BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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「トドの毛」通信
 木枯らしピューピューですね。
 いかがおすごしですか?
 巻いてはる?

 初秋のころ、
 みなさまにお買い求めいただいた「トドの毛」
 そのありがたい売上金をそっくりそのままつぎこんで、
 万難排してムリクリでかけた長期遠征釣行。

 小春日和のなか、
 エルモンやらなんやらにライズする野性を夢想しつつ、
 北海道のアッチやコッチの川に馳せ参じたわけですが、

 目覚めればそこはまっ茶色……、
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 連日、
 どこに行っても、
 肌を刺す冷たい北風と、
 狙いすましたように降る秋の長雨と、
 いっこうにおさまらない増水のなか、
 もはや涙も枯れはて、
 開き直ってまったり過ごした晩秋の記録のひとコマです。

 
 みんな~、
 ゴマダラもふもふの毛むしってる~?
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 トドの毛をむしって、
 ウエイトを巻き込んだフックに、
 ぐりぐりっとダビングしただけのキラーバグ的シンプル・ニンフ。

 トドの毛にかぎらず、
 繊維が濃密なファーを、
 エエ感じにダビングする最大のコツは、
 毛をむしったらそのままダビングするのではなく、
 むしったファーを手の平もしくは指先で、
 モミモミ揉むのじゃ揉むのじゃクシャクシャにして丸めるのじゃ。

 で、
 団子状に丸めたそれを再度フワッとひろげてから、
 スレッドにダビングすると……、
 
 と、
 このへんのダビングのコツや方法などは、
 こんど雑誌のほうでご紹介しようとおもっているので見てね。

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 つかっているうちに、
 適度に残しておいたガードヘアーがピコンと立ちあがり、
 ボディ全体を包み込むかのような「肌色茶褐色」の柔毛とあいまって……トテモイヤラシイ。

 そんな柔肌の奥から、
 ダビング材にめり込むようにリビングしたワイヤーの金色がチラ見えて……ハゲシクエッチ。

 そら釣れんわけがないっしょ……みたいな。

 ようやく濁りがとれてきた増水気味の流れ、
 仲間がドライフライで叩き舐めまわしたあとのポイントに、
 ヤーン・インジケ搭載のルースニング仕掛けにコレを結んで流すと……、

 瀬尻のヒラキのところでスポーンとインジケが引き込まれ、
 元気いっぱいのヤングたちがバクバク喰ってくれました。

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 一カ月弱におよぶ滞在期間のなか、
 ほんの数日の、
 そしてほんの束の間の晴天秋空。

 満を持して花形の登場です。

 コレでやりたかったのです。

 キャッツキル・クラシックなドライフライと、
 トドの毛ボディの組み合わせ……、
 このテのドライフライをシックにクラシカルにキメたい向きには、
 もうたまんなく小粋なかんじでござる。

 渋すぎるっすよコンチクショウときめき……。

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 ウェットフライ・フックの傑作 TMC104SP の12番に、
 ケムリ色の薄いダンのコックハックルとヘンハックルを混合して、
 オーバーサイズ気味にハックリングしたヴァリアントっぽいので、
 ようやく巡りあった束の間のライズを貪るように愉しみました。

 そういえば、
 あとから気がついたんだけど、
 この川では午後おそくになると、
 このフライと同サイズのチラカゲロウらしきスピナーが川面のうえをたくさん舞っていた。

 なんでもチラカゲロウは、
 かの地キャッツキル界隈では、
 シーズン終盤をかざる秋の大型カゲロウとして人気者ならしい。
 ダン・ヴァリアントなどなど、
 それを暗示したスタンダード・ドライフライもいくつかある。

 もちろん、
 当初からチラカゲロウを意識して、
 このドライフライをチョイスしたわけではなく、
 長雨のさなかの車中泊、
 ヒマを持て余して巻いた「ことさら時間をかけて、無駄に気合いをいれて巻いた一本」を、
 せっかく巻いたんだし、
 という理由でティペットに結んだ、
 というだけだったんだけど……、

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 ビーバーキルやらネヴァーシンクやら、
 はるかなる聖地の銘川を彷彿とする平瀬の美しい流れ。

 「あのさ、この川を歩いててずっと思っててんけど、このかんじ、どことなくキャッツキルっぽくない?」

 「あ、ですよね!この川はじめてなのに、なんかずっと懐かしい気がしてたけど、そう言われて胸のつかえがとれました」

 ニューヨーク生活も長く、
 かつて共にかの地の川を釣ったテッちゃんも、
 おもわずガッテン口調でそう言った。

 「な、かるくデジャヴやろ、この川」

 と、
 そのように感じた流れで群飛するチラカゲロウのスピナーたち。

 こんな自然界のちいさな符合にこそ、
 釣りゴコロが躍るのデス。

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 ともに釣り巡った各地の仲間たちが、
 一人また一人と三々五々帰っていって、
 またひとり車中泊釣行になった釣り旅の最終日にて。

 まったくおなじドライフライで釣った、
 ぼくの今年最後の無垢の野性です。

 正午すぎ、
 風がとまって、
 雲間から陽の光が覗いたほんのわずかな時間、
 遠目に見ると小麦色に見えるエルモンヒラタカゲロウのウイングが、
 チラホラと川面に見えはじめるやいなや……、

 瀬尻のヒラキの流芯のちょい脇のところで、
 モコッとまず一回とんがり頭が突き出て、
 二回目はぼくの投じたこのフライにウッシッシ……。

 王道ですわ~。

 こまかいことをいえば、
 エルモンもチラカゲロウもまったく意識せずに巻いた一本ではございますが、
 このファジーな感覚こそ、
 こうしたスタンダードの真骨頂……、

 とまとめつつ、

 やれ嬉しやと、
 このサカナを流れに戻して川からあがると、
 たちまちのうちに、
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 ひとりぼっちが寂しくなる風景。

 今夜はビジネスホテルに泊まって、
 市内で美味しいもの食べて、
 あしたゆっくり帰ろう……。

 予定を決めない気ままな一人の釣り旅は、
 幕の引きどころをいつにするのか、
 いつも釣りゴコロが揺れるのデス。

  
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