BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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パターン・ブック
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 「Purple Emperor」
 ジョージ・モーティマ・ケルソンのコレクションより、
 サイズ6番くらいのヴィンテージ・ダブルフックに、
 ビルト・ウイング・スタイルで巻いた「パープル・エンペラー」

 この古典フライならではの素材は、
 なんといっても、
 「ケンヤ・トウラコ」のスプリット・クイル。

 この羽根の霞んだような淡い赤紫色のクイルを一片、
 各種のウイング素材で積みあげたメイン・ウイングの両サイドにちいさく添える。
 そしてさらに、
 テールにつかったサマーダックとパウダーブルーマコウのファイバーに、
 ほんの数本のトウラコのファイバーを混ぜ合わせて忍ばせる。

 フライ全体の構造からいえば、
 それはもう取るに足らないような「ほんのちいさな細工」
 にもかかわらず、
 この羽根こそが、
 このフライすべての印象を決定づけてしまう不思議。

 これぞ、
 クラシック・フルドレス・サーモンフライ・マジック。

 ほんによろしおすなあ……。

 
 というわけで、
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 このパターン・ブックすんばらしいYO

 「Classic Salmonfly Patterns」
 Michael D. Radencich 監集
 Stackpole books 刊

 もはや10年以上まえに刊行された同著者のタイイング編、
 そして数年前のマテリアル編につづいて、
 今回はその総集編ともいえるクラシック・パターン集。
 
 まさに、
 現在のフルドレス・サーモンフライ・タイイング界の伝道師、
 マイケル・ラディンキック先生の決定版ハウ・トゥ本三部作がここに完成…というところ。

 今回もまた、
 前2作をご覧の方なら、
 ご期待どおりの充実の内容。

 見やすい、
 わかりやすい、
 キレイ、
 細かいツボを示唆してくれる情報満載…、

 というところで定評のある先生の教科書、
 今回もまた、
 混沌とした古典の世界を、
 じつにじつに明瞭に整理して見せてくださってます。
 
 年季も経験もじゅうぶんのベテラン諸氏から、
 まだなにがなんだかサッパリわかんないけど、
 この世界に興味シンシンな方々まで、

 フルドレス・サーモンフライにグッときて、
 じっさいに自分も巻いてみたいとおもう方には、
 だれにでも、
 「この本かならず持ってた方がいいよ」
 と言い切るようなレベルで、
 お勧めできるスタンダード・フルドレス・サーモンフライのパターンブックです。


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 表題にもあるとおり、
 1700種類?もの古典パターンが、
 アルファベット順に整然と並べられ、
 どのパターンのオリジナル・レシピも瞬時にひもとける。
 だけでなく、
 同じパターン名でも、
 その時代ごとに刻々フライのレシピがかわっていくサーモンフライゆえに、
 そのレシピの変遷、
 そしてその各時代ごとのフライの原案者はもちろん、
 そのフライが最初に発表された本や雑誌の年号までもが、
 そのページを見れば一目でわかるようになっている。

 と、
 そうした資料としての充実度は「これぞ決定版!」的な作りなのはもちろん、

 この本がなによりも愉しくおもしろく役に立つのは、
 もうなんといっても、
 世界中のいろんなタイヤーが巻いた「作品」がぎっしり収録されているところ。
 そしてそれを、
 意識せずとも自然に比較検討あるいはジックリ眺められるようなページの構成になっていること。

 これがじつに見応えあり。

 いろんな方が、
 それぞれの個性で巻いた「たくさんの作品」を、
 い~っぱい眺めて「モノを見る目を養う」ことは、
 モチベーションの維持やスキルの向上において、
 なんの趣味世界でもとても大切なことだ。


 で、
 ちょっと話しはかわるんだけど、

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 village soul michael chung 1975

 あくまでも、
 レゲエとフルドレス・サーモンフライの世界限定ですが、

 ここ数年これらの分野では、
 ほんっとにスッバラシイ本の出版が相次いでいる。

 このマニアックすぎる、
 ちいさな世界ではいま、
 まるで、
 現在の電脳社会に逆行するような勢いで、
 「これぞ決定版」的な本がいくつか出版されている。

 どちらの世界も、
 我が人生にけして欠くことのできないワタクシとしては、
 この現状に諸手を挙げてよろこび、
 すみからすみまで読みふけっておるわけですが、

 しかし、

 そうしたご本を出版された著者の方々の、
 これまでの長年にわたる活動と、
 そしてそのご高齢をかんがみたときに、
 ふと思ったりするのです。

 財力はないけど、
 気力と体力がまだ残っている今のうちに、
 「この文化を後世にしっかり伝えておかなければ……」
 という、
 著者の方々の真摯で切なる想いが、
 これらのどの本からもヒシヒシ感じられるのです。

 と、
 そんな想いに触れるとき、
 自分の年齢とも重ね合わせながら、
 どうしても感じてしまう、
 かすかな焦燥感。

 時代は、
 歩みを止めることなく巡っております。
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