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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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ユスリカの園
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 お盆がやって来る数日前のこと、
 この日も朝からいきなりカッカと暑い日だった。

 北海道に越してきて10有余年をへて、
 コチラではじめて「熱帯夜」を体験した。
 今年の夏は辛かった。

 夕方、
 陽が陰ってくるのを待って、
 自宅からすぐ近所の釣り場に行くと、

 駐車場にコムロさんとイシザキくんのクルマが並んでいた。
 
 「お、ラッキー。来てる来てる……」

 なんつって、
 その横にじぶんのクルマをとめ身支度を整えて、
 釣り場に通じる林の小道を小走りに抜けて水辺に出ると、
 案の定みんないた。

 ふたりとも、
 水深が腰くらいのところまで立ち込んで、
 20メートルほど間隔をあけて並ん釣っていた。

 岸から、
 「まいど~~~」
 といきなり叫ぶと、
 ふたりとも同時に振り返って、
 「あー、来たーー」
 と言った。

 「おふたりの真ん中に割り込ましてもろてもよろしいでっか?」

 「もちろん割り込んじゃって~~」
 とコムロさん。

 60代半ばのコムロさん、
 50代半ばのワタシ、
 40代半ばのイシザキくん、
 三人仲良く並んで釣った。

 「今日もキケンな暑さでしたね」
 というと、
 「いや~、もうさ~暑くて暑くて家にいられないから、ここに来て立ち込んで涼んでるところ~」
 「でもここもさ~、水に浸かってる下半身は涼しいけど、上半身は暑くて暑くて……」
 とコムロさん。

 いっさい殺気をかんじさせないけど、
 「やる気」もかんじさせないコムロさん。

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 そしてコムロさんが、
 「さっきイシちゃんがすごいの掛けたんだよ」
 と言った。

 「うっそマジで!」

 「ひっさびさにものすごいファイトでした!」
 
 「やる気」と「釣る気」を常にムンムンムラムラ全身全霊で発散させつづけているが、
 けして自己主張や誇張はしないイシザキくんが、
 興奮を抑えきれない口調でそのように言った。
 めずらしいことだ。

 それだけに、
 掛けたニジマスは相当のヤツだったのだなとおもわれた。

 「ホンマかあ~、それメッチャ見たかったわ~~」
 と悔しがると、

 「どっぼ~ん!ダッバ~ン!って、ものすごいジャンプもしたしね!」
 と横からコムロさん。

 「マジか~~~、え~~な~~~。つこたフライなに?」

 「ユスリカのピューパです。」

 「うっそマジ?けっこう沈めてたん?」

 「いや、それがですねえ、ライズはすごく散発だったんですけど、
 さっきユスリカがものすごくいっぱい水面に浮いてたんですよ。
 それで、おもいきってタナをすごく浅くして30センチくらい沈めてゆっくり流したらすぐ、
 ツーーンッとインジケーターが引き込まれたんです」

 「うっは~~~マジか~~~。めっっちゃエエやん。で、いまは状況どうなの?」

 「いま、さっきからずっとシーーーンとしてます。ライズもピタッと止まりましたね」

 「んがくっく……」
 とワタシ。

 それでも、
 ビシッバシッとするどく竿を振って、
 めぼしい場所すべてにフライを打ち込み丁寧に流しつづけるイシザキくん。
 集中してはる。

 その横で、
 立ちこんだまま釣りそっちのけで、
 終始どうでもいいようなご近所の噂話に熱中するワタシとコムロさん。

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 陽がかんぜんに暮れようとしているころ、
 静まり返った水面でいきなりザババッ!と激しい水しぶきの音がして、
 ハタとイシザキくんのほうを見やれば、
 良い型っぽいサカナを掛けたけれど惜しくもバラシたところだった。

 その瞬間、
 さっきまで弛緩していた釣りゴコロがシャッキーーン。
 渇はいりましたー。
 時は来た。

 「イシザキく~ん、フライはなに?」
 
 「ドライです~。ポワ~ンってちいさなライズがあったんで、そこに投げてチョンチョンッてフライをうごかしたらガバッ!と出ました」

 「マジか~。チョンチョン作戦いけるね~」

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 真っ暗になる直前、
 じぶんの道具立てでもなんとかフライが届く距離のところで、
 ポワ~ンポワ~ンと2回連続してライズした。

 確実におなじサカナが浮遊物をついばみながら移動している。

 3回目にライズしたとき、
 進行方向が予測できたので、
 ライズ地点よりも2メートルほど横にフライを浮かべて……、

 一呼吸待ってツ・ツ・ツ・と、
 パラシュートハックルに薄く一回転だけ巻いたレオンの長いファイバーをプルンと揺らす……、
 みたいなイメージで水面のフライをうごかすと……、

 ガボッと出てくれてしてやったり。

 おそらく、
 水面あるいは水面直下に無数に漂っているユスリカの脱皮殻や溺れたスペントなどに執心して、
 そんなちっちゃいのばかりせっせとついばんでいるけれど、
 視界の先でなにかムシっぽいのがツツツとうごいたので、
 おもわず飛びついちゃった……という反射喰いだろう。

 ムチャクチャ引いた。
 このサイズのニジマスでさえ、
 ひとたび走り出すとフライラインがギュギュギュギュギューッと音を立て水を切りながら弧を描く。
 そしてその先でドーンッ!バーンッ!と水面高~く見事な連続ジャンプ……おもわず拍手しそう。

 きょうはこのイッピキで満足。

 帰り道、
 林の小道を歩きながら、
 
 「昼間に掛けたごっついの、写真に撮った?」
 とイシザキくんに聞くと、
 「いや~、それがですね、手元まで寄せてきて、さあリーダーをつかもうと手を伸ばしたとき、
 スコッとバレちゃったんです」

 「そうなんや~。まあ、それやったら釣れたことにしたらええやん」

 「そうだよ~、もうほとんど手元に寄せてたし」
 とコムロさん。

 「……いや、やはり、自分の手でサカナの口からハリ外してリリースしてこそ完結なので…それはダメです」
 
 「アンタよ~ゆうた!それでこそ釣り師やで」

 すっかり真っ暗になった駐車場で三人ウハハと笑いころげて、

 「じゃ、またね~」

 なんでもないような、
 なにがあったわけでもない、
 めずらしくもなんともない、
 いつもの日常のような一日。

 なんだけど、
 ほのぼのと穏やかで平和で、
 気持ちがあたたかく満たされた一日。

 これがかけがえのない一日というものなんだな~と、
 しみじみおもったりする……ようになっちゃった50歳半ばの夏です。

 なんなんやろ?このかんじ。

 そ・し・て・
 帰宅して風呂からあがって夕ご飯を食べて、
 さっそく巻いた。

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 アカムシちっくなユスリカ・ピューパ2019キラキラ。


190815 (1)1

 大学1年生のころ、
 いつもつるんでいた仲間内3人のあいだで空前の筒井康隆ブームが巻き起こり、
 アレよんだコレわろたヤレよめソレよめと…夜な夜な熱く語り合いながら、
 とにかくどれもこれも貪り読んだ。
 
 30年以上ぶりにコレ読んだ。
 うわ~我知らず…よろず直球で影響受けててんな~自分…とおもって感慨深かった。

 いま読んでもやっぱおもろい。
 しかも、
 懐かしい回顧でなく今の視点でおもろかった。

 



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