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お日さまはいつかえってくるの?
ひと雨来るのか来ないのか、
煮え切らない曇り空の日がけっこうつづいている。
台風一過の荒れようだった昨年の今ごろとは真逆。
今年はいま現在まとまった雨がぜんぜん降らない。
なので川ははやくも減水。
夏の渇水期のような流れ。
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ジェロニモ参上。
サイズ4番。
つい五日ほどまえ、
まだときどき晴れ間がのぞいていたとき、
釣り場にむかう道すがら、
お日さまにあっためられたアスファルトの道を、
焦げ茶色のぶっとい毛虫がウネウネ這っているのを二回も見た。
今年はじめて。
ケムンパスきーーーたーーーーーーー!
まってました。
おそらく、
川のなかはすでに種種雑多な毛虫が流れに揉まれておることでしょう。
今シーズンは毛虫の釣り検証をなにより楽しみにしておったのじゃ。
ジェロニモの出番がやって来た。
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五日ほどまえ、
おなじ釣り場のちがう区間では、
大中小のニジマスたちの口中奥深くに飲み込まれたジェロニモ。
ジェロニモすっかり人気者。
きょうもまた、
そのときつかったのとおなじやつを自信満々で特Aクラス実績の深瀬のポイントにブッ込む。
ダーダー白泡を立てている瀬頭の流芯脇で出るとおもいきや、
瀬尻のヒラキの深みからスパーッと垂直にジェロニモめがけてサカナが浮上してきた。
のだが、
フライに鼻先が触れたんとちゃうか?
というところでクルッとUターン。
え~そんな~。
まあ、
五日ほどまえに来たときよりもさらに減水してるし、
足元の砂地には夢追い人たちの真新しい足跡がいっぱい。
そら神経質にもなるわな~。
とおもったけど立ち去り難く、
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時間をおいてフライを交換して再チャレンジ。
コレを選んだ。
黄金のウルフ爆裂サイズ4番キンカムイ・スタイル。
ハックルはファーネスの短いファイバーと、
レオンのサドルのものすごく長いファイバーのミックス。
というお品書きはさておき、
ここでは、
ものすごくヴォリュームのある存在感ムンムンのモジャモジャしたフォルムのフライから、
フライのサイズはまったくおなじだけど、
全体的にスカスカした毛羽立ちのスパースで透明感のあるモジャモジャ・フライに変えて、
どちらもファジーで毛虫っぽいモジャモジャだけど、
受ける印象はまるでちがうよ…どない?
という作戦なんですよ。
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サクセス!!
さっきとまったくおなじようにヒラキの深みからスパーッと一直線に飛び出してきて、
こんどは躊躇なくバクッとくってンギャギャギャギャーとリールを鳴らして突進した。
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3Xのフロロをタールノットで結んで。
サカナの口から外して、
シャバシャバッとかるくゆすいで、
フッと息を吹きかけて水気を飛ばした状態。
これでバッチリ復活。
さいしょにジェル状フロータントを丁寧に塗布しておくと、
あとはほとんどメンテ・フリー。
さ、
つぎいこか~。
このポイントからしばらく上流に行くと、
いつもは川岸の藪をこいでスルーしているなが~いプールがある。
砂利底で水深は浅く平坦、
流れはテレッとゆるく、
この季節だとサカナが居つくような場所ではない。
浅いといっても最深部で胸くらいの深さがあるので、
川通しには歩けず、
いつも面倒な藪こぎを強いられていた区間。
しかし減水しまくっている今日は、
川のなかをず~っと上流まで歩いて行けそう。
そんなわけで減水中の幸いと、
夏草の生い茂る岸沿いに腰くらいの深さのところをゆっくり歩いていたとき、
ものすごいの発見。
アレは倒木が沈んでいるのか?
とおもいきや、
プール最上流のゆるやかな流れ込みの対岸のいちばん深いところの川底べったりに……、
えげつないのがドッテーンと横たわっていた。
こんなところにおったんか~。
というか、
ぜんぜん意識していなかったので、
気がついたときにはサカナとの距離はもはや目と鼻の先。
丸見え。
とはいえ、
水深がけっこうあるのでさほど警戒されていない様子。
しかも!、
微動だにせず直立不動でジッと凝視していると、
どでかいのが二度三度と魚体をかるく右左に揺らすようにうごいて、
白いクチがパフッと開いてなにかを捕食した。
丸見え。
……パフパフしてんじゃんなんか喰ってんじゃんアレ釣れるんじゃん?……
そのようにおもったとたんバックバクドッキドキ。
迷うことなく、
エゾリスの毛で巻いたモジャモジャのニンフを結んで、
ジーッと頃合いを見計らって上流にチャポンと投げて沈めて、
サカナの目前にフライを誘導。
すると、
巨まっちゃんのやつ、
フライの流下にあわせるようにジリジリジリジリあとずさりすると、
そのままクルッと下流にむかってどこかに消えてしまった。
マンモス落胆。
立ち去り難く、
そのまましばしたたずむ。
タバコを吸いおわって、
携帯灰皿に仕舞って、
もう行こうかな~どうしようかなと逡巡していると巨まっちゃん、
スーッとまた元の位置に戻ってきたではないか。
またもや心臓バックバク。
おそらく、
チャンスはあと一回。
戻って来た巨まっちゃんが、
再び流下している「なにか」を捕食するまで、
そのまま延々ジーッと待つ。
ようやく、
グラッと魚体をゆらして真っ白な口をパフッと開いてなにかを食ったのを確認して、
まるで「坊さんが屁をこいた」のように、
サカナの様子を確認しながら、
ジリッジリッとすこしづつサカナの定位している位置よりも上流に移動。
横方向からのアプローチだと、
この状況ではどうしてもティペットが先にサカナの視界にはいってしまう。
おそらく、
サカナの様子から察するに、
フライに警戒したのではなく、
ティペットに怯えたかんじ。
なので、
すこしでも上流から流しこんで、
フライ先行で流したい作戦。
かつ、
一度見られたフライにはまず反応しないとおもわれたのでフライも交換。
長い時間をかけて、
ナメクジのように上流に移動して、
それからサカナの様子をジーッとうかがい……、
満を持して再挑戦。
こういうピリッピリにはりつめた勝負のときに、
ぜひとも習得しておきたい、
「いいこと」教えたげようか。
「ぜったい釣ったる!」なんておもってギンギンになっちゃダメ。
その殺気、
ぜったいサカナに伝わってます。
そうじゃなくて、
釣りたい気持ちにむりやり蓋をして、
「まあダメ元でやってみよかな~」
くらいのかんじでかる~く、
しかし慎重に……。
これ、
ものすごいコツやとおもてます真剣に。
んで、
上流側からスーッと流し込んだフライが沈んで、
サカナの視界に入ったかなとおもった瞬間、
これまでほとんど同じ位置に定位してエサくってた巨まっちゃんのやつ、
わざわざ上流にスッと魚体を移動させて、
フッとエラふくらませ、
でっかい胸ヒレふわっとひろげて、
プファッてかんじで真っ白なクチを開けて、
ばっくりフライを吸いこんだ。
丸見え。
ドンッとあわせた瞬間、
グワンッと魚体をひねらせて、
そのまま一度も止まらずバッキングが吹っ飛ぶように出ていった。
ギュワーッと狂ったように下流に走っていったそのお姿から、
サカナの「しまったああ~~~~」という叫びが聞こえるようなかんじだった。
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ドーンてかんじ。
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あれだけの激闘のあと、
水辺に横たわってなおでっかい背ビレをバビーンとおっ立てて、
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全身で怒り狂っている巨まっちゃん。
野性やわ~。
はよとっとと逃がして余韻に浸りたい。
でも、
もうちょっとだけ魚体を眺めさせてほしい。
いつも気持ちが焦りながらせめぎあう。
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つかったフライは……、
アオムシきーたーーーー!
今年もまた、
インチワームの季節がやって来た。
これから初秋の季節まで、
黄緑色のちいさなイモムシは、
ときとしてスレッスレの百戦錬磨を、
ウブな食いしんぼうに変えてしまうことが多々ある。
最重要くらいの感覚で要チェックですよ。
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オケツに血がにじんでいて、
黄緑色の表皮のしたに血管が透け見える、
朱色のアクセントを強調したブラッディなインチワーム。
これ、
ありがちなヤーン素材ではなく、
アクリル繊維をマシュマロ・エクステンション・スタイルに巻いて、
このような体裁に巻いている。
このように巻くと、
流れに揉まれるイモムシの棒みたいな沈み方によく似ている。
今シーズンは、
またもやイロイロアレコレ改良を施して、
さらなる進化をめざしたい。
満たされ過ぎてお腹いっぱい。
午後おそく、
川からあがってクルマに戻って、
車内に置きっぱなしにしている携帯を見ると、
里川の大プールに行っている友人から、
「モンカゲいいかんじ」
と一言ライン。
「これからいくわ~」
とお返事して、
いつもの仲間たちの社交場的釣り場に向かいます。
到着してみれば、
アレなんだか水面はとっても静か。
友人たちも釣りモードではなく岸辺で談笑中。
「いや~、ついさっきまでモンケゲばんばんハッチしていてライズも凄かったんだけど……」
アラマアあとの祭りのご様子。
こんなとき、
いつもならハンカチのカドくわえてウッキーッと悔しがるところ。
なんですけれど……、
「いや~、きょうさあアソコの川行ってたんだけど、こんなことがあってさあ」
な~んちゃって両手広げてアツ~ク語っちゃってキャハ。
でもせっかく来たので、
モンカゲのフローティングイマージャーを水面にポツンと浮かべてはみたけれど、
それよりむしろ友人たちと談笑。
しておりますと、
モンカゲ羽化の残り香のように、
チャポッと……、
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やったー釣れたー。
エゾリスの毛とワシミミズクの羽根で巻いたモンカゲの新作パラシュート・イマージャーで釣れてくれてウレシイ。
そんな一日。