BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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King, Queen & Pink Lady
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 ジョージ・ラブランチ……、
 かのセオドア・ゴードンとほぼ同時代、
 1900年代初頭を中心にに活躍した、
 キャッツキル・ドライフライ黎明期における中心人物のひとり。

 自身も優秀なタイヤーだったそうだけど、
 職業タイヤーだったセオドア・ゴードンのよきお客でもあったらしいラブランチは、
 タイヤーというよりも、
 むしろ釣り人としてのウンチクや逸話のほうにこそ、
 興味深いオモシロ話が目白押し……。

 なんでも、
 当時のキャスティング競技でもいくつもの記録を残している、
 かなり知られた凄腕キャスターだったらしい。

 が、
 今回ここでとりあげようと思うのは、
 そんなジョージ・ラブランチ考案による、
 キャッツキル・ドライフライの古典「ピンク・レディ」。

 ピンク色のシルクボディに金色の縞々ボディ、
 鉛色のクイルウイングのまわりを、
 茶色のハックルで取り囲んだセクシー系。

 艶っぽくない?。

 そんな「ピンク・レディ」の誕生物語、
 これがまたちょっとかわいい……。

 ペッパー警部もおもわずズッコケのオトボケ・ストーリーです。

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 "Queen of the waters"
 おそらくスコットランド出身のウエットフライの古典。

 1800年後半、
 キャッツキル・エリアに集うそのほか大勢の釣り人と同様、
 若きラブランチもまた、
 ウエットフライな釣り人だった。

 なかでも、
 この「流れの女王」フライが大のお気に入りだったそうな。
 
 ちょうどこのころ、
 キャッツキルの中心地ロスコーからほど近い、
 銘川ビーバーキルとウイローマックが合流する、
 当時も今も有名ポイントの「ジャンクション・プール」にて、
 ウエットフライではまったく反応しなかったマスに対して、
 ラブランチは乾いたウエットフライにパラフィンオイルを塗布して、
 完全に浮かせた状態でまんまと釣りあげることに成功。

 「ドライフライの世界って、深そうじゃん……」
 24歳のラブランチが、
 未知の世界だったドライフライに開眼した瞬間だったそう。

 なにしろ、
 当時のドライフライ事情といえば、
 セオドア・ゴードンらひとにぎりの最先端の精鋭が、
 試行錯誤している真っ最中。
 まだまだ五里霧中の世界。

 と、
 そんな折、
 ラブランチが釣り場に向かう途中、
 いつもの「クィーン・オブ・ザ・ウォーター」を購入しようと、
 いつもの釣り道具屋に寄ってみると、
 あいにく品切れ。

 もしかしたら、
 「あのラブランチっつ~若造が、ジャンクション・プールでつかっていたのは、
 このフライらしいぜ……」
 などと噂がひろまったのかもしれない。

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 "King of the waters"

 が、
 当のラブランチは、 
 あまり気にしたようでもなく、
 「まあ、フライの名前が女王から王様にかわっただけだし、
 色も形も似てるからコレでもいいか……」
 と、
 選んだのが、
 たくさん売れ残っていた「流れの王様」。

 物語は、
 いよいよここから核心に突入する。

 その日の釣りを終えて、
 濡れたままの「キング・オヴ・ウォーターズ」をムートン敷きのフライワレットに挟んで……、
 その翌日、
 河原でそれを開いてラブランチ愕然。

 なななんと、
 フライのボディの真赤なシルクが、
 フライワレットのなかで水分とともに色まで染みだしちゃって、
 すっかり色あせたピンク色に変色……。

 ところが、
 ここがラブランチの良い意味でアバウトなところで、
 それをそのまま使って釣りをした夕暮れ……、

 「なんかこのピンク色って、効く気がする……っていうか釣れるじゃん!」

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 というのが、
 この「ピンク・レディ」誕生のキッカケ。
 なんだけど、
 ではなぜウエットフライでのハプニングから、
 ドライフライが生まれたのだろうか?……、

 セオドア・ゴードンの亡くなる一年前の1914年、
 ジョージ・ラブランチが刊行した初の著作「ザ・ドライフライ&ファースト・ウォーター」。
 キャッツキル・ドライフライの足跡を知るうえで欠かせないこの名著からは、
 セオドア・ゴードンから感化されまくったことがヒシヒシ窺える。
 
 それもそのはず、
 この当時、
 時代はまさにキャッツキル・ドライフライ百花繚乱へと、
 一直線に突入していった頃だった。

 だからこそ、
 ラブランチは自分が気に入ったピンク色ボディの発見を、
 ドライフライに活かしたかったのかもしれない。
 
 さらにまた、
 これは憶測だけど、
 この色あせて変色してしまった「流れの王様」フライを見たとき、
 濡れたままの淡いピンク色のシルクの、
 ナマナマしく透けた感じが……、

 「なんかコレ、虫っぽい」
 と思わせたのではないか?。

 なんたって彼らが舞台にしていた釣り場は、
 こんな感じのジューシーでほんのり紅色ボディが印象的な、
 ヒラタカゲロウの類がひしめき羽化して流下するフリーストーンの流れ……。
 
 と、
 話しが前後するけど、
 「キング・オヴ・ザ・ウォーターズ」のフライにつかった写真の釣り人ふたりは、
 左がジョージ・ラブランチで、
 右がその盟友エドワード・ヒューイット…例のネバーシンク・スケーターやバイビジブルの考案者。
 この最強タッグ、
 読み物や資料で知れば知るほどに、
 ものすごく釣り上手だったんだなあ……ってところも語りたいところですが、
 もうキリがなくなるので、 

 今回は、
 神秘のベールで神格化されがちなキャッツキル・ドライフライも、
 意外と牧歌の香りホノボノと……っていうお話で締めくくりです。
 
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