BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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Vintage Wet flies
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 凶悪でしょ?

 現在のウエットフライ・フック標準サイズで16番!相当のダブルフック!!

 これは、
 ヴィンテージタックル・オークションなどで落札された、
 おそらく80年ほどまえの英国のフライボックスにはいっていたもの。

 このサイズのちいさなフックに、
 ぶっとい黄色のシルクスレッドをつかって、
 ボディには黒のシールズファーをダビング、
 そのうえにティンセルのリビングして……。
 おそらくブロンズダンのヘンハックルをつかったとおもわれるスロートは、
 整然とフックシャンク下側に向けられ、
 そのうえにダッククイルが絶妙な厚みと角度と長さで巻き止められている。

 という、
 おそろしく熟練の年季技から察するに、
 かなりの職人さん作だとおもわれる。

 さらに……、
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 これらのフライもまた、
 一世紀ちかくまえに時間を止めたフライボックスの置き土産。

 いろいろ整理していたら出てきた。
 ので、
 職人技が光るフライをいくつか……。
 
 フライフックにアイがないのが当たり前だった時代。
 フライに直接巻き込んだシルクガットのリーダーは、
 すでに朽ち果てて久しいヴィンテージたちです。
 
 見事に角ばったスネックベンドのフックに厚めに巻かれた、
 紫シルクのテーパーボディに妙ありの左上2本。
 シルキータッチなアイアンダンのヘンハックルが、
 かなり厚めに巻かれているのが印象的でもある。

 右下2本のウイングにご注目を……、
 これ、
 ボディのダビングのテーパー段差とウイング基部のカーブから察するに、
 通常の巻き止め方ではなく、
 ドライフライのクイルウイングのように直立させたウイングを、
 さらに後方に折り返して巻いてある。

 なぜこのような処理をしたのか、
 その真相は定かではないが、
 まずタイイング面から推察すると、
 ウイング素材の余りをボディに巻き込むことで、
 ウイングの巻き止めとボディの厚み調節が同時にできて効率的。
 とうぜんヘッド処理もこじんまりまとめやすくなる。
 
 また、
 つかっている素材やフライのサイズと、
 フライ全体の造作と色調、
 ウイングの角度などから推察すると、
 なにか特定のカゲロウなりなんなりのイミテーションだったとも考察できるフシがある。

 こうした名もなき骨董品は、
 上から下から横から眺めて仔細観察しながら、
 このように想像を巡らせるのがオツなかんじだ。

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 マラードのフランクフェザーをつかったプロフェッサー・タイプのヴィンテージ2本。

 英国で巻かれたフライではあるが、
 あきらかにアメリカン・クラシック・スタイルからインスパイヤされている逆輸入的フォルム。
 そして、
 赤錆びたラウンドベンド・フックの形状と材質から察するに、
 上記のフライよりは新しい時代のものと推測される。

 といっても、
 巻かれた時代はきっと戦前よりもずっと前のころ。

 現在のフライの定義でいうところの、
 典型的ウエットフライのフォルムを呈しているが、
 これでもかという厚みとヴォリュームでハックリングされている。
 ウイングの幅と量もボッテリ。

 まさにテンコ盛り。

 まるで水面下に沈めたくないようだ。

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 この美しい木版画は、
 図版下のキャプションにもあるとおり、
 ペンネーム「エフェメラ」ことエドワード・フィッツギボンによる、
 1848年出版の「釣りの手引書」に挿画されたもの。

 ポイントににじり寄って、
 生エサをポイントにそっと落として、
 震わせたり引っ張ったりして誘うテクの解説。

 フライフイッシングでいうところのダッピング・メソッドの前身というわけ。
 いや、
 というよりも、
 この時代は生エサもフライもどちらがどうとか関係なく、
 「等しくサカナを漁獲する」ためのものとして、
 同じ道具立てと同じ釣り方でつかわれる場面もあったはず。
 
 また、
 こんなマイナータクティクスな釣りをも、
 こと細かに網羅しているこの「釣りの手引書」はまた、
 フルドレス・サーモンフライのタイイング世界を最初期に紹介した本としてこそ、
 現在もよく知られている。

 ちなみに、
 エフェメラのフルドレスサーモンフライの代表作はコチラ
     ↓
   Erin-Go Brah

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 TMC104SP 6番ヒゲナガ・サイズに巻いてみた。

 白黒濃淡の鮮明なマラード・フランクフェザーを大盛り一束うず高く巻き止め、
 ハックルは巻けるだけ分厚くハックリング。
 このテのスタイルを枯れたクラシック風情に仕上げるには、
 フラット・ティンセルのリビングは欠かせない。

 初夏の夕暮れどき、
 純白の翅ふるわせて、
 あの深瀬を溯上飛行する無数のヒゲナガ編隊……、

 いつものバンク際の太っちょはちょっぴりスレ気味……、

 ああ、
 そんなマスにこそ、
 このフライを、
 ヒタッと水面に浮かせてナチュラルに流し込んでみたい……、

 そしてときには、
 この分厚いハックルをブルブル震わせながら、
 水面をやさしく撫でるように引き波立てて滑らせてみたい……、


 冬の夜長は妄想が暴走……。


 まいにちまいにちさぶいっちゅ~ねんビュ~ビュ~やんけどないかして……

 薫る季節を切望する酷寒のころ、
 どうぞご自愛くださいませ。

  
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