BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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This is my opinion
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 "Nine-Three"
 「ナイン・スリー」って名前のクラシック・ストリーマー知ってる?

 1900年代初頭のアメリカ・メイン州にて、
 ちょうど「グレイ・ゴースト」が全盛を誇ったころと同時代の古典。

 なんでも、
 このフライの考案者Drヒューバート・サンバーンがはじめてこのフライをつかったとき、
 9ポンド3オンスものランドロック・サーモンを釣りあげたことから、
 このネーミングとなったらしい。

 シルバーティンセルのボディのまわりに白いバックテールを散らして、
 ウイングには明るいグリーンもしくはオリーヴのサドルハックルを3枚フラットに巻き止め、
 そのうえに真っ黒なサドルハックルをアップライトにセット、
 つまり水平に止めたハックルのうえに、
 こんどは別のハックルを縦に巻き止めるという独特の構造をしたストリーマー。

 ベイトフイッシュのお腹と背中の色調のコントラストを強調しながら、
 フラットに巻き止めたハックルで、
 小魚の体型を表現してヴォリュームを確保しながら、
 リトリーブしたときのウイング・ハックルの動きもおおきくしつつ、
 アピール度を高めようとしてこのスタイルになったとの由。

 なんでも当時は、
 その独特で特異で奇抜なフォルムから、
 大多数からは「美しくない」とされて受け入れられなかったそうだ。

 だが、
 Drサンバーンの目論見は大当たり。
 あれやこれやの実績をあげるにつれ、
 当時は「グレイ・ゴースト」や「ブラック・ゴースト」などとともに、
 湖産の大型ブルックトラウトやランドロック・サーモンの大物キラーとして、
 メイン州産ストリーマー四天王のひとつとして挙げられる存在にまでなった。

 だが、
 そんな異端児もやはり、
 時代の流れとともに、
 遠い過去に置き去りにされ、
 忘れ去られたフライとなった。

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 ケニー・エイブラムスはほんもののグレートマン。

 「古き良き時代」を懐古して、
 たんにそれを教条主義的にそっくりそのままなぞるのではなく、
 彼の非凡な釣り経験からうまれたセンスや感性を駆使して、
 往年の「忘れ去られたフライたち」を、
 みずからの「フラットウイング・ストリーマー」の世界で現在によみがえらせた。

 彼のフラットウイング・シリーズのヴァリエイションのなかでも、
 代表作のひとつとなる秀作「ナイン・スリー」は、
 この古典をたたき台にしたものなのだそうだ。
 これにかぎらず、
 彼のフライにはこのような背景で生まれたものがたくさんある。

 そのどれもが、
 クラシックな雰囲気を漂わせながらも、
 すばらしく洗練されたフォルム。

 そこには「古き良き時代」への愛情、
 先人たちへの尊敬、
 敬愛、
 畏敬の念が色濃く見え隠れしながらも、
 懐古主義的な「後ろ向きの姿勢」は感じられない。

 むしろ知れば知るほどに斬新であたらしい。

 なぜならこのフライには、
 彼の数知れない水辺での経験から得た理論もまた、
 はちきれそうなほどに組み込まれているからだ。

 これこそが「温故知新」

 ケニー・エイブラムスは、
 われわれ次世代のフライフイッシャーとって、
 過去と現在をつないでくれた架け橋のような存在だ。

 伝統を継承しながらも、
 その視線は常に未来を見据えている。

 ぼくはその姿勢をうつしいと思う。
 正しいとも思う。

 「文化」というものは、
 こうして現在過去未来が連綿とつながりながら、
 形作られていくものではないのか?




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 Drトム・ホワイティングはほんもののグレートマン。

 固定観念というものは、
 ときとして進化や発展の足かせになる。

 フライフイッシングがその歴史を歩みはじめたころから、
 「ハックル」といえば、
 フライフイッシャーの誰もが即座に連想する、
 普通のニワトリのいつもの「あんな感じ」だった。

 ところが、
 「うつくしいニワトリの羽根」を産出する養鶏技術への情熱や知識、
 そして行動力では、
 世界でも唯一無二の存在だった彼は、
 フライフイッシャーでも釣り人でもなかった。

 つまり、
 「ハックルとはこういうものだ」
 という固定観念がまったくなかった。

 たとえばシルキーこと「スペイハックル」や、
 ブラックレースなどの「アメリカンハックル」にみられるキテレツな色柄ヴァリエイションなどなどなどなど……、

 もし博士がフライフイッシャーだったら、
 従来のハックルのイメージからみれば、
 これらの異色な、
 それまで見たことも想像したこともなかったハックルたちは、
 はたして世に出ただろうか?

 その答えは、
 フライタイイングのための養鶏の歴史をひもとき、
 さらに現存する他社ハックル・ファームのラインナップをみれば、
 容易にわかることだ。

 フライフイッシングの固定観念とは無縁のところにいて、
 なおかつ「ニワトリの羽根」に対して常人には計り知れない情熱をもった、
 博士だからこそ……ではないか?
 
 言いかえれば、
 博士は我々に無限の可能性を秘めた新しい「打ち出の小槌」をたくさん提案してくれた。
 
 そこからなにが出てくるのか、
 それをどのように振って、
 どのように楽しみながら、
 どのようなものを創造していくかは、
 ひとえに我々の裁量と想像力にかかっている。

 「文化」というものは、
 こうしたひとりのアイディアなり提案を多数でカタチにしながら、
 そしてそれをシェアしあいながら、
 長い時間をかけてしらずしらず形作られていくものではないか?

 ソロバン勘定とはぜんぜんべつのところで……。

 これが私の意見。
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 ぬわわ~~んちゃって ドンガラガッチャ…

 みなさま、
 良いお年を~ 

 
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