BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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Light Cahill
 暑中お見舞い申し上げます
 
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 6月の半ばからおとついまでの一か月とちょっと、
 二日間だけ友人のお宅にお泊まりさせていただいた以外は、
 すべて川のほとりで車中泊して釣り呆けてました。

 んで、
 そんな釣り旅の最後の最後をを〆てくれたサカナがこのニジマスだった。

 いないわけがないとにらんでいた人気有名釣り場のピンスポットにて。
 
 早朝おそらく先行者が二組以上はこの場所を釣ったあと、
 この川ででかいサカナが水面のエサを喰うのは絶対に昼前後と確信していたので、
 その時間帯を見計らって出かけてドーンと一投目で炸裂した。

 アプローチもうまくいった。
 フライへの出方もすばらしかった。
 そのあとの闘いもあっぱれだった。

 100点満点パーフェクト!

 してやったり感はマックス。
 ファイナルにふさわしいドラマ。

 でさあ、
 聞いてくれる?

 やれうれしや証拠写真をと、
 いつものコンデジをサカナのまえに構えた瞬間、
 水辺に寝かせたニジマスがドババッと跳ね回ったんだよね。

 そのとき、
 水辺の砂利がまざった水飛沫がカメラにモロにバッシャーッ!とかかった……、

 そのとたん、
 カメラのディスプレイが真っ白になっちゃって、
 なんかワケわからんけど、
 ウィーンウィーンとかカメラが唸りだして……、
 しかも、
 シャッターや電源ボタンの隙間に砂利が詰まって、
 もうなんにもできない。

 「ああ~終わったあ……」
 血の気が引いて顔面蒼白。

 なぜならば、
 私のこの一か月強の大切な記録は、
 すべてこのカメラのなかにおさまっていたから……。

 あれだけ跳んで走ってくれたニジマスは、
 元気いっぱい脱兎のごとく走り去り、
 ボ~~ゼンと独り残されたワタシ。

 途方に暮れるカメラの知識ゼロのワタシ……。

 でもさあ、
 ぼくのカメラはがんばってくれたんやで~~~~~!

 なんとか電源がオフになって、
 それから狂ったようにフーフー息を吹きかけて、
 砂利を飛ばして、
 ティッシュで拭いて乾かして、
 涙目で再度電源を入れてみると……、

 最初はウィーンウイーンと唸り声をあげるだけで、
 ディスプレイ画面は真っ白だったんだけど、
 「おねがい!よみがえって!がんばれ!!」

 祈りは通じました。

 ボタンをおしたり目盛を回すとジョリジョリとか、
 砂利のイヤ~な感触がするものの、
 なんと復活!!!!!!!。

 オレのカメラえらい!よ~がんばってくれた感動した!

 こうしてブログも更新することができます。

 ほんとにありがたいことです。

 というわけで……、

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 フォックスをさがせ……

 この画像2枚のどこかにキタキツネが写ってんですけどわかりますか?

 ちょうどこのとき、
 良いサカナを釣りあげて、
 その余韻に浸りながら河原の石に座ってタバコ吸ってたんだけど、
 すると、
 対岸の下流からキツネがトテトテ歩いてきた。

 「お……」とおもって、
 口笛をピィーッと吹くと、
 キツネがピタッと動きを止めてこっちを向く。

 「おつかれ~」なんて声もかけたりとかして見つめあうんだけど、
 しばらくするとキツネがまたトテトテ歩きだす。

 で、
 また口笛を吹くとピタッと止まってコッチを向く。

 そんなのを5~6回もくりかえして、
 キツネも飽きたんかしらんけど、
 ぼくを無視して森のなかに行こうとしたのよ。

 で、
 さいごのお別れのつもりで、
 こんどはクマよけのホイッスルをピィーッと景気よく鳴らしたんだけど……、

 そしたらさあ、
 いったん森のなかに消えたキツネが、
 また河原に出てきてビックリ。
 んで、
 ぼくの真正面の対岸まで来て、

 あ?オマエなんなん?

 みたいな顔でジーッとしばらくのあいだボクを凝視して、
 ゆっくり何度も振り返りながら、
 なにか言いたげな表情で消えていったんだよね。

 たった独りの河原で大爆笑。

 ふと周りを見渡せば、
 おだやかな日差しに照らされた森の木々がやわらかく輝き、
 種種雑多な蟲どもが今を盛りにいそがしく飛び交っている。

 そして美しい川と水ととびっきりの良いサカナ。

 すべての森羅万象に畏敬の念を、
 そして感謝の念を……。

 たった一瞬であったとしても、
 こんな気分になれてほんとによかった。

 ぼくは、
 釣りは気分だとおもっている。
 だって、
 こういう気分のときってマジ釣れるんだもの。

 ガツガツギスギスイライラするのはもうしんどいしウザイからパスしたいです。


 でさあ、
 そういう機微のところをヨ~クわかってくれてる友人が、
 こんどの週末休みがとれました~って電話してきてくれたので、
 「じゃあつるんで釣りいくべ」ってことになったんだけど、
 天気予報は雨模様。

 ま、
 いっかあ、
 しょうがないやん天気ばかりは……、
 ってことで、
 雨ならクルマのなかでタイイングでもして遊ぶべ、
 なんつってシトシト雨が降りそぼる一夜が明けてみれば、
 二人してメッチャ寝坊して朝遅く起き出してみれば、

 あれ?なんか晴れてるやん?
 っていうか今日、
 メッチャ条件ええんとちゃうん?

 それ行け~~。

 果たせるかな、
 またとない好条件。

 最初に入ったでかいプールのポイントで、
 ふたりそれぞれドライフライで素晴らしいニジマスを釣りあげて、
 キャッキャとはしゃいだ。

 その帰り道の夕暮れ前、
 釣りのぼった川を川通しに下って来たとき、
 友人が「さいごにもう一回あのプールにフライ投げていきませんか?」って言った。

 「なんぼなんでも、あれだけ荒らしたらもうアカンやろ~」
 とか言いながらも、
 その提案にノリノリで付き合った。

 本日もヤツが投げ倒していたマシュマロ・ビートルは絶好調だった。
 ほかのフライも使ってはみるんだけど、
 すぐにこのフライに結び変えるヤツの姿を見て、
 「メッチャ釣りたいんだろうな~」
 とおもっていた。

 んで、
 さんざん荒らしたあとのこのプールでも、
 このフライを投げまくる友人。

 案の定、
 もはやなんの反応もない。

 そうこうするうち、
 「あ、ライズした!」
 とかヤツが言いだして、
 その地点に何度も例のマシュマロが流れた。

 反応はない。

 「ライズしたんやったら、ちょっとオレにも投げさせてえな」
 「ぜひやってみてください」

 ぼくも何度かフライを投げた。
 まったく反応はない。

 「ビゼンさん、ライズしたのはもうちょい対岸よりの流芯ですよ」
 とアドバイス。

 「え?、このへん?」
 「そうです、その流れの筋です」

 なんつってのんびり話しながら、
 流れ下るフライを眺めていたら、
 ちょうどライズしたらしい地点で、

 なななんと、
 ジュボッッなんて鈍くて重い水飛沫があがって、
 ぼくのフライが吸い込まれてしまった。

 え?うそっ?
 グイッと竿をあおるとドンッとたしかな手応え。

 「うわっ、掛ったあ」
 フッキングしたサカナはさいしょ、
 サーッと川を下って、
 下流に立っていたボクの目の前まで来た。

 あわててラインを巻きとりながら、
 サカナの姿もバッチリ見えた。

 午前中にこのプールで釣った50センチクラスと同じくらいのサイズのニジマス。
 しかも、
 でかいフライがバックリ吸い込まれて完全に飲み込まれたようだ。
 もうバレようがないフッキング。

 ここで楽勝やな、
 とおもっちゃったのだった。
 この不埒な余裕も敗因のひとつだった。

 ぼくの姿におどろいたニジマスが、
 じぶんの置かれている危機にやっと気づいたらしく、
 怒り狂ったように二度三度水面高く魚体をくねらせて跳ぶと、
 そのまま下流にむかって爆走しはじめた。

 下流はゴウゴウ流れる荒瀬。
 そこに突っ込まれるとヤバイ……。
 足場も悪いので追いかけられない。

 「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!」
 強引に竿をためて、
 サカナの向きを変えようと試みた。

 運よくサカナが向きを変えてくれて、
 対岸に向かっておおきく旋回しながら、
 そこでグリグリはげしく首をふった。

 その瞬間、
 パーンッつって乾いた破裂音がして、
 ティペットが切れた。

 「えっ?うそ?マジ?????」

 だって、
 フロロの3Xですよ、
 傷がついていたとか、
 使い古したとか、
 結び目からやられたとか、
 そんなんだったらまだ納得できる。

 だけど、
 結び直したばかりの新品ですよ、
 そんなん、
 どうやったら切れるのよ?
 って話しやんけ。

 切れた個所は、
 ウイークポイントの結び目とかではなく、
 フライを結んだところよりも、
 ほんのすこし上のところ。

 その部分が、
 まるでガラスが割れたように破裂したかんじで、
 ガッサガサにささくれて切れていた。

 おそらく、
 フライを飲み込んだニジマスが、
 グワングワン首を振ったり、
 バンバカ跳びまくって魚体をひねったときに、
 ティペットがニジマスの歯にあたって、
 それで切れたと推察された。

 ふたりして、
 ティペットの切れたところを見ながら、
 しばらく茫然とした。

 ヤバかった。
 やばすぎた。

 あんまりヤバすぎたので、
 このティペットを扱っているマーベリックのササヤンに電話して事の顛末を語ると、
 「え?あのフロロの3X切れるんですか?それヤバいっすよ。北海道ヤバすぎですね」
 としきりと繰り返していた。
 ボクもまったく同感。

 なめたらアカンでホンマ。

 で、
 そんなニジマスの暴君っぷりもすごかったんだけど、
 そのニジマスが喰いついてくれたフライがまたチョットえぐいブツで……。

 この川のこの季節には最強とちゃうかと衆議一決していたマシュマロを完全無視してのけたヤツが、
 まことにあっさり喰いついたフライは、

 なななんとライトケイヒル。
 なんの変哲もないフツ~のフォルムのライトケイヒル。

 んが、
 そのライトケイヒルのサイズが問題で、

 これまたなななんと、
 2Xロングの4番!
 全長で小指よりもでっかいど。

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 こんなの、
 つかうほうもつかうほうやけど、
 あっさりバックリ飲み込むほうもどないやねん?

 とうぜん、
 帰り道では「スタンダード・ドライフライやばくね?」なんて話しでもちきりになったんだけど……、

 まあ、
 なにかとヤバイヤバイと連呼したサイコーの一日だったんですけど、

 そんなモンスターなライトケイヒルのボディのダビングにつかった素材がコレなんだけど、

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 これ、
 なんだかわかる?

 ラムズウールだとわかる方はいるかもしれないけれど……、
 ちょっと特殊な部位から採ったラムズウール。

 これはねえ、
 羊のチンコ周辺の毛なんだよ。

 だから、
 羊毛のところどころが、
 垂れ流されたオシッコがかかって、
 まさに黄金色に染まってんの。
 これぞマジもんのナチュラル・ダイドやね。

 ヤバイべ?
 
 ちょっとコレをダビングして、
 一本でっかいの巻いてみるべ……、

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 つかったフックはTMC905BLの6番。
 と、
 そんなサイズでも今やマイルドに見えちゃうワタシのドライフライ・サイズ感覚、
 おかしいんとちゃうやろか?

 まずはフツ~に下巻きしてウイング取りつけてテイル巻いて、
 オシッコ・ダイド・ラムズウールをスレッドに撚りつけて、
 フライ前方から後方に向けてダビングしているところ。

 このとき、
 写真のように長めにスレッドにダビングしておいて、
 ちょっとした小技も駆使してみるで~。

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 スレッドに撚りつけたダビングの余分のところを、
 マーカーで着色しておいて……、

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 んで、
 それをリビングとして巻くというわけ。

 ラムズウールの特性として、
 ジェル状のフロータントやなんかを塗布すると、
 ヌルンッとしたとろけたかんじになるじゃん。

 で、
 そこにマーカーのリビングの色もボディに馴染んでグラデーションがかかって、
 羽化したばかりのモンカゲのダンのボディちっくな、
 ブチュッとつぶれそうな質感のボディになるんだけど、

 どう?
 この金色っぽい黄土色の濃淡具合。
 クラシック・ムード満点。

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 ハックリングするで~。

 ここでつかってみようとおもったハックルは、
 写真の下側から、
 ホワイティング社ハイ&ドライのバード・ジンジャー、
 真ん中がホワイティング・ヒーバートのサンディダン、
 そして一番上がヒーバートのヘンネックのライト・ハニーダン。

 ライトケイヒルというよりも、
 ここではグレイ・フォックスちっくにハックリングしようという目論見ですが、

 この色のハックルやないとダメっていうのではまったくないので、
 そこんとこかさねてヨロシク。

 各自お気に入りのハックルで、
 自由に組み合わせてハックリングしてね、
 たいがいピタッとハマってサマになるで~。

 それよりも、
 以下に見るように、
 こんなかんじでハックリングしてます、
 というところが最重要。

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 まずはウイングを水で濡らしてファイバーをまとめて棒状にして、
 ハックリングの邪魔にならないようにして、

 コックハックル2枚を先にハックリング。

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 んで、
 こんどはそのハックリングしたコック・ハックルの下側をバサッとカット。

 これが私的スタンダード・ハックリング最大のキモです。

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 しかるのちに、
 さいごにヘンハックルをコックハックルに混ぜてフツ~にハックリングして完成。

 この私家版ハックリング・テクは、
 お恥ずかしながら拙著「ハッピー・タイヤーズ」でもご紹介させていただいた。
 簡単に解説すると、
 フライ上部のハックル密度を濃くしておいて、
 逆にフライ下側のハックルをヘンハックルだけにして、
 フライの下側のハックル密度を薄く、
 かつソフト構造にすることで、
 スタンダード・ドライフライの泣き所である空気抵抗を軽減させつつ、
 水面でのバランスも向上させようという試み。

 この方法、
 このくらいの規格外の巨大スタンダードになると、
 さらにより良く活きてくるようです。

 こんだけドデカいスタンダード・ドライフライが、
 フワ~ッと水面に乗って、
 テイル、フックベンド、ハックルの三点支持バランスで、
 鎌首もたげてスックとウイングを立てて軽々浮いてくれると、
 もうそれだけでものすごく清々しいです。

 でもさあ、
 こんなのにも、
 というよりも、
 こんなのにこそ、
 ドワバッ!!
 とかぶりついてくれる北海道の野性のニジマス。

 まじパねえっすよ。

 ぼくらの国ニッポンの、
 いや、
 ホッカイドウこそが、
 世界中に自慢できるぼくらの誇りで財産とちゃうん?

 ほんまにそない思います。
 
 
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