そもそも、
ヒグマの「ヒ」ってなに?
どういう意味?
どういう由来?
そんなこともしらないくせに、
たかだか数頭のヒグマの毛皮を切り刻んだごときで、
いろんなことを知っている気になって、
さもわかったようなことをドヤ顔で語ったりして、
ほんとにイタ恥ずかしいワ・タ・シ。
わかっていることは、
じぶんはまだまだな~んにもわかっていない、
ということ。
昨年末、
オホーツクの我が家から、
全国津々浦々の同行諸氏の皆様のお手元に旅立った三頭のヒグマたちの毛は、
徹底的に完膚無きまでにおのれの無知と未経験を知らしめてくれることになった。
新しい発見と未知の気づきに満ち満ちていた。
やっぱりヒグマはすごい。
一頭一頭の毛それぞれがぜんぶちがう。
個体ごとに際立つ個性があり、
そして、
それぞれが異なる旨味を秘めて光り輝いて見える。
さらに、
毛皮をこまかく切り分けながら、
個体ごとの各部位の毛の細部をじっくり観察していると、
そのヒグマが暮していた環境や、
生活の様子やクセまでもが連想できそう。
そんな動物、
ほかに見当たらない。
この圧倒的な存在感をまえに、
謙虚にならざるを得ない。
謙虚ではあるけれど、
未知の世界を垣間見て、
新しい発見におどろきよろこび、
そしてそれを噛みしめながら、
これまで思いもしなかったタイイング・アイディアの洪水に溺れながら、
脳裏で溢れんばかりになったフライのイメージを実際にカタチにしていく醍醐味は、
もう何度味わってもたまらない。
はっきりゆうてワシ、
このカイカンにこそ浸りたいがためにサカナ釣りしてるようなもんやから。
それでもなお、
まだまだ知らないこと、
見たこともなかったヒグマの毛がい~~っぱいあるはず。
これからも、
もっと深く、
もっと濃ゆく、
もっと広く、
もっと愉しく、
このニッポンにしかいない唯一無二のタイイング素材に徹底的に取り組みたいと、
熱く決意を新たにした新年。
ではございましたが、
お正月の休日ムードのまま「自分がいまこそ巻きたいフライタイイング」にさんざんどっぷり浸りまくり、
年末から現在までヒグマの毛しかいじくっていない有様。
ハタと気がつけば、
日がな一日明けても暮れてもせっせせっせとこ~~んなにたくさんフライ巻いてるのに、
現実逃避ばかりのぜ~んぜん仕事してない怠けたダメなヒトの気分。
散らかったタイイング机のまえに座るたびに、
いつものダメダメマン参上の自己嫌悪と、
おもうままにやりたいだけ巻き倒したった充実感が入り混じった複雑な気分です。
一カ月ぶりのおひさしぶりですコンニチハ。

イッポン巻くたびに、
ボディにダビングしたヒグマの黒毛をクシやブラシでブワッサブワッサと毛羽立たせておりますと、
アッと気がつけば、
アッというまに、
机上はダビングボディからこぼれ落ちた柔毛でいっぱい。
そのこぼれた柔毛を刷毛で丁寧に寄せ集めて、
それでまたダビングしたりとかして。
バンバカ巻き倒すことで、
この黒毛のダビング材としての使い勝手の良さ、
そしてなにより秘めたる可能性を見出してしまった現在、
なんだかもったいなくなってしまって、
いまはけっこうかなり節約モードで大事につかってます。
なんせ、
この黒毛ヒグマはかなり迫力の巨体だった。
なおかつ全身の毛の状態が素晴らしかったこともあり、
ありがたくも全身くまなく捨てるところなく活用できた(これってすごいレアケース)。
ので、
ものすごい量のスキンが採れた。
切り分けても切り分けても切り分けてもドバドバ採れた。
という、
まことに壮観の大量在庫に囲まれていたので、
当初はいま考えるとヒジョ~にもったいない贅沢で大胆な使い方をしておりました。
無知と未経験ゆえに、
黒毛のスキンをバリカンで刈りあげるような勢いでバッサバサ切ってそしてバッカバカ巻いた。
無駄打ちしまくりソレ思い出すと舌打ちしまくり。
しかし、
転んでもただじゃ起きまへん。
そのおかげで、
この黒毛を有効に活用するための新しいアプローチのアイディアがワッラワラ脳内イメージ湧いてきて、
年の暮れからこっち、
もうどうにもこうにも黒毛まみれ。
そこに金毛や春クマもくわわってしまうと、
もはやすっかりクマの毛カオスどっぷり浸って集中巻きひきこもりのていです。
この黒毛いろんな旨味秘めてるかんじがヒシヒシする。

このアンダーファーの濃密度をみよ。
えげつないんやで。
灰黒褐色の色艶フレッシュ感ムンムンのアンダーファーが、
ギュッと圧縮されたようなかんじで密集してる。
厚みがグッとくるかんじ。
この濃密なアンダーファーこそ、
黒毛の最大の特徴でもあり有効活用したい部分。
そんなわけで、
当社熱烈イチオシおススメ!の黒毛、
というか、
当社が率先して誰よりいちばんハマッてる今回のこの黒毛。
勢い余って今月発売の季刊フライフィッシャー誌の連載記事でも、
この黒毛をつかったフライ作例を詳しく取り上げましたが、
その記事の補足というか、
応用編というか、
はたまたパロディというか、
ここでも黒毛ダビングの基本編をご紹介します。

それでなに巻くん?
フックはTMC202SP の4番。

スキンからバッサリ切り取った黒毛のガードヘアーを抜き去って、
アンダーファーだけにしたところ。

で、
それをかるく濡らした指先や手のひらでモミクチャに揉みまくって、
ファーをダンゴ状に丸める。
これが黒毛をダビングするための基本でもあり最大のコツ。
こうしてファーを丸めることで、
まっすぐに伸びているファー繊維をクシャクシャに圧縮しながら折り曲げると、
剛毛で硬いヒグマのファーが、
スレッドに絡みやすく、
かつフワッと良いかんじでファーが毛羽立つようになる。

んで、
さらにヒグマ・ダビングのコツ。
そうやって丸めたファーを、
ダンゴ状のままこんどはバサッとハサミで真っ二つに切りなはれ。

んで、
これを指先で千切るようなかんじでほぐしてみると……、
そのままではゴワゴワした硬い毛玉だったアンダーファーが、
こんなかんじのフワ~ッとしたダビング材に早変わり。
しかも、
ダンゴ状のをハサミでカットすることで、
長い繊維状のファーがダビングするにはちょうどほど良い長さになって、
かつクシャクシャに縮れたかんじになる。
これがヒグマの黒毛をダビング材にするときの基本中の基本。

んでんで、
これをマルチグルーを塗布したスレッドにドッサ~ッとはりつけて、

グルーッとスレッドを回して……、
ここではあまり密にスレッドをねじらず、
このようにラフなかんじでホワッとファーが膨らんでいるままにしておいて……、

そのままグルグルッとボサボサにボディを巻いたら、
ブラシでヘッド方向にむかってゴッシゴシガッシガシ擦って毛羽立たせて……、
コレにかぎらず、
ウエットでもニンフでもサーモンフライでもなんでも、
このような毛羽立ちボディをダビングするときは、
シッポ方向に向けてブラシを擦るのではなく、
逆方向にむかって擦るとボッハボハに毛羽立たせることができる。

そして、
ありったけ豪快に毛羽立たせたら、
ボッサボサに立ちあがっているファーをシッポ方向に撫でつけて……、
余分のファーをカットしつつ、
こうなんていうか、
ここでは写真のようにフットボール型のフォルムに成型しておいて……、

この金毛は、
昨年末に販売させていただいた金毛個体のなかでも、
切ないことに「これは販売したくないよな~」と破棄したもの。
毛先がブッチブチに切れまくりなので。
しかし、
毛の根元の暗色の部分と、
鮮やかな金毛のコントラスト。
それに、
細すぎず太すぎず、
硬すぎず柔らかすぎない絶妙のヘアー質感。
毛先全切れとはいっても
捨ててしまうにはあまりにも惜し過ぎる部位。

たとえば、
金毛のウイングを立てたウルフ・スタイルや、
中小型のダウンウイング・スタイルなんかは、
必殺勝負フライとしての気分的にも、
また見映えの良さ的にも、
毛先がビシッと生えそろってる毛をつかいたいところ。
な・ん・だ・け・ど・
特大サイズのダウンウイング・スタイルにこのような毛先キレキレ残念ヘアーをつかうと……、
こう見るとなんだか、
あまり違和感なくない?
というわけで、
たとえばマドラーミノーのアンダーウイングや特大カディス・スタイルなどなど、
フックサイズ2番とか4番とかのファジーな巨大ドライフライのダウンウイングには、
このテのダメージありの毛をつかってみるのもいいかもしんない。
なんせ、
金毛ヒグマの常として毛先がそろっている部位よりも、
「あ~、ちくしょ~、おしいな~、これで毛先がそろってたらな~」
という残念部位のほうが圧倒的に量が多い。
そんなわけで、
毛先がそろってるのはウルフや中小型サイズ用に大事にとっておいて、
こういう毛先切れは大型サイズなフライに惜しげもなくドサドサつかう、
という段取りでやってます。

あと、
ダウンウイングに巻き止めた金毛ヘアーの余りの根元を、
スレッドで数回縛っているところにもご注目を。
で、
この縛ったスレッドの部分にだけ、
ほんとにごく少量の瞬間接着剤を塗布しておいて、
しばし時間をおいてスレッドごと根元ギリギリでカットすると、
硬い余りのヘアーがスパッと跡形なくカットできるという寸法。
これはヘッドをすっきりキレイに仕上げるためと、
使用中にヘアーが抜けない耐久性アップのための細工とコツです。

ちょっとイタズラしてみちゃう。
金毛ヒグマの鼻先から頬の部位にかけて生えている、
みじかくて硬い針のような金毛のガードヘアーを利用して……、

これをループダビング処理して、

ダウンウイングとヘアーの余りのあいだにグルッと一回転。

で、
スレッドで根元を縛った余りの毛をカットして、
そのうえに軽く黒毛をダビングして、
これで完成でもいいんだけど、
もひとつイタズラしちゃう。
ヘッド先端に黒のハックルをパラッと一回転。

そして、
ヒグマの黒毛と金毛をつかった
「エゾキンクロヤチネズミ」実戦用サイズ4番の完成。
ヘッドの黒ハックルはネズミのヒゲを表現、
ボディ末端の二股に巻き止めたヘンハックルは一生懸命に水を掻いているネズミの後ろ脚を暗示。
ちなみに写真上段のフライは黒毛だけをつかった、
ダビングボディのみの超シンプルな「クロゲノヤチネズミ」
2020年の干支記念フライでもあります。
んでんで、
聞いてくれはる?
金毛をつかったネズミのほうは、
胴体は黒毛なんだけど、
背中一面と襟首のところには金毛をあしらって、
ほんまもんの金毛ヒグマの身体の色柄とおなじような配色にしてみた。
アタマの先からオケツのところまでヒグマの毛をつかって、
ヒグマの体色とおんなじように巻いたネズミのフライというわけ。
そして完成してから、
蛍光灯のしたでニッタア~とときめいてみた。
令和2年年明けのことはじめとなる1月まるまるぜんぶ、
このようなキテレツ・ヒグマフライ軍団の製作に全精力を傾けてしまいました。
このフライのドテッ腹に、
下からスプレー式フロータントをブッシューッとかまして、
ヴォリューム満点のボテボテ・極太ドライフライでありながら、
ハイフロート・バランスで水面高くポッカーッと軽々浮かせて、
ナチュラルドリフトで荒瀬を流して大型陸生昆虫ちっくな釣りを展開したり、、
はたまたスイーッと水面をスイングさせたりブルブルさせたりなんかしたら……きっと、
た~まんないだろうね。
と、
ネズミのカッコをしたフライでありながら、
ネズミとしてつかうことはまったく考えていない、
超ファジーな大型テレストリアル系アトラクター・ドライフライ、
というのもミソ。
というわけで、
ちっさいフライもどでかいフライも、
ドライフライもウエットフライもニンフもストリーマーも、
これからさらに色々あれこれ作例フライを紹介させていただきたい秋ヒグマの極上黒毛。
まだまだおいしいところ在庫あります。すいません売り切れです。
特大大判カットのお徳用特盛り仕様になっております。
ですが、
ハマるとすぐになくなる(経験者は語る)ので、
そのへんお含みおきいただいて、
お名前と送り先を明記のうえ、
bizen-m@olive.plala.or.jp
まで、
ご注文おまちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
ヒグマの「ヒ」ってなに?
どういう意味?
どういう由来?
そんなこともしらないくせに、
たかだか数頭のヒグマの毛皮を切り刻んだごときで、
いろんなことを知っている気になって、
さもわかったようなことをドヤ顔で語ったりして、
ほんとにイタ恥ずかしいワ・タ・シ。
わかっていることは、
じぶんはまだまだな~んにもわかっていない、
ということ。
昨年末、
オホーツクの我が家から、
全国津々浦々の同行諸氏の皆様のお手元に旅立った三頭のヒグマたちの毛は、
徹底的に完膚無きまでにおのれの無知と未経験を知らしめてくれることになった。
新しい発見と未知の気づきに満ち満ちていた。
やっぱりヒグマはすごい。
一頭一頭の毛それぞれがぜんぶちがう。
個体ごとに際立つ個性があり、
そして、
それぞれが異なる旨味を秘めて光り輝いて見える。
さらに、
毛皮をこまかく切り分けながら、
個体ごとの各部位の毛の細部をじっくり観察していると、
そのヒグマが暮していた環境や、
生活の様子やクセまでもが連想できそう。
そんな動物、
ほかに見当たらない。
この圧倒的な存在感をまえに、
謙虚にならざるを得ない。
謙虚ではあるけれど、
未知の世界を垣間見て、
新しい発見におどろきよろこび、
そしてそれを噛みしめながら、
これまで思いもしなかったタイイング・アイディアの洪水に溺れながら、
脳裏で溢れんばかりになったフライのイメージを実際にカタチにしていく醍醐味は、
もう何度味わってもたまらない。
はっきりゆうてワシ、
このカイカンにこそ浸りたいがためにサカナ釣りしてるようなもんやから。
それでもなお、
まだまだ知らないこと、
見たこともなかったヒグマの毛がい~~っぱいあるはず。
これからも、
もっと深く、
もっと濃ゆく、
もっと広く、
もっと愉しく、
このニッポンにしかいない唯一無二のタイイング素材に徹底的に取り組みたいと、
熱く決意を新たにした新年。
ではございましたが、
お正月の休日ムードのまま「自分がいまこそ巻きたいフライタイイング」にさんざんどっぷり浸りまくり、
年末から現在までヒグマの毛しかいじくっていない有様。
ハタと気がつけば、
日がな一日明けても暮れてもせっせせっせとこ~~んなにたくさんフライ巻いてるのに、
現実逃避ばかりのぜ~んぜん仕事してない怠けたダメなヒトの気分。
散らかったタイイング机のまえに座るたびに、
いつものダメダメマン参上の自己嫌悪と、
おもうままにやりたいだけ巻き倒したった充実感が入り混じった複雑な気分です。
一カ月ぶりのおひさしぶりですコンニチハ。

イッポン巻くたびに、
ボディにダビングしたヒグマの黒毛をクシやブラシでブワッサブワッサと毛羽立たせておりますと、
アッと気がつけば、
アッというまに、
机上はダビングボディからこぼれ落ちた柔毛でいっぱい。
そのこぼれた柔毛を刷毛で丁寧に寄せ集めて、
それでまたダビングしたりとかして。
バンバカ巻き倒すことで、
この黒毛のダビング材としての使い勝手の良さ、
そしてなにより秘めたる可能性を見出してしまった現在、
なんだかもったいなくなってしまって、
いまはけっこうかなり節約モードで大事につかってます。
なんせ、
この黒毛ヒグマはかなり迫力の巨体だった。
なおかつ全身の毛の状態が素晴らしかったこともあり、
ありがたくも全身くまなく捨てるところなく活用できた(これってすごいレアケース)。
ので、
ものすごい量のスキンが採れた。
切り分けても切り分けても切り分けてもドバドバ採れた。
という、
まことに壮観の大量在庫に囲まれていたので、
当初はいま考えるとヒジョ~にもったいない贅沢で大胆な使い方をしておりました。
無知と未経験ゆえに、
黒毛のスキンをバリカンで刈りあげるような勢いでバッサバサ切ってそしてバッカバカ巻いた。
無駄打ちしまくりソレ思い出すと舌打ちしまくり。
しかし、
転んでもただじゃ起きまへん。
そのおかげで、
この黒毛を有効に活用するための新しいアプローチのアイディアがワッラワラ脳内イメージ湧いてきて、
年の暮れからこっち、
もうどうにもこうにも黒毛まみれ。
そこに金毛や春クマもくわわってしまうと、
もはやすっかりクマの毛カオスどっぷり浸って集中巻きひきこもりのていです。
この黒毛いろんな旨味秘めてるかんじがヒシヒシする。

このアンダーファーの濃密度をみよ。
えげつないんやで。
灰黒褐色の色艶フレッシュ感ムンムンのアンダーファーが、
ギュッと圧縮されたようなかんじで密集してる。
厚みがグッとくるかんじ。
この濃密なアンダーファーこそ、
黒毛の最大の特徴でもあり有効活用したい部分。
そんなわけで、
当社熱烈イチオシおススメ!の黒毛、
というか、
当社が率先して誰よりいちばんハマッてる今回のこの黒毛。
勢い余って今月発売の季刊フライフィッシャー誌の連載記事でも、
この黒毛をつかったフライ作例を詳しく取り上げましたが、
その記事の補足というか、
応用編というか、
はたまたパロディというか、
ここでも黒毛ダビングの基本編をご紹介します。

それでなに巻くん?
フックはTMC202SP の4番。

スキンからバッサリ切り取った黒毛のガードヘアーを抜き去って、
アンダーファーだけにしたところ。

で、
それをかるく濡らした指先や手のひらでモミクチャに揉みまくって、
ファーをダンゴ状に丸める。
これが黒毛をダビングするための基本でもあり最大のコツ。
こうしてファーを丸めることで、
まっすぐに伸びているファー繊維をクシャクシャに圧縮しながら折り曲げると、
剛毛で硬いヒグマのファーが、
スレッドに絡みやすく、
かつフワッと良いかんじでファーが毛羽立つようになる。

んで、
さらにヒグマ・ダビングのコツ。
そうやって丸めたファーを、
ダンゴ状のままこんどはバサッとハサミで真っ二つに切りなはれ。

んで、
これを指先で千切るようなかんじでほぐしてみると……、
そのままではゴワゴワした硬い毛玉だったアンダーファーが、
こんなかんじのフワ~ッとしたダビング材に早変わり。
しかも、
ダンゴ状のをハサミでカットすることで、
長い繊維状のファーがダビングするにはちょうどほど良い長さになって、
かつクシャクシャに縮れたかんじになる。
これがヒグマの黒毛をダビング材にするときの基本中の基本。

んでんで、
これをマルチグルーを塗布したスレッドにドッサ~ッとはりつけて、

グルーッとスレッドを回して……、
ここではあまり密にスレッドをねじらず、
このようにラフなかんじでホワッとファーが膨らんでいるままにしておいて……、

そのままグルグルッとボサボサにボディを巻いたら、
ブラシでヘッド方向にむかってゴッシゴシガッシガシ擦って毛羽立たせて……、
コレにかぎらず、
ウエットでもニンフでもサーモンフライでもなんでも、
このような毛羽立ちボディをダビングするときは、
シッポ方向に向けてブラシを擦るのではなく、
逆方向にむかって擦るとボッハボハに毛羽立たせることができる。

そして、
ありったけ豪快に毛羽立たせたら、
ボッサボサに立ちあがっているファーをシッポ方向に撫でつけて……、
余分のファーをカットしつつ、
こうなんていうか、
ここでは写真のようにフットボール型のフォルムに成型しておいて……、

この金毛は、
昨年末に販売させていただいた金毛個体のなかでも、
切ないことに「これは販売したくないよな~」と破棄したもの。
毛先がブッチブチに切れまくりなので。
しかし、
毛の根元の暗色の部分と、
鮮やかな金毛のコントラスト。
それに、
細すぎず太すぎず、
硬すぎず柔らかすぎない絶妙のヘアー質感。
毛先全切れとはいっても
捨ててしまうにはあまりにも惜し過ぎる部位。

たとえば、
金毛のウイングを立てたウルフ・スタイルや、
中小型のダウンウイング・スタイルなんかは、
必殺勝負フライとしての気分的にも、
また見映えの良さ的にも、
毛先がビシッと生えそろってる毛をつかいたいところ。
な・ん・だ・け・ど・
特大サイズのダウンウイング・スタイルにこのような毛先キレキレ残念ヘアーをつかうと……、
こう見るとなんだか、
あまり違和感なくない?
というわけで、
たとえばマドラーミノーのアンダーウイングや特大カディス・スタイルなどなど、
フックサイズ2番とか4番とかのファジーな巨大ドライフライのダウンウイングには、
このテのダメージありの毛をつかってみるのもいいかもしんない。
なんせ、
金毛ヒグマの常として毛先がそろっている部位よりも、
「あ~、ちくしょ~、おしいな~、これで毛先がそろってたらな~」
という残念部位のほうが圧倒的に量が多い。
そんなわけで、
毛先がそろってるのはウルフや中小型サイズ用に大事にとっておいて、
こういう毛先切れは大型サイズなフライに惜しげもなくドサドサつかう、
という段取りでやってます。

あと、
ダウンウイングに巻き止めた金毛ヘアーの余りの根元を、
スレッドで数回縛っているところにもご注目を。
で、
この縛ったスレッドの部分にだけ、
ほんとにごく少量の瞬間接着剤を塗布しておいて、
しばし時間をおいてスレッドごと根元ギリギリでカットすると、
硬い余りのヘアーがスパッと跡形なくカットできるという寸法。
これはヘッドをすっきりキレイに仕上げるためと、
使用中にヘアーが抜けない耐久性アップのための細工とコツです。

ちょっとイタズラしてみちゃう。
金毛ヒグマの鼻先から頬の部位にかけて生えている、
みじかくて硬い針のような金毛のガードヘアーを利用して……、

これをループダビング処理して、

ダウンウイングとヘアーの余りのあいだにグルッと一回転。

で、
スレッドで根元を縛った余りの毛をカットして、
そのうえに軽く黒毛をダビングして、
これで完成でもいいんだけど、
もひとつイタズラしちゃう。
ヘッド先端に黒のハックルをパラッと一回転。

そして、
ヒグマの黒毛と金毛をつかった
「エゾキンクロヤチネズミ」実戦用サイズ4番の完成。
ヘッドの黒ハックルはネズミのヒゲを表現、
ボディ末端の二股に巻き止めたヘンハックルは一生懸命に水を掻いているネズミの後ろ脚を暗示。
ちなみに写真上段のフライは黒毛だけをつかった、
ダビングボディのみの超シンプルな「クロゲノヤチネズミ」
2020年の干支記念フライでもあります。
んでんで、
聞いてくれはる?
金毛をつかったネズミのほうは、
胴体は黒毛なんだけど、
背中一面と襟首のところには金毛をあしらって、
ほんまもんの金毛ヒグマの身体の色柄とおなじような配色にしてみた。
アタマの先からオケツのところまでヒグマの毛をつかって、
ヒグマの体色とおんなじように巻いたネズミのフライというわけ。
そして完成してから、
蛍光灯のしたでニッタア~とときめいてみた。
令和2年年明けのことはじめとなる1月まるまるぜんぶ、
このようなキテレツ・ヒグマフライ軍団の製作に全精力を傾けてしまいました。
このフライのドテッ腹に、
下からスプレー式フロータントをブッシューッとかまして、
ヴォリューム満点のボテボテ・極太ドライフライでありながら、
ハイフロート・バランスで水面高くポッカーッと軽々浮かせて、
ナチュラルドリフトで荒瀬を流して大型陸生昆虫ちっくな釣りを展開したり、、
はたまたスイーッと水面をスイングさせたりブルブルさせたりなんかしたら……きっと、
た~まんないだろうね。
と、
ネズミのカッコをしたフライでありながら、
ネズミとしてつかうことはまったく考えていない、
超ファジーな大型テレストリアル系アトラクター・ドライフライ、
というのもミソ。
というわけで、
ちっさいフライもどでかいフライも、
ドライフライもウエットフライもニンフもストリーマーも、
これからさらに色々あれこれ作例フライを紹介させていただきたい秋ヒグマの極上黒毛。
まだまだおいしいところ在庫あります。すいません売り切れです。
特大大判カットのお徳用特盛り仕様になっております。
ですが、
ハマるとすぐになくなる(経験者は語る)ので、
そのへんお含みおきいただいて、
お名前と送り先を明記のうえ、
bizen-m@olive.plala.or.jp
まで、
ご注文おまちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。