BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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額装
 やはり、
 ゆで卵をいただくならば、
 白身は固まってるけど、
 黄身はまだ半熟状態で固まりきらずトロンとしてるのが好き。

 もちろん茹でたてホヤホヤ熱々がサイコー。

 というわけで、
 ゆで卵のカラをむくときにさあ、
 まずカラの両端だけを小さくむいて穴をあけ、
 その端っこに口をあててフッと吹くと、
 カラと中身のあいだに空気が通って隙間ができて、
 そのおかげでカラが一瞬でベロベロッとむけるという小技……知ってた?

 この技をはじめて知ったときは、
 いたく感心した。
 ガッテンガッテンガッテンガッテン……ってかんじで。

 以来、
 ゆで卵のカラをむくときには、
 いつもこの方法でやってんですけど……、

 いまさっき、
 朝ご飯をいただいたとき、
 いつものように、
 ほぼ無意識に、
 ゆでたてゆで卵のカラの端っこに口を当てて、
 フッと空気を吹きこみましたところ……、

 ゆでたて(ココ重要)ゆで卵から、
 まっきっ黄色の半熟の黄身が、
 さながら黄金の虹のように、
 まことに美しい放物線を描きながら、
 いきおいよく飛び出して、
 ベチャベチャベチャッと、
 こともあろうに絨毯のうえに飛び散り落ちていきました。

 そのさまを茫然と見守るヒマもなく、

 手の平のうえにも、
 まるで溶岩のように灼熱の半熟黄身が大量にドロンと流れでて、
 うわあっっっち~~~~!!!!!

 白身のほうも、
 まだ充分に茹りきっていなかった模様です。

 ああ大惨事……

 こうした溶岩系ゆでたまご黄身流出事件は、
 もはやこれで4回目?5回目かも…を数えることと相成りました。

 そのたびに、
 我が身の不徳と不運を呪いながら、
 「こんどからぜったい気ィつけよ」
 と固くココロに誓ってきたわけですが……、

 それにしても、
 私には、
 なんでこうも「学習能力」というものが欠如しているのですか?

 まったくおなじ過ちや失敗を、
 なんでこうも何度も何度も何度も繰り返して、
 さらにまた繰り返してしまうのでしょうか?

 半熟のゆで卵に、
 我が人生を見た。
 
 そんなわけで、
 とりあえずココロと気持ちの動悸をしずめ、
 絨毯のうえに広がった黄身の海を眺めながら、
 カラの内側に残った白身をむいて、
 アジシオをふりかけていただき、
 絨毯を拭き掃除して……、

 せめてなにか前向きな気持ちになれるような、
 生産性のあることをしなければ、
 とおもい、
 このようにパソコンのキーボードをカチャカチャしておるわけでございます。

121210(1).jpg

 この額装のフライのウイングみたいに、
 ゆで卵の黄身がブワーと飛んだんだよね……もうええっちゅうねん。

 それはもう過ぎ去った過去の過ちということで、
 いつものように記憶の壺につっこんで上から蓋をして……、

 このオレンジの額は、
 いつも額を購入している近所の画材屋さんの御主人に勧めてもらって購入したもの。

 その御主人には、
 フライを飾った額も見てもらって、
 イメージを伝え、
 かくかくしかじかで、
 このような商売をしているので、
 それに見合う額を購入したい旨をしつこく語って説明して、
 いろいろ助言やアドバイスをいただいている。

 押しつけがましくなく、
 それでいて的確に額を選んでくれて、
 コチラの希望通りにフライを飾れるように細工してくれるので、
 すっかり信頼して、
 とても頼りにしている。

 その御主人が、
 「ちょっといつもの感じとはちがうけれど、この額もアナタの毛針に合うと思うんだけどねえ」
 と言って、
 このオレンジ色のファンシーな額を勧めてくださったときは、
 自分の望むイメージとはあまりにちがっていたので、
 内心(えっ、マジで?)とおもった。

 んだけど、
 御主人がそのようにおっしゃってくださったんだから、
 ということでこの額を購入して、

 うちに帰ってフライを入れてみて……うれしくなっちゃった。

 この額にはスペシャルなフライをいれて、
 ここぞっていうお客さんにこそ販売させてもらおうとおもった。

 そして、
 やっぱあの御主人は、
 ホンマモンの額の目利きというか、
 職人さんなんだなあ、
 なんて、
 つくづく感じ入った。

121210(2)2.jpg

 ことしの春、
 その御主人いわく、
 各地におられる額職人さんたちが、
 既成品の額ではなく、
 いわば自分の趣味で好きなように製作された、
 ほとんど一品ものの額をいくつか仕入れたとおっしゃるので、
 それらを見せていただいた。

 もうそのころには、
 御主人の指導よろしく、
 じぶんも額に対して審美眼のようなものが芽生えていたわけだけど……、

 見せていただいた額はどれもこれもステキで、
 「これぜんぶ買いたいくらいですね~」
 なんて調子にのりながらしゃべってたんだけど、

 この一枚をパッと見たとき、
 「うわっ、これいいっ!これ、すっばらしいっす!」
 つって、
 御主人を見たら、

 「でしょ~~」
 寡黙なかんじの御主人がニマ~っとホッペ緩めながらそう言ったんだよね。

 この画材屋さんで買い物するのは、
 ほんとに愉しい。

 そんなわけで、
 この額もスペシャルなフライを飾って、
 ここぞっていう場面で販売しようと思ってたんだけど、

 つい先日、
 なんでも岩手県にお住まいの大切な御友人を激励するために、
 華やかな、
 気持ちが浮きたつような、
 色とりどりのフルドレス・サーモンフライを所望、
 とのオーダーいただいたとき、
 
 それならば、
 ぜひこの額に、
 このフライを……とおもった。

 といいつつ、
 いま、
 うちに在庫している額は、
 御主人の全面的なご協力のもと、
 ぜんぶスペシャル中のスペシャル。

 いつのまにか、
 ここぞってときに、
 これぞってフライを飾りたい額ばっかりが集まった。

 飾るフライはいわずもがな、
 額ひとつにも、
 めいっぱい血が通ってんですよ……。

 細々とであっても、
 じぶんのアイデンティティを保ち鼓舞することができる、
 こんな120%アナログな商売ができるって、
 このご時世にあって、
 ほんとにシアワセなことだ。

 ゆで卵の黄身ごときで、
 人生を憂いとったらアカンやんゆう話しですよまったく……。

121210(3)3.jpg

 色の異なるシルクフロスを、
 オーバルティンセルを一巻きだけ巻いて、
 分割しながら巻いたボディの中央に、
 照明のライトがほぼ一直線に当たって反射しているのが、
 もうなによりも重要。

 このシルクの部分に、
 ほんのすこしでも凹凸があると、
 照明の反射はそこでグニャッと乱れることになる。

 気持ちを張り詰めた下巻き作業のあと、

 息を殺して、
 というよりも、
 呼吸を忘れて没頭するタイプのフライです。

 シルクをひとつ巻き終えるたびに、
 ゼイゼイハアハア肩で息をつく……。

 フルドレス・サーモンフライ・タイイングは、
 メディテーションなスポーツだ。

 ゴールなんか、
 まだまだぜんぜん、
 はるか彼方の絶壁のむこうで霞んでいる。


 
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