BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
201707<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201709
黄昏のヘビトンボ浪漫
170819(1)1.jpg
 お盆明けのおとつい、
 ご近所の友人と3人で近所の川を朝から晩までかけて上流下流あっちこっち釣り歩きました。

 さすがに足にきました。

 しかし、
 連日曇りがちのパッとしない天気は夏の虫たちの活動を鈍らせ、
 そのうえ雨がほとんど降らずに川は大渇水。
 そして夏休みで入れ替わり立ち替わり攻められ誘われしたニジマスはもはやウンザリ系プレッシャーかかりまくり。

 いろいろと条件は悪かったんです、

 が!

 「うおぉ」とうなるライズはいくつか見た。
 そのなかの数匹には渾身のつもりのフライを投じたり流し込んだりもした。

 にもかかわらず、
 完膚なきまでに完敗でした丸坊主。
 皆ボウズ。

 ま、
 言い訳をすればイッロイロあるんですが…ヤボなので。

 とはいえ、
 朝も早よからイブニング真っ暗になるまで、
 あっちのポイントはこっちのポイントはと3人でウロウロしましたがまったく釣れない。

 という、
 空回りな状況にもかかわらず、
 終始3人和気あいあいペチャクチャたいへん和やかに愉しく充実した良い一日になりました。

 釣れない一日をたのしく過ごすためのマインドコントロールや同行者への気配りというのは、
 釣りの技術というか会得するべき呼吸のなかでもすごく高度で大事なことだな~なんて、
 この日は学んだんですよ。

 だがしかし!
 ひとつちょっと気ィ悪いことがあった。

 ぼくが、
 「きょうはね~、秘密兵器のフライ巻いてきてますねん」
 というと、
 二人とも「え?どれどれ見せて見せて」とかゆうてノリノリでくいついてきたくせに、

 「これ!」
 とフライを指でつまんで自慢げに差し出すと、

 「え??」

 二人とも目が泳いどったど~~~~ウハハハハハ。

 さもありなん……、
 このフライを見せられて返答に困ったご両人の胸中お察しいたします。

170819(2)2.jpg

 こにゃにゃちは。

170819(3)3.jpg
 
 ヘビトンボの成虫、
 いっときこの川でやたらと見かけたのがちょっとした驚きと発見だった。

 めちゃくちゃたくさんいるんだね。

 そして、
 この川にはコレに食らいついてもなんら不思議ではない巨体な方々が、
 流れのそこかしこ確実にひそんでいらっしゃいますよね。

 巻かないわけがないやん?
 

170819(4)4.jpg

 とはいえここ数日、
 パタッと見かけなくなってしまって、
 だいぶ時期外した感もあるんですが……、

 黄土色のポリヤーンでボディ・ヘッド・インジケーターが一体構造のヘビトンボ5センチ・デルタ型スペントウイング仕様。
 目玉もポリヤーンちょい焼き。


170819(5)5.jpg

 きょうの朝イチ、
 お盆の休み中に友人たちと連日水面から川底まで叩きまくって流しまくった平瀬のポイントに行った。

 釣る目的というよりも、
 まずははたしてこのヘビトンボが実用に耐えうるのかどうか、
 お試ししてみよう…的な気分で2Xのティペットに結んでしげしげ眺めてみればアラ可愛くない?

 こう見えて、
 ナナハンのグラファイトの5番ラインでまったく問題なくスムーズに投射できます。
 空気抵抗があまりかからない構造ゆえに4番サイズのディアヘア系投げるよりかぜんぜん軽々。


 んでんで聞いてくれる?

 その瀬のヒラキのところでヘビトンボとりあえず投げてみて、
 「お、軽いやんフツ~に投げれるやん」なんて悦に入ったところ、
 瀬の真ん中らへんの流芯脇でガボンッと「グッ」とくるライズがあった。
 が、
 ここんとこスレ切っているのかこういう単発ライズはほとんどフライに出たためしがない。
 しかも
 ここはすでに皆で叩きまくったあと「つわものどもが夢のあと」状態。
 出るわけないけど一応投げてみよう、
 なんつって、
 ビュワ~~ンとヘビトンボをロングキャストしてライズ地点のやや上流にポトンと落としたわけ。
 「うお~、飛ぶな~ヘビトンボ」
 なんつって、
 バサッと流れに乗ったヘビトンボがどんぶらこっこ流れはじめたやいなや、

 ジュボッ、

 なんつって、
 ヘビトンボが軽い水音たてて水中に引きずり込まれるように視界から消えた。

 「え?うそ?なに?」
 反射的にグイッと竿立てたらドスンッときてアンビリーバブル、
 ドダーン!ドダーン!と二度、
 切ないほどに見目麗しすぎる虹色の巨体がド派手に水面をたたきながら躍りあがった。
 そして、
 こともあろうか下流に向かって稲妻激走。
 自分の目の前を口元にヘビトンボなびかせたものすごいのがギュワーーンと通り過ぎていって、
 (…うっわフッキングめっちゃ浅そうヤバいな~)とおもいつつ、
 サカナの走りにラインがついていけずVの字に曲がってます。
 「ああああっ」
 あわててラインを手繰ろうとしたそのとき、
 スカッとバレた。

 ありがちな、
 いつもの、
 もうちょっと冷静に対処したらなんとかできたかもしれないと、
 いつまで経ってもウジウジ悔やむ系の己の未熟がイタい痛恨のミス。

 この一発で、
 パッキーーーンときたのは当然のことでしょう?

 ヘビトンボを竿先にぶら下げ、
 きょうは独りで夕暮れまであっちこっちめぐりました何処もかしこも渇水でした。

 気持ちが萎えかけるたびに、
 早朝の一発を思い出し奮い立たせました釣りごころ。

 ヘビトンボいっぽん、
 一日投げて流してまた投げて流して投げ抜きました。

170819(6)6.jpg
 な~んもこんかった。

 きょうは53歳のお誕生日メモリアルなヘビトンボDAY。

 まことに自分らしく過ごせた良い一日だった。
 
脳内虹鱒絵図
170731(13)13.jpg
 これは自分のジンクスにも似た感覚なんだけど、
 どでかいドライフライでニジマスを狙った夏の釣りにおいて、
 河原や河畔林でこんなクワガタを頻繁に見かけるときは、
 いつもたいがい素晴らしく良い釣りになっている気がする。

 そこにどのような自然の因果関係が隠されているのかはわかりませんが、
 このような夏の蟲どもが活発に行動するような日は、
 単純に川のなかも賑やかになるってことでしょうね。

170731(14)14.jpg

 みなさま、
 暑中お見舞い申し上げます。



170731(1)1.jpg

 ひとよんで、
 「金のたてがみをなびかせるクワガタ」
 サイズはノーマルシャンクなウエットフック#2。
 ほんとはもっと巨大なのもつかいたいんだけど、
 5番ライン程度のライトタックルで支障なく快適に投げられるマックス・サイズはここまでなので、
 いたしかたないところ。

 コレ、
 いまのマイブームのひとつ。

 ボディ全体は水面下に没していて、
 金色のヒグマの毛が水面膜にはりついて、
 それを支えにかろうじてようやく水面に浮いている、
 というバランスと浮き方なのに、
 つかいはじめにウイングのところにフロータントを擦り込んでおくと、
 たのもしいほどにずっと浮いてる。
 しかも荒瀬を流れ下るフライを見ているとポカッと軽々水面高く浮いているように見えてしまう、
 不思議感覚なビッグバッド・ドライフライ。

170731(2)2.jpg
 何匹か釣って、
 濡れそぼった状態の「金のたてがみクワガタ」

 つかっているうちに、
 ボディのヤーンがすこしほつれてピロッとオケツから伸びているけど、
 これがたいへんに良いのだリアリティ醸し出しまくり。

 このほつれたヤーンが水面に触れるとフワ~とひろがって、
 それが甲虫類の下翅を連想させる。

170731(3)3.jpg
 こんなのもあるよ。

 やらないわけがない釣りたい欲望下心剥き出し系ラバーレッグ・ヴァージョン。
 ハレンチですわ~。

 でも…釣れちゃうんだもの……。

 170731(4)4.jpg

170731(5)5.jpg

170731(6)6.jpg

170731(7)7.jpg
 
 この世でもっとも気高くかっこいいケモノの毛を、
 畏敬の念をもってありがたくつかわせてもらって、
 その毛で架空の虫を創作して、
 そしてその偽物の虫をつかって、
 ギンギンの夏の虹色の野性と一発勝負。

 孤高の金と黒の毛をつかって、
 至高の虹色のサカナを釣る、

 嗚呼ニジマス吐息は金の色。
 なんのこっちゃ?

 今年のワタシのキーワードはもうだんぜん「ヒグマ」

170731(8)8.jpg

 そして釣り呆けサマー2017

 もう現在ボケボケ大進行中でぇ~す。
 現実復帰……できますか?

 てゆーかバッチリ復帰するぞガンガン仕事するぞバリバリ雑事こなすどーーーー!
 でもお、
 きょう、
 これを書き終えたら釣りに行くから、
 そしたらそのあとがんばろうっと。

 日々、
 きのうもきょうもそのまえもそのまえもそのまえも、
 いつもそのようにおもって出かけるんですが……、
 


170731(9)9.jpg
 そしてなぜか唐突に黒曜石とバイビジブルの4番。


170731(10)10.jpg

 
170731(11)11.jpg
 そしてとある深夜、
 「マグナム・サイズで超ファットなドライフライを、12番のアダムス・パラシュートをあつかうかのごとく、
 軽々と繊細にビミョ~にゼツミョ~にプレゼンテーションしたいじゃないか」
 との課題とヴィジョンを掲げて、
 各種のスレッドがさまざまな仕様で撚りあわされ……、

 撚り子の佐藤くんは夜が更ければ更けるほどにハイテンション、
 終わりなきマシンガントーク炸裂、
 話に熱中するあまり度々作業の手が止まるので、
 「佐藤くん、口だけやなくて手ぇもうごかさんかいな」
 とクソ偉そうに指示するワタシはソファに寝っ転がった中年のトド。

 おだやかに熱い夜は更けていったのでした。

170731(12)12.jpg

 ジャカジャン!
 特製ファールドリーダーのプロトタイプできあがりました~by 佐藤くん。

 日の丸とジャマイカ国旗でぇ~す。

 特製グリースを擦り込んで、
 それでは今日もまた行ってきま~す。

 嗚呼…今日も行くのね明日も行くよ…だれかこのとめどなく溢れる釣り欲をとめてくれ~~~。
 わりと真剣にそうおもってます。

 かしこ



ライトケイヒル・ヴァリアント12番
170708(1)1.jpg

 濡れそぼる昼下がりのライトケイヒル。

 と書くとなんだかエロイ。

 前回取り上げたミドリカワゲラのスペントとおなじハックル材をつかって、
 まったくおなじようにハックリングしたライトケイヒルの私家版ヴァリアント。

 ワシミミズクのファイバーを数本ボディにキリリと巻いた。

 可憐な黄褐色をしたミドリカワゲラにピッタリなクラシック・スタンダードとしても、
 ライトケイヒルはやっぱりうつくしい。

170708(2)2.jpg

 あくまでも体感として、
 6月半ばのほぼ一週間ほど正午前から昼すぎくらいまで、
 ミドリカワゲラの仲間の羽化と流下量が安定していたころの午後おそく、 
 ライズが集中している広大なプールに流れ込む、
 砂利で埋まったあっさ~いチャラ瀬、
 いつも流れを蹴散らしながらザバザバ歩いているところで、
 ゴボッと水飛沫があがる。

 おそらく、
 ミドリカワゲラの流下に我を忘れたヤツが、
 夢中でむさぼるあまり、
 喰い呆けちゃって、
 安全な溜まりから我知らずズンズン開けた上流に……、

 すぐそばに隙あらば手篭にしてこますぞと、
 目をらんらんと光らせている邪なオッチャンがおるというのに……、

 ムハッ 
 
 チャラッチャラのチャラ瀬。
 流れの筋は一定でフライをヒジョーに流しやすく、
 開けた河原はフライをスゴーク投げやすく、
 サカナはいまを盛りに右に左に移動しながら波立つ流れでお食事中。

 例の溜まりでの気難しく気まぐれな素振りはなんだったんだ?
 とニヤリとしちゃう態度の変わりよう……。

 ここはひとつ、
 とびきりオシャレに釣りたいじゃん。

170708(4)4.jpg


170708(3)3.jpg
 空気も水も澄みわたった初夏の晴天の真昼間、
 こんなフライを4Xのティペットに結んで、
 こんなサカナのライズを一撃必殺で……、

 ゴージャスすぎてもうしわけない。



170708(5)5.jpg

 その夜、
 こんなん巻いた。

170708(6)6.jpg

 シェルピンク色に染めたフラットウイング・ストリーマー用のサドルハックルと、
 ホワイティング・ヒーバートのクリーム色のヘンネック・ハックルを、
 前回とりあげた私家版スタンダード縦巻きハックリングで巻いた。

 フライのハックル部分のシャンク上側だけ、
 淡いピンク色がとろけるようにグラデーションがかっているライトケイヒル。

 桃のライトケイヒル。

 フックはTMC9300の12番。
 ヘビーやろ~?
 必須やねん。

 
Little Yellow Sally
 すでにもはや、
 2017年の個人的2大ハイライトと掲げても良いのではないか、
 そんな予感がする私的特選トピックスを、
 レゲエとフライそれぞれひとつづつお話させてください。

 レゲエのほうは、
 わかる人しかわからない用語隠語俗語人名など連呼いたします。
 なんか感じ悪くてスイマセン。
 飛ばしてね。

170630(1)1.jpg
 グレゴリー・アイザックスのベスト・ヒット編集盤の豪華2枚組CD。
 版元はTAD's・レーベル。
 2014年のリリース。
 ここで、
 「え?タッズまだやってはったんやスゲエな」とおもったアナタと語りたい。

 レコード収集が生活の中心だった80年代。
 情報はほとんどなく暗中模索だった時代、
 タッズ・レーベルの12インチは信頼の証だった。
 タッズのデニス・ブラウンにハズレなし。
 
 現在は御大タッド・ドウキンスとともに、
 息子さんが商売を引き継いでいるよう。

 やはり、
 気持ちのはいった仕事をブレずに地道に続けて次世代に引き継ぐって 、
 すばらしいことですね。
 
 そしてこのCD、
 熱烈なグレゴリー・ファンとしては収録されている曲はほぼすべて知っているというよりも、
 脳髄に染みているすでにお馴染みの名曲ばかり。
 おもわず一緒に口ずさんでしまう…いわば愛唱歌。
 
 なので、
 グレゴリー熱が再燃している現在、
 釣りに行く車中でエエ音でおなじみのん聴こうとおもって、
 とくに目新しいものは期待せず、
 通販サイトで数あるグレゴリーの似たようなベスト盤のなかから、
 これタッズだし選曲もいいしという軽い気持ちで購入したんだけど……、

 しょっぱなからブッとんだがな。

 コレはすごい!もんくなし全曲必殺!

 ただしジャケットのデザインとアルバム・タイトルはぶっちゃけちょびっとビミョウ?
 もったいないな~……上から目線でスイマセン。
 
 それはいいとして、
170630(2)2.jpg
 全曲エクステンデッド・ヴァージョンで曲の後半はダブになっている。
 
 なんだけど、
 当時リリースされていたプリ・シングルや12インチ・ディスコ盤のダブとはほとんどの曲でミックスがちがう。
 で、
 そのダブが際立っている。

 各曲それぞれの趣向が凝らされてたのしい。
 たとえば、
 70年代初期のGG’sとの名曲中の名曲「Once Ago」なんかは、
 あきらかにプリ・シングルの音源つかってるんだけど、
 ヴォーカル面はエコーかけまくり?オーバーダブ処理で、
 B面のダブはあえてオリジナルそのまま…という一見暴挙?のような荒技構成だがすごくいい。
 繋ぎも絶妙。
 音質もすこぶる良好。

 このベスト盤、
 誰がやったのかいつやったのかわからんけど、
 あとから手を加えたオーバーダブ感あるんやけど、
 それがすごくツボにはまっていて、
 さすがはタッズやることがオシャレ。

 そして、
 このCDを聴いたあと、
 すかさず「Slum in dub」のジャミーのミックスと聴き較べちゃうマニアなカワイイぼく。
 わかってくれる?このきもち。

 たんなる盤おこしのお手軽リイシューとは次元がちがうで。

 さらに!
 82年ごろ当時グルーチョのニューウェ-ヴ的前衛ダブミックスが斬新だった12インチDisco盤の
 「Cool down the pace」や「Night Nurse」なんかの80年頭の至宝曲群は、
 ミックスはもちろんテイクもちがっていて、
 これがまたすっげえソリッドでゾクゾク酔う。

 青春時代から現在にいたるまで、
 すでにさんざん聴き倒しまくったアイランドの一連のシングル群とはまた一味ふた味ちがう、
 肌に馴染んだお馴染みの曲がゾワッとするほど新鮮だ。

 レゲエに興味があるけどどれから聴けばいいのか、
 とレゲエの泥沼のほとりでウロウロしてはるシロートさんから、
 海千山千のナッティ・ドレッドなうるさいクロートまで、
 すべての方々にひとしく大推薦。

 gregory issacs dub versions

 そして、
 そんなCDのうえに載せたフライが、
 ロシア産ヒグマの細金毛各色をつかった「リトル・イエロー・サリー」ことミドリカワゲラのアダルト・フライ。

 このフライで今夜はひとつ、
 ご機嫌伺いです、
 ちゅ~か自慢タラタラです。

170630(3)3.jpg
 と、
 そのようなCDを聴きながら、
 今月の半ばころにせっせと通っていたのがこの溜まり。

 水深は最深部となる対岸の岩盤のところでも自分の胸くらい。
 全面砂利底のコチラ岸は腰くらい。
 めっちゃ浅い砂利で埋まったショボイ溜まり。

 これぞフラット…鏡のような水面、
 川底すべてが見渡せる透明な流れは、
 油でも流したかのように粘っこくトロ~リゆるやか。

 そんな流れが200メートルほどつづいている。

 春から何度かこの場所を歩いたけれど、
 サカナの気配はまるでなかった。
 というよりもポイントとしてさいしょから想定外。

 その日もいつものように下流から流れのなかをザバザバ歩いてエッサエッサ上流を目指していた。
 
 すると、
 この溜まりの中間付近で、、
 一回カパッと素晴らしくエエかんじで水面が割れたんだよね。

 え?
 とおもって歩調をゆるめてソ~ッと近寄ったんだけど、
 それからなんの変化もない。
 水中を凝視してもなにも見えない。

 あれはなんだったんだ?
 とおもいながら、
 なんか立ち去りがたくて、
 ライズ地点のちかくに立ち込んだままタバコに火を着けて、
 吸い終わるまでは待ってみよう……これが運命の分かれ道。

 煙草を吸い終わって、
 アカンわ行こう…なんておもったとき、
 さっきよりもやや上流でカッパ~ンと……、

 そのとき、
 ワタシ見ちゃったんですハッキリと。
 狂おしいほど深紅色の体側と、
 ビロ~ンと水面から突き出た、
 なやましいにもホドがある大きな尾鰭。

 え?
 うっそ~なんでココに?????

 し・か・も・ほどなく、
 この長~いプールというか溜まりの下流から上流まで、
 おなじような刺激的すぎる不規則ライズがそこかしこでカポッと……
 してくれちゃってもうなんなのこの状況。

 おるやんけおるやんけおるやんけなんかくっとるやんけ!

 水面には、
 たま~に忘れたころにモンカゲロウのダンが数匹フラフラ漂流、
 12~14番ほどのマダラカゲロウの仲間もチラホラ。
 16番くらいの小麦色したカディスもチラホラ。
 でっかいガガンボふらふら。
 で、
 星の数ほどの大群で、
 まるで川面を覆うように音もなく旋回しているオドリバエ軍団が、
 そうした水生昆虫たちが水面に浮かぶと、
 我も我もとウワワ~ッとたかっている。

 いわば、
 道東地方のこの季節の、
 標高のあまり高くない川の典型的な虫どもの営みの光景。

 で、
 それはいいけど皆さんナニ召し上がってはるん?

 
 ……と、
 このままこの場所でおこったこと体験したことのありのままを書き綴りますと、
 それはもう紆余曲折スペクタルな大長編にあることは必至……

 なのでその過程は今回ははしょりますが、
 完敗どころか釣りにさえなっていなかった初日の屈辱を胸に、

 あれやこれやの遠回りをして、
 ミドリカワゲラの脆弱ではかない密かな羽化と、
 ライズのサイクルが泣けてくるほど不規則で散発でムラがあり、
 けして定位することなく神出鬼没、
 なんともやりにくい独特なマスの行動との相関関係を発見したときは、
 これぞオレの望んでいたフライフイッシング……って、
 もうたまらんかった蜜ドバドバ。

 が、
 発見したからといってラクショーで釣れるかというとそれはまた別で、
 5分から10分間隔で、
 予測の立たない場所で、
 唐突にカパッとライズして岩盤際の深みに消える、
 この場所には似つかわしくない豊満バディのマダムたち……、
 不思議なことに、
 この溜まりで出会ったサカナはすべて尾鰭に産卵痕を残した成熟したメスばかりだった。
 でさあ、
 そんな奥さまがライズするたびくるおしいほどのムチムチ・バディがチラッと見えるねんな~。
 でもものすご~く気まぐれ。
 ほんとに切ない。

 もうねえ、
 フライが信頼できないと無力感すごいから。

 内地の里川や湧水の川でシビアなマッチ・ザ・ハッチに没頭していた時代、
 こうした状況では「違和感のない繊細なフライ」を目指していた。

 だから、
 二日目の挑戦では内心自信があったんです十字架スペント・ウイング繊細系ミドリカワゲラ。
 だって奥さまたち、
 たぶんフライそのものにスレているのではなく、
 ミドリカワゲラのスペントにご執心のあまり、
 的外れなフライにまったく気がついていないそぶりだったから。

 ドキドキで投じた本州時代に培ったメッチャ繊細系ハッチマッチャーだった。

 でも奥さまぜんぜん気づいてくれない。
 フライのま横でカパッとかされたりして、
 ものごっついつれないそぶり。
 
 この状況を顧みて、

 まず、
 川底から眺めた広い水面のなかで、
 本物ばりの繊細なか弱さで巻いたカワゲラ・フライを、
 水面にヒタッている多数の本物のカワゲラに紛れ込ませても、
 この状況ではなかなかフライに気がついてもらえないのではないか、
 
 という、
 すっかり北海道的な野性の思考で、
 「アピールする」ためのファジー要素を強調したフライを、
 おもいきって投入してみることにした。
 5月くらいの当ブログで巻いたヘアウイング・カディスのミドリカワゲラ風。

 ここでちょっと状況が変わったのだった。
 いちばん活動的だったちょい若奥さまがカポッとくってくれて電気仕掛けのようにポンポン跳んだ。

 ウッワ奇跡!くっていただけるなんて…ありがたや~、
 という気持ちと、
 ヤッターけーさんどーり!どんなもんや~!、
 という気持ちが入り乱れる至福。

 またこのおかげで、
 出るまでフライを流しつづける忍耐のエンドレス・ドリフトでも気持ちが折れなくなった。
 フライを信じられるって、
 釣れる要素としてものすごく大事ですよね。

 ちなみに、
 いやらしい話だが、
 この溜まりで確認する限りいちばんちいさく見えたこの若奥さまは、
 念のため測ってみるとパンッパンのはちきれんばかりの51センチだった、
 ということを申し添えて話をつづけよう。

 今夜は書かせて。

170630(4)4.jpg

 つかったフックはTMC9300の12番。
 本物のサイズは15番くらいなのですが……、

 もはや定番ワシミミズク捩じり巻きボディにご注目を、
 12番のフックにできるだけこじんまり短く小さく巻こうとしています。
 また、
 ボディを捩じって巻いたあと、
 あまりのファイバーはカットしないで、
 ハックルやウイングのスペース分だけ巻き込んで残しておく。

170630(5)5.jpg
 ロシア産ヒグマの毛をかる~くひと束、
 アンダーファーごとスタッカーに突っ込んでガンガン叩いて、
 ヘアーの先端を揃えるとともに、
 短いアンダーファーをガードヘアー先端部分にズラす。

 上の写真と比較すると一目瞭然。

170630(6)6.jpg
 んで、
 そのように処理したヘアーをダウンウイング状にドサッと巻き止めて、
 その余りのヘアーをハックルスペースにぎっちり巻き込んで、

170630(7)7.jpg
 と、
 巻き込んだ余りのヘアーをココでカットするのではなく、
 巻き止めたウイングの束の真ん中に割り入れるように折り返しガッツリ巻き止める。

 このとき、
 ガードヘアーのウイングのほうを指先で左右均等に分けて、
 なんとな~くでいいので左右に大きく広げておく。
 で、
 余りのヘアーはこの間に割り入れて、
 再度スレッドでギーッとしめる。

170630(8)8.jpg
 で、
 折り返してギッチリ巻き止めたヘアーの余りを、
 ボディの長さくらい残して斜めにカット。

 すると、
 フックシャンクから軽く斜めなって束状にまとまっていたウイングが、
 余りのヘアーで上から押さえつけられて、
 ウイングが扁平フラットになってボディ真横から左右におおきく広がる。

 エルクヘアカディスなどのようなダウンウイング形状とは、
 似て非なるデルタウイング型スペントウイング構造になる。

 よく目立つ二枚翅を水面に広げて浸しながら、
 チカラな~くヨタくねるミドリカワゲラのアダルトを表現したいがための細工。
 ヘアーの量は写真のとおりガードヘアーもアンダーファーもごく少なめパラッパラというかんじ。


170630(9)9.jpg
 いよいよ〆のハックル。
 上がヒストリックのゴールデンバジャー、
 下がヒーバート・ヘンネックのライトハニーダン、

 それぞれファイバーの長さが極端に異なっている。
 フックサイズ12番に対して、
 Gバジャーのコックハックルのファイバー長はフックのゲイプ幅くらい。
 対してヘンネックのほうは1.5倍くらいと長め。

170630(10)10.jpg
 先にバジャーを3~4回転。

170630(11)11.jpg
 フック下側のハックルをばっさりカット。

 しかるのち、
 ヘンハックルを4~5回転して、
 ボディ材の余りのワシミミズクのファイバーをエルクヘアカディスのヘッド状にカット。
 
 ヘンハックルはカットせずそのまま。
 このようにハックリングすると、
 ソフトなヘンハックルのファイバーをコックハックルが支えることになり、
 ヘンハックルをドライフライにつかうとき重宝する。

 また、
 このような色の組み合わせでハックリングすると、
 淡い黄褐色のハックルの根元に、
 バジャー・ハックルの黒が良いアクセントになって、
 本物のミドリカワゲラの微細な黒紋を散らしたクリーム色のソラックスが表現できる。
 
 一石二鳥のハックリング。

 んで、

170630(12)12.jpg
 このように巻いたフライを水面に浮かべてみると……、

 まあなんせアナタ、
 ライズの間隔は5分~10分に一回くらい。
 フライを一心不乱に投げて流すのも10分に一回くらい。
 その間、
 へそくらいまで立ち込んだ状態でジ~~~ッとチャンスを待ってるわけですよ。

 10分て…長いで。

 もうだめかあ、
 あかんのかあ、
 気づかれたんかなあ、
 ハア~ア、
 かえろかなあどうしよかなあ、
 胸中はいつもゆれるゆれるもう迷い道くねくね。

 と、
 そんな後ろ向きムードなとき、
 このフライが水面に浮いている様子を眺めると、
 「もうちょっとがんばろう」
 という気になった。

 フライ前方のヘンハックルが、
 水面膜をオチョコのようにへこませて、
 そのうえにハックルがフワッとのっている。

 で、
 いっぽうボディのうえにフラットかつ扇子のように広がったウイングは、
 ヘアーの一本ごとにかすかにカールした毛先を水面に押し付けて、
 それぞれがランダムに水面にのり、
 水面膜を絶妙にへこませて、
 そこに陽の光が透過されてキラキラ乱反射している。

 で、
 これはうれしい後付けだが、
 ヘアウイングを完全にスペントウイング状にボディ両側に巻き止めるための、
 「ヘアーの余りを折り返して残してカット」する細工は、
 フライを水面で見ると両側にフワッ広がって水面に乗るウイング中央の根元付近で束状にまとまっており、
 意外にもそれが「ウイングらしさ」がより強調されるフォルムの要因のひとつに映った。
 フライの虫っぽい生命感を演出する重要なパーツ。
 いろんな長さでカットしてみたが、
 ボディと同長くらいが見栄えもバランスもちょうどよい感じ。

 
 で、

170630(13)13.jpg

 奥さまは野性。

 このサカナと対峙していた時間は、
 2時間?
 3時間?
 時間の感覚がとんでしまって定かではないが、
 その間というよりサカナを見つけるまえから薄いウェーダーでずっと深く立ち込んでいたので、
 身体が冷え切っていてヒザがうまく曲がらず、
 クキカキとロボットのようなうごきで必死のランディングとなった。

 水際で呼吸を整える奥さまとってもゴージャス吐息が漏れます。

 紅色のルージュをひいた口元に、
 金色の毛で巻いたちいさなドライフライ。
 官能的。

 「あの、ちょっと奥さま、さいごにそのお口元を…撮らせてください嗚呼おうつくしや」

 奥さまが水際で呼吸を整え体力を回復されるすこしのあいだ、
 盗み撮りのようにパシャパシャ撮りたいけれど、
 どの奥さまもさっきまでの激闘ものともせずすぐに復活あそばされ……、

 ハリを外すやいなや、

170630(14)14.jpg

 「ちょっと!のきなさいよ!」

 「も~サイアク!」と捨て台詞が聞こえてきそうな後ろ姿で、
 カンカンに怒りながら身をくねらせ元気いっぱい脱兎のごとく消えていかれ……。

 その逞しい後ろ姿にウットリ。
 いいようのない達成感。

 ミドリカワゲラの羽化がピークを迎えていたほんの一週間ほど、
 釣りゴコロを芯から抜き倒した数日間のひとこま。

 濃ゆい日々だった。

 
今月の3本
170628(1)1.jpg
 自分で販売しといてまるっと在庫なくなってしもてからこんなんゆうのナニですが、
 先日のロシア産のマイルドな毛の細さ……えらいクセになりますね。



170628(2)2.jpg
 で、
 その金毛をつかって巻いたモンカゲのスペント・ダン。
 
 うえのマドラーミノーのアンダーウイングを巻き止めるまでの工程とそっくりそのまま同じ手順で巻いた。
 マドラーミノーの私的タイイング裏技小技は今月出てる号のフライフイッシャーにクドクド書いた。

170628(3)3.jpg
 下から見るとこんなかんじ。

 ボディはワシミミズクのセカンダリークイル。
 もちろんいつもの捩じり巻き。
 テイルはヒグマの毛と異なる質感を求めてムースメーン。

 気になる浮力は、
 こうしたスカスカに巻いたスペント系としては申し分ない、
 ちゅうか頼もしいかんじ。

170628(4)4.jpg

 と、
 そんな、
 このヘアーの細さだからこそ、
 ヒグマの毛をドライフライのウイング材としてこのように巻ける私的作例フライズとして、
 この春の我が釣り物語を、
 窒息しそうなほど濃ゆくて煮えたぎるものにしてくれたのがコチラです。

 ヒグマヘア・カディス的単純フォルムなんだけど、
 フックサイズにして14番ほどのミドリカワゲラのスペント状態を表現した。

 ウイングが束になって突き出ているのではなく、
 水平かつ扇状にフワ~ッと左右にひろがるように細工してある。
 ウイング全体をヒタ~ッと水面にはりつかせるんやで。
 
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.