BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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ビジネス・トーク
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 ちょっと聞いてくれる?
 じつはさあ、
 ぼく、
 都内在住のウルトラキュートな人妻みよちゃんと不倫してたんだよね。

 ことあるごとに、
 ユーチューブで見つけたオモシロ動画をメールで教えっこしたり、
 おたがいの近況などを面白おかしく伝えあったり、
 もう酒池肉林の情事を重ねていたんだよね。

 なんせ東京と函館の遠距離不倫、
 「いつかまた会いたいね~」
 なんて話していたら、

 ついこのまえ、
 とうとう、
 ついに、
 みよちゃんとその旦那さん!が、
 電車を乗り継ぎながらはるばる函館までやって来ちゃった。

 わざわざ電車で来るってところが、
 またオツなんだよね。

 旦那さんはもちろん初対面。
 みよちゃんとはじつに18年ぶりの再会です。

 たった二泊三日のことだったけれど、

 「月日の流れ」という魔法のなかで、
 なんともいえず摩訶不思議な、
 心休まる時間を共に過ごさせてもらってさあ、
 彼らが帰ってからも、
 いろんなことを思い出し、
 いろんなことに想いを馳せて、
 ちょっとボ~ッとしてた。

 三人で飲んで食って話してメチャクチャ盛りあがったとき、
 「みよちゃんの恥ずかしい過去のことブログに書いたろかな~」と言ったら、
 ほろ酔い加減のご機嫌な人妻が、
 「さあ書けやれ書けそれ書けいま書け~~!」

 赤裸々に語ってやろうじゃないの。
 
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 みよちゃんとの出会いは、
 ぼくが渋谷でやっていたレゲエのレコード店にて。

 当時の彼女は短大生だったか専門学校だったか、
 もうピッチピチの美少女だった。

 あるときとつぜん店にやって来て、
 オドオドしながら、
 レコード棚のまえでしばらくウロウロして、
 そしてなにも買わずに帰っていった。

 そんなのを何回か繰り返して、
 「この子、なにをしたいんや?」といぶかしんでいた。

 そして、
 何回目かの来店のとき、
 こんどは本を小脇に抱えてやって来て、
 またオドオドしながらレコード棚のまえで、
 その本のページをめくりながら、
 レコードのジャケットを見ているので、
 「なにか探してるんやったら聞いてね」と、
 はじめて声をかけた。

 すると、
 「あの、あのあのあの、こここここの曲のはいっているアルバムはありますか?」
 もう全身羞恥にまみれるかのような、
 ビビリまくりの赤面表情で、
 持参した本をひらいて、
 オズオズとぼくに差し出した。

 その本は、
 ボブ・マーリーの曲を訳詩して絵本仕立てのように装丁した詩集だった。

 それで、
 ちょっと興味が沸いて、
 いろいろ話しを聞いてみると、

 …学校の友人数名に連れられて、都内のとあるクラブにでかけたところ、
 せまい店内で、たくさんのカッコ良さげなお兄さんお姉さんがギュウギュウ詰めで踊っているわ、
 しらない男性に声をかけられるわで、そんなアダルトな雰囲気がものすごく恐ろしかったけれど、
 にもかかわらず、そこでかかっていた音楽がすごく心地よくて、
 そのギャップがとても不思議で、きけばその音楽はレゲエというジャンルなのだそう。
 しらべると、そのレゲエの王様はボブ・マーリーという人なのだそう。
 それで本屋さんに行ってみると、この詩集が売っていたので、まずは先にそれを読んでみれば、
 なんと心に響く歌詞であろうかと思いました。
 もうぜひともボブ・マーリーを聴いてみたいのです。
 けれど、レコードの種類がたくさんありすぎて、なにがなにやらわからないのです…

 という話しを、
 まるでお悩み相談のように切々と語られた。

 そんなの聞かされちゃったら、
 オッチャンはりきっちゃうよ、
 めちゃくちゃヒイキしちゃうYO

 いろいろ聴かせてあげて、
 いっぱい説明して……、

 みよちゃんは緊張しまくりながらも、
 もう真剣そのもので、
 ぼくの説明を食い入るように聞いて、
 曲をかけるたびに、
 「うわ~、いいなあ!」と弾むような声で言った。

 みよちゃんもまた、
 そのときのことをヨ~クおぼえていてくれて、
 「じぶんみたいなミソッカスに、こんなにいろいろ教えてくれる店長さん、なんて良い人なんだろうっておもった」
 って言ってくれたけれど、

 それってちょっとちがうんだよ。
 
 レゲエの門戸のまえに立って、
 「この音楽を聴いてみたくて、知りたくてたまらない」
 というみよちゃんの初心の熱さがストレートに正直に伝わってきたからだ。
 そしてその熱をダイレクトに感じることで、
 じぶんの売っている商品の素晴らしさを再確認して良い気分になっていただけ。

 オレは生まれながらのジコチュー。
 じぶんの得になることだけしかできない。

 そしてまたじぶんは、
 良い人好きな人のまえでしかイイ奴でいられない、
 器のちいさなダメな人間なのだ。

 でさあ、
 レコードをえらぶ段階になって、
 みよちゃんがモジモジしながら、
 消え入りそうなかんじで、
 いちばん安いレコードを差し出して、
 「コレください」っていうわけ。

 でも、
 みよちゃんがほんとに欲しくて、
 まず彼女が聴くべきなのは、
 あきらかに内容の充実した、
 いちばん高いレコードのほう。

 そのことを言うと、
 みよちゃんは申し訳なさそうに、
 「この詩集を買ったので、今月のお小遣いがもうほとんどないのです」

 そして、
 問わず語りに聞けば、
 なんでも叔母さんの経営する喫茶店でアルバイトをして、
 お小遣いを捻出しているそう。
 なので、
 あと何日かしてバイト代がはいったら、
 こっちの高いレコードを買いに来てもいいですか?と、
 おそるおそる聞いてきた。

 ので、
 「じゃあさ、この安い方はやめときなよ、
 そのかわりきょうはコッチのちゃんとしたレコード持ってっていいよ。
 それで、代金はバイト代がはいって余裕のあるときにちょうだい。
 いつでもいいから」

 すると、
 「そそそそそんなことはできません!」
 猛然と遠慮するみよちゃん。

 まあもちろん、
 そんなまともな神経の子だってことがよくわかったから、
 このような提案をしたんだけど……。

 そしてあのとき、
 この子に「ぜひ聴かせてあげたい」とおもったのではなく、
 「ぜひ聴いてもらいたい」とおもった。
 ちょっとしたことかもしれない、
 けれど、
 その感覚はまったくちがう。

 しかも、
 オレは常に自分の得になることだけをかんがえるから、
 そのまますんなりあっさりと、
 こんな可愛い子をただで帰すわけがないやろヒヒヒヒヒヒ……、

 「じゃあねえ、こうしようよ。このレコードを家でゆっくり聴いて、感想文書いてきてよ。
 提出はいつでもいいよ」

 「ハイッ!」
 だって……。

 キュンとくるべ?

 そして何日かして、
 レコードの代金とともに、
 みよちゃんが書いてきてくれた感想文。

 原稿用紙6枚にびっしり、
 書いては消し書いては消し、
 消しゴムの跡が随所に見える感想文。

 じつは、
 これはみよちゃんにも言ってなかったけれど、
 もう感動と感激と嬉しさのあまり、
 あの感想文を、
 かのレゲエ・マガジン元祖オリジナル編集長だった、
 故加藤さんに自慢げに見せたんだよね。

 でさあ、
 それから何日もして加藤さんに連れられて、
 なんだかレコード会社のエライさん方たちと飲んだとき、
 ベロンベロンに酔っぱらった加藤さんが、

 「こいつの店スゲーんだぜ、お客にレコードの感想文書かせてんだぜ。
 それがさあ、もう熱いんだよ、熱すぎ。アレ、おまえの勲章だぜ」

 なんで加藤さんまで自慢気に語るんだよ、
 と思いながら、
 ほんとにうれしかった。

 あのころ、
 レゲエはじぶんにとって趣味ではなく商品になっていて、
 対人関係を中心に気持ちを乱すことも多く、
 それに、
 夢中になって聴いていた駆け出しのころからずいぶん遠くまで突っ走ってしまって、
 新たな刺激にも鈍感になり、
 すでにピュアな感動はなくなって、
 レゲエは自分にとってストレスの種にもなっていた。

 気持ちを奮い立たせるためには、
 並々ならない苦労が必要になってしまった。

 そんなだったから、
 まるで生き血を吸うヴァンパイアのように、
 ひたむきにレゲエに接しているお客さんたちの情熱をこそ吸いあげ、
 それをこそ、
 仕事に向かうためのエネルギーにしていた。

 なんちゅうても、
 オレは自分のことしか考えないジコチューやから……。

 大事なことなので繰り返して言いました。

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 みよちゃん夫妻を函館駅まで見送ったとき、
 ふたりがお土産を物色しているすきに、
 駅構内にあるパン屋さんのクリームパンを購入して、

 「これ、電車のなかで食べてよ。あのな、ハッキリゆうけどコレ、ぼくが函館でいちばん旨いとおもったクリームパン。
 まちがいないから。唸っちゃうよ。しかもそんなクリームパンの最高峰がたった80円やねんで、すごいやろ!」

 おふたりが帰宅して、
 みよちゃんと旦那さんそれぞれからメールが届いた。

 みよちゃんは、
 このクリームパンを熱烈に諸手を挙げてすすめたぼくを指して、
 ぼくがあのころからなにも変わっていないことを嬉しがってくれていた。

 そして、
 ぼくよりもすこしだけ年上の旦那様は、
 やはりこのクリームパンの一幕を指して、 
 おたがいにお客さんあってこその自営業であることをふくめて、
 人様に想いを伝えるというところで、
 良い刺激をいただいたと書いてくださっていた。

 それはまた、
 そっくりそのままコチラのセリフでもある。

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   Concrete (Jah Live Dub Version)
 ボブ・マーリーのJah Live を聴くとき、
 いつもかならずB面のダブ・ヴァージョンから聴く。

 ボブ・マーリーの絞り出すような第一声、
 そこに、
 この曲のすべてが集約されているような……。

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   Bob Marley - Jah Live
 拠り所となるものを失い、
 真っ暗闇に突き落とされたとき、
 それでもなおこんな曲を創り、
 そして歌わずにいられなかった、
 ボブ・マーリーの心根をうかがい知ることは誰にも出来ない。

 だからこそ尊いとおもう。
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