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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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リメイク
 前回からのつづきを書きます。 

 もうずいぶん昔の話し。

 水産大学の学生のころ、
 おなじ研究室の同級生に「北関東の養鱒場のせがれ」がいて、

 卒業後かれは実家の養鱒場を引き継いだ。

 育てたマスを食用として出荷するだけでなく、
 釣り堀に卸したり、
 解禁日に近隣河川に成魚放流したりと、
 たいへんな肉体労働。

 イヤでもマス漬けの仕事。

 生まれながらにそんな環境で育ったがゆえに、

 水産大学の在学中、
 ヤツはしばしば「釣りなんかやるやつの気がしれね~」と、
 …おまえ~オレにケンカ売っとんか?…
 というような発言をしていた。
 
 ところが、
 学校を卒業してしばらく経って、
 彼はもはやすでに立派な養鱒の職人であり管理人。
 
 あたしゃ場末のしがなさすぎる職業フライタイヤーとしてまだ駆け出し数年。

 という時代、
 なぜだかとつぜん、
 彼は熱心なフライフィッシャーになった。

 かぎられた休日をフル活用して、
 じぶんでフライを巻いてマスを釣りに行くのをなによりたのしみにしながら、
 日々各種のマスを育てて出荷する仕事に忙殺されるヒトになった。

 そのへんのヤツの心境と嗜好の変化や言動もまた、
 なかなかオリジナルでおもしろいんだけど、
 
 それはまあいいとして、
 とある年の北関東地方の渓流解禁日の夜、
 ヤツから電話。

 「ちょっと聞いてくれよ~アッタマきちゃってさ~」
 かなりオカンムリのご様子。

 なんでも、
 解禁日早朝、
 トラックにヤマメを満載して成魚放流業務にむかったそう。
 で、
 トラックに積んだ活魚水槽に連結したホースから、
 いつものようにヤマメをダダーッと一気に川に撒いて放流した。
 だが、
 その川の放流地点で早朝未明から待機して、
 放流のときを待っていた輩な釣り人どもの態度が目に余る悪行だったそうだ。

 「なにされたんだよ?」

 「あいつら、釣りもしね~でホースに直接タモ網突っ込んで我先にサカナ盗んでやがんの」

 「マジかよ。アッタマくるなそれ」

 「だからさあ、おもわず怒鳴ってやったんだよ、

 テメーら!遊びでやってんだろ!だったらちゃんとやれよ!って」

 「まったくだよな~」

 「でもさあ、そういうふうに考えないヤツもたくさんいるんだぜ」

 はたして、
 盗んだサカナを釣果として誇って釣りは楽しいだろうか?

 はたして、
 盗んだり違法に取り引きしたり、
 そんなうしろめたい羽根をつかってキレイなフライを巻いて自己顕示欲を満たして、
 それで満足できるだろうか?
 
 そんなん、
 生涯の趣味としてつづけられるの?

 きわめて単純で素朴でヒトとして根源的な疑問。

 好きなことして遊ぶのに、
 どこかに陰りがあると、
 その一点の曇りだけで台無しじゃん?いろいろと。

 正義感や倫理観よりもまず先に、
 じぶんが大切におもっている趣味をめいっぱい楽しんで、
 最大限の快楽を得たいのに、
 楽しみつくせないのって…じぶんにとってすごく損だ。
 
 200914 (1)1
 
 レッド・サンディ サイズ4/0

 7年~8年くらいまえに巻いたやつ。

 当ブログでも拙著「ハッピータイヤーズ」でも、
 一昨年につくったカレンダーでも取りあげた憶えのある、
 個人的に想い入れ度数高めのイッポン。

 なぜなら、
 このフライにつかった素材の核になっているインディアンクロウの羽根購入の記念として巻いたモノだから。
 つまり、
 この羽根が我が手元に来てくれるまでの、
 紆余曲折の物語や、
 この羽根が私を選んでくれたことへの感謝や縁や運にまつわる、
 いろんな思い出もまた、
 このフライにギュッと封印しているというわけ。

200914 (3)3

 でありながら、
 なぜだかいまごろ、
 そんなフライをかんぜんに分解~解体しちゃったよ。

 このように、
 ヘッド付近に切れ込みを入れて、
 スレッドをひっぱっていくと、
 巻き止めた素材がパラパラパラ~ッとキレイなままほどけていく。

 そして、

200914 (4)4

 ガットアイと下巻きを残して裸にしたフックに、
 ファウンデーションをふたたび施しておいて、

200914 (2)2

 いったんほどいた素材をまたもや、
 そっくりそのままフックに縛り直して……、

 現在たったいまの、
 私のレッド・サンディ。

 おもうままたのしみつつ、
 インディアンクロウにどっぷり浸りきって、
 ありったけゴージャスに再構築してみました。

 大満足。




 
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