BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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網戸の天使Ⅱ
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 我が家の網戸にとまって、
 静かに「そのとき」を待つ、
 フタスジモンカゲロウのダン。

 朝、
 目が覚めて、
 コーヒー飲んで、
 朝ごはん食べて、
 仕事のまえに萌写。

 7年前まで、
 飛騨高山にいたとき、
 このカゲロウは、
 本格的な夏を告げる存在だった。

 晩春と初夏の境い目の、
 モンカゲロウの羽化がひと段落して、
 ヌカカの襲来が目ざわりになるころの夕暮れ、
 フタスジモンカゲロウの羽化に合わせて、
 真っ白なパラシュートを真っ暗になるまで流して、
 いいイワナをたくさん釣った。
 正味2週間あるかないかの期間限定のチャンス。

 ところが、
 富士山麓の当地に来ると、
 フタスジモンカゲロウは、
 秋の深まりを感じさせる虫のひとつになった。

 ところ変われば羽化期も変わる。

 禁漁を目前に控えて、
 焦燥感のおもむくままに、
 近所の湧水の川を歩いた夕暮れの帰り道、
 何匹ものスピナーが群飛しながら、
 夕焼けをバックに、
 空中をヒラヒラ上下しながら舞っている。
 それを眺めながら家路につくのがオツだった。

 そんなフタスジモンカゲロウの羽化は、
 年によっては11月はじめまで見られることもあった。

 これはなんでか?
 ハイパーな富士の湧き水がなせる自然の不思議?

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 この家に住みはじめたころの秋、
 毎朝この網戸にたくさんのフタスジモンカゲロウがとまっていた。
 羽化期のピークになると、
 カーテンを開けたら、
 ズラズラズラ~ッと並んでいて、
 なんでかわけもなく嬉しかった。
 もうしわけなくて、
 窓を開けるのがためらわれた。

 が、
 ここ数年その数はめっきり減ってしまった。

 意味があるのかないのか、
 誰にとって益があるのかないのか、
 相次ぐ河川工事……土砂で埋まる川。

 いつもの、
 全国おきまりのパターン。

 清冽な水の流れる、
 不純物のない砂場が、
 幼虫時代の命の拠り所になる、
 こんなちっぽけな虫たちなんか、
 ひとたまりもないだろう。

 それでも、
 秋がめぐってくると、
 わずかに残る聖地で羽化した、
 幸運なフタスジモンカゲロウが、
 我が家の網戸にやってくる。

 「おまえ、えらいやっちゃのう……」

 そして夕方すこし前、
 かれらにとっての「そのとき」が来た。
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 朝から夕方まで、
 微動だにせず網戸につかまっていた、
 フタスジモンカゲロウの身体が震えるように見える。
 ダンからスピナーへの脱皮のはじまり……。

 脱皮の時間は、
 個体差が激しい。
 すんなり抜けて飛び立つのもいれば、
 いつまでもマゴマゴもがいているのもいる。

 どうも、
 殻から抜けるときの、
 最初のひとふんばり、
 最初に足をどこに引っ掛けるかが、
 明暗をわけるようだ……。

 などと、
 それをずっと見ているぼくは、
 よっぽどの暇人なんやろか?

 川辺の掘っ立て小屋風情のこの我が家で、
 こんなのをずっと眺めていると、
 いつも「つげ義春」の漫画とだぶる。

 ヤバイヤバイ…外に出よう…釣りに行こう。
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 コックハックルをボディに巻いて、
 ウッドダックのフランクフェザーをハックリングした、
 英国産モンカゲロウ・フライの古典、
 「ストラドゥル・バグ」風のフタスジモンカゲロウを暗示したスピナー。

 弱々しく羽ばたいている、
 もしくは水面高くもがいているイメージ。

 フラットでスリックウォーター、
 しかも浅い湧水の川……、
 フライのサイズが大きいだけに、
 いくらリアルにフライを巻いても、
 ダラダラとドリフトさせて成功したことがない。

 水面高く浮く、
 モサモサッとしたのでライズ直撃……、
 バサッと落して次の瞬間バシャッと出す反射喰い作戦。
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 といっても、
 川の主クラスは、
 フタスジモンカゲロウの流下には目もくれず、
 橋の下や藻の陰バンク際…ややこしいところに陣取って、
 秋世代のフタバコカゲロウなんかをチビチビやってる。

 この作戦で相手になってくれるのは、
 せいぜいこのサイズ。
 世間の厳しさを知りはじめたけど、
 もうちょっとオッチャンが教えたげる世代。

 それでもこの川のこの子らナメたらアカン。
 とくに晩秋の本流差しが自慢です。
 はじめて掛けた人は、
 みんな「うっそ~、このサイズでこの引きヤバイね~」

 なんちゅうても、
 ハイパーな湧き水で育ったワンパク連中やから……。

 が、
 川は埋まり、
 流れは変わりはて……、

 この秋は、
 フタスジモンカゲロウも、
 チカラ自慢のワンパク君も、
 見る影なし。

 それがなんとも……、
 
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