BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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癒しのクイルウイング
 にっぽん釣りの旅 栃木県奥日光 緒川たまき
 この番組がほんとによかった。

 フライフイッシングはおろかサカナ釣りさえ白紙な女優さんが、
 地元の名人おふたりのサポートをえて、
 聖地の湖と川にてフライフイッシング初体験。

 場面の要所にはさまれている、
 女優さんの素朴で明瞭な感想の言葉にハッとして感じ入り、
 引き込まれた。

 名人おふたりそれぞれのスタイルの妙は、
 サカナ釣りに縁がない方々に向けて、
 フライフイッシングとは「こだわる」ところにも価値と喜びと愉しみがある、
 というすごく重要なところを伝えることにもなっただろうなあと思った。

 チラッとだけ映るご両人のフライボックスの場面がアッちゅうまで歯がゆい。
 もっとグーーーっと寄って、
 舐めるようにネバーーーッと、
 ジ~~~~ックリ見せてほしかった。

 ブルックの口に刺さったフライがどれもめちゃカッコイイっす。
 
 舞台は奥日光。
 番組中かのトーマス・グラバーにも触れてくれる豪華な内容。

 まごうことなき日本のフライフイッシング黎明期、
 明治後期から昭和初期にかけての奥日光湯川での貴重な映像にウワッと見入り、
 川に立ち込んで竿を振る先人の後ろ姿のモノクロ映像を観ながら、
 「今も昔も根っこのとこはな~~~~~んも変われへんやんけ……」
 うれしくなっちゃう。

 フライフイッシングならではの愉しみの拡がり方、
 またさらに「文化としてのフライフイッシング」を、
 たった30分弱の映像のなかによくぞここまで凝縮したものだと感動した。

 番組のさいしょのほうで、
 夕暮れの中禅寺湖で名人がみごと釣りあげたホンマスを見て、
 女優さんがおもわず口走った言葉がすばらしく鮮烈でした。

 そして番組のクライマックス、
 夕暮れの湯川にて、
 なんと!ゴロチョウ毛針の登場。
 その心意気やよし!よしよしよし!!感涙。

 そしてまた、
 イブニングタイムたけなわのころ、
 女優さんのティペットの先に真っ白なソラックスダンを結んであげた名人の、
 なんとか彼女に記念のイッピキを……。
 このときの名人の心境やいかに……そんなんボクがゆうの野暮でっせ。

 で、
 番組のさいごに日の暮れた川べりにて、
 女優さんがすこし照れながら語られた、
 このはじめての体験への率直な感想……。
 そう言われてはじめて、
 あらためて我々の趣味の豊かさのひとつに気がついた。

 最初から最後まで、
 さりげないんだけど、
 心にくいほど上質。

 なんか、
 いろんな意味で救われたような気がしました。

 堪能させてもらってほんとにありがとう。



 そんなわけで、
 今夜の話題は「癒し」

 まずは、
 下の写真は昨年末に遠くコロラドから届いたばかりの採れたてホヤホヤのブツ。
 お馴染の「ブラマー」と「ポリッシュ」という種類をかけ合わせて生まれた、
 コケコッコ品種改良種のクイルウイング素材ならしい。

 なんでも、
 ブラマーの特性でもあるクイル素材としての抜群の扱いやすさはそのままに、
 そこに大型種のポリッシュの血を入れて、
 ニワトリのなかでは小型種となるブラマーを大型化させて、
 クイルのファイバーそのものの長さも急成長させて、
 ウエットフライ・フック6番や8番といったサイズにもつかえるようにしよう、
 という試みのサンプルならしい。
 
 で、
 問題です。
 そんなブラマー+ポリッシュ略して「ブラポリ」のウイングから採ったクイル素材写真のなかに、
 一組だけいつものコック・デ・レオンのヘンクイルが混ざっているんですが、
 それはどれだかわかりますか?

 わかった方にはもれなくビッグなプレゼント……

120131(1)1.jpg
 は、
 あげられませんが、
 答えは写真右端のザックザクに切りまくってあるのがレオンのクイル。
 こうして見てみると、
 模様や質感など、
 言われなきゃまったくわからないレベルでそっくりそのまま。

 なんだけど、
120131(2)2.jpg
 まずはコチラ……、

 「ウエットダブ」のブルー、クラレット、イエローの3色をボディにタッチダビングした、
 トリコロール仕様のマーチ・ブラウン?のヴァリエイション。

 つかったフックはTMC104SPの8番。

 「ウエットダブ」の主原料となるアンゴラゴートの、
 なんていうかシールズファーよりも繊維が細いんだけど、
 バリッとしたゴワゴワの質感と、
 こうしたパステル・カラーでもヴィンテージな雰囲気の発色に、
 すっかりハマっておるわけですが、
 それはひとまずここではおいといて、
120131(3)3.jpg
 さらに、
 「あれ?ウイングとスロートハックルの取り付け順序が逆じゃね?ど~なってんの?」
 とお気づきの方には、
 「気ィついてくれてアリガト~するどいっ」

 と、
 そこのところもひとまずおいといて、
 ここでウイングにつかったのがコック・デ・レオンのヘン・セカンダリークイル。

 そして、
120131(5)5.jpg
 これが「ブラポリ」のセカンダリークイルでウイングを巻いたマーチブラウン風。
 こちらもフックサイズはTMC104SPの8番。

 こうしてフライに巻いて、
 クイルの模様や色調をレオンのソレと比較してみると、
 ゴマダラ模様がグラデーションがかっているとか、
 色調がレオンの薄茶褐色よりももっとダンがかっているとか、
 微妙なところでイロイロあるわけですが……、

 で、
 そのウイング部分を拡大してみる。
120131(4)4.jpg
 レオンにかぎらず、
 ヘンフェザントでもダッククイルでも、
 このテの大きさのクイルウイング素材のなかでも、
 この「ブラポリ」が異質なのは、
 まさにこの部分だとおもった。

 クイルのファイバーとファイバーをつなぎ合わせている繊毛の密度が、
 もうずば抜けて濃ゆい。
 そのため、
 こうしてアップでクイルを観察してみると、
 微細な繊毛でビッシリ覆われているのがよくわかる。

 なので、
 ファイバー同士の結束が強固なだけでなく、
 クイル自体の質感に適度な柔らかさがあり、
 スレッドによる圧縮や巻き止めにも従順に従うことになる。

 こうした繊毛まみれなクイル素材の質感は、
 ニワトリやキジの羽根よりも、
 タカやフクロウなど猛禽類の羽根のほうがずっと近い印象を受けた。

 と、
 こうした理由で、
 ウエットフライのクイルウイングとして極めつけに巻き止めやすいわけだけど、
 これにくわえて、
 このクイル素材のすっばらしく「おいしいところ」は、
 こうした「巻き易さ」と「絶妙なマダラ模様」だけではない。

 まず、
 ウイングから外したクイル素材そのものを見てみると、
 ファイバーが内側に向かって驚くほど極端に湾曲している。
 そのグイッとした湾曲っぷりは、
 クイルウイングの巻き止め作業に緊張する方だと、
 おもわず尻込みしてしまうイヤなカタチかもしれない。

 だが!ご心配なさるな皆の衆、
 じつはこのカタチこそが、
 ウエットフライのウイングにするならすんばらしくグレートに良いのじゃ。

 まさにシルキータッチな質感のソフトなクイル素材で、
 しかもグルンと湾曲しているクイルの一対両面をピタッと合わせて、
 それをフツーにウエットフライのクイルウイングとして巻くだけで……、
120131(6)6.jpg
 「ブラポリ」ならではのこれらの特性による相乗効果により、
 このようなウイングの体裁になる。

 ウイングがフックシャンクに対して垂直に立つのではなく、
 ウイングがフックシャンク上面を覆うような、
 テント型のウイングになる。

 しかも、
 クイル自体の湾曲のおかげで、
 ウイングを寝かせ気味にボディと平行にちかく巻き止めるのもお茶の子さいさい。

 まるでテントウイングや、
 ディーフライのバーチカルウイングのようなフォルム。

 ここサイコーの旨味です。

 ウエットフライとして見栄えが良いだけでなく、
 水中でのバランスや、
 スイングしたときのフライの安定感など、
 ウエットフライのウイングとしてほぼ理想的なウイング形状が、
 もう鼻歌交じりの気やすさでホイホイ巻けちゃうのだ!

 癒されるなあ……。

120131(7)7.jpg
 「ブラポリ」のクイルウイングをつかって、
 TMC900BLの12番ドライフックに巻いたブラポリ・マーチブラウン風。

 通常、
 クイルウイング素材の場合、
 ご存じのようにつかいたいフックサイズに合わせた長さのクイルウイングを選ぶことが理想で、
 「大は小を兼ねない」というか、
 長過ぎるファイバーでみじかいウイングを巻こうとすると、
 苦労することが多々あるわけですが、

 「ブラポリ」のばあい、
 先述のとおりソフトな質感と濃厚な繊毛によって、
 ファイバーのどの部分を巻き止めても、
 スムーズに巻けちゃいますよ……という作例。

 転じて、
120131(8)8.jpg
 通常のウエットフライ・フック8番程度なら余裕で巻ける「ブラポリ」のファイバーの長さを利用して、
 ロングシャンク・ドライフライ・フックTMC905BLの8番にまいた「ドライ・マドラー」

 アンダーウイングのうえに、
 「ブラポリ」のクイルを幅広のバーチカルウイング状に、
 やや開き気味で巻き止めてみた。
 ここでもクイルの湾曲カーブが功を奏して、
 たいへんに良い感じでウイングがやや下向きカーブになっている。

 ほんとはこのマドラーにつかったアンダーウイングはどうでとか、
 ボディ材のティンセルは今こんなん使ってますねんとか、
 なんならドライ・マドラーのヘッド形状のウンチクとか、
 語らせていただきたいところは数あれど……それって400字詰の原稿用紙10枚くらいで足りるやろか?

 というわけで、
 まるで絹のような手触りで、
 やさしい感じのクリーミーなダン色のダンダラ模様で、
 なによりもコチラの巻きたい意図に従順に従ってくれる、
 「癒しのクイル素材」
 もうすぐ全国にドド~ンと出回るかと思います。

 もうとっても素直な良い子です。
 仲良くしてあげてね……。

 というわけで、
 癒されついでに直訳すると「殺し屋サカナ」こと、
 世界の定番マドラー・ミノーのオマケを……、
120131(9)9.jpg
 黒のグースショルダーと、
 純白のアルビノ・ピーコック・クイルをマリッドしてウイングにした、
 白黒のマドラー・ミノー。

 イブニング~夜釣り用のドライフライ仕様です。

 暗がりの水中でもっとも目立つ色とされる「黒」を、
 水面にはりつくフライ下半分に配して、
 上半分は暗がりでもよく見える「真っ白」にして、
 バッチリ視認しちゃおう丸見えブラック・マドラー……というコンセプトなわけですが、
 ぶっちゃけそんな「ウンチク」は後付けです。

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 ひとよんで「皆殺しパンダ」Tied on TMC947BLの8番。

 この名前がつけと~てつけと~て、
 まず「名前ありき」で、
 冬の夜長カッカと燃えるストーブのよこで、
 皆を笑らかしたい一心で、
 爪に火をともしてこしらえました。

 道東道北クルーのみなさま、
 今年の冬はここ道南函館も超さぶいっす。

 「皆殺しパンダ」いっぱい巻いて、
 はよ馳せ参じたいところです。

 「皆殺しパンダ」釣れる気がする。
 根拠はまったくないけど。

 なんちゅうても皆殺しやで。

 癒されるわあ……。

  
 
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