BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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昼下がりのイリジスティブル
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 数年まえの自分なら、
 もっとスリムでシュッとしたボディに刈り込んでいたはず。

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 なんだけど、
 フレアさせたディアヘアーを刈り込んで作るイリジスティブルの旨みは、
 製作するうえでも実践するうえでも、
 コロンと真ん丸な豊満バディを無理なく活かせるところ。

 なんちゅうても、
 夏の北海道のマスたちは、
 セミだのコガネムシだのカメムシだのボッテリ御馳走バクバク喰って、
 み~んなデブ専ボテ腹フライLOVE。

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 イリジスティブルは夏の北海道の川とマスたちにぴったりだ。


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 2016年2月号のフライフイッシャー誌の記事より。

 オリジナル・イリジスティブルの生みの親であらせられる御大ジョー・メッシンジャー。
 かのメッシンジャー・フロッグをきっかけに「ディアヘアー・マエストロ」として同好諸氏にこよなく敬愛された職業フライタイヤー。
 で、
 そのお仕事を引き継いだ御子息自らがペンを走らせて、
 第二次大戦後にお父上がこのフライを生み出して販売していた日々、
 その知られざる激動の人生と思い出を綴ってくださったスペシャル・エッセイ記事。

 ひかり輝くようなフライフイッシング浪漫の時代の息吹をダイレクトにかんじられる、
 こんなにも貴重で、
 こんなにもすばらしい記事が、
 このご時世アッという間に埋もれてしまうなんて、
 なんとやるせないことか。

 僭越ではあるけれど、
 タイヤー業の末端に連なる者のはしくれとして、
 また「フライフイッシングこそ温故知新」だと確信している者のひとりとして、
 そんなことさせませんよ。

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 それにしても、
 元祖オリジナルのイリジスティブルが、
 グレイの背中と白いお腹のボディで巻かれていたこと、
 しかもなんとハックルはクラレット色!だったなんて、
 この記事を読むまでまったく知らなかった。

 これ、
 世界中の相当な事情通マニアでも知らなかったんじゃないでしょうか?

 自分の知る限り古今東西これまでこのフライのレシピは、
 アダムスのボディをクリップド・ディアヘアで巻いたものがオリジナルと紹介されていたからだ。
 といって、
 これが間違いであったわけではなく、
 数あるイリジスティブルのヴァリエイションのなかで最もひろく浸透していたから、
 このような紹介をされてきたのだろう。

 しかし、 
 この元祖イリジスティブルのグレイと白のボディにクラレットのハックルの色使いと配色、
 なんとモダンで垢抜けていることでしょう。
 ほんとにオシャレ。

 で、
 御子息いわく、
 「父が言うには、イリジスティブルはボディに卵をたっぷり抱いたメスのドレイクのイミテーションだ」との由。
 モデルになったカゲロウがいたようだ。
 が、
 記事中ではイースタン・グリーン・ドレイク(モンカゲロウのアメリカ東部の通称)
 そしてウエスタン・グリーン・ドレイク(西部の大型マダラカゲロウの仲間の通称)
 のアメリカでよく知られる大型カゲロウ二種を引き合いに出して、
 そのどれにも色が似ていないので、
 ジョー・メッシンジャー本人がどのカゲロウをイミテートしたのかは不明、
 としている。

 なんだけど、
 ここからはあくまでも自分の推理ですが、
 ジョー・メッシンジャーが住んでいたアメリカ東部ウエスト・ヴァージニア州の釣り場、
 そしてこの配色、
 常用されたフライのサイズ、
 などなどから判断して、
 ぼくはイリジスティブルのモデルの元祖はチラカゲロウではないかと想像した。
 グレイの背中と真っ白なお腹のツートン・カラー、
 そして赤紫がかったダン色のおおきなウイングが特徴的なアチラのお国のチラカゲロウ、
 サイズもドレイクの呼び名にふさわしく大型サイズ、
 そんなカゲロウが産卵をまえにしてお腹をパンパンに膨らませている……。
 当たらずとも遠からず?
 
 そしてそれが、
 カナダをはじめ世界のいろんな釣り場でアトラクターとしても大いに活躍して、
 いろんなヴァリエイションが生まれながら、
 フライのフォルム自体もどんどん変化していったのではなかろうか。

 ぼくだったら、
 このフライは断然テレストリアル系をイメージしたアトラクターとしてつかいたい。
 それ風にアレンジできる余地がたくさんあるし、
 そしてこのボテ腹フォルムですよ、
 効かないわけがないじゃん。

 余談だけど、
 日本ではほとんどまったく話題にならないというか釣りにリンクしていないチラカゲロウではありますが、
 アメリカ東部のキャッツキル界隈ではチラカゲロウの羽化とスピナー・フォールは秋の釣りの名物のひとつらしい。
 あと、
 かつてミシガン州にあった元祖オリジナル・ヒーバート養鶏農場では、
 「アイソニキア・ダン」という通称で赤紫っぽいダン色のダイドカラー・ハックルも売られていたんだよ。
 ちなみにアイソニキアというのはチラカゲロウの仲間の学名。

 そしてさ~らに、
 ここ北海道でも初秋のころ、
 とある川でチラカゲロウのスピナー・フォールに遭遇したことが二度三度ある。
 とくにそれだけを選食していたわけではなかったけれど、
 ある時間帯から急にサカナの活性が高くなったのは、
 明らかにこの種の流下に誘発されたものとおもわれた。

 というチラカゲロウをモデルに、
 かような配色の表現でイリジスティブルの元祖を巻いたジョー・メッシンジャーの色センスは、
 やっぱとってもオシャレでポップだ。

 この2月号の前月の新年号では、
 ジョー・メッシンジャー御子息によるメッシンジャー・フロッグの解説記事も掲載されていた。
 そのなかで、
 父親はカエルのフライでありながら奇妙なことに何故かグリーンの色は使わなかった、
 というくだりがあった。
 意外でもあったけれど、
 色に関して独特の感覚と感性があった方だったのだな、
 と感慨深くまた興味深く、
 そして大変おもしろくその記事も読んだ。

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 右側のイリジスティブルが、
 これまでオリジナルとして紹介されてきた色調と配色。

 ちなみに、
 この右側のは、
 いま中学3年生のボンが、
 小6だったか中1だったかのときに巻いたもの。

 すごいやろ?
 こんなガキンチョもいるんだぜ。
 オッサンたち絶句してもいいよ。

 プリンだかゼリーだかの空き容器にチョコンと入れて、
 手作りの素朴な箱に納めて我が家に送ってくれたのだった。

 ほんとにありがとう。

 よりにもよって、
 こんな忘れ去られそうなフライの古典はもちろん、
 いろんなフライに興味と創作意欲をメラメラ燃やす生粋のタイイング好きのボン、
 全国にまだまだおるんやで。

 次世代に継承されるべき歴史のバトンを受け継いでくれるクッソ可愛いガキンチョたち、
 シャイでも言葉足らずでも全然かまいません。
 ちょびっとだけ勇気出して、
 もっとガンガンぶつかってくるよーに。

 でもゆうとくけどオッチャンはきびしいで。
 自分にはメッチャ甘いけどな。
 
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