BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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チリメンジャコ印象派
 昨年の晩秋、北海道にて。
 友達の紹介で仲良くなった、
 釣り好きマスターの喫茶店に遊びに行った。

 タイイング机の上に、
 フライが入った小さな箱があった。
 ドライやウエットやニンフや、
 いろんなフライが無造作に詰め込まれてある。

 「コレ、見てもいいっすか?」
 「どうぞ~。これはねえ、いい釣りをした時のフライを記念にしまってあるんだよ…」

 テーブルの上に、
 そんなフライを広げて並べてみた。
  20060919102940.jpg
 このフライが小箱の中から出てきた時、
 なんだか無性に嬉しくなって、もうニッコニコ。
 「ウハ~ッ、すっごいの見っけ!」…って感じ。

 横から下から上から反対側から、なめるように眺めまくる。
 
 生まれたてのサケ稚魚を模したフライなんだって…
 この小箱に入れられているということは、
 このフライを使って、
 忘れえぬ思い出があったということでもある。
 折れた針先が、それを物語ってもいる。

 「このフライをパッと見た時、ショウユかけて食べたくなりました」
 「ウハハ…」

 こうして写真に撮ってフライの仔細をジックリ見ると、
 羽根や毛を巻きつけた作り物のフライ、
 しかも簡潔でシンプル、
 なんだけど、
 最初に一瞬見た時にビビッと感じたリアリティ、
 そして生命感には、
 かなりのインパクトがあった。
 …まるでチリメンジャコやんか。

 印象派フライの傑作ちゃうか…。

 この旅から帰って、
 初冬を迎えて、
 なんとな~く物寂しい季節。
 良い潮の夜になると、
 近所の港にセイゴやフッコを釣りに行った。
 シラスのように小さくて透明な、
 なにかの稚魚が水面直下の波間に揺られている。
 それにガボッとボイルするセイゴたち。

 このフライを、
 潮の流れに乗せてフラフラ自然に流しつつ、
 ころあいを見計らって、
 ゆっくりフワ~ンとターンさせてみる。

 うまくいくと、
 フライの流れているであろう地点でガバンッと水飛沫。
 一呼吸置いて、
 グイ~ンッとラインを引っ張る。
 と、グッと確かな重みが伝わって、
 4番ロッドがギリギリ絞り込まれるのだった。

 北の大地で生まれたサケ稚魚フライは、
 巨大な工業地帯の港の、
 一晩でラインをドロドロにする潮水に住むセイゴにも良く効いた。
 しばしば、炸裂といっていいくらい活躍した。

 このフライに限らず、
 なにか特定の生き物を模倣することを出発点にしつつも、
 融通の利く範囲の広さ、
 ユニバーサルな効果を、
 いかんなく発揮してくれる優れた印象派フライ。
 これって、
 フライとしては、
 ある種永遠のテーマだなあ…
 とつくづく思う今日この頃です。
 
 
 
 
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