BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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Arkloyd Variation
 富士山麓のちいさな街にすんでいたときの話しやけど……、

 釣れなくても釣れなくても釣れなくても釣れなくても、
 その川の「銀の延べ棒」とやりあう一瞬の至福が忘れられず、
 ず~~~~っと通いつめていた川。

 ちょうどいまごろの季節から、
 ちょっと花曇りの日なんかに、
 ライズ待ちしながら夕暮れちかくになると、
 まるで日本昔話にでてくるような、
 まるっこいちっちゃな丘のような山々と、
 その麓にはりつくこじんまりした集落に、
 ボヤ~ッと霞んだモヤのようなものがかかって見えるときがあった。

 これが「春霞み」?。

 そして、
 そんな日の夕暮れがはじまる一瞬、
 陽の光に照らされた山のむこうが、
 なんともいえん藤色になって、
 それがどんどん藤紅色に変化しながら、
 刻々と日が暮れていくんだけど……。

 その光と色の変化を、
 川原で石くれに座ってボ~ッと見てると、
 春のよろこびではちきれんような山間の緑と、
 そのあいだで咲き誇っている山桜やツツジの、
 淡い紅色や橙色とあいまって、
 
 そりゃあもうのどかで平和でやさしく、
 そして繊細な、
 ジンワリと沁みる「山里のニッポンの春の色」……だった。

 言いかえれば、
 そんなわびさび感じるヒマはたっぷり過ぎるくらいある、
 「ライズ待ちぼうけ」の日がふつうの川だった。

 
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 キッカケは、
 一か月ほど前に巻かせていただいたこのフライから……。
 ここから現在……、
 ずっとフルドレス熱冷めやらず今に至る。

 さいごにフルドレス・サーモンフライを巻いたのは、
 およそ半年ほどまえになるから、
 ひさびさのチャレンジ45年生……but今年でもう46年生信じられへんでホンマ…なんなのこの年齢。

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 いただいたご注文の内容はこうだった。

 他界された「おばあさま」の形見変わりにと授かった、
 いくばくかの「おこずかい」。
 どうせならこのおカネで記念になるものをと思案されて……、

 私のフルドレス・サーモンフライはどうだろう……、
 と思いついて、
 打診してくださったのだった。

 それって、
 身に余る光栄というか、
 分不相応というか、
 ほんとにいいんでしょうか?……恐縮しまくり。

 「サーモンフライのことはよくわからないので、
 代金の範囲内ですべておまかせで……」

 そんなお話しをさせていただきながら、
 イメージとして反射的に浮かんだのが、
 あの「春霞み」の色だった。

 そして、
 「飛翔」という言葉。
 羽ばたいていく感じ。

 白波たつ荒瀬の水を切るように力強く、
 しかし、
 押し寄せる流れの圧力には逆らわず、
 流れに馴染み、
 仲良くなって同化しながら、
 全身の羽根をふるわせて泳ぐフライ……。

 ディーウイングを巻いてみよう。
 そう思った。

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 と、
 なんだかアイタタ・ポエジーに偉そうなことを言いながら……、
 自己嫌悪にさいなまれつつ、
 まいどのごとく途方もなくお待たせして、
 ようやく出来あがったのがこのフライです。

 土台というか、
 足がかりにしたのは、
 写真下段のアークロイド。

 ディーウイング・サーモンフライの雄「アークロイド」。
 うまくいったかどうかは心もとないけれど、
 この独特のフォルムを、
 ぼくにとっての「春の色」でかざってみた。

 出来あがってから、
 ズ~ッと眺めてみて飽きがこなかった。
 完成したときのトキメキが持続した。
 そして、
 朝目覚めてから再度じっくり眺めても、
 まだトキメキが残っていた。

 なので、
 よっしゃコレでいったろ……。
 額装して梱包して発送させていただいた。

 到着のお知らせをいただくまで、
 試験の合否を待つような、
 これもまたいつもの切ない時間をやりすごして……、

 無事に到着のお知らせをいただいて……、
 過分に過ぎる、
 お気づかいとあたたかなお言葉をちょうだいして……、

 天にも昇る気分で……、

 すっかり火がついちゃったメラメラ。
 もういいかげん消火活動しないとイロイロ不都合なんですけれど……お財布さむいんですけど……。
 消えね~~~。

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 つかったフックは#3/0のロングシャンク。

 ボディの前半部分のシルクフロスと、
 コリーとフロリカンも含むバスタード各色のマリッドウイングを、
 ほとんどおなじ色調と質感で仕上げてみた。

 純白のオストリッチを巻いて仕切ったボディ後半のハックルは、
 ホワイティング社のフラットウイング・サドルのラベンダー。
 これを、
 私家ブレンドの紫系シールズファーのうえにハックリング、
 前方に向かって色が淡くなるようグラデーション。

 スロートハックルは、
 アーガス・フェザントとチリ・フラミンゴの背中の羽根を混合。
 フックのポイントに触れるかどうか、
 の長さにハックリング。

 サイドには、
 ヴァルチェリン・ギニアのフランクフェザー。
 天然の濃厚な藤色が、
 とっても妖しく神秘なホロホロ鳥…この鳥は宇宙から来たみたい…って、
 ソレまえにも言ったっけか?。

 アイはジャングルコックにモナル・フェザントのネックを添えた。

 ホーンには、
 極太ロングのスカーレット・マコウ。

 そして、
 全体に淡い色調でまとめつつ、
 テールとバットのうえで、
 鮮やかな唐辛子色をしたインディアンクロウの首羽根がパアッと咲いていると……そんな感じです。

 鳥の羽根はやっぱええね!

 お待たせし過ぎ…本当に申し訳ありませんでした。
 そして、
 もうひたすら本当にありがとうございました。
 
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