BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
201703<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201705
Sir Moses
110218(1)1.jpg
 前日までの「Bronze Pirate」と同様、
 「ジョン・ポプキン・タラハーン」のフルフェザー・ウイング・サーモンフライ19世紀後半の古典から、
 今回は「Sir Moses」を……。

 この絢爛豪華なフライは、
 のちにタラハーンの同時代人であった「ジョージ・モーティマ・ケルソン」により、
 「Phoebus」と改名されて、
 現在ではこの名前が通名のようだ。

 が、
 徹底した博愛主義者としても知られていたらしい、
 ユダヤ人の野心家であり銀行家「サー・モーゼス・ハイム・モンテフィオーレ(1784~1885)」
 にちなんで命名されたことは想像に難くないオリジナル・ネームをこそ……、
 と考えるタイヤーは多いようだ。
 おこがましいが自分もそのひとり。

 ボディの土台、
 つまり下巻きには、
 ラガータンの撚りが入って4束になっているシルクフロスを、
 およそ5メートル弱ほど巻いている。
 タグの末端からバットエンドにかけて急激なテーパーをかけ、
 そのあとヘッドまで限界ギリギリの極太ボディに仕上げた。

 このような「ぶっとい葉巻型」のボディは、
 成功すれば額装したときにすばらしい存在感で見事に映えるだけでなく、
 ウイングなどにつかった羽根素材をグッと引きたてる。
 しかし、
 下巻きの際のボディ成形にすこしでも「破綻」が生じると、
 なにもかもが台無しになってしまう諸刃の刃。

 と、
 そのようなボディに、
 これもまた極太のゴールド・オーバルティンセルを巻き、
 漆黒のオストリッチで四つのセグメントに分けてある。
 各セグメントにはボディ・ヴェイリングとして、
 まずは「オリオール・トウキャン」の消え入るような薄黄色の胸羽根をかぶせ、
 さらにそのうえに唐辛子色の「インディアン・クロウ」をかさねてある。
 どちらも総計で10枚の羽根をもちいて、
 金と黒のコントラストが鮮やかなボディ部分を覆っている。

 その後、
 「アマゾン・パロット」の明るいグリーンのテールフェザーをウイングに立て、
 それを「マンダリン・ダック」の縞模様の鮮明な脇羽根ではさんだ。

 触角となるホーン部分には、
 フックサイズ#8/0相当のおおきさに見合う、
 老齢な「ブルー・イエロー・マコウ」の長い尾羽根のファイバーをおごった。

 ここまででも、
 ほとんど「暴挙」ともいうべき、
 希少かつ貴重な素材の乱用ぶりだが、
 今回巻いた「Sir Moses」の主役となる羽根は、
 なんといってもテールとチークにつかった小さな青い羽根だ。

110218(3)3.jpg

 この部分の「Sir Moses」の素材指定は、
 「チャテラー」こと「コティンガ」だが、
 今回は通称「フェアリー・ピッタ」和名「ヤイロチョウ(八色鳥)」の肩羽根をつかった。

 ヤイロチョウは、
 高知県の「県の鳥」としてよく知られる鳥。
 ヤイロチョウ←ウィキペディアより

 ヤイロチョウは、
 一般に夏季になると中国大陸南部などから本州南部以西に飛来して繁殖するらしい。
 のだが、
 その正確な行動や習性は、
 いまもまだわかっていないことのほうが大半なのだそうだ。

 また、
 繁殖行動が確実に観察確認されているのは日本でのみ、
 という説もあるらしい。

 その英名「フェアリー・ピッタ(Fairy Pitta)」だが、
 「Pitta」というのはラテン語で「小鳥」を指し、
 「Fairy」は「美しい妖精」の意味。

 となると、
 学名となる「Pitta Nympha」もまた、
 直訳すれば「妖精の小鳥」となるのは、
 ゴールド・リブド・ヘアーズイヤーがフライボックスに欠かせない我々ならば、
 瞬時に想像できる。

 さらに、
 この「Sir Moses」に用いた青い小羽根、
 陽の光に反射すると、
 燦然と輝きながら、
 深みをかんじさせる、
 抜けるようなコバルトブルーを指して、
 「Jewel Thrush(宝石鳥)」という愛称で呼ぶ向きもあるそう。

 そう、
 まさに妖精の化身「シアワセの青い鳥」の羽根を飾り、
 愛でるためにこそ巻いたのが、
 この「Sir Moses」というわけだ。

 しかし、
 そんな「世界中の鳥を愛する人々」の胸をしめつける、
 この世のものとは思えない可憐で美しい小鳥もまた、
 ご多分にもれず環境破壊や人為的影響によって、
 その数をどんどん減らしつづけているそうだ。

 高知県の行政にモノ申す。
 アカメといいヤイロチョウといい、
 「まごうことなき地球の財産」である希少な生き物を、
 謎の生態のまんまほったらかしにして、
 ガンガン山削って海川埋めて…それでええのか?

 道路標識や橋の欄干にファンシーな絵ェ描いて、
 「これが県の鳥です特産のサカナです」と、
 そんなんでごまかして満足してるばあいとちゃうのとちがいまっか?

 と、
 そうした現状を憂い、
 生活を投げうって、
 環境保全や保護活動のために、
 どんなにか粉骨砕身奮闘努力してる方々がおられるというのに、
 文句だけはいっちょまえで、
 そのくせなんにもできない自分が偉そうにナニゆうてるねん……って、
 いつものキョ~レツな自己嫌悪も感じつつ……、

110218(4)4.jpg
 「ポール・シュムークラー」と「イングリッド・シルズ」のいつもの絵本より抜粋。
  
 この絵を描いたのは、
 有名な「ジョン・グールド」の鳥類図譜シリーズの後期に多大な貢献を果たした、
 「ウイリアム・マシュー・ハート」という人物。
 絵に記されたサインを見ると1892年とある。

 なんでも、
 「ウイリアム・ハート」の描いた鳥類図は、
 鳥そのものだけではなく、
 その背景や景色も緻密に描きあげることで定評があったらしい。

 この絵をよく見ると、
 絵のうえに置いたフライの右横に、
 冠雪を抱いた富士山が描かれている。

 この角度から、
 こうした滝のある風景で富士山を見上げるということは、
 ここは…ひょっとして…我が第二の故郷の景勝地…「白糸の滝」?。

 まったくの余談だが、
 「グールド」の鳥類図譜を描いたお歴々の名画家のなかでも、
 「ウイリアム・ハート」はその才能にもかかわらず、
 作品や経歴などはほとんど知られぬまま、
 人生の大半をロンドンの窮迫した環境で過ごしたらしい。

 しかし、
 それゆえか、
 彼が貧しい暮らしのなかで古い標本や他人の旅行記などをもとに、
 自らの想像とイメージを最大限に羽ばたかせながら描いた鳥の絵は、
 どれもこれも活き活きとした息遣いが感じられ、
 見る者にもさまざまな想像をめぐらせるストーリーがあり、
 個人的にとくに思い入れのつよい鳥類画家。

 そのように敬愛する人物が、
 当時の日本の自然の原風景を、
 このように思い描いて、
 まるで絵から飛び出してきそうな「ヤイロチョウ」の姿を描きあげた。

 その感慨のまえには、
 富士山麓に「ヤイロチョウ」がいたのかどうか、
 などを詮索するのは、
 この絵が描かれた当時のイギリス人の日本への認識、
 もふくめてまったく野暮なことだ。

110218(2)2.jpg
 
 愚行の極みは承知のうえで、
伊東深水」の美人画のうえに我が渾身入魂の一本を添える。





 とかなんとかカッコつけちゃってホントにもう……、

 じつは昨日のあさ、
 ご注文をいただいた「特選CDC(大好評メッチャ発売中!)」を発送するために郵便局に行ったら、
 この記念切手シートが売っていた。
 ので、
 受付のメチャかいらしい姉ちゃんに「この切手しっぶいね~」など言いながら、
 買い求めてきたのだYO。

 それじゃ~またね~~~。

copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.