BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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TRINITY Red, Green & Gold
 もうだいぶまえの話、
 細部の記憶はもはや曖昧なんだけど、
 すごく心に残っている。

 とあるラジオ番組に谷村新司さんがゲスト出演していて、
 谷村さんの昔からの大ファンだというリスナーの方からの手紙がとりあげられた。
 いわく、
 「私は谷村新司さんが創られた、あの歌がとても好きです。
 若いころからその歌にどれほど励まされ、また勇気づけられてきたことでしょうか。
 私はこの歌の歌詞の内容を、私なりにこのように解釈して、
 こんな物語を夢想しながら、それをじぶんの人生に重ね合わせつつ、
 いまも変わらず愛聴いたしております。
 そこで谷村さんにご質問です。
 私のこの歌の解釈は正しいですか?それとも間違っていますか?」

 というような質問だったはず。

 そして谷村新司さんいわく、

 「まず素晴らしいお便りをありがとうございます。
 あの歌の歌詞には、もちろん私自身の当時の体験とその想いが投影されています。
 しかしそれは、リスナーさんが語ってくださった解釈とはまったくちがいます。
 でも、だからといって、それが誤りであるかというと、そうではないのです。
 良い歌というものは、多くの方々の耳に触れたとき、
 それぞれの方が、各自それぞれの想いや感性でその歌に共感し、
 それぞれの人生や生き方を重ね合わせることで、
 その歌は作者の手を離れて独り歩きしていくものだとおもいます。
 なので、作者がその歌の歌詞を書いたときの想いや背景と異なっていても、それはそれでまったくかまわないのです。
 むしろ、だからこそ尊いのです。
 つまり、どの解釈が正しいとか間違いとか、そういうことではなく、
 いうなれば音楽というものは、
 その曲に感動したそれぞれの方々がそれぞれにイメージした「美しい誤解」によってこそ、
 輝きを増すのではないでしょうか」

 というようなお話を、
 あのジェントルなドスケベエ・ヴォイスで訥々と語られて……、

 中学生のころ、
 谷村新司さんのエッチなラジオ深夜放送を夢中で聴きながら、
 「性の芽生え」を迎えた世代としては、
 格別の感ありだった。



 
 そして嗚呼グレゴリー・アイザックス、
 このアルバムをはじめて聴いたのはじぶんが浪人生だったころだ。
 もはや、
 30年以上もの月日が流れてしまった。

 にもかかわらず、
 いまだその輝きは失せず、
 というよりも、
 そのまばゆい光は今だからこそますます美しいものとして私の琴線にとどく。

 ホンマ、
 齢50を超えて世の中ナナメにしか見れなくなったオッサンの純情を、
 まるで恋する乙女のように胸焦がしてくれちゃって、
 どないしてくれるねんゆう話しやで。

 それくらい、
 前回とりあげたユーチューブの81年BBCラジオ・ライブレコーディングは衝撃的だった。
 はたしてあの録音はレコードとして発売されていたのだろうか?
 情報を切に望む。
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 アレ若さま、キンケイの頭髪にちいさな虫がたかっておりまする……




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 案ずることはない、羽化寸前のオオマダラカゲロウじゃ……

 黒ずんでパンパンに膨らんだウイングケースは、
 キンケイの首羽根をハサミでV字に切って巻き止めたのじゃ。

 脚が一本ちぎれちゃったのはご愛敬じゃ。


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 「その時」がいつやってくるかはわからない。
 どのようなキッカケでそうなるかもわからない。
 めったにあることではない。

 天空に舞い上がっていくような創作意欲に突き動かされて、
 まるで自分ではないなにかが自分に憑依したかのような集中力で、
 他者の評価や、
 自己顕示欲や、
 見栄やハッタリの俗とはほど遠い高みにのぼって、
 ひたすら自己満足のためだけに、
 そのとき本当に自分が創作したいものに没頭できるあの時間の濃密な至福には、
 「まさにこのときのために生きている」と仰々しく言いたい醍醐味がある。

 そんな蜜の時間に浸りながら巻いた私的フリースタイルな3本。

 突き詰めれば突き詰めるほどに、
 フルドレス・サーモンフライというものはゴールデン・フェザント(キンケイ)のトッピングを映えて魅せるための土台ではないか、
 という僭越かつ生意気な持論をカタチにして表現したかった3本。
 
 フライそれぞれに巻いた年代が異なっており、
 くしくも自分のサーモンフライ・タイイングの足跡の一端をたどる3本にもなった。

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 エメラルド・パイレーツ
 函館に越してきてすぐに巻いたものだから、
 じつに9年前のフライ。

 鮮やかな緑色に輝くヒマラヤ・モナル・フェザントのネック・フェザーを整列させたボディのうえに、
 おなじくモナル・フェザントのクレスト・フェザーを左右合計3ペア、
 ブワッとひろげたトッピングに並べた。

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 さまざまな色が細かく重なったシルクボディは、
 はるかヒマラヤ信仰の象徴でもある「祈りの布」にインスパイヤされた。

 ちなみにこのシルクボディ製法は、
 もう10年以上もまえに思いついて、
 当時喜び勇んで巻き倒していたスタイル。

 ここ数年はおもうところもあって封印していたけれど、
 つい最近になってコレをまたさらに進化前進させたのをおもいついて、
 キャッキャとよろこんで調子に乗っている。

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 ファイヤー・バード

 一昨年のじぶんのフルドレス・タイイングを象徴する一本。

 血のような真紅に染められたキンケイのクレスト・フェザーを計8本、
 ウイングとしてひろげた。

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 で、
 そこに深い紫色に輝くリッフル・バードの首羽根を一輪。

 眺めていると、
 まるでブラックホールのようにこの紫色に吸いこまれていくよう。
 パプア・ニューギニアの至宝の羽根。

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 ゴールデン・パーソン・ヴァリエイション
 昨年のちょうどいまごろに巻いたもの。

 ぶっとい金の延べ棒のうえにキンケイの羽根を飾ったら、
 きっとすごく愉しいだろうナきれいだろうナ、
 という単純明快な思いつきとそれを具現化していく作業の時間は、
 スレッスレのオッサンを無垢の子供時代にタイムスリップさせてくれたのでございました。

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 と、
 そんな自分にとってこそスペシャルなフライたちをとっておきの額におさめて、
 昨年の忍野の美術館でのイベントにて展示させていただいたのだった。
 で、
 こんどはそれを来たる新居お引っ越しの記念に、
 我が家の一番良い場所に飾って毎日眺めようとおもっていたわけです。

 仕事柄、
 じぶんが巻いたフライはどんなものでも、
 もし購入してくださる方がおられれば、
 もうなんでもかんでも喜んで!
 という態勢で待ち構えている。
 けれど、
 これだけは自分の手元に置いておこうと、
 なにせ自分が世界で一番好きな羽根のひとつを題材にした、
 あるいみ自分の歴史でもあるわけだから。
 
 そのようにかんがえておったわけですが……、
 「これは販売しませんから」などと偉そうに公言もしておったわけですが、

 にもかかわらず、

 先日、
 忍野でのイベントでこのフライたちを見てくださった方がご連絡をくださって、
 とても気に入ったので購入を検討しておりますがどうでしょうか?との旨、

 「ありがとうございます。ぜひよろしくおねがいします!!」
 もうねえ、
 即答です。

 ひたすら自己満足で、
 他者の目などなにもかんがえず、
 じぶんの技量と想いのたけを精一杯ぶつけた、
 あまりにも個人的なフライたちを、
 その方の感性で解釈して気に入っていただいて、
 手元に置きたいとおもっていただけるなんて……、

 その奇跡にもおもえる光栄と、
 はてしない喜びのまえでは、
 じぶんのために巻いたじぶんが愉しむためのどうのこうの…なんていうちゃっちい感慨など、
 一瞬にして霧散してしまいました。

 そんなわけで、
 自分の感性を愉しんでくださって、
 それを愛でていただける方がいてくださるという、
 えもいわれぬシアワセに浸っている今日この頃です。

 昨年から事情があって気ぜわしく、
 時間的にも気分的にも、
 なかなか釣り竿片手に水辺にも立てず、
 ともすれば腐りきってしまいそうな沈殿した気分を持て余す日々。

 あともうちょっとだけ、
 このような状態がつづくかとおもわれますが、
 これで耐えられそうです乗り越えられそうです。

 天下一の果報者。

 しつこいようですが、
 本当にありがとうございました。
 
 
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