BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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そのとき、歴史が巻かれた 2
 なににつけ、
 最初に受ける印象って大切だけど、
 それだけでこうと決めつけてしまうと、
 ものごと見えなくなってソンするよね…
 
 20070521222727.jpg
 「カサード」
 メアリー・オービス・マーブリーのフライにハマった人なら、
 誰もが心躍る彼女のトレードマークともいえるフライ。

 1800年代後半、
 こんなのでバスやブルックトラウトを釣っていた。

 ドクター・ヘンシャルのヘンシャルバグなどの、
 バスバグ的な展開とは別の意味で、
 最も初期の時代のバスフライだと言う識者もいる。

 その色や形を見れば、
 英国サーモンフライをモデルにしていることは明白なんだけど…

 そうしたサーモンフライの、
 洗練された品のようなもの、
 そういう感じはまったくない。
 なんていうか、
 バタ臭く野暮ったくてモッチャリ…?
 
 なんにもわからないまま、
 はじめてこのフライを見たときは、
 ぶっちゃけサーモンフライの「できそこない」かと思っていた。

 こうなんていうか、
 英国の模倣しかなかった時代、
 わけもわからないまま、
 思いのままにとりあえず巻いてみた最初の一歩。
 それゆえに親愛の情を持って眺めるべき過去の遺物…
 という視点だった。

 そして、
 だいぶ前にとある釣り雑誌に、
 ぼくはメアリー・オービスのフライ群を指して、
 ”夢見る乙女がお花畑でお花を摘んで、どう?これキレイでしょウフフ…”
 というノリのフライだと書いた。

 その印象自体は、
 今でも当たらずとも遠からず…と思っているけれど…
 どことなく、
 軽く見ていた感なきにしもあらず。

 ところが……

 往年のフライの歴史や背景に興味を持って接することしばし…
 サーモンフライのタイイングにハマって、
 それをキッカケに羽根そのものにも強く魅かれるようになって数年…

 いろんなことを体感して、
 知識のようなものも増えて、
 多少は審美眼も養ったつもりのいま…

 メアリー・オービス・マーブリーのフライは、
 とんでもなくラディカルだ。
 ヤバイくらいに斬新で、
 えげつなく難しい。

 それはきっと、
 彼女のフライは計算して巻いたものではないからではないか?。

 もともとあった英国のフライをたたき台やお手本にしながらも、
 それを彼女だけの感性のフィルターに通すことで生まれた、
 きわめて独特な造形美の世界。

 かつて過去の遺物として見ていたものが、
 いまは燦然と光り輝く新しいインスパイヤの源泉。

 巻いていて、
 微妙なところをすこしでも外すと、
 求めた雰囲気がまったくなくなる不思議な感覚。

 そのかわり、
 うまくいくと、
 まるでおとぎ話から出てきたような、
 ドリーミーなムードでいっぱいのフライが手のひらにのっかる満足感。

 かのジョン・ベッツや、
 当代最高のサーモンフライ・タイヤーと言われるポール・ロスマン、
 それにごく少数の超精鋭アート系タイヤーたち、
 そんな、
 研ぎ澄まされたゴールドフィンガーな方々が、
 どうしてこんなにも彼女のフライに心酔するのか…

 それを、
 頭でなく身体で理解したつもりになっている今日この頃です。
 
 ちなみに、
 写真の「カサード」は、
 だいぶまえに縁あって、
 御大ジョン・ベッツから、
 恐れ多くも手書きのお手紙を頂戴したとき、
 ”メアリー・オービス・フライのバランス配置と理想のフォルムはこうあるべし…”
 を図解入りでこと細かに書いてくださっていて、
 達筆すぎて暗号のようだったその手紙を、
 ヒイコラ解読しながら巻いたものです。

 フックは、
 1800年代当時のフォルムと質感を継承した、
 マスタッドのメチャ古いプレミアフックを大奮発。

 といいつつ、
 使った素材はそのころに自分がハマっていた、
 ブラックレースのヘンサドルだなんだとアレンジしまくり…。

 
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