BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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ミツグトレオン
 先週いっぱい、
 大事な友人でもあり、
 信頼している仕事仲間でもある皆と、
 アメリカはコロラド州に行って来ました。

 またひとつ、
 忘れられない旅をしてきました。
 
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 「晴れていたら、ず~っとむこうの山並みも見えるんだけどね」
 とホワイティング博士が言っていた。

 それにしたって、
 呆れるほどの見渡すかぎりの地平線360度展望の荒野。

 その平原のなかに忽然と現れる、
 巨大な要塞のような白い建物。

 外からは人の気配を感じることもなく、
 無機質な白い壁がよりいっそう冷たく感じられた。

 あらゆる有害なウイルスや病原菌を寄せつけないように、
 このような場所で、
 このような施設になっている建物の戸をあけて、
 半分おそるおそる中にはいると、

 ムワッとせまってくる熱気と湿度で、
 かけていたメガネが一瞬で真っ白に曇った。

 そのむこうがわで……、

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 ピーヨピヨ

 本邦初公開?

 コック・デ・レオンの、
 まさにたったいま孵化したばかりのヒヨコちゃん。

 スゲーんだぜコック・デ・レオン。

 他のニワトリのピーヨコちゃんもたくさん見せてもらったけど、
 みんなそれぞれ愛くるしいヒヨコ顔で微笑ましいんだけど、

 レオンだけはくっそ生意気というか、
 もうこの時点から闘志らんらんというか、
 気高い猛々しさの片鱗が見え隠れしてんだよね。

 このあと、
 いろんな色のハックルを産出するための交配中の鶏舎にいって、
 いろんな種類の親鳥を実際にケージから出してもらって仔細観察した。

 そのとき、
 ホワイティング博士が暴れる親鳥の足をムンズとつかんでケージの外に出すと、
 どれも意外なほどおとなしく抱かれて成すがまま。
 
 んが、
 レオンだけは最初から最後までカンカンに怒っていて、
 博士の服の袖をガッチリくわえて狂ったように首をふっていた。

 孤高の荒くれマダラ者

 やっぱりアンタはかっこいい。

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 出荷を待つばかりのパッケージされた商品が、
 ケースに並んでうず高く積みあがった倉庫のなかで、
 博士はもちろん、
 ホワイティング・コンサルタントのマイケル氏もまじえて、

 ランズ・パティキュラのウイング素材がど~で、
 アイアン・ブルーダンのスロートハックル素材がこ~で、
 フラット・ウイング・ストリーマーのウイングの色があ~で、
 
 などと、
 次から次にハックルをいじくりながら、
 コチラのリクエストや要望を口から唾を飛ばす勢いで伝えていると、

 マイケル氏がとつぜん、
 「きょうはクラシックなフライのハックル談義ができてホントたのしいな……」
 としみじみ言った。

 ので、
 そのときはただ無邪気に、
 共感できる人と会えたことがうれしかった。

 のだが、
 あとからおもえばそれはまた、

 かの地でさえ、
 後世に伝えるべき「温故知新の醍醐味」は、
 虚を捨て実をとる時代の流れに、
 着実に押し流されつつあると見ることもできるわけだ。

 さびしいけれど、
 それが現実……。




 などと言う気はまったくない。
 

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 ミラージュのフラッシャブーを細身に巻いたうえに、
 レオンのルースター・サドルをグルグル巻きにハックリングしたボディ。

 そのうえに、
 ヘン・サドルのチカブー、
 ルースター・サドルのスペード・ハックル、
 ライト・オリーヴのヘン・グリズリーネック、
 スペックルド模様のレオンのヘンネック、
 の順番でウイングをフラットに巻き止めたジェネラル・プラクティショナーのヴァリアント。

 アイの部分はもちろんゴールデン・フェザントを二股カット。
 フィーラーつまり触角は、
 ここではクリーのミッジサドルを2本ひろげて巻き止めて、
 その周辺にナチュラルとダイドオリーヴ、
 そしてイエローのポーラーベアー各色をパラリと数本散らした。

 モダン・ハックル素材を駆使して巻いた、
 古典エビ・フライ・スタンダードのモエビ風アレンジ。

 いまから5年前のアメリカはロードアイランド州にて、
 深夜のストライパー釣りの合間に、
 暗闇の海面を懐中電灯で照らしだしたとき、
 水面下スレスレをひっきりなしに行き交う無数のエビの大群に息をのんだことがあった。

 その様子をしげしげ眺めていると、
 透明なエビの胴体はほとんど消え入るように水中に溶け込み、
 その胴体に散りばめられた斑点だけがスーッと滑るように泳いでいるようにも見えた。

 「なんかこれ、コック・デ・レオンが泳いでるみたいやんか……」

 暗闇の水面のどこかで、
 バシッ
 バシッ
 とみじかく鋭いボイル音が聞こえる。

 宵闇にまぎれて、
 丸々太ったストライパーたちが、
 潮に流されながら水面直下を泳ぐ無数のエビたちを、
 まるでヒゲナガの羽化にライズするニジマスのように吸い込んでいる音。

 こんな、
 ニヤリと小粋なフライばっか巻いてボックスにつめこんで、
 またいつか……。

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