BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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独り遊び
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 ADAMS Variant #10

 ホワイティングの「ハイ&ドライ」のダイド・バーント・オレンジのグリズリーって、
 染めの色が薄いのと濃いのがあるじゃん。
 夕日みたいな色をした薄いのと、
 ガッツリ燃ゆる橙色みたいな濃いヤツ。

 これはそれの薄いほうのグリズリーと、
 ホワイティング・ヒーバートのヘンネックの茶色をミックスした「私的アダムス・テレストリアル風味スタンダード仕様」

 同社バンタム・グリズリーのヘンネックのまん丸帽子みたいなウイングが、
 チョコンと立ちあがっていて、
 それがなんともいえずカワイらしくてシャレおつだ。

 ボディもオシャレでしょ?
 誰にも見向きもされなかったとある鳥のクイルボディ。
 ダビングボディとは全然テイストがちがっていて、
 濃厚な繊毛がフワ~ッとひろがってる。
 しかも、
 これをねじって巻くことで、
 ちゃんと体節がクッキリ表現されているのでムシっぽい。
 マスクラットやラクーンなんかの獣毛のウォーム・グレイを連想させる、
 あたたかなかんじのするブルーダンのクイルボディ。
 色調もアダムスに絶妙です。
 
 この羽根も今年のスマッシュ・ヒットだった。

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 私的アント型パラシュートの標準型#8

 で、
 もうひとつ今シーズン盛りあがったフライのひとつはコレ。
 写真のは、
 もう何匹釣ったのか定かではない状態。

 一見なんてことはない、
 ありがちなピーコック・ボディのアント型ボディのパラシュート。

 なんだけど、
 べっちゃり濡れて揉まれて齧られてからこそ本領発揮。
 ピーコックハールのフリューが濡れてしまってベタッとボディにまとわりつくと、
 これまでのように風呂上がりの猫状態でボディがしぼむのではなく、
 濡れることで逆によりリアリティをかもしだす造りになってる。

 サカナの反応も、
 釣り人側の満足度も、
 たいへん良好だった。

 素材を変えたり素材を足したり……、
 ヴァリエイションも多数試作してアレコレ試しまくったのでした。

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 と、
 そのような釣り気分のときは、
 フルドレス・サーモンフライ・タイイングのことなんか、
 もはやすっぽり忘れてる。

 んだけど、
 そんな夏のあいだにも、
 どうしても思い出すときもある。
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 話しはちょい寄り道して、
 このタイプの色柄の蛾は、
 田舎町の街灯や夜のコンビニの駐車場や水辺でも普通に見かける。

 そして、
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 深夜、
 とあるキャンプ場のトイレで見つけたコイツ、
 ぼくは初めて見たんだけど、
 このタイプもたくさんいるんですか?

 大胆なのに、
 ものすごく繊細、
 シンプルなのに、
 どこまでも深くて複雑。

 うっかりすると、
 なにか別の世界に吸い込まれていくような、
 すさまじいデザイン。

 色もカタチもなにもかも、
 計算され尽くした造りモノのようだった。
 そのくせ、

 「こんなんぜったい真似できへんわ~」

 かるく愕然としました。

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 夏の北海道の山間のキャンプ場のトイレには、
 じぶんのセンスと創造力の貧弱さを笑っちゃうような、
 圧倒されるばかりの、
 想像をはるかにぶっちぎる究極の色とデザインが、
 いつもひしめいております。



 などと、
 夏のあいだはおもったりしているのですが、
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 冬になるとですねえ、
 夏のあいだほったらかしだった、
 エキゾチック羽根たちが、
 耳元で囁きよるんですわ~、

 「そろそろどないですか?」やて。

 「ほないっちょ巻きましょか」とかゆうて……、

 もうちょい待っててや~イロイロ雑事こなして落ち着いたら、
 またずっぽり没頭したいで~。

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 それでさあ、
 このゴールデン・フェザントのトッピングなんだけど、
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 ラベルにも書かれているとおり、
 故リー・ウルフのタイイング・テーブルにあったマテリアルを、
 かのジョアン夫人がパックにまとめて、
 どこぞで販売していたもののなかに入っていたモノならしい。

 で、
 ぼくはそれを幸運にも知人から頂戴したんだけど、
 このトッピングすごい。
 残念ながら当然のこと経年劣化はしているんだけど、
 それでもおどろくばかりのクセのなさ、
 あまりあるストークの長さ、
 濃密なファイバーの密度、
 フレッシュな頃の色調はさぞやと思わせる血の通った色合い、
 どれをとっても、
 なにをとっても、
 これをしのぐクオリティはこれまで一切見たことがない。

 はっきりゆうて暴言ですけど、
 フルドレス・サーモンフライの本体なんか、
 つきつめたらトッピングの土台なんやから、
 この素材のとびっきりのを日々渇望してやまないワタシ。
 なんぼあっても足りないくらいの唯一の素材。

 幾多のトッピングを見るだけ触るだけでなく、
 じっさいにあの手この手でつかってんだから、
 まさに使い倒しておるわけですから、
 そのうえでモノ言ってんだから……。

 同好諸氏の皆さんわかってくださいますよね。

 昔のはすごかったんだね、
 さすが世界的著名人の所有マテリアルだね、
 などとちっさいことを言いたいのではなく、
 きっとおそらく、
 ゴールデン・フェザントをしかるべき環境で、
 ストレス・レスで老成するまでスクスク養鶏できれば、
 きっとこんなの簡単に出来るんだろうな~とおもいました。

 悩ましいものがある。
 狂おしいものがあります。


 と、
 そんな話しもしつつ、
 悩ましくも狂おしいといえば、
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 コレ、
 英名「ポーキュパイン・カディス」っていうんだぜ。
 和名「ヤマアラシ」

 サイズ4番のウエットフライ用フックに、
 エゾジカの束を4連結くらい、
 ヤマアラシの棘のように、
 これでもかと巻き止めた、
 ネーミングもスタイルもきわめてありがちな、
 ベタベタのカディス・スタイルです。

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 んが、
 よく見ると、
 コック・デ・レオンのテイリング・パックのハックルを、
 胸元と首元にパラパラ~ッと巻いてある。

 で、
 それがエゾジカの毛のあいだにはさまって、
 毛のあいだからツンツン飛び出している。

 それが、
 ホンマモンのヤマアラシの極太の棘のあいだから、
 ひょろひょろ飛び出しているガードヘアーを思わせる。

 ので、
 あえてこのベタな名前にしてみたわけですが、
 そんな名前はいいとして、

 この風に揺れる柳の木のようなレオンのなが~いファイバーでもって、
 水面を転がる巨大ヘア・カディスのウイングが、
 まるでビビビビビ……と震えるように見えたらオモロイやろな~とおもって……、

 それが功を奏したのかどうかはわかりませんが、
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 どすこい夏の漢の花道

 ガボッとかドバッという表現ではなく、
 荒瀬を転がり流れるこのヤマアラシに、
 ダンッッッ!と、
 まるで水面を手の平でおもいきり叩いたような水音を響かせて出てくれた。

 なんちゅうオトコマエなしゃくれあご。

 大雨のあとの大増水後、
 ここぞと狙い定めたポイントにて第一投目。

 やっぱドラマはいつだって一投目。

 そのとき私はスーパーサイヤ人。

 ガッツーンッとフッキングしてしまったヤツが、
 まずは流芯の川底にへばりつき、
 その一瞬後、
 怒涛の勢いで滝のような瀬を駆けあがっていったとき、
 我がマーキスのギイーンといういつもの逆転音ではなく、
 ンギャギャギャギャーーーーッ!!!!!!
 という悲鳴が忘れられません。
 

 すばらしかった。
 すばらしすぎました。

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 口の先からシッポの先まで、
 カンペキ過ぎてまるで造りモノみたい。

 でもぜったい真似できないよね……。

 自然は、
 どうしてこうもいとも簡単に、
 じぶんの想像をはるかに越えた、
 美しいものを見せつけてくれるのでありましょうか。

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 このフライのボディもまた、
 ピーコックハールのねじり巻きで極太仕様。
 濡れそぼってもこのヴォリュームです。

 とはいえ、
 このフライは、
 巻きたてホヤホヤで、
 たった一回だけ水面に浮かんで、
 そしてこのイッピキだけを釣って、
 あとは大事に仕舞ってもう使いません。

 この夏の輝く思い出の一品なので……。

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 真夏の深夜、
 だ~れもいない山奥のキャンプ場。

 ドアを開け放したクルマのなかに、
 次から次へと飛びこんでくる、
 ときどきすごく邪魔なときもある、
 はばたく生きた宝石を眺めつつ、
 蚊取り線香のキナ臭い香りをかぎながら、
 ヘッドライトのちいさな明かりだけで巻いたフライ。

 けしてさいしょから確固たるヴィジョンがあったわけではなく、
 あれこれ妄想と夢想をはばたかせて、
 車中泊の夜のタイイング遊びにたわむれで自由に巻いたフライ。

 できあがったフライをライトの明かりにかざして眺めて、
 「おお~、なんかヤマアラシみたいやんけ~」なんて……。
 
 翌日、
 そんなフライをボックスにしのばせて、
 もうワックワクドッキドキで、
 ようやく水量が落ち着きはじめた川へ……、

 シアワセでした。

 と、
 そんな夏の釣りの気分と、
 来たる長い冬のフルドレス・サーモン気分が、
 まるで交差しているかのような、
 この季節の我が脳内風景を、
 おもうまま書き散らしてみました。

 いと悩ましい。

  
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