FC2ブログ
BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
201909<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201911
フライフィッシャー 2019年 秋号
191022(1)1.jpg

 そんなわけで、
 今月発売の季刊フライフィッシャー誌2019年秋号の連載「オホーツク通信」では、


191022(2)2.jpg

 ディアヘアー・ボディ・ドライフライのスタンダードでもあり、
 ビッグサイズ・ドライフライのこれぞ王道「イリジスティブル」をとりあげてみました。

 冬のあいだ、
 来たるシーズンをアレコレ夢想しながら、
 時間をかけてコツコツ入魂の一本を仕上げるには、
 うってつけのかっこいいドライフライ。

 記事のなかでは、
 古典オリジナル・イリジスティブルから、
 60年代~70年代古き良き時代のアメリカ各地ご当地スタイルなイリジスティブルのヴァリエイションなど、
 時代ごとのスタンダード・イリジスティブルの紹介はもちろんのこと、

 現在たったいま我が家の近所で大活躍中の私家版イリジスティブルを主役に据えて、
 エゾジカの極上ヘアーをつかって巻くイリジスティブルの愉しみと能書きを中心に、
 スタンダード・ハックリングな特大サイズ・ドライフライをつかっての印象的な釣り体験記なんかを、
 これでもかといわんばかりのフライやサカナの写真とともに書きなぐっております。

 ただ、
 正直に白状いたしますと、

 当初、
 脳内で練っていた計画では、
 まずイリジスティブルを記事の最初のオープニング・フライにして、
 そのうえで私家版ディアヘア・ボディ特大ドライフライを色々紹介しようとたくらんでおりました。
 だからこそ、
 記事のタイトルを「蝦夷鹿の毛フライズ秘宝館」と銘打っておきながら、

 いざ実際に書きだすと、
 記事冒頭の「つかみ」役だったはずのイリジスティブルだけでも、
 紹介したいスタンダードなヴァリエイションとか、
 アレコレ書きたいこととか、
 あとからあとから溢れるようにでてきて、
 それだけでも予定の8ページをはるかにオーバーする量になってしまい、

 案の定というかなんというか、
 またもや写真も文章も削りに削りまくり。

 んがくっく。

191022(4)4.jpg

 で、
 そんな記事のなかで紹介したいなとおもっていたフライのなかから、
 今回ここで取り上げたいのがコチラ。

 仮名「エゾバグ」

 今シーズンからつかいはじめたボテボテボディのファジー系巨大ドライフライの新しいおともだちです。

 ボディもウイングもヘッドも全身エゾジカのヘアー。
 そこにレオンのハックルをパラッとひと巻きのみ。

 エゾジカ・ボディの量と刈り込み方とシェイプがなによりもキモ。

 この冬のタイイングデモとかイベントなんかで、
 あーだこーだしゃべりまくりながら自慢まみれ能書きまみれでご紹介させてください。

 コレ、
 巻く作業自体がこれまたすごく愉しくて、
 ご陽気につかえる機能優先の巨マス・キラーです。

 んで、
 今シーズンこのフライで釣りあげた、
 でっかめのニジマスたちのなかから、

191022(6)6.jpg

 ここではなんといっても、
 この雄のイケメンを自慢します。



191022(5)5.jpg

 ハルゼミの蝉しぐれが川面に降り注ぐ晩春のころ、
 荒瀬の流芯脇の巻き返しでグワッとでっかいアタマを水面高く突き出して、
 エゾバグの6番をばっくりくわえてくれたのでした。

 今年のドライフライ・シーズンの本格的な幕開けを知らせてくれたイッピキ。

 んでんで、

191022(3)3.jpg

 このニジマス写真は、
 今回のフライフィッシャー誌の連載記事に載せてもらった写真の別角度。

 最初の写真のニジマスを釣った日から一カ月ほどたった真夏のころ、
 ちょうど、
 毛虫やコガネムシなどなど、
 大型テレストリアルまっさかりの季節、
 おなじ荒瀬にイリジスティブルの6番をバシッと叩きこんだらドバッと出た。

 ゴンゴン流れる荒瀬の、
 足元がツルッツルに滑る苔むした川底の岩のあいだを、
 ギュギュギュギュギューーーッと力強く走り回って、
 追いかけるのが大変だった。
 というよりも、
 重い流圧のなかツルツル滑りながらひっぱりまくられて怖かった。

 そしてヒイヒイハアハア汗まみれで取り込んでみれば、
 
 「あれま、一カ月ぶりのご無沙汰ですやん」

 ここで前回釣ったのと、
 まったく同じニジマス。

 スケールのおおきな荒瀬のピンスポットで、
 フライにでた地点も2回とも寸分狂わずピッタリ同じ。

 彼にとっては最悪だけど、
 ワタシにはうれしい2度目の再会。
 しかも、
 最初はエゾバグ、
 つぎはイリジスティブル、
 と、
 2回ともエゾジカのヘアーをつかったフライというところがまたなんともオツなことで。
 
 ただ、
 最初の出会いとちがっていたのは、
 晩春のころよりもはるかにキョーレツかつギンギンに暴力的なパワーに変身しておられたこと。

 ますますお元気で、
 そしてたくましくお盛んなご様子、
 なによりでした。

191022(7)7.jpg
 
 今シーズンの光り輝いていた思い出と、
 そんな釣りの日々で得た課題やテーマを糧にして、
 この冬もまた、
 エゾジカの毛皮一頭まるごとツルッパゲにしそうな勢いで、
 フックシャンクに巻きつけてフレアさせて刈り込んだり、
 スタッカーでタントンしてウイングにしばりつけたりして、
 アレコレいろいろ巻きまくりたい所存です。

 
アンプリチュードな近況
 このところ、
 仕事がもりだくさん。
 やるべきことも、
 やりたいこともいっぱい。
 なんとありがたいことでしょう。

 でありながら、
 毎日こつこつ仕事しながらも、
 毎日せっせと足しげく釣りにも行ってる。
 多少無理してでも行く。

 時間が足りないかんじ。

 といっても、
 その日の天気や条件、
 そして仕事の進行具合によって、
 午前中だけとか、
 午後のいっときとか、
 ほんの数時間のチョイ釣り。

 ときにはライズ横目に、
 うしろ髪ひかれながら帰宅することもある。

 なんだけど、
 ストレスになるどころか、
 逆に釣りがさらにものすごくおもしろくなった。

 濃密なかんじ。

 しかも、
 そんな毎日だと気分晴れ晴れ仕事にすごい集中できる。
 これ、
 ちょっとした発見ですワタシにとって。

 なんか、
 規則正しい生活って、
 いいなあ。
 
 と、
 まっとうな大人ならごくフツ~の当たり前のことを、
 いまさら得意満面で語るのもどやねん?
 て話ですが……、

 以前から、
 「こんど一緒に釣りに行きましょう」とか、
 「近いうちに釣り竿もってそちらにご挨拶にうかがいます」だの、
 まだお会いしたことのない、
 いろんな方々と無責任に口約束しながら、
 このような事情により、
 ワタシの一方的な都合でいっこうに実現しないままなのが申し訳なくて。
 そんな、
 遠方の皆々様への不義理にチクッと心を痛めてもいます。

 来る日も来る日も釣りに行ってんですけど、
 ほんのチョイの間の手慰みです。
 どうかどうか気ィ悪くせんといてくださいね。
 ほんとにすいません。

 それにしても、
 我が釣りゴコロを奥底から奮い立たせてくれるようなサカナがいてくれはる釣り場が、
 自宅のすぐ近所にいくつかあるというのは、
 もうなにものにも代えがたい極上の幸せ……その豊穣にただ感謝の日々。

 そやからゆうて、
 かんたんにたくさん釣れるとか、
 いつでもごっついのが釣れるとか、
 そんな、
 すぐ醒めてたちまち飽きるようなもんとちゃうで。

 そうやすやすとは振り向いてくれない高嶺の花に恋焦がれて、
 夜毎アレコレ巻いて作戦練っては日々試行錯誤。
 結果、
 冷たく袖にされても、
 キッツイ肘鉄くらわされても、
 めげないで、
 むしろよけいに燃えたって、
 あのテこのテでそのケツ追っかけて、
 すべてがビタッとハマったとき、
 ようやく麗しのキミが相手してくれるから、
 満たされるねんで。

 そういう釣りにふさわしいサカナがいてくれる、
 ゆうことやで。

 そこ、
 メチャ大事やで。
 

 

 ところで、
 話はガラッとかわるけどアンプリチュードって、
 なんだか楽譜の音符記号みたいな語感やなあ…と常々おもってたけど、
 あらためて Wiki みてみたら、

 なんでも振幅という意味なのだそうで
 「波動の振動の大きさを表す非負のスカラー量である」なんだってさ。

 わっけわからんけど。

191013 (1)1

 かれこれ一カ月半ほどまえのこと、
 新しいフライラインをリールに巻いて釣りに行き、
 かるく満を持してさあ一投目…とリールからラインをギーギー引き出していたら、
 横で並んで釣っていた近所の友人が目ざとく
 「あっ、ライン、新しいのに替えましたね」と気がついてくれた。

 「お、わかってくれた?そやねん。コレ新品やねん。
 しかも、
 コレ最高級のラインやねんで」

 「いっすね~」

 「ええやろ」

 「色、かわってますね」

 「かわってるやろ。アンプリチュードっていうねんで」

 「高級そうな名前っすね」

 「そやろ。あ~、最高級のラインが良く似合う最高級のオトコになり…………

 ……たくないな。やっぱり」

 「え?どうしてですか?」

 「常に最高級でおるのなんか、しんどいやん」

 「アハハ」

 「要所要所、かんじんなところでたま~に最高級になれるようにがんばって、あとは低級品のダメなヒトのほうが居心地ええわ」

 「それもそうですね」

 「そやろ」

191013 (2)2

 夕暮れまえ、
 風がやんで水面は波ひとつないベタなぎ。

 どこからともなく浮いてきたアメマスが、
 鏡のようになった水面に、
 ちいさな波紋をいくつも残しつつ、
 浮き漂う極小の昆虫たちを静かに静かに吸い込みながら、
 ゆっくり上流に移動していく。

 ポワッポワッと波紋がひろがるたびに、
 水面にくっきり映っている対岸の森の紅葉がかすかにユラッと揺れる。

 そんな夕暮れ。
 
 アメマスの進行方向を予想して、
 フライをフワッと浮かべてしばし……、
 すべてが思惑通りにはこぶと、
 とつぜんフッとフライが水面から消える。
 ひかえめに、
 そっとついばむように、
 まんまとアメマスがフライを吸い込んだ。

 一呼吸も二呼吸も間をおいて、
 スッとやさしく竿を立てると、
 ググッとサカナの重みが伝わってきて、
 つぎの瞬間ダババッ!と激しい水飛沫が散る。

 静と動のギャップの快感。

 それはまるで、
 アンプリチュードに転調する楽譜のうえを奏でる、
 おごそかなオーケストラのようだ。

 なんのこっちゃ?

191013 (3)3

 アンプリチュード「スムーズ」トラウト・ラインWF

 このフライライン、
 すっごく気に入った。

 夏の終わり頃からつかいはじめたので、
 時節柄おもに14番サイズ以下の繊細なマッチ・ザ・ハッチ系フライや、
 小型の軽いニンフばかり投げている。
 なので、
 空気抵抗をガンガン受けるスタンダード・スタイルや巨大なドライフライ、
 それにヘビーウエイトな大型ニンフなどを投げてみれば、
 またすこし印象は変わるかもしれない。

 それに、
 使用感として、
 ラインスピードをあげてバビューンとかっ飛ばしたり、
 風を切ってスパーンとすっ飛ばしたりするためのラインでもないようにおもう。

 けれど、
 中近距離をジェントルに投げると、
 もうじつにじつにものすごく気持ちが良い。
 まさに名前のとおり、
 すばらしくスムーズ。
 そしてたまらなくシルキータッチ。

 あと、
 特筆すべきはラインがポカッと水面にのっているような「浮き」
 そこにハイテクかんじるわ~。

 さすがは最高級だけのことはある。

191013 (5)5

 15番のフックにヒグマの金と茶褐色のグラデーションがかったガードヘアーをボディに巻いた、
 パラシュート・スタイルのフローティング・イマージャー。

 これ、
 アトラクターなドライフライとしても、
 黄褐色な中小型カゲロウのイマージャーとしても気に入ってる。
 
 このフライをつかった、
 アンプリチュードな快挙のはなし、
 聞いてくれはる?

 先週の金曜日のこと。
 とある里川の広大な大プールの流れ込み。
 はるか彼方の下流で、
 数匹のニジマスがものすごい高活性な態度で、
 右に左にガンガン動き回りながらバンバンライズしているのを発見。

 心臓バクバク。

 正午まえから、
 ドンドン流下しているヒメヒラタカゲロウの仲間の羽化にビンビン反応していることは明白。

 もうなんていうか、
 水面直下のイマージャーだろうが、
 水面のうえで羽ばたこうとしているダンだろうが、
 流れてきたものはなんでもバクッといっちゃうよ、
 みたいなかんじ。

 こんなの、
 めったにない。
 っていうか、
 まずない。

 きっと、
 ヒメヒラタの今シーズン最初とおもわれる大量流下なので、
 御馳走に興奮したサカナたちは我を忘れて日ごろの警戒心もどこへやら、
 といった面持ちなのでしょう。

 だって、
 この数日まえまで主食だったケバエやハネアリ、
 はたまたヨコバイの流下に反応していたときは、
 こんな祭りだワッショイみたいな展開ぜったいなかったもん。

 フラットな水面で疑心暗鬼の塊みたいな態度でライズしていた小憎たらしいツワモノども。

 こんどこそと勝負を挑むたびに、
 毎度おのれの未熟と稚拙ばかりをつくづく思い知らされ、
 叩きのめされてオヨヨと泣かされっぱなしだったもん。

 かように、
 ものすごいチャンスではあるのであるけれど、

 ただねえ、
 ライズしている地点が問題。
 いかんせん距離が遠すぎる。

 じぶんが立っているプールの流れ込みから下流の、
 いちばん近そうなところでライズしているヤツまで、
 フライラインを流して距離を測って目測だいたい25ヤードくらい?
 
 そしてそれ以上、
 地形と水深の関係上、
 どうやっても近づくことができない。
 という、
 あまりにも切なく歯がゆい状況。

 な・ま・ご・ろ・し。

 ところが、
 何度も何度も投げ直して、
 ドンピシャではないけど、
 まあまあの流れの筋にフライをのせて、
 ぶわんぶわんラインを繰り出しながら流し込んで、
 ようやくいちばん近いところでライズしているサカナの近くまでフライを送り込んだところ、
 ありえないくらい簡単に出ちゃった。

 けど、
 スカッとすっぽ抜け。

 明らかにドラッグかかってるし、
 ラインはほとんどぜんぶリールからでていて、
 流れのうえでくねっている状態。

 にもかかわらず、
 痛恨の早アワセ。

 クワーッと頭に血がのぼりながら、
 落ち着こうとタバコに火をつける。
 が、
 さらにその下流でがんがんライズしているヤツを見ていると、
 よけいに血がたぎり、
 まるでストローでジュース飲んでるみたいにチューチュータバコを吸い終わり、
 またも何度も何度も投げてはラインを繰り出しフライをはるか下流に送りこむ。

 そして数十投目、
 (うおおお……そのままそのままいけいけいけいけ……)
 みたいなかんじでフライが流れ込んでいったとき、
 ズボッとサカナの頭が水面から突き出て、
 ものすごい勢いよくダバッとフライに出た。

 距離にして30ヤードくらい。

 「うりゃ!」
 みたいな勢いでおおきく竿をあおりつつ、
 にぎったラインをギューッと引っ張りながら、
 渾身のアワセ。

 ドスンッとかんじる重み。

 「やった!」
 とおもったその瞬間、
 スッパーンッとサカナが水面高く飛び出したんやわ。
 40センチくらいのサカナが、
 水面に浮いてるフライライン30ヤードぜんぶを空中に持ち上げるような勢いで。

 空中でたるみまくるフライライン。
 狂ったようにたぐると軽かった。

 スカッと一瞬ジャンプ一発でバレちゃった。

 もうなんていうか、
 情けないやらなんやら、
 完敗過ぎて……。

 ナチュラルドリフトもメンディングもカーブキャストもへったくれもなく、
 30ヤード先のライズを狙おうゆうことが、
 土台無茶な話しやでと、
 じぶんを慰めた。

 けど、
 そのさらに下流でも、
 いちばんでかそうなのがグワッグワッと魚体を水面から乗りださんばかりにライズしとるんですわ。

 なんどもなんども投げては失敗する。
 っていうか、
 ライズ地点まで届かない。

 すでにもはや手ににぎっているのはフライラインではなくバッキング。

 バッキングラインが2メートルくらい竿の先から出ている状態で、
 ようやくライズ地点に届くかな、
 みたいなかなんじ。

 しかも、
 どうしても流芯の強い流れにラインが押されて、
 ライズ地点に流し込むころにはフライが流れの筋をおおきく逸れてしまう。

 カッカカッカと頭に血が上っているときは、
 もう失敗の連続で、
 噛みしめたクチビルから血が出てきそうやってんけど、

 ……これ、もうムリやわ……

 と、
 あきらめたら、
 逆に肩の力が抜けたからか、
 これまででいちばんいいキャストがきまり、
 この筋にフライをのせたいって流れの筋にのり、
 フライ先行のものすごい良いプレゼンテーションで、
 フライが下流のライズ地点付近にむかって流れていく。

 竿先をブンブン上下しながらラインを繰り出しフライを送りこんでいって、
 バッキングも竿先から出ていって、
 やがてフライが視界から消えて……、

 距離が遠過ぎて水面のフライがもはやまったく見えない。
 っていうのも、
 アワセのタイミング的によかってんな。
 あとでかんがえたら。

 フライが浮いているであろう地点で、
 ニョキッとサカナの頭が水面から突き出て……、

 「あっ」
 とおもって、
 竿はほとんど立てないで、
 手のひらでギュッと握りしめたバッキングをグイーッとひっぱると、
 はるか彼方からグウーンッとかんじる生命の重み。

 (うっわ、掛ってしもた、どないしよ……)
 みたいな。
 すでに負け気分。

 そのサカナは、
 掛った瞬間その場でゴンゴン首を振ると、
 そのまま水中深くに潜り、
 そしてじぶんとは反対方向に突っ走りだした。
 ものすごい勢いで。

 キュイーーーーンと高音けたてて鳴り響きまくりながら逆転するリール。

 バッキングまで一瞬ではなく、
 すでにバッキングが出ていて、
 それがサカナの走りにひかれて、
 チャーッと音を立てながらU字状に曲がって水を切っている状態。

 おっそろしいで。

 リール巻いても巻いても巻いても寄ってこないし、
 巻いたら巻いたら巻いたらまた爆走されてキュイーンとけたたましい音たてて出ていくし……。

191013 (4)4

 ドッドッドッと波打ち高鳴りながら血が逆流する心臓が、
 さっきからすごい邪魔で、
 いっそ口から吐き出したいとおもいながら、
 ようやく寄せることができたサカナは50センチにはやや足りない雄のニジマス。

 だが、
 この釣り場のこのタイプのニジマスの、
 このくらいの大きさのやつは、
 体力気力ともに炸裂させてる、
 生粋のウォリアーでソルジャーなんや。

 魚体の斑点が極端に少ない、
 いかつく鋭い顔つきの、
 もうとにかくカッコイイやつ。

 こいつらは、
 フッキングするやいなや、
 どこまでも一心不乱に激走する猪突猛進型の戦士なんや。

 これまたあとでかんがえると、
 だからよかった。
 この距離で、
 しかもフライは確実にドラッグかかりまくり。
 となると、
 当然ものすごいフッキングは浅かったはず。
 その状態で、
 さっきのサカナのように掛った瞬間にジャンプされたらテンション緩みまくり。
 15番のちいさなフックなんかひとたまりもなく弾き飛ばされる。

 でも、
 掛ってすぐ深く潜って反対方向に爆走してくれたから、
 その抵抗で掛りの浅かったフックがズイッと深く刺さってくれたことは、
 サカナの口にかろうじてチョン掛りしていたフックを見れば明白。

 いずれにせよ、
 そうめったにない会心のミラクル。

 っていうか、
 かるく30ヤード以上離れたところでライズするサカナを釣ったのなんか、
 これがはじめて。

 し・か・も・
 7フィート半の短竿と15番サイズのちっちゃなフックで。
 キャハッ。

 これを我が快挙と言わずして……、

 足元の水面に浮かんでなお力強く抵抗するサカナの雄姿をパシャパシャッと手早く撮らせてもろて、
 魚体をそっと支えて口許にチョンと掛っていたフックを指先で摘まんでクイッとひっくりかえして外すやいなや、
 そのまままた脱兎のごとくダッシュ。
 一瞬で消えていった。

 ああ、
 心底から抜けました満たされました。
 これでまたしばらく、
 余韻に浸りながらイロイロがんばれそう。
 ありがとうありがとう。


 追伸:
 今回の台風の甚大な被害を見聞するごと唖然としております。
 被害にあわれた方々のご苦労にひたすら頭が下がります。
 胸中いかばかりかとお察しいたします。
 まことに僭越ながら、
 心よりお見舞い申し上げます。

 
コマっちゃんに励まされるオッチャン
 じぶんでじぶんのことをオッチャンというのは気に入っている。
 けれど、
 他人にいわれるとムカッとくる。

 それって、
 じぶんがオッチャンであることのなによりの証。

190918 (1)1

 「ハイ、マスター。ジンジャークイルを一本たのむよ。まっキンキンのやつで」



190918 (2)2

 ダッククイルのウイングを、
 ふくよかにスックと立てて巻いた、
 私家版ジンジャークイルの10番。

 本来はダークジンジャーのハックルストークをクイルボディとして巻くのがオリジナル。

 なんだけど、
 ここでは金のマイラーチューブをほぐしたものを細工して、
 それをクイルボディに見立てて金色クイル風なボディに巻いてみた。

 ハックルは、
 金色がかったジンジャーをパラッと薄く数回転、
 豊満なダッククイル・ウイングのまわりにハックリング。

 ジンジャークイルというよりも、
 ゴールデンクイルですな。

 先日、
 お客さまから、
 「キャッツキル・クラシック・ドライフライをアレンジした私家版スタイルで、
 ビゼンさんが好きなように自由に巻いたものをおまかせアラカルトでオーダーします」

 という、
 たいへんウレシ愉しい光栄なご注文をいただき巻かせていただいた、
 我が私家版キャッツキル・ファミリーのなかの一本。

 と、
 そんなスペシャル・セレクションのなかからもう一本御紹介。
190917 (2)2

 ヘンリーヴィル・スペシャルの10番。

 厳密にはこのパターンはキャッツキル地方の出身ではなく、
 キャッツキル・ドライフライ黄金期と同時代に、
 お隣のペンシルバニア州で生まれたカディスフライの古典。

 なんだけど、
 カディス・パターンでありながら、
 そのエレガントな佇まいはキャッツキル・クラシックとおなじ香りがする。

 テントウイング・スタイルに巻き止めたダッククイルが、
 クイッと湾曲しているフォルムがつとにお気に入り。

 このフライは、
 あえてオリジナル・レシピとまったく同じ素材をつかった。

 なんだけど、
 オッチャンはものすごくへそ曲りなので、

 緑色のシルク・ボディ末端に赤いスレッドをチラッと覗かせるイタズラを、
 隠れたところにコソッと忍ばせたりして……、

190917 (3)3

 そして、
 まるでディーウイング・サーモンフライのようにウイングをV字状フラットに巻き止め、
 ウイングをパカッとひらいて、
 そのあいだからアンダーウイングのレモンウッドダックがフワッとひろがっているのがよく見えるように巻いた。

 下翅を拡げてジタバタ水面をはばたきもがくカディスといった体裁。

 つかった素材はオリジナル。
 だけど、
 フライのフォルムは自己アレンジ私家版スタイル。
 という作例。



190917 (1)1

 ……いったい人間は魚を釣っているのであるか。
 それとも魚に釣られているのであるか。
 ある瞬間、深い朦朧のひろがることがあった。
 遊びを追っていくと、きっと、どこかで、底なしの穴を覗かせられる。……

 開高 建 「フイッシュ・オン」 より


 けして冷めたわけではないけれど、
 どうかしたひょうしに、
 ふと底なしの穴を覗いてしまったような気になって、
 なんか、
 どこか、
 ときとして、
 醒めた?ような気持ちが、
 ほのかに芽生えたり?したような気がしたりもする、
 きょうこのごろのオッチャン。


190917 (5)5

 北海道のたからもの。
 オショロコマ。

 この世の命あるもののなかで、
 これほどワタシの敏感なところを萌えくすぐる配色と模様がほかにあろうか。

 とおもいたくなるほどに可憐だなあ……なんて、
 当地オホーツク地方のオショロコマを釣るたび、
 いつもキュンと胸に響くのです。

190917 (4)4

 広々と開けた渓流のオショロコマ釣りは、
 格別にオツで粋な釣り。

 キレイなオショロコマが元気に暮している、
 そんな美しい渓流がすぐ近所に流れているなんて、
 なんと贅沢な暮しであることか。

190917 (7)7

 しかし、
 あまたのマス族のなかで、
 コイツほど釣られたあとにジッとしてくれないヤツはいない。
 ぜったい静止しない。

 目と心に沁みるような鮮やかな姿態を写真に写したくても、
 いっときも静かにしてくれない。

 チャチャッと手早く写真を撮って、
 一刻も早く放したいのに、

 ず~~~っとジタバタジタバタジタバタジタバタ。
 イラッとするでホンマ。

 なので、
 いつもすぐ「もういいや…」という心境になって、
 写真はあきらめてとっとと逃がしちゃう。

 でも、
 そんな「生に執着するあまりの諦めの悪さ」なところも……とっても好き。

190917 (6)6

 そのくせ、
 あまたのマス族のなかで、
 コイツほど水面のドライフライを食うのがヘタなヤツもいないのではないか。

 大胆に果敢にアタックしてきてくれるのはウレシイけれど、
 もうちょっと、
 落ち着いて冷静に食ったらどないやねん?

 でも、
 そんな「不器用だけど必死に生きている」ところ……たまらなく好き。

 オショロコマはなんにも言わないけれど、
 彼らは死ぬまで一生懸命生きている。

190917 (8)8

 そんなわけで、
 邪悪な釣り心を隠そうともしないオッチャンは、
 ブキッチョなコマっちゃんをコマしまくるために、
 ヤツらが水面のフライをすこしでも食いやすいような構造のフライをアレコレ捏造しては、
 ウヒヒとほくそ笑みつつ渓流にむかうのであった。

190917 (9)9

 そ・し・て・
 そのようなアプローチを繰り返す釣りの日々を送るうち、

 我がライフワークでもあるマシュマロ・エクステンション・フライズに新たなアイディアが……。
 じぶんにとってはとても魅力的で刺激的な、
 新たな課題とテーマが勝手にワラワラ湧いてきたのであった。

 おもしろいのでキチンとまとめようとおもう。




 乞うご期待…………してくれはりますか?


 
 
バイビジブル
190831(1)1.jpg

 ラスティダンのコックハックルを巻いた鉄サビ色のクイルゴードン tied on TMC900BL #10




190831(2)2.jpg

 大著「鱒毛針の思想史」より、

190818(5)5.jpg

190819 (2)2

190819 (3)3

 スキューズのフライの作風は、
 ボディをフックシャンクいっぱいに巻くのではなく、
 ややショート気味…寸詰まりに巻いているところがとてもエレガントで特徴的。

 あるとき、
 そんなスキューズが苦労して釣りあげたマスの胃内容物を検分したところ、
 食ったばかりの英国産フタバコカゲロウの羽化直前のイマージャーが大量にでてきたそうだ。
 そして、
 そのちいさなイマージャーのボディに浮き出ている体節の鮮やかさにいたく感銘を受けたスキューズが、
 それを表現するためにアオサギのクイルをつかってボディを巻き、
 さっそく試してみたところ、
 いつものより「ちょっとイイかんじで効いた」
 みたいなエピソードをタイイング気分躍らせながら愉しく読んだ。

 この逸話は、
 本書では雑誌記事の引用としてサラッと触れられているだけだが、
 獣毛ナチュラルファーをつかったダビングボディの微妙な質感こそ、
 自身考案のニンフやイマージャーの真骨頂として啓蒙してきたスキューズ晩年の発言だからこそ、
 わたしの琴線に深く届いた。

 クイルボディ、
 ダビングボディのどちらが優れているか、
 などという浅い視点ではなく……。

 先日、
 河原でひろったばかりのアオサギのセカンダリークイルを数本、
 黄色のシルクに捩って写真のフライのボディを巻いた。

190815 (3)3

 ヒグマの金毛をボディに巻いた私家版ヘアクイルボディのゴールデン・クイル Tied on 2Xロングなモンカゲロウ・サイズ。

 つかったハックルはゴールンデン・バジャーとレオンのパルド系サドル。

190815 (4)4

  Gregory Issacs Happy Anniversary ←いい歌。



190815 (5)5

 やはりじぶんは、
 金色がかっているのとか黄褐色のとか好きなんだなと……。

 あかるい小麦色のゴマダラ模様なセッジ、
 蜂蜜色のハックルのまっ金金なウルフ、
 ともに Tied on TMC900BL #10

190818 (1)1

 濃厚な茶色ファイバーが映えるファーネスをハックリングしたバイビジブル Tied on 900BL #10

 
190818 (2)2

190818 (3)3

 スモーキーなダン・バジャーでハックリングしたバイビジブル Tied on 900BL #10

 いま、
 TMC900BLの10番にドライフライいろいろ巻くのがワタシのタイイング気分なんですよ。

 と、
 そのようなフライを巻きながら、

 メタモルフォセスな密林で食人草に喰われたり、
 農協の慰安旅行で月に行ってドンチャン騒ぎしたりする、
 とってもとってもくだらな~い、
 くだらないからこそムチャクチャおもしろすぎるSF小説なんかも、
 アレもコレもと読みちらかしたりとかもしています。

 ひと足早い読書の初秋。
 
 



BONBON
 190811 (3)3

 エビ茶色のロードアイランドレッド・クイルボディが印象的な、
 ランズ・パティキュラやホートン・ルビーといった古典スピナー・パターン金字塔。
 その考案者としてつとに有名なウイリアム・ジェイムス・ランの黄色いスピナー「ランズ・イエローボーイ」の私的アレンジ。

 ウイングにはホワイティング・アメリカンのジンジャー色のヘンネック。
 ボディはヒストリックスの茶色のハックルストーク。
 ハックルはヒストリックスのハニーダンのサドル。
 そしてテイルはライトジンジャーのスペードハックル……このファイバーの長さと太さそしてテーパーのかかり具合など、
 こうしたスピナー・パターンのためにあるようなテイル素材なんだけど、
 ありそうでなかなかないっていうか、
 いまやぜんぜん見かけない……何気にものすごくレア素材。

 ちなみに、
 両方ともまったく同じ素材をつかっているけれど、
 ハックルの量やウイングの長さバランスなどまったく異なる。
 こうしてみると、
 まったく別物のようなフォルム。

 下側のはハックルをこれでもかと厚くハックリングした、
 ニッポンでお馴染みのスタイル。
 上側のは短めのハックルをスペントウイング周囲に三回転だけパラッとハックリングした、
 全体的に細身かつ華奢でスッカスカに薄い作り……このスタイルがW.J.ランの元祖オリジナル・スタイル。

 W.J.ランのスピナー・パターンのオリジナルは、
 フラットな水面でコカゲロウやフタバコカゲロウなどのスペント・スピナーを神経質に吸い込んでいる、
 セレクティヴかつスレッスレのマスを狙うために考案された、
 もともとはスペントウイングな繊細系マッチ・ザ・ハッチ・パターンの元祖なのだよ。

190811 (5)5

 ただいま、
 このオリジナル・スタイルなスピナーをいろんなハックル素材を駆使して巻き貯めるのに夢中です。

 これから秋が深まるごとに本格的になるであろう、
 ヒラタカゲロウやコカゲロウの仲間の流下にライズしている、
 近所の怪力ニジマスをあえてコレで狙うのが非常にたのしみ。

 それも、
 4Xくらいのぶっといティペットに結んで、
 短いリーダーで、
 できればアップストリームで下流から狙う英国チョークストリーム・ドライフライ王道の作法と流儀で……。

 と、
 「盆休みこそ家にこもって巻いて稼いで仕事するんやで~~~。誰もボクのこと釣りに誘わないでよ」
 なんて公言してはばからず、
 この数日間はタイイングデスクのまえに一日ず~っと座っておるわけですけれど……、

 なんか、
 ちょっと、
 向かうべき方向がちゃうやんていうか……、

 趣味がフライタイイング、
 仕事はフライタイイング……、

 ガッと集中して仕事やりまくらなアカンのに、
 仕事せなアカンなあアカンなあボクってダメだなあと自らを責めつつ、
 いつものごとく趣味にどっぷり集中してるダメダメな無能のひと。

 きょうもまた、
 ユーチューブを垂れ流しながらいろんなの巻きまくるよ~~妄想と夢想の権化みたいなフライばっか。

190811 (1)1

 河内音頭 生駒 一 第15回 伝法連合納涼盆おどり (←ここクリック)

 ものすごいシロートですけど、
 この季節になるとかならず聴きたくなる。

 なので、
 河内音頭の盆踊りの様子がユーチューブで多数観られるようになったのはホントにうれしい。

 この季節のタイイングの時間がとてもはかどる良いBGM。

190811 (2)2

 江州音頭(お伊勢参り道中記) 月乃家 小菊(←ここクリック)

 そしてさらに、
 ユーチューブのおかげで江州音頭に出会うことができました。
 感謝MAX。

 月乃家 菊若会さいこう!

 どれもこれも素晴らしい演目かたっぱしから魅入って踊ってもうすっかり熱烈大ファン。

 行きてえええええええ・・・・・・・・・。

 来年の夏は、
 かならず行きたい。

 みなさま、
 ア・ハッピー・ニュー・ボン。

1908121.jpg

Count Ossie and the Mystic REvelations RASTA REGGAE(←ここクリ)
 そしてハイル・ラスタ。

copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.