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ひさびさにトラディショナルなフルドレス・サーモンフライから、
まずはグリーンハイランダー。
1900年代初頭のプライス・タナットのヴァージョンで巻いた。
ちなみにスレッドに塗布したワックスは、
以前にも自慢したタナット名義のタイイングボックスにはいっていたワックス。
100年あまりの時を経て、
ここジパングにてどこの誰とも知れんアウトロウなタイヤーにつかわれるとは、
タナット御大よもや想像もしなかったでありましょう。
もちろんワタシも、
そんな歴史を紡ぐ一品を引き継いでこんなの巻ける日がくるとは、
このようなフライに挑戦し始めたころは思いもしなかった。
まことにもって縁は異なもの味なもの。
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一見するといたってスタンダードな作りなんだけど……、
もはやスレッスレのひねくれ気まぐれヒトサマと同じはぜったいイヤ・タイヤーのワイが、
たとえトラディショナルであろうともまともに巻くわけないやんけ~。
というわけで、
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こっち側サイドは見慣れたフツ~の作り。
なんだけど……、
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こっち側サイドはひと手間ふた手間の細工しまくり。
まず、
メインウイングをドサッとのせて巻き止めて、
そのあと、
ウッドダックとティールのサイドウイングを巻き止めて、
ルーフとなるブロンズマラードをウイングのてっぺんにのせるわけですが、
そのとき、
これらのパーツをたんに巻き止めるだけではなく、
限界ギリギリまでンギーッとスレッドを絞って、
ものすごいプレッシャーかけて巻き止める。
これ以上キツク巻くとファイバーが割れたりバラけたりする寸前までギーーーッと絞る。
すると、
当然これらのカモの羽根ファイバーがフワ~ッと開いてくる。
で、
それをやねえ、
ちょっとした小道具つかって、
もうこれ以上ないくらいのフェザータッチでやさし~くやさし~く何度も撫でる。
ここでちょっとでもチカラ入れたりリズム狂ったりすると、
ファイバーがパカッと割れちゃう。
そうなるとなし崩し的にファイバーぜんぶバラッバラになるけど、
けしてイライラせず何度もやり直して……、
うまくいくと、
フワッとファイバーが開いた状態のまま、
メインウイングにヒタ~ッと馴染んでくっつくように納まる。
すると!
ルーフやサイドウイングの下から、
各色をマリッドしたメインウイングが、
なんともいえず妖艶なかんじで透け見えちゃう。
しかも、
ブロンズマラードの艶チョコレート色やウッドダックの鮮明な白黒とマダラが、
まるでとろけるようになって下地のビビッドカラーを映し出している。
も~エッチなんだからあ。
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と、
そんなアダルトな透けチラ・グリーンハイランダーとともに、
スケスケ・モダンフルドレス・サーモンフライの名作中の名作「ゴールデン・フリース」を並べてみたくて……、
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ゴールデンフェザントのトッピングを6本、
フワ~ッとやわらか~く曲線を描きながら膨らませるように広げてウイングに巻き止めた。
これ、
当初はトッピング9本つかってブワ~ッと迫力のあるウイングに巻いたんだけど、
その状態で一晩おいて、
翌朝またじっくり眺めて、
エイッと決心してほどいて最初からウイング巻き直して、
ウイングの根元と中間とトップから3本のトッピングを間引いて、
あえて薄めのトッピング・ウイングにした。
9本ドバッと巻き止めたのもすごくいいんだけど、
それだとなんかここで求めたものとイメージがちがう。
スケスケな可憐さよりも厚みのある迫力のほうが勝ってしまう。
そうではなく、
ここで巻きたかったのは、
グリーンハイランダーの透け具合に調和するような楚々とした透明感。
まるで金色の薄い羽衣をまとって天空を舞う裸身の天女のような…清楚で品のあるスケベがワシたまらんすっきゃねん。
そんなわけで、
6本のトッピングのファイバーがあくまでも自然にひろがっている状態で、
各トッピングのファイバー先端の赤みがより映えてみえるかんじで仕上げてみた。
ウイングを通して向こう側が透け見えです。
で、
そんなスケスケトッピングのウイングうえに紅いマコウのホーンを生やしたわけですが、
通常こうしたトッピング系のフライだと、
どうしてもホーンがウイングのうえにしなだれかかって寝そべってしまうんだけど、
そうではなくて、
ウイングとおなじ曲線を描きながら、
ウイングに乗るようにくっつくのではなく、
ウイングのうえに微かにフワッと浮いている状態を維持できるように巻いてみた。
むしろ、
トッピングの金色透けウイングはこの紅色オウムの触角を鮮烈に魅せるための土台だ。
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と、
トッピングをつかったウイングとスロートはこのようにフワ~ッとうす~く巻いたけれど、
明るい橙色のボディにまとわりついているトウキャンの小羽根は、
ボディ末端からヘッドのぎりぎりまでを包み込むように、
これでもかと何枚も厚く重ねて巻き止めた。
それでもこの透明感というか透け具合。
トウキャンの首の羽根はほんとに神秘だ。
一枚だけだと空気のなかに消えてしまいそうなほどに存在感が希薄な羽根。
そんな羽根が、
ボディ全体をフワッと覆いながら、
まるで呼吸しているかのようにふくらんでいる。
えらそうに語っちゃってごめんね、
自己満足に浸らせてね。
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題して「フワッと透けてるオトナの色香」