BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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ジョン・ホルト
 レゲエのことを知らない方でも、
 テレビのCMやらなんやら、
 いろんなひとにカヴァーされたりとか、
 聞き覚えのある歌かもしれません。
 The Paragons (John Holt) - The Tide Is High

 今夜は、
 この歌のオリジナル・シンガーのひとり、
 ジョン・ホルトのお話しです。

 レゲエのこと知らない人は、
 ちゅうか、
 80年代初めのレゲエ事情を知らない方は、
 わっけわからんとおもいます。
 
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 この時期、
 ずっと家にこもってタイイング机にかじりつき巻いたり撮ったりモロモロ励んでいるので、
 必然的に一日中レコードが回っておる状態です。
 音楽生活としても、
 なかなかコユイものがあるわけだ。

 年明けからこっち、
 マイブームはなんちゅうてもジョンジョのヴォルケイノ。
 我が家にかろうじて残っていた数少ない同レーベルのレコードをひっぱりだして、
 ひさびさにロッキン・ドリーとかパス・ザ・クシュンペンとか、
 ズングズングズンググゼンとか、
 当時熱心に聴いていた懐かしのワンドロップ・ドライヴィンに、
 フライを巻く手も軽やかだった。

 で、
 なんちゅうてもズ~~~ッと家におるわけですから、
 お仕事しながらズ~~~~ッと聴いてるわけですから、
 あらかた聴き過ぎてすぐ飽きて、

 なんかジョンジョの手がけたレコード他になかったかいなと、
 段ボール箱にしまって押し入れの肥やしとなって幾年月。
 ぶっちゃけ 「ほぼ忘却のかなたにあった」 レコード群もひっぱりだして、
 
 そのなかにあったのが、
 このジョンホルトのサイン付きアルバム。
 表題曲が当時のサウンドシステムに旋風を巻き起こし、
 ジャマイカ国内では往年のロックステディ時代以来の空前の大ヒット。
 となったアルバム。

 なんだけど、
 このアルバムがでた当時、
 1983年から84年にかけて、
 なんちゅうても時代はイエローマンにシュガーマイノット、
 そして、
 バーリントン・リーヴィだフランキーポールだココティだ、
 リトルジョンだマイケル・パーマーだと、
 つぎから次へと頭角をあらわしすフレッシュな新時代アーティストのヒット曲を追いかけるのに夢中だった。

 だって若かったんだもの。

 そこへくると、
 このベテランの一大復活アルバムは、
 当時はなんとも地味で暗くて一本調子に聴こえて、
 まったくピンとこなかった。

 にもかかわらず、
 なんでこのレコードが我が家にあるかというと、
 じぶんの名前まで入れてもらったサインが書かれているからだ。

 売り飛ばすわけにもいかず、
 ヒトに譲るのも気が引ける……、

 と、
 そんな持て余し気味だったレコードに、
 なんでサインしてもろたかというと……、

 1992年のジョン・ホルトとアルトン・エリスの来日公演のとき、
 ぼくが働いていた渋谷のレゲエのレコード屋にジョン・ホルトが表敬訪問してくださって、
 そのとき、
 「パラゴンズ時代もふくめて、記念にこの店に在庫しているアナタのレコードのなかから、
 いちばん想い入れのあるレコードにサインしてくれませんか?」
 ったら、
 「う~~んそれは難しいヨ」
 とか言いながら盛りあがって、

 なんせ多作の御大、
 当店のジョンホルト・コーナーもけっこう充実していた。

 でさあ、
 ジョンホルト御自身が、
 うちの店の御自分のコーナーのレコード棚のまえで一枚一枚レコードめくりながら悩みはるわけ。

 いまにしておもえば、
 そんな貴重な光景っていうか、
 大御所中の大御所にそんなことを気軽にたのんじゃう若さって怖い。
 ものがわかってないって怖ろしい。

 でも当時、
 店に来てくれたほとんどのアーティストやミュージシャンにサインたのむとき、
 そうやって御本人が大事に思ってるレコードえらんでもろて、
 それにサインを頼んでた。

 かならず盛りあがるから。
 どんな大物アーティストでも、
 旬のアーティストでも、
 新人ならなおのこと、
 みんな「自分のレコードがこんなに日本で売られてるなんて思いもせんかった」
 ってメッチャよろこぶ。

 なかには、
 なんでオレさまは日本でもこんなに有名やのにいっこももうかれへんのや?
 と、
 おもっくそカン違いして、
 当店にて一席ぶっていく御大もおられた。

 誰とはいわんけど……。

 そしてぼくは、
 そのアーティストがさらに好きになった。

 話しがだいぶ脱線したので軌道修正。

 そんでまあ、
 何枚かの御自身の作品のなかから、
 そのときジョンホルトが選んでサインしてくださったのが、
 この地味なアルバムだった。

 ものすごく意外だった。
 トレジャーアイルのでもスタワンのでも、
 バニーリーのだって、
 なんならデニスと共演したのだって、
 名作秀作ほかにいろいろあったのに。

 というようなことを懐かしく、
 あまずっぱく思い出しながら、
 何十年ぶりかでこのアルバムにレコード針を落として……、

 そしてフライを巻きはじめて、
 あ、
 なんかいま聴くと新鮮でわるくないじゃん、
 なんておもいながら、

 A面さいごのこの曲がかかり、
 
 

 
 フライを巻く手がピタリと止まってしまい……、
 われ知らずリズムにのせて揺れ動く心とからだ。


 そして、
 B面さいごのこの曲

 
 
 タムリンズにトニータフ、
 それにアルキャンベルのバックコーラスも冴えわたり、
 たまらんもんがある。

 あのころ、
 第一印象だけで地味だと決めつけていたアルバムを、
 いま聴いてみれば、
 なんと表情豊かで多彩で自在で存在感のあるボーカルであることか。

 そして、
 そんな骨太の堂々のボーカルを支え際だたせ浮き出させてくれる、
 ラディックスのぜい肉をそぎ落としつくして骨組みだけのような渋すぎる演奏、
 さらにそして、
 ドラムの鳴りにこだわって時代を築いたチャンネルワン・スタジオにて、
 その売りを最大限に活かしたソルジーのミックスも、
 みんなみんな、

 ぜんぶいい!

 さいっこうにグッとくる。

 以来、
 朝な夕なこのレコードがターンテーブルにのっております。

 嗜好や好みや、
 なんなら志向も、
 経験と年月を積み重ねるうちに、
 しらずしらず刻々変化する。

 と、
 そんなジョン・ホルトも一昨年亡くなられた。
 
 レゲエのレコード屋で働いて雑誌に記事も書かせてもろて、
 という役得だけで、
 巨匠とのまたとない出会いの機会に恵まれながら、
 あのころマジでな~んもわかってなかった。

 ようやく気づいたときには、
 もはや時すでに遅し……ぼくはいつもそうだ。

 でもまあ、
 それでいいよね。
 っていうか、
 そんなもんですよね。

 なんせ、
 このレコードにサインしてもろて、
 ほんとによかったと、
 24年も経ってようやくおもってる。
 
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