BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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Quinchat
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 ちょっとお、
 まあ聞いてくれはる?

 昨年の暮れのことなんだけど、
 とある異国のサーモンフライの掲示板で、
 当ブログにて紹介した、
 ボクの巻いたサーモンフライの写真がパクられちゃってさあ、

 イヤ~もうまいっちんぐミツグちゃん

 パクッたやつはイギリス在住の毛唐。
 こいつのプロフィールを調べたら、
 けっこうええ歳こいた、
 なんかワケわからん学問の偉いセンセーなんだよね。
 いかにも金持ちな、
 ハイソなかんじ。

 こいつ、
 「こんな無名のジャップが細々とやってるブログなんか、どうせ我々本場の人間が見てるわけないっしょ」
 という下心見え見えで、
 ぼくのフライの写真を無断でアップして、
 そいつが立てたスレッド上で、
 フライの名前も変えて、
 いかにも私が巻きました、
 みたいな口調で、
 ちょっとエエカッコしてたんだけど……、

 それは甘い!

 まず、
 その掲示板の目利きな常連の方々に、
 「コレ、ほんとにオマエが巻いたのか?」
 と疑問を投げかけられ、

 しぶしぶ、
 「いや、じつは…どこぞのジャップが巻いたんだよね」
 と白状するやいなや、

 以前からこのブログを熱心に見てくださっていたらしいアメリカのタイヤーさんが、
 「このフライは、このブログやってる日本人が巻いたんだぜ」
 と、
 当ブログのアドレスを貼りつけてくださって、
 そのフライをめぐって、
 ちょっとした物議をかもしたことがあったんだよね。

 まあ、
 こんな極東の島国で、
 英語もロクにわからんジャップが、
 一から十まですべて独学で巻いたフルドレス・サーモンフライを、
 その本場どころか発祥の地で生まれ育った、
 いっぱしのドレッサーきどりのヤツにパクられる、
 ちゅうのもまた一興……、

 などと思うわけもなく、

 ムッッッカーーーーーーときて、
 おもわず書きこんじゃったんだよね、
 「それ、オレの巻いたやつだから」

 火に油を注いだようなもんで、

 「このボディどうやって巻いてんの?」
 「なんでヘッドがこんなカタチにできるの?」
 「接着剤つかってんじゃね?」
 「いや、こんな剥き出しのヘッドに接着剤つかったら、物理的にこんなふうに巻けなくね?」

 などなどなどなど、

 掲示板上でも、
 個人メールでも、
 そのフライを見てくれた方々からの、
 いろんなク・ク・ク・ク・クエスチョ~ンが飛び交ったわけですが、

 そんなのお答えできません。
 そんなビミョーなさじ加減の感覚のところ、
 日本語でも説明できません。

 というわけで、
 まずはこの恥知らずなイタイ毛唐を、
 上からのしかかるようにやりこめてやろうと思って、
 こんどは自分から、
 その掲示板にこのフライをアップしてみた→Sir Moses

 フルドレス・サーモンフライを巻いている人ならだれでも知っている、
 タラハーンの名作中の名作。
 王道でもあり、
 花道でもあるスタンダード。

 コレを選んだのは、
 この毛唐に対して、
 「テメーとオレのスキルとセンスの歴然とした差を見せつけてやんよ」
 ぐらいの気概もあったんだけど、

 それ以上に、
 この場でボクの味方?になってくれて、
 うれしいコメントやありがたいメールをくださった方々のほとんどが、
 この世界ではちょいと知られた各国のタイヤーさんたちだったんだよね。
 
 自分が駆け出し時代のころ、
 本や雑誌やインターネット上で、
 この方々の巻かれた「最高にカッコいいフライたち」を、
 もう透視できそうなくらい眺めまわして、
 「なんでこんなふうに巻けるんやろう?」
 と思いながら、
 切磋琢磨するなによりの励みと、
 すばらしく良い刺激をくださった方々。

 この機会に、
 そんな皆さんに、
 自分なりのスタンダードを、
 ぜひ見てほしいとおもった。

 もうさあ、
 分不相応なお言葉をたくさん頂いちゃって、
 ……キュンときた。

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 で、
 そんな敬愛しているタイヤーさんたちのなかでも、
 
 もはやフライタイヤーというよりも、
 フックというキャンパスに、
 鳥の羽根とシルクをつかって、
 誰にも真似のできない、
 その人だけの世界を表現できる唯一無二のアーティスト……、

 として、
 つねづね尊敬しているアメリカ在住の方がひとりいるんだけど、

 その方が、
 ぼくの「Sir Moses」を評して、
 「非の打ちどころがないだけでなく、すごくクリエイティヴ」
 とコメントしてくださった。

 スタンダードなフライにもかかわらず、
 君のフライは創造的だねって……、

 感涙ここに極めり

 そうか!
 そういうことだったのか!

 なんていうか、
 「目からウロコ」っていうよりも、
 なんか、
 目の前に立ちふさがっていた「門」が、
 ギギギと音を立てて、
 ゆっくり開いていったような……。

 この一言で、
 一歩も二歩も前進できたような……。


 まあ、
 先のイギリスの毛唐は、
 「おまえ、恥ずかしくないのか?」
 とムカつくだけだし、
 こうして災い転じて大福となったことで、
 それはもうどうでもいいんだけど、

 一昨年から今年にかけて、
 国内でも、
 またカタチのちがうシャレにならない「恥知らず野郎」たったひとりのために、
 やる気も元気も、
 そして商売っ気も奪われているボクにとって、

 この顛末は、
 タイイングの神様がボクにくれた最高のプレゼントでした。
 


 そんなわけで、

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 Sir Moses 同様に、
 タラハーンの代表作となる Quinchat を……。

 出来たてホヤホヤです。

 フックのサイズは、
 パートリッジのフックと比較して、
 サイズ8/0 よりもひと回りでかいくらい。

 ドドーンてかんじのヴォリューム。

 ボディに巻いたファウンデーションのためのシルクの下巻きは13メートル。
 独特の逆テーパーボディのいちばんぶっといところは、
 タバコくらいの太さ。
 そこに、
 空色を中心に各色のシルクをつかって、
 まるで絹の繊維が溶けあっているかのような、
 シワひとつないボディを巻いた。

 柔肌…ってかんじで…

 そして、
 そんなボディにハックリングした、
 パウダーブルー・マコウのボディハックルのファイバー……、

 博多ラーメンの麺の固さに例えれば、
 「硬め」を通り越して「バリカタ」とか「ハリガネ」級の、
 パリッパリに硬いファイバー。
 ハックリングすると、
 サボテンの針のように垂直にピーンと立ちあがるしかないはずのファイバーが、
 なぜか、
 まるで、
 パートリッジやクートなどのソフトハックルのように、
 やわらかく、
 ボディにしなだれかかるように後方になびいている。
 スロートもまたしかり。

 もちろん、
 これらはすべて、
 スレッド・ワークのみによる細工。

 ダブル・ファイバーがレシピ指定となるホーンは、
 昨今の風潮ではトッピング上部に巻き止めるスタイルが主流ではあるけれど、
 あえてサイド気味にセットして、
 チークやメイン・ウイングの色調に対比させて、
 メリハリのあるアクセントとして印象強くなるように仕上げた。

 目指したのは、
 エロさを醸し出す「グラマーな曲線美」

 ぶっちゃけたことを言おう。

 オレはフルドレス・サーモンフライと野性のニジマスのボディは、
 ムッチリムチムチプリンにムラムラするんやで~


 と、
 そんなフライ自体の曲線を、
 なめらかに強調してくれているだけでなく、
 異端ともいえる、
 このふくよかな豊満ボディに、
 なんともいえず柔らかく調和しているのは、
 バートリートでもオルコックでもない、
 流れるようなフォルムをした独特なリマリックベンドのフック。

 いまやフルドレス・サーモンフライは、
 このフックでないと物足りない、
 さいっっこーに気に入っているカスタム・フック。
 

 フライの反対側は、
 こんなふうになってます。

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 チークにつかったインディアン・クロウの配置と種類を変えてみた。
 
 これだけで、
 フライの印象がまたガラリと変わる…ああこの愉しさよ。


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 こちらサイドには、
 かのJ.H.Haleいうところの「レッド・ブレステッド・クロウ」学名Pyroderus scutatus granadensis
 の大小2ペア計4枚を、
 間隔をずらして巻き止めた。


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 そしてコチラには、
 より朱色とオレンジのグラデーションがつよい典型的「レッド・ラフド・フルート・クロウ」
 Pyroderus scutatus scutatus を3枚重ねて巻き止めた。

 このように、
 インディアン・クロウのチークを数枚重ねて巻き止めることで、
 メイン・ウイングとなる、
 マコウのウイング・カバーのマットな質感にまけることなく、
 チークの色調を強調、
 かつ立体感を醸し出している。

 

 というわけで、
 実際に巻いている方ならよくわかる、
 できれば隠しておきたいピンポイント巻き止め部分も、
 ばんばかドアップ写真でお送りした、

 これがぼくの2013年作、
 悠久の時をさすらうジプシー・クィーン Quinchat です。
 
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