。

 またもや紅い小さな羽根をアレやらコレやらあわせてみてはウ~ンと唸り、
 ようやくこれいいかも、
 とおもえたのがハイブリット・マコウの胸の紅い羽根のうえに、
 パラダイス・タナガーのグラスちっくな血の色のような半透明の羽根をのせて、
 光に反射するように細工した必殺裏技小羽根重ね。

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 そして完成。
 でっかいフラミンゴの羽根をスックと立てた#8/0特大サイズ。

 いかにも苦心惨澹しまして…みたいにエラそうに書いてるけど、
 苦労したというよりも、
 完成に至るまでの寄り道だらけのアプローチと工程を、
 失敗することで得られたいろんな発見をこそ糧にしながら、
 愉しみつつ堪能しまくりました、
 というところでしょうか。

 釣りも額装フライの製作も、
 愉しみや喜びはその過程にこそあり。
 求めるところはつくづく一緒ですね。

Thank you for choosing my soul fly.
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 まずはコチラをクリックしていただけますでしょうか→ Evening Star 
 当ブログの過去記事…2013年の我がフルドレス三昧の日々を象徴する一本。

 このフルドレス・サーモンフライの写真を、
 まことに僭越ウレシハズカシながら、
 オーストラリアの老舗中の老舗フライフイッシング専門誌「Fly Life」冬号の表紙にしていただいたのが2年前のこと。

 当雑誌編集長の格別の計らいで、
 おそらく販促用のポスターまで送っていただいて、
 大変ありがたく無邪気に喜んでおったわけですが……、

 つい先日、
 まったく見ず知らずのオーストラリア在住の方から送られてきたメールを開いて、
 おもわず絶句というか、
 感動のあまり、
 しばし時間が止まってしまったというかなんというか……、




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 What an honor thing.

 おうおうおうおう!
 この羽根吹雪をとくと見やがれい!
by 遠山の金さんならぬ豪州のトニーさん。


 いわく、
 …貴方のフライがとても気に入ったので「カラクリ紋々」彫りました。
 とうとう完成しましたので写真を送ります…との由。

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 Really really cool & artisitic tattoo of Mr, Tony in Darwin,Australia.

 ムチャクチャかっこええ。
 こんな風に彫れるんだねえ、
 これはもうアートだね。

 羽根のファイバーの質感、
 ティンセルボディの輝き、
 タグやソラックスのシルクの艶めかしさ、
 そして全体の鮮やかな発色、
 さらに、
 ぼくが世界で一番気に入っているスペシャル・フックのベンドカーブの柔らかい曲線、

 製作者として、
 どれをとってもただただ魅入るばかりだ。 

 そして、
 なんと光栄なことであろうか。


 と、
 そんなトニーさんは、
 アンティックな釣り道具の熱烈なコレクターでもあるんだけど、
 いくつか送っていただいたヴィンテージ・フライ・コレクション写真のなかから、
 ちょっとおもしろいのを御紹介。
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 From Mr,Tony's Collection.
 
 ハーディの刻印が眩しいコレ、
 なんだかわかりますか?

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 なんと、
 スピンヘッドを搭載したハーディ社製フルドレス・サーモンフライ。
 流水のなかで、
 このブレイドがグルグル回転しながら、
 フライがブルブル震えるという寸法。
 そしてきっと、
 ビーズヘッド的なオモリの役目も果たしていたことでしょう。

 当たっているかどうかはわからないけれど、
 間違いを恐れず自由にこのフライをプロファイリングしてみると、

 つかわれているフックのポイントや、
 羽根の経年劣化の具合から推察するに、
 おそらく1920年?もしくは30年?頃の作ではあるまいか?

 また、
 各種フェザー素材を束ねて、
 ヘッド部からフェザーを放射状にひろげつつ、
 やや鋭角的に立て気味になっているビルト・ウイングのスタイルは、
 この当時のハーディ製コマーシャル・サーモンフライの特徴のひとつではなかろうか?

 さらに、
 ティンセルのボディに急激なテーパーがかかっているのが意外なのだが、
 これはボディにスピンヘッドが溶接?されているためのものだろう。
 またさらに、
 ウイングの欠損とティンセルのくすみから、
 当時じっさいに使用された痕跡がうかがえるが、
 リビングがズレていない、
 スロートハックルのファイバーの抜け落ちがほぼない、
 というところから、
 このフライを製作した職人の高度なスキルがうかがえる。

 そして、
 肝心のフライのパターン名は、
 ウイングにつかわれている各種フェザー、
 シルバーティンセルのボディ、
 二色のスロートハックル、
 なによりも真っ赤なベルリン・ウールのバットなどなど、
 あきらかに当時の定番中の定番「ドクター・シリーズ」

 ただし、
 全体につかわれた素材から察するに既成のスタンダードではなく、
 おそらくハーディ社もしくは職人のアレンジによるドクター・シリーズのヴァリエイション。
 特筆すべきはバットの赤いベルリン・ウールとテイルのインディアンクロウ。
 他のパーツは経年劣化によって色褪せが著しいにも関わらず、
 これらの素材の色の鮮やかさがとても印象的だ。

 こうしたヴィンテージのフルドレス・サーモンフライを仔細観察するたびにおもうんだけど、
 意外なことにケルソンやタナットらが提唱した正統レシピに忠実に従ったものを僕はほとんど見たことがない。
 ジョックスコットにしろドクター・シリーズにしろグリーン・ハイランダーにしろなんにしろ、
 どれも微妙につかわれている素材が異なっているのが非常に面白く興味深い。
 むしろ、
 そうした純正レシピにこだわっているのは現在の好事家のほうがよほど厳密な気がする。
 このへん、
 示唆するものが多く、
 また想像が膨らむところでもある。

 とまあ、
 そんなかんじ?
 おそまつでした。

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 以上、
 今夜は遠い異国の異人さんとある意味「兄弟仁義の杯」を交わしましたよ、
 というお話でございました。

 
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