BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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最終日
 本当はもっと早い時間から出かけるつもりだった。

 だけど、
 いかんともしがたい用事があって、
 時計を見たら夕方の4時半を過ぎていた。

 日が暮れてしまうまで、
 あと一時間弱ってところか…。

 しかも、
 数日前から風邪をこじらせて、
 タチの悪い咳が止まらない…。

 いつもなら…「ま、明日もあるしな」

 だけど、
 明日からは禁漁期。

 そして、
 個人的なことだけど、
 こうしてこの川に行くのは、
 これがホンマに最後になる。

 それを思うと、
 「やっぱ行こ」

 川まで歩いて3分。
 土手を歩いてポイントまで10分…。
 しかし、
 目当ての場所には先客がいた。

 いきり立った気持ちがすっかり萎えた。

 …夕暮れの川に立ち込んで、
 タバコ一服するだけでええか…。

 毎年いつも実績のある、
 いいポイントなのに、
 今秋はなぜかサカナが見えなかった平瀬。

 ティペットに、
 いつものウエットフライを結んで、
 上流から立ち込んだ。
 20071105174903.jpg
 こうして見ると、
 ボテッとあつぼったく見えるけれど……、

20071105174936.jpg
 濡れそぼると、
 まるで風呂あがりのネコのよう……。
 もちろん、
 そのような体裁になるように目論んで巻いてる。
 
 ヘン・レオンのクイルウイングは、
 ゴマダラ模様にそそられるのはもちろん、
 濡れて暗褐色がかったときに、
 しかじかのボディ材とのコントラストが際立つ。
 しかも、
 いかにもな色調と模様で……だから効くと思ってる。

 そのために、
 ボディが濡れても、
 フックの下地が透けて、
 素材の色合いが変わらないようにもしてある。
 
 立ち込んだ平瀬の最下流、
 コンクリートの段差のあるヒラキ、
 流れが盛り上がったり絡み合ったりしている場所で、
 ボコッと水面が揺れたのが視界の隅に映った。

 「あれ?」
 と思ってにじり寄ると、
 やはりライズ。
 間隔をあけて二匹いる。

 どちらも、
 右に左に大きく動きながら、
 ほとんど浮きっぱなしで、
 ノリノリでライズしてる。

 そのノビノビした様子から、
 てっきり若いニジマスか、
 放流されたアマゴのように思えた。

 だから、
 気持ちは乱れず、
 とっても落ち着いていた。

 明らかに大きいほうのライズに向けて、
 フライを流し込んでいって、
 スウ~ッとブレーキをかけるように操作する……、
 
 一投目は、
 目測を誤って距離が足りなくて失敗。

 二投目でズンッッて来た。

 掛かったとき、
 水面でバタバタバタっとなって、
 紅色の縁取りをした大きな尾びれが見えた。
 
 「あれ?あれあれあれ??」

 グリグリグリグリグリッッッと、
 水中で身体を激しくローリングさせながら、
 強引に流れ下ろうとするサカナ…。

 「わわわわわっっっ!」

 コンクリの段差を越えて、
 下流の激しい流れに乗られたら、
 ものすごくとてもヤバイ……。

 「ダメダメダメダメダメッッ!そっちはダメッ!」

 竿をためて、
 必死でサカナを誘導する。
 
 「そのままそのままそのまま…」

 薄暗がりのなかで、
 ギランギラン輝く魚体をネットに突っ込んだとき、
 しらずしらずグハッと吐息が漏れて、
 チカラが抜けた。

 ネットのなかを覗き込んで、
 「うっわ、すっげ、メチャクチャええアマゴ!」
 大きく声に出した。
20071105175031.jpg
 浅瀬にサカナを横たえて、
 写真を撮ろうと思って、
 ネットからそっと出してみると、
 ギラギラに輝いていた魚体に、
 くすんだ錆色が浮いてきた。

 秋が深まってるんやなあ…と思った。

 家に帰って写真を見てみると、
 ネットに入ったサカナを見下ろして、
 興奮と感動のルツボに浸ったまま、
 とりあえずシャッターを押したピンボケの最初の一枚が、
 いちばんグッときた。
 
 思えば、
 この川のほとりに越してきた6年前の晩春のころ、
 引越し翌日のいちばん最初の釣りで、
 いきなり大きくて立派なアマゴを釣りあげたのも、
 まさしくこの場所だった……。

 これは偶然なんか?必然なんか?

 いずれにせよ、
 最初も最後も上出来過ぎ。

 富士の湧き水の神様に感謝……。
 
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