BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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涅范の盛夏
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 過ぎ去りし夏の幸福な一日……。

 林道の終点にあるちょっとした広場みたいな場所の、
 川を見下ろせる大木の陰にクルマを止めて、
 しばらくそこで寝泊まりしながら、
 毎日目の前の渓流を釣っていた。

 朝、
 目が覚めてクルマのドアを開けると、
 まってました~オハヨ~~とばかりに次から次へとブンブン飛び込んでくるアホな蟲ども。

 じっくり眺めてみれば、
 どいつもこいつも実に味わい深い色や模様やおもろいカタチ。

 それらを感心しながら眺めつつ、
 用を足して、
 コーヒー沸かして、
 朝ご飯をたべて、
 歯を磨いて、
 ウェーダー履いて、
 釣り竿をつないで、
 出発した。

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 川をわたって、
 ヤブを漕いで、
 この地点で立ち止まって、
 しばらくあたりをうかがった。

 三日ほどまえ、
 この場所で笹やぶを漕いでいたら、
 とつぜん下流からつぶてのようにヤマセミが飛んできて、
 対岸の木に止まったのだ。

 北海道に来て二度目の遭遇。
 感無量だった。

 それにしても、
 こうしてヤブ漕ぎをしているときに、
 まえまえからいつも常々おもっていたことを、
 このまえ友人に話した。

 ちょうど友人と釣りをしていたとき、
 対岸の山肌にシカの親子が現れて、
 ぼくらの存在におどろいたシカどもが、
 いつものようにピイピイするどく鳴きながら森の奥に消えていったときだった。

 「あのな、エゾジカのあの鳴き声の意味を人間の言語に翻訳したらさあ、
 サノバビ~ッチ!ファッキューあほぼけかすしねウッゼ~んだよコッチ来んじゃね~よ!
 とか、
 あらんかぎりの罵詈雑言を浴びせかけられてたりしてたとしたらどないする?」

 「ウハハハハハハありえますよねソレ」

 「そやろ」

 というようなことをツラツラおもいながら河原に降りてみると、

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 あ・・・・・・・・・、

 ホイッスルを鳴らし、
 背中にぶら下げた蚊取り線香の匂いが、
 深い森の奥まで届いていることに期待しながら、

 上流に向かって、
 「そっち行きますけどスイマセ~ン」
 とさけんだ。

 どうせ行くならば、
 傲慢な態度でのぞむよりは、
 恐縮しながらのほうが、
 きっと先方にも心証が良いだろう。

 キンカムイは森のどこかでボクらを見ている。

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 対岸のバンク際に、
 木が倒れて緑の葉っぱをつけたまま、
 枝が流れに洗われている。

 しかし水深はフトモモくらいでジンクリア、
 川底は小砂利で倒木の奥までぜんぶ見渡せるような、
 見るからにしょぼいピンスポット。

 水面まで垂れ下がった枝の奥のそのまた奥に、
 フライを強引に流し込むと、

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 倒木の根元から、
 とつぜんいきなりゴッツくてブットいのがブワッと浮かびあがってきて、
 フライをひったくるとグワッと金色の魚体をひるがえした。

 アンタ…この場所の何処にその巨体を潜ませてたのよ?

 平瀬ばかりで変化に乏しい山岳渓流にて、
 イワナ釣りよりもイワナ釣りらしく、
 ピンスポットのさらに奥のピンのところを狙い撃ち……、

 そして飛び出すサカナは規格外の俵型。
 魚体の幅も体高もパッツンパッツンにはちきれんばかりの極太仕様。

 アンタら輝いてるよ眩しいよ。

 アンビリーバブルなイワナ釣りに酔いしれた。

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 満たされ過ぎた午後、
 川通しに下っていたとき、

 水辺にて、
 もうひとつの極太クンとの遭遇にウオ好きゴコロがはずむ。

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 フクドジョウとうじょう。

 でかいムナビレとボテッと丸々したお腹の組み合わせの妙が、
 なんともカッコかわいいドジョウ好き垂延の、
 こちら北海道ならではの渓流棲みのドジョウ。

 そっと近寄って、
 しばらくじっくり観察を愉しんだ。



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 ラッキーなことがもうひとつ。

 クルマを止めた広場の目の前まで戻ってきて、
 砂地の河原でひろったフクロウの羽根。

 繊毛で覆われた羽毛は乾いており、
 どこかまだ温かい体温をかんじる。
 抜け落ちてさほど時間が経っていない羽根のようだ。

 してみると、
 昨夜ぼくのクルマのすぐそばに、
 この羽根の持ち主であらせられる山の神がいたことになる。

 つくづく光栄だとおもった。


 ちなみに、
 こんなにも夢見心地な、
 豪華な一日をともに過ごしたフライは……、

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 ヒグマの金毛をウイングに巻き止め、
 ワシミミズクの羽根をボディに巻いたフラッタリング・カディス。

 TMC9300の8番に巻いてある。

 ハックルはたしかクリーのサドルとハニーダンのヘンのミックス。

 ゴージャスやろ?

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 こんな北の夏のスペシャルなドライフライの釣りにこそ、
 ふさわしいフライやろ?

 と、
 そんな豊かな自然のなかでひと夏を釣り呆けていたら、
 あっというまに秋が来てしまいました。

 まさに、
 働くアリさんを横目にも見ないで、
 ギターならぬフライロッドを振りまわしつづけたキリギリス。

 ちょっぴりセンチメンタル……などと言っているばあいではないのですが、

 でもさあ、
 おかげでもうフライもサカナもしゃべりまくりたい話題が満載。
 この冬のタイイングデモはワイの釣り自慢を延々聞かされることになるかとおもいますが、
 そこはひとつ、
 なにとぞよろしくおねがいいたします。

 かしこ

 
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