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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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ヒグマとエゾリスの毛をつかったシンプル・スペントフライを語る真冬の夕べ
210213 (1)1

 ウイングに秋ヒグマの金毛をどっさり巻き止めて、
 そしてヘッドに春エゾジカの毛をみっちりフレアさせた北海マドラー・オホーツク・スタイル。

 サイズは2Xロングシャンク6番。

 と、
 そんなおっきいやつの話ししよかな~とおもたけど、

210213 (2)2

 エゾリスのファーとヒグマのファーならではの旨味を最大限活かした、
 典型的なドライフライ作例として、
 
 今夜はちっちゃいの紹介しよかな。

 
 それはそうと、
 リール、
 かっこええやろ?

210213 (9)9

 エゾリスのファーをボディに普通にダビングして、
 ヒグマの黒毛をアンダーファーとガードヘアーごとスペントウイングに巻き止めて、
 フライのヘッド付近ぎりぎりのところに、
 パラシュートハックルをぐりぐりハックリングしただけのシンプル・ドライフライ。

 これ、
 すっごいおススメ!

210213 (11)11

 水馴染みバツグンのエゾリス・ダビングボディがきっちり水面下に突き刺さるようなかんじで沈むけど、
 ジェル状フロータントを塗布したヒグマのウイングが軽々水面に乗っていつまでも浮いてる。

 こうしたスペントウイングには欠かせない、
 ウイングの透過性も申し分ないリアルさなんだけど、
 なによりもヒグマのスペントウイングが素晴らしいのは、
 ヒグマのアンダーファーの特性として、
 水に濡れにくく、
 かつ水を弾きやすい。

 で、
 さらにスペントウイングとして巻き止めたとき、
 形状が変化しにくい。

 ので、
 ピックアップを繰り返しながら長時間つかって、
 スペントウイングがより後方になびいてしまっても、
 ウイングのファイバーがフワッと開いた状態を維持してくれる。

 たとえば、
 こうしたスペントウイングの定番素材となるジーロンやポリヤーン系素材なんかは、
 つかいはじめてすぐは透過性もバツグンだしフォルムもリアル。
 ではあるけれど、
 繊維がたちまち吸水して束状にまとまり、
 棒のようなフォルムに変化してしまう。

 これがなかなかのジレンマで、
 スペントウイング素材の決定打はないものかと長らく思案のしどころだったわけですが、
 一昨年くらいにヒグマの毛をつかうことを思いついてからというもの、
 破竹の勢いでスペントウイング大中小各種フライ捏造中の現在です。

 たとえば、
 ヒゲナガやモンカゲ・サイズの大型スペントウイングや、
 はたまたハルゼミの翅として酷使したおしても、
 フワ~ッとひろがったヒグマの毛のファイバーが水面にヒタ~ッとへばりついて陽の光を透過してくれる。

 これ、
 定番の化学繊維素材は言うにおよばず、
 ソルトウォーター用ファイバー素材から、
 日用品素材まで、
 目についたもんほとんど試したあげく、
 化学繊維にガッカリしつづけたワタシが、
 長らく夢見ていた理想のスペントウイング…この発見にそりゃあもう色めきたったものでございました。

 スペントウイングの革命や~なんつって。

 ヒグマのオケケはタイイングマテリアルの宝箱や~~。

210213 (8)8

210213 (7)7

 ヒグマやエゾリスたちがのびのびと暮らしている森のなかを流れるキレイな山岳渓流にて、

 ありがたく彼らの毛をつかわせてもらったフライでバンバカ釣るという、
 なんともゴージャスな充足感もさることながら、

210213 (10)10

 ボディだけは完全に水没していて、
 それをヒグマのスペントウイングとハックルでしっかり支えているので、
 ドラッグヘッジ効果もすさまじく、
 ものすごい頼もしく浮いてくれるくせに、
 ベタッと水面にへばりつくので、
 流しやすさ使い勝手の良さも太鼓判。

 ついでに、
 エゾリスの青味がかったようなブルーダン色と、
 ヘッドとボディ末端の真っ赤に着色したスレッドの鮮烈なコントラスト的アクセントは、
 いにしえの古典スタンダード・ウエットフライ「アイアン・ブルーダン」からの転用。
 ダン系カラーと赤の組み合わせにそそられまくるワタシです。

 当地のアメマスやオショロコマも「その色の組み合わせ、たまんないね」って言ってくれてるみたい?
 なかなか好評のようだ。

 という、
 ユニバーサルな万能型スペントウイング・ドライフライとして、
 山岳渓流での叩き釣りにも多用しているけれど……、

210213 (5)5

 当地の本流にて、
 盆過ぎから初秋にかけて、
 ワタシの天狗の鼻をボッキボキに折り倒し、
 完膚無きまでに叩きのめしてくれはる悩ましいニジマス。

 各ヒレが異様なほどおおきく長いヒレナガ・ニジマス。

 引きはキョ~レツ。

 フライへの選択眼もまたキョ~レツ。

 本格的なライズがはじまった数日は、
 フライのサイズさえ合っていればそこそこ反応してくれる。

 けど、
 それをいいことに調子にのったらエライ目にあわされます。

 ほんの微かなドラッグとか、
 ティペットが水面にベタッと浮いてるとか、
 そんなの論外。

 すぐ目の前でムワワ~ン…ムワワ~ン…と水面を揺らして自由気ままにライズしているけれど、
 フライには一瞥すらしてくれない。

 というニジマスが、

210213 (4)4

 こんなジンクリアで、
 まるで油を流したような超フラットな水面、
 さらにトロ~ンとした流れが巻き返すように大きく渦を巻いている場所で、
 丸見え状態でクルージングしてはる。

 そりゃ~もう悩ましいで。

 しかも、
 さらにやりにくいのが、
 この上流でいつもどこかしら河川改修しているので、
 そこから流れてきた微細なホコリのようなゴミが水面に膜を張ったように浮いている。

 なので、
 CDCをウイングやインジケに巻き止めた繊細なパターンだと、
 ピックアップ一発で沈んでしまってつかいものにならなくなるというジレンマ。

 さらにしかも、
 ホコリの膜で水面がテカッていて、
 フライが見えにくいのなんのってもうイライラ。

 でもねえ、
 釣りたいんですわ切ないほどに……。

 ただ、
 わずかな救いは、
 ここでクルージングしながらライズしているニジマスたちは、
 とくになにかを選んで食っているというわけではなく、
 水面に浮くホコリの膜に囚われて、
 がんじがらめになって流下してくるちいさな陸生昆虫の類全般にライズしているところ。

 たとえば、
 ハエやアブのようなフォルムのハムシ的な虫とか、
 あるいはこの季節定番のハネアリとか、
 そういうスペントウイング形状の虫いろいろ。

210213 (3)3

 ワックスを擦り込みまくった太めの黒のスレッドに、
 エゾリスのファーを薄くきつくダビングしたボディ、
 水に濡れると、
 このようにボディに皮膜が覆っているような黒いボディになる。

 このツルンッとしたボディの印象がいかにも各種の小型陸生昆虫っぽい。

 ウイングはもちろん、
 ヒグマの毛をパラッと散らしたデルタウイング・スタイルなスペント。
 これこそこのフライの核となるパーツ。

 そして、
 とにかく水面のフライが視認できないと勝負にならないので、
 プライドなんかかなぐり捨てて、
 ハレンチなほどにどでかいオレンジのド派手なインジケーター。

 で、
 このインジケにだけ、
 ジェル状のフロータントをクリクリッと指先で揉むように擦り込んでおいて、

 数回ほど投げれば……、

210213 (6)6

 こんなかんじで水面に浮くようになる。

 ボディはもちろん、
 黒いパラシュートハックルも完全に水面直下に水没。
 ヒグマの毛のスペントウイングだけで、
 水面膜にひっかかるような絡みつくようなかんじになって、
 かろうじて水面に浮いているという体裁。

 ヒグマの毛のスペントウイングのおかげで、
 このようなビミョ~なフライの浮かせ方も、
 えらく簡単に演出できるようになった。

 そして、
 インジケーターだけが水面から突き出ている。
 フライは水面下に没しているのに、
 これがじつによく見えて釣りゴコロにやさしいのだった。

 当然、
 フライ全体はほぼ沈んでいるので、
 フライとティペットの結び目もまた水面下に沈んで、
 ティペットの存在感や違和感を消している。

 本物のハムシもハネアリも、
 水面に浮くホコリの膜の下側で、
 みんなこんな状態で浮いている。

 という、
 水面での浮き方もとても重要なんだけど、
 それよりももっと気にしているのは、
 先にも話したとおり、
 すこしでもティペットの存在を隠したい、
 そして、
 フライ全体をほぼ水面下に沈めることで、
 すこしでも自然にナチュラルドリフトしやすくしたい、
 というところ。

 んでんで、
 しとどに濡れそぼっているフライを指先につまんで、
 あらかじめラインも引き出しておいて、
 いつでも投げられる態勢で、
 ひたすらチャンスを待つ。

 ムダ投げはサカナを警戒させるだけだし、
 フライも沈みやすくなり過ぎるので御法度。

 至近距離の、
 確実に無理なくプレゼンテーションできるところに、
 ニジマスがクルージングしてくるのを、
 息を殺して静かに待って待って待ちまくる。

 で、

 パック~ン、
 パック~ン、

 と、
 狂おしいほど悩ましく色っぽいおおきなヒレをビランビランひろげながら、
 右に左に悠々とクルージングしてるニジマスが射程距離にやって来てくれたとき、

 その進行方向を予測して、
 息を詰めるようにポテッとこのフライを浮かべて、

 そして待つ。

 ドッキドキやでホンマ……、

 すべてがうまくいったときだけ、
 ポクンッとフライが吸い込まれる。

 奇跡のように。

 で!

 そ~っと、
 しかしグイッと、
 竿を立てると……、

 まるで瞑想の世界のようだった「静」の時間が、

 ダーンッ!
 ドーンッ!
 と怒り狂って跳ねまくるニジマスの水飛沫と、
 ンギャギャギャギャ~~~~~~~けたたましいリールの逆転音とともに、

 息をもつかせない緊迫の激しすぎる「動」の闘いの時間へと幕開けるのでございました。
 
 脳がバーンッてなるで。

 あ、
 それと言い忘れましたが、
 もひとつやっかいなのが、
 こうした激スレのライズの季節とリンクする、
 真夏のハネアリの集中流下のときの釣り。

 ハネアリが大軍団で一気に水面に浮かぶと、
 いいサカナがばんばんライズするけど、
 これがまたものすごく難儀な釣りになってしまう。

 さっきの状況のように、
 ポツリポツリと散発的に流下しているハネアリは、
 たいがいありがちな、
 我々がイメージするボディ半沈み姿勢で水面に浮くんだけど、

 ハネアリの釣りの主戦場になりがちな止水やフラットな流れに、
 やつらがびっしり浮いているときは、
 ボディ全体で水面にのるような姿勢で表面張力のうえにポカッとのって、
 爪先立って水面高く浮いてることがほとんどのようだ。

 そして、
 よく観察すると翅を水面に浸らせているものは皆無で、
 み~んなカゲロウのように翅を立てて畳んで浮いている。

 ちいさなハネアリが、
 このような姿勢で無数に浮いているときのライズは、
 これがまたとってもシビアで難儀。

 フライもまた、
 水面高く爪先立つように浮かせるのはもちろん、
 クルージングしているサカナの進行方向を予測するのは、
 たくさんの本物に囲まれているだけにいちかばちかの賭けになる。

 でもねえ、
 この難儀な釣りの季節こそ、
 もうたまらなく待ち遠しい、
 書けば書くほどに切なくなる冬の夜長の作文をここらへんでおしまいにします。

日陰のトロ場の超浅場のドラマ
200726 (1)1

 「当地でも明日から天気が崩れますよ」
 と天気予報が告げている連休まえの週明け。

 とはいえ今日も今日とて炎天下の真夏日。

 近所の有名河川の支流、
 ものすごく減水してしまっている流れを、
 汗を拭き拭きさまよい歩いておりました。

 しょぼいポイントはパスして、
 あるていど水深があって、
 かつ水通しがよくて流れに勢いがあるところだけは、

 小場所であっても、
 用心深く慎重に、
 なるべく遠くから、
 フライを流す筋を一投げごとに変え、
 ジリジリと立つ位置を変え、
 
 じっくり粘ってねちゃこくフライを流して……

200726 (2)2

 フックサイズはロングシャンクの6番。
 もともとはヒゲナガを意識しているフォルムではあるけれど、
 
 このような夏の渇水時期、
 あまり活性は高くないけど、
 エサ食う気はまあまあそこそこあって、
 なにかテキトーなの流れてくれば食ってもいいかも……、

 という姿勢で、
 流芯のいちばん良いところに定位しているような大物は、
 あるていどヴォリューム感はあるけれど、
 全体的に細長めのシルエットのフライに好反応を示してくれる
 ような感じが過去に何度かあってからというもの、

 本来ヒゲナガであったはずのこのテのフライたちは、
 むしろ渇水時期にこそ真価を発揮、
 そして多用されるドライフライになってしまっております。
 
200726 (3)3

 インジケーターとしてオーバーウイングに巻き止めた純白のエゾジカのお尻毛の下側に、
 ヒグマの金毛を薄くパラパラッと軽く左右に拡げて散らし、
 ヘッドは秋ヒグマの黒毛のアンダーファーをタッチダビングでボハッと毛羽立たせてダビング。

 これで充分ポカッと頼もしく浮いてくれる。

 ボディはミニオストリッチのファイバーを4~5本、
 スレッドに密に撚りつけておいて、
 それをさらに二重折りにして、
 さらにそれをギリギリ捩じって巻いてある。

 濡れるとメチャ萎むオストリッチなんだけど、
 このように処理するとヴォリューム感もあまり損なわれず、
 つかいはじめはまあまあ良い感じ。

 なんだけど、
 ファイバーのフリューが長いので、
 使いこんで濡れて乾いて…を繰り返すと、
 どうしたってフリューが萎んじゃって回復しなくなる。

 いつのまにか、
 風呂上がりの猫みたいな、
 なんかしょんぼりした風情になってしまうのが切ない素材。

 こうしたビッグサイズなドライフライのボディ材として、
 ミニオストリッチは質感や色調、
 そして見た目やソフト感、
 さらに使い勝手は素晴らしいだけに、
 捨ておくにはあまりに惜しい素材。

 再考の余地あり。

200726 (4)4

 という、
 勇ましく大物狙い一本、
 みたいなデカドライフライで、
 気を張って釣っていたけれど……、

 サイズ6番ロングシャンクのこのフライで、
 めぼしいポイントのなかの、
 そこでいちばん良い流れの特等席スポットから、
 こんなチビッコヤングががっぽりかぶりついてきちゃう。

 きっと、
 きょうはビッグなアダルトが不在なので、
 これ幸いにヤングたちが特等席に陣取ってはりきってんだね。

 しかしこのサイズのフライで、
 こんなチビッコが、
 フライを飲み込まんばかりにフッキングしちゃうって、
 あるいみこのフライすげえじゃん。

 などと感心はしたけれど……、

 そんな、
 チビッコいじめに心が痛い場面をず~っと延々繰り返しておりますと、

 たちまち集中力は途切れ、
 ものすごい雑な釣りになり果てて、

 砂利底のひろ~い浅場のトロ場の岸際の、
 木立が水面に覆いかぶさっている日陰のしたに避難して、
 流れに立ちこんだまんま、
 しばし涼をとっておりました。

 すると!

 立ち込んでいる場所からすこし上流の、
 チャラ瀬がトロ場に流れ込んでいる地点の、
 やはり木立が水面を覆っている岸際の日陰のところで、
 チャポッと一回ライズ発見。

 ライズの波紋からして、
 だいたい30センチほどのサカナかとおもわれた。

 本日いちばんの大物発見。

 ここは慎重に……、
 
 なにしろ水面はベッタベタの波ひとつないフラット。
 しかもジンクリア。

 じぶんの立ち込んでいる場所とさほど水深は変わらない様子。
 ということは、
 膝までもない超ドシャロー。

 いくらなんでも、
 4Xのティペットに結んだこのフライでは、
 なんぼなんでもアカンやろ……、

 と、
 ティペットを6Xに結び変えて、

200726 (5)5

 フライもコレに交換。

 16番のカーブドシャンクに巻いた、
 真っ黒のスペントウイングなパラシュート。

 デルタウイング・スタイルで左右後方V字型に拡げたスペントウイングは、
 秋ヒグマの黒毛のアンダーファーに、
 ちじれたガードヘアーを数本残したものを、
 スッカスカに巻き止めておいて、
 ヘアー先端をちょうど良い長さにカット。

 クリップルドダンやCDCスペントなんかを巻いたとき、
 CDC の先端をカットするのとまったくおなじ要領。

200726 (6)6

 シルエットで見るとこんなかんじ。

 ヘアー先端をカットしても、
 毛がちじれているので、
 とくに違和感はかんじさせない。

 そして、
 巻き止める毛の量は、
 スッカスカですよスッカスカ。

 さらにそして、
 ホワホワのアンダーファーとともに、
 剛毛のガードヘアーも混ざっているのが大事なポイント。

 このように巻いておくと、
 スペントウイングが水面にはりつくシルエットやフォルムが、
 ずっと良い感じにフワッとひろがって維持され、
 光を透過してくれるという寸法。
 
 酷使を重ねてピックアップを何度も繰り返し、
 ウイングが束状になって後方になびくようなシルエットに変化しても、
 フライが水面にのると、
 ヘアーの弾力でウイングが元通りフワッと拡がってくれるところもたいへん小気味よろしい。

 定番の化学繊維なスペントウイングをつかっていて、
 濡れて吸水するとたちまち束状にまとまって棒みたいになってしまうところや、
 繊維が吸水してフライが重くなってしまうところが、
 常々ものすごくジレンマだっただけに、
 ヒグマのスペントウイングの発見は自分のなかで超特大ホームラン。

 と、
 そんなこんなを思いながら、
 余裕綽々な気分で、
 ティペットに結んだフライを写真に撮ったり、
 フロータントを擦り込んだりして、
 視線を手元に落としているあいだにも、

 カポッ、
 カポッ、

 と不定期に聞こえる可愛らしいライズ音。

 …よしよし…もすこし待っててね~…

 なんつって、
 フライを投じるまえに、
 ヒグマのスペントウイングの量や、
 ガードヘアーとアンダーファーの分量がよくわかるようなシルエット写真が撮りたいなと、
 フライの写真撮影に四苦八苦していたとき……、

 いきなり、
 前方にて ゴボッ! と怪音。

 え?
 なに??

 おもわず頭をあげて視線を前方にむけると、
 なななんと!
 さきほどヤングなニジマスがライズしていた地点に、
 ムワワワワ~~ンと重量感ムンムンの波紋が重々しくユラユラと広がっているではないか!

 え?
 うそ?
 なに??

 たちまち響きはじめる心臓の鼓動。

 なにかがいる、
 あそこに、
 ものすごアダルトなの…いてる……かも……?。

 フライのシルエット写真がどうこうて、
 のんびりホノボノゆうてるばあいやあれへんでコレ。

 せめてもう一回、
 ライズを確認して、
 確信を得てからフライを投げたい……。

 水面凝視で待って待って待ちまくる。

 ところが、
 さっきまでけっこうな頻度でライズを繰り返していたヤングも、
 ピタッとライズしなくなっちゃって、
 水面はもうずっとシーンと静か。

 なんか、
 さっきのライズはまぼろし?
 幻覚?

 ……いっそもう投げちゃう?……、

 自問自答して葛藤してココロが揺れはじめたとき、

 いきなり、

 ゴボンッ! て、

 たしかに見ちゃった。

 いる、
 いてはる、
 アダルトいてる。

 しかも定位してはる。

 脳ぐるぐる回転フル回転。

 ……ヤツが定位しているのはまっすぐ上流10メートル先くらい…真下からのアプローチ苦手だな~。
 もうちょい斜めから投げたいな~。
 でも、
 ここからちょっとでも動いたら気づかれるの確実なジンクリアのドシャロー。

 ……せめてティペット5Xに変えたいな~…でもこのベッタベタの水面だしな~。

 揺れる揺れるココロ乱れまくり。

 おそらく、
 ライズの頻度と挙動から察するに、
 なにか特定のものを選食しているわけではなく、
 そしてなにかが安定的に流下しているわけでもなく、
 
 不定期に流下してきたものを、
 ヤング数匹とアダルトが半ば競い合うようにして食っている、
 という状況ではないか、
 と推察。

 こうした状況では、
 コレものすごく重要で、

 アダルトいっぴきがこの狭いピンスポットを独占して、
 余裕をもってライズしているのであれば、
 この状況だとフライなんかすぐ見破られて手も足も出ないだろうけど、
 数匹のサカナが並んでいて、
 たま~に流れてくる流下物を同時に虎視眈々と待っていて、
 そして我先に食おうとしていてくれると……、

 ややごまかしが効く…かも?
 というかなんというか。

 ええいもう、
 いちかばちか。

 フライは、
 まあまあ狙いどおり悪くない地点に着水、
 そしてわずかに流れた瞬間、

 ゴボンッ! やて。

 めっちゃめちゃ浅場でグワバッ!と激しく重い水飛沫。

 ギイイイーーーーンとリールが鳴って、
 鮮烈なオリーブ色と深紅に輝くサカナが激走。
 「ここで会ったが百年目」ぜったい逃がしたくないサカナが、
 透明な水中をひたすら一直線に走っていくのが丸見え。

 黄土色の砂利底の色と、
 魚体の鮮やかな色が鮮明なコントラストになって、
 まるでサカナが宙に浮いて疾走してるみたいだった。

 なんと美しい、
 けれど、
 なんとキケンな美しさ。

 こういうとき、
 糸は細いし、
 浅場やし、
 サカナどこまでも走るし、

 おもわずサカナ追いかけて行きたくなるやろ、

 でもな、
 それ、
 アカンねん、
 
 ザバザバ追いかけて、
 余計パニックに陥ったサカナが川底ズリズリしながら魚体を思い切りくねらすと、
 ちいさなフックはたちまち弾き飛ばされるし、
 ティペットだってひとたまりもない。

 そして、
 追いかけることでピーンとはったラインのテンションが緩んですぐバレる。

 ええことなし。

 いままでそれで何度痛恨のミスを重ねてきたことでしょう。

 なので、
 キケンでおそろしいけど、
 こういうばあいはもう、
 走りたいだけ走らせるねん。

 んで、
 かならず途中で休みよるから、
 そのときジワジワだましだまし寄せてくるねん。

 んでんで、
 手前に寄せてくるねんけど、
 じぶんはサカナからなるべく距離を置くというか、
 じぶんの姿を見られないように、
 岸にあがって一進一退で後退しながら水際に誘導しながらやりとりして、
 
 それでサカナがまんまと水際の浅場にのって魚体が横向きになったら、
 ここが勝負どき。
 おもいきって、
 そのまま魚体をズリッと岸にずりあげるかんじ。
 このとき、
 水から完全にあげる必要はなくて、
 アタマだけ岸にあがってる、
 くらいで充分。
 魚体が横向きになっているのが重要。
 ここで最後のあがきバタバタッとしても、
 プレッシャーかけながらもあんまり引っ張らず、
 ジッと耐えてたらたいがいすぐ静かになる。

 で、
 静かになったらなるべくそ~っと駆け寄って……勝負あり……みたいな。
 
 不測の衝撃やショックにはすごく弱いけど、
 こういうジワーッと力が加わるようなかんじのときは、
 6Xすごく強いなとおもう。

200726 (7)7

 よっしゃ!やったあ! 
 
 しゃくれアゴのコンディション抜群のギンギンのオス。

 16番のフックが口の皮一枚に引っ掛かっていた。

 サカナからフックを外して、
 サヨナラして、
 フライをつまんでバシャバシャッと洗って、
 フッと息を吹きかけて水気を飛ばしたら、
 ベタッとすぼまっていたヒグマのスペントウイングがフワッとひろがった。

 余はおおいに満たされて満足じゃ。

200726 (8)8

 夏の川面には、
 人知れず、
 黒っぽくて、
 こんなカタチをした小さなムシたちがアレコレ種種雑多、
 いつも流れておりますぞ。

 半透明の翅を水面にペタッと張りつかせて……。
  


 

 
アダムス・パラシュート
200720 (1)1
 
 茶色とグリズリーのハックルが奏でる「ムシっぽさのハーモニー」
 夏の陽の光を反射して、
 茶色と白黒ダンダラがハッとするほど色鮮やかに混声合唱。
 もうノリノリで「テレストリアル・サマー」奏でています。

 これはまったく個人的な好みだけど、
 サイズ12番以下のアダムスだとナチュラル・カラーな天然茶色ハックルがよく似合うとおもう。
 が、
 10番からそれ以上の大型サイズになると、
 ダイドものの茶色ハックル各種のほうが、
 グリズリーと混色ハックリングしたばあい発色が鮮やかに映るので、
 好んで染め物系の茶色ハックルでアダムス巻いています。

 たとえば、
 ダイド・コーチマンブラウンとか。

200720 (2)2

 TMC900BL の10番に巻いたパラシュートアダムス。

 ちょいポチャの太めダビングボディは、
 春ヒグマのウォームグレイなアンダーファーをギュッと引き絞るようにタイトにダビング。

 北海道のマスたちが大好きなボテッと太めなボディは、
 アピール度高めで存在感もあるけど普通に巻くとどこか寸胴ブサイクになりがち。
 なので、
 このようにボディ末端をキュッと絞っておいて、
 ソラックスに向けてギューンと急テーパーをかけて太めダビングすると、
 マッチョだけど引き締まったボディになってカッコよろしい。

 春ヒグマのアンダーファーの絶大な浮力とあいまって、
 とにかくず~~っと一日中パッコ~ンと水面高く浮かせつづけたい仕様なので、
 ハックルはかなりぶ厚めにハックリング。

 普通のダイドブラウンのハックルを6~7回転、
 普通のグリズリーを3~4回転ほどハックリング。

 アダムスのハックルは、
 グリズリーを少なめにハックリングしたほうが色のコントラストが断然映える。

 で、
 こうしたパラシュート・スタイルなドライフライのばあい、
 インジケーターのヤーンの長さがけっこうキモで、
 サイズ10番以上の大型サイズに巻くなら、
 じぶんはハックルを巻く範囲も込み込みで大体フックシャンクの長さよりもほんの心持ち長いくらいにしてる。

 インジケーターの量が多いよりも、
 インジケーターが水面からより高く突き出ているほうがダントツとにかくよく見えるから。

 なんだけど、
 これがまた長過ぎると具合が悪いトラブルの元。
 水面でのバランスが極端に悪くなってひっくり返って着水したり斜めに浮いたりロクなことがない。。

 なので、
 良好なバランスを保ちつつ、
 インジケーターがスックと水面高く突き出てよく見えるちょうど良い長さが、
 このくらいかな~というかんじ。

 北海道各河川渓流のこれからの季節、
 ビッグサイズなドライフライばっかやなくて、
 このくらいのお手頃サイズなアダムス的ユニバーサル・ドライフライもボックスに忍ばせとくと、
 パラシュートでもスタンダードでもそこはお好みと気分で、
 いろんな場面でなにかと大活躍してくれてます。

200720 (3)3

 うだりまくる炎天下の真昼間、
 渇水減水の流れのなか、
 水通しのよい深瀬の流芯で涼んではった怪力ビッグママも、

 「アダムス・パラシュート10番を同じ流れの筋にしつこく何回も流してアタシを口説いてね。すぐあきらめちゃダメよ」
 
 て、
 ゆうてはりました。
 
 リールがちっちゃく見えちゃうビッグママ。

 嗚呼…怪力無双…真夏の雌ニジマス。
 格別ですな。

 まるっこくて愛らしいお顔とは裏腹な、
 しゃくれ顎の厳ついオスそこのけのヘビー級暴力的ブチ切れファイトがいと悩ましい。
 ときどきこわい。
 
コヨーテとタップスとガガンボとキツネの嫁入り
 7月のはじめころの数日間、

 朝起きて、
 窓から外を覗いてみれば、
 きょうもまた、
 新緑に萌えているはずの山野には、
 濃い霧が山裾までたちこめている。

 まるで、
 水蒸気の塊が山を覆っているようだ。

 そしてきょうもまた、
 霧雨のような雨がシトシトシトシト音もなく降っている。
 大気は、
 ネットリとした湿り気に満ち満ちている。
 
 そんな、
 鬱屈とした梅雨の天気がもうずっとつづいていた。

 北海道のカラッと乾いた快適な初夏はいったいどこにいってしまったのか?
 ここ数年、
 この季節、
 毎年おなじことを言っている気がするぞ。

 こうなると、
 マスやなくて、
 じぶんの活性がガタ落ち。

 という曇天の日々のさなか、
 ある朝起きてみれば、
 なんだか今日は空気がやや乾いているかんじがする。

 空を見あげれば、
 薄曇り空のフィルターを透かして、
 青空が透け見えているではないか。

 「あ、きょうは仕事休みにして行ってみよう」
 という気になった。

 近所の農家さんにお墨付きの許可をいただいているので、
 広大な私有地の、
 見渡すかぎり延々と広がる畑に沿ってつけられた農道を、
 堂々と我がもの顔でしばらく走って、
 本流の流れに降りられる堆肥置き場の隅にクルマをとめた。

 川沿いに張り巡らされている鹿避け用の柵をあけて、
 藪をこいで斜面をくだり、
 河原に降りて準備を整えていると、
 
 曇り空が途切れて、
 陽の光が燦々と降りそそいできた。

 気温はグングン急上昇。

 気を良くしてしばらく釣り上っていく。

 すると、
 これからいよいよ…というとき、
 いきなりポツポツ降りはじめてしまった。
 「ええ~そんなあ」
 と声に出したら、
 たちまちバチバチと雨粒が川面をたたく本降りになった。

 出鼻をくじかれて、
 やる気はすっかり萎えた。
 さっき来たばかりだけど、
 もう帰りたいとおもった。

 けれど、
 このまま濡れそぼりながら川を下るのも、
 なんだかな、
 というかんじ。

 「なにしにきたんやホンマ」
 と毒づきながら、
 河原のおおきく育ったフキの葉っぱのしたに座った。

 空を見あげれば青空なのに、
 なぜだか本降りの雨。

 キツネの嫁入りだ。

 オレはなあ、
 ネチャネチャの湿気とビチャビチャの雨のなかで釣りするの、
 ものすごくイヤなんじゃ。

 この雨、
 止むのか止まんのかどっちやねん?ホンマ……。

 きょうにかぎらず、
 ちかごろすっかり、
 やることなすこと裏目に出てばかり…なにもかもがうまくいかない。

 心底情けない気分で川面に視線を移してハッとした。

 いつのまにか、
 水面のうえを無数のガガンボが飛び交い、
 まるでガガンボの天の川のようになっていた。

 おどろくほどのガガンボの大群が、
 降りそそぐ雨粒のあいだを縫うように、
 川面のうえスレスレを、
 音もなく、
 静かに、
 上流を目指してフワフワと宙を舞うように飛んでいる。

 いったいぜんたい、
 どれくらいの数なのか?

 天の川の星くずと化したガガンボは、
 はるか下流から、
 あとからあとから絶えることなく飛んできた。

 無限のガガンボが、
 一糸乱れずすべておなじ仕草で、
 おなじ姿勢で、
 おなじ方向を向いて、
 水面のうえを飛んでいく。
 まるで無機質な機械のように。

 とても幻想的な光景。
 なんだかすごくおごそかで、
 荘厳なものを見てしまったような気がした。

 しとどに降る雨のなか、
 濡れるのもまったく気にならなくなって、
 ただただ畏怖の念ひとしおで、
 そんなガガンボの群飛をずっと眺めていた。
 
 はずなのに、

 ほどなく、
 通り雨だった雨が小降りになってきて、
 またもや陽が射してきた途端、
 あれほどたくさん飛んでいた川面のうえのガガンボが、
 いきなり視界から消えた。
 ほんとにスーッと消えてしまったようだった。

 まるでキツネにつままれた気分。

 ほどなく雨がやんだ。

 本日は、
 どこかで、
 さぞかし盛大な「キツネの嫁入り」が執り行われていて、
 ただいま滞りなく終了したのでしょう。

 気がつけば、
 フキの葉っぱや足元に、
 たくさんのガガンボがたかっていて、
 ブルブル翅を震わせながら蠢いていた。

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 ほんのりピンクがかった肌色の胴体。
 まるで植物の枝のような褐色の細長い脚。
 雨あがりの陽の光を反射して七色に光っている脆弱でちいさな翅。

 おおきいのと、
 ちいさいのが、
 おなじくらいの比率でいた。

 きっとどちらかが雌で、
 どちらかが雄なのだろう。

 この現象はもしかしたら、
 ガガンボの産卵遡上飛行だったのかもしれない。

 キツネの嫁入りならぬ、
 ガガンボの集団嫁入りだったにちがいない。

 期せずして、
 ちいさな命の営みが織り成す、
 神秘のミステリアス異次元空間に招待してもらった気分。

 さっきまでギスギスささくれて波立っていた荒んだ気持ちが、
 いつのまにか、
 波ひとつない水面のように静かになって、
 そして澄んできた。

 来てよかった。

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 フライを新しいのに変えて気分一新。

 まよわずコレをティペットに結んだ。

 フキの葉っぱに群がるガガンボを見て、
 きょうはぜひともコレでいってみようとおもった。

 マスたちが実際にガガンボを食っていようがいまいが、
 それはもうどうでもいいのだ。

 きょうはこのフライでこそ釣りたい。

 TMC900BL の10番に巻いた「アメリカン・タップス・インディスペンサブル」の私的アレンジ版。

 ソラックスのところのピンク色のダビング、
 これがなんといってもこのフライのミソ。
 
 じつはこのピンク色のファーは人工の染めモノではなく、
 天然のファー素材。

 この春に入手した、
 コヨーテのコンプリートスキンの下腹部にほんのすこし生えていた、
 淡い褐色がかったピンク色のファー。

 そんな天然ピンクのファーをソラックスにダビングするとき、
 赤く染めたシールズファー繊維を4~5本同時にダビングしたら、
 じぶんにとって理想とおもえるタップス・ピンクのダビングになった。
 ニヤニヤが止まらない。

 人工の作り物ピンクではなく、
 天然の、
 いかにもムシっぽい、
 ときめきの薄褐色ピンク。

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 と、
 そんな私的アメリカン・タップス・ボディのうえに、
 短めノーマルサイズなダーク・ハニーダンを厚めにパラシュート・ハックリング。
 そこに長めオーバーサイズのジンジャー色のレオンのサドルをパラッと一回転。

 名づけて「オホーツク・タップス・インディスペンサブル」

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 なんでもかんでもオホーツクってつけたらええっちゅうもんとちゃうねんけど、
 ワイは自分のフライにはいちいちオホーツクてつけたいオホーツク在住のヒトなんやで。



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 すっかり夏空がもどってきて、
 陽の光が水面をカッカと照りつけていた夕暮れまえ。

 今日はもう駄目かな……、
 とおもいながらも、
 以前何度か素晴らしく良い思いをした超有望ピンスポットまでやってきて、
 しばらく様子をうかがっていると……、

 対岸のバンク際ぎりぎり、
 水際の雑草が水面に触れそうなところの日陰で、
 コポッと微かな水音がきこえて、
 ちいさな波紋がひろがって、
 鼻先が水面からほんのすこし突き出たのが見えた。

 いる!
 いるいるいる!

 しかもコレはでかそう……。

 過去、
 何度も何度もおなじ流れの筋を狙って、
 成功したり失敗したりしている。
 なので、
 すでにシュミレーションは充分。

 そしてなにより、
 きょうはろくに釣れてもいないのに、
 気持ちがとても和やかで平静。

 とても落ち着いていて、
 妙な自信があった。

 対岸バンク際にぶつかる流れの筋にフライをのせる。
 オレンジ色のインジケーターが視界にやさしく鮮やか。
 我が片目のハンデをものともせずよく見える。
 そして、
 波立つ瀬を軽やかに流れくだるオホーツク・タップスが、
 もうあとちょいで水際の雑草に触れようかというとき、
 案の定コポッと出て……、

 ふた呼吸ほどタイミングを遅らせて、
 落ち着きはらってグイィッと竿を立てたら……、

 ドスンッと竿を握る左手に響いて、

 グワボンッ!

 と、
 水面が煮えくりかえって沸騰したかのように、
 鈍く重く激しい水飛沫があがった。

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 来てよかった。
 
 
魅惑の純白ヘアー
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 本来は夕暮れ間近のイブニングどき、
 暮れなずむ薄暗がりでつかおうとおもって巻いた。

 けれど、
 なぜかそういう場面よりも、
 もっぱら真昼間のドピーカンのときに効いてる最近の特にお気に入りのひとつ。

 冬を迎える直前のエゾジカのメスの、
 腰からオケツにかけての真っ白な毛と、
 その境目に生えているほとんど真っ黒な硬い毛、
 さらにその脇の淡いグレイの毛を、
 ランダムにフレアさせて刈り込んだ。

 まるでアイス珈琲にフレッシュをポタッと落とした瞬間のような、
 マーブル模様がたまらなく可憐でキレイで、
 そして印象的なモホーク風の私家版サイズ6番ロングシャンク。

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 モホークというよりも、
 モホーク独特のV字形状の刈り込みスタイルを取り入れたゴダードカディスのようでもあり、
 はたまた、
 そのむかしちょい夢中になっていたナマズ釣り用の私家版ダイバー型バスバグの「いいとこどり」でもあり、
 さらに、
 本物のエゾジカの腰からお尻にかけての特徴的なフォルム、
 クイッとせりあがったセクシーな曲線をも意識してヘアーを刈り込み、
 もはや、
 なにが原型なのか判然としなくなってしまった私的ディアヘア系テレストリアル。

 水面下にめりこむように、
 あるいは水面下にボディがぶらさがるようなバランスで、
 水面すれすれに低く浮くくせに、
 ボディ前半がまるで生クリームのような純白なので、
 なんせよ~見える。

 カーフテイルよりももっとマットな質感というか、
 テカっているような、
 陽の光に反射するかんじの真っ白。

 なので、
 なおさらバッチリ見える。

 よしんば、
 水面直下に沈んじゃっても頼もしくよく見える。

 そして、
 ボディ後半の暗色の部分がまずサカナの視界に映るからなのか、
 あるいは濃淡の効いたコントラスト・ボディがなせるアピール力なのか、
 それらを加味したうえでのシルエットと水面での動きや振動のなせるワザなのか、
 はたまた、
 視認性バツグンなだけにコントロールしやすいからなのか、
 あるいは、
 エゾジカの毛のマーブル模様の美しさに、
 まずじぶんがおおいに気に入ってハマッているという気分的な問題なのか、
 今季、
 なかなか優秀な実績です。

 コガネムシにもセミにも似ていない色合いにもかかわらず……、

 色って、
 なんなんだろう?
 

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 と、
 そのように、
 冬の夜長の手慰みフライタイイングの際、
 ふとおもいついてエゾジカのお尻の純白ヘアーをフックに縛りつけてフレアさせて刈り込んでみたところ、
 あまりにもミルキーな真っ白っぷりがすっかり気に入って、
 いろんなフライにこの真っ白な毛を組み合わせて、
 現在せっせと試しておるわけですが、

 そんなフライたちのなかからもう一本。

 ヒグマの金毛とコック・デ・レオンのサドルをダウンウイングに据えたビッグサイズ6番ロングシャンク。
 
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 左右に大きく広げてデルタウイング状に巻き止めたヒグマの金毛の中央上部に、
 エゾジカのお尻の毛をフワッと巻き止めてある。

 ボディには、
 ここではトンビのセカンダリークイルをドサッと一束捩じり巻き。
 ビロードの絨毯のような微細な毛羽立ちとウォームグレイな色合いが、
 ウイング素材にすばらしく調和してときめきます。

 全体的にボッテボテのファジー体裁。
 こうして見るとかなりのヴォリューム感。
 
 にもかかわらず……、

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 このテのビッグサイズなドライフライだと、
 フライにとびついても、
 フックサイズとフライの構造上、
 どうしても弾かれてしまうことの多いチビッコたちが、
 このフライだとガンガンおもしろいようにフッキング。

 サイズ6番のロングシャンクにボッサボサに巻いてあるのに……。
 よほど吸い込みやすいのでしょう。

 んで、
 ここからが肝心なんだけど、
 それだけガンガン釣ってもフライ自体の水はけがすごくいい気がする。
 フォルスキャスト一発で水気を飛ばす感じで浮力すぐ復活。

 つかうまえにジェル状のフロータントを少量擦りこんだだけで、
 あとはそのままメンテナンス・フリー。

 ただ、
 フライの重量がフックサイズに対してすごく軽いうえに空気抵抗がすくない構造なので、
 かる~く投げてもスコーンとカッ飛んじゃう印象。
 なので、
 逆に思い通りにターンオーバーさせるのにちょい慣れが必要かも。

 で!

 そんだけヤングたちをいっぱいいじめ倒したあと、
 なんの手入れもせずズボラな姿勢で、
 フライパッチに無造作にくっつけたまんま帰宅してからナマ乾き状態のフライを点検。

 トンビの捩じり巻きボディはたくさんのサカナの歯に擦られかじられて、
 さすがにボディはもうささくれて擦り切れている。
 ウイングやハックルもバサバサと乱れたまんま。
 と、
 そんなフライをやさしくスーッとひと撫でするとアラ感動、
 ウイングばっちり修復。
 まだまだぜんぜん充分つかい倒せるかんじ。

 これまで何シーズンにもわたってつかってきたエゾジカの背中や脇腹のナチュラル・カラーなヘアー。
 これらの部位の毛の耐久性というか、
 柔軟で折れにくい丈夫なしなやかさに感心してきたけれど、
 お尻の純白ヘアーもまったくおなじ印象をもった。

 これならさらに、
 視認性を優先したい、
 いろんなフライに転用そして活用できそう。

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 ナマで見ても、
 やっぱり目立ちまくってムチャクチャよく見えるエゾジカのお尻の毛。

 なにゆえ鹿のオケツはこのように純白なのか?
 そこにどのような意味や目的があるのか?

 という疑問はさておき、
 ほんまにまったくもう、
 ええケツしとるやんけむしゃぶりつきたくなるぜ。
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