BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
201705<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201707
メモリアル・デイズ2016
 夏の終わりから初秋にかけての爆裂台風あとの、
 ちいさな決闘の物語。
161102(4)4.jpg
 えげつない下あご。
 しゃくれるにも程があるっていうか、

 これまでにも、
 道内各地にて下顎が異様に突き出た爬虫類系のオスと闘わせてもらえる幸運が何度かあって、
 そのたびにメチャクチャ感動してきたけれど、

 厳つい顔つき、
 狡猾さ、
 孤高のたたずまい、
 高貴なオーラ、
 アナタぶっちぎりでシャクレ・チャンピオン。

 ヤツはホンマモンのサムライだった。

 こんなのが、
 物音ひとつしない深い森のなかのちいさな山上湖で、
 波ひとつない静まり返った湖面の片隅で、
 コプンッ、
 コプンッと、
 胸がキュッとなるようなライズ波紋を微かに響かせながら、
 密かに隠れるように、
 水面に浮かぶちっちゃなちっちゃな甲虫を吸いこんでいたんですよ。

161102(2)2.jpg
 私家版ブラック・ビートルの16番tied on TMC9300。
 こうしてみると、
 とってもありがち月並みなビートルなんだけど、
 ひとひねりもふたひねりも細工してある。

 なんといってもテントウムシ型のコロンと円形フォルムで、
 かつ水平姿勢を保つバランスかつシンプル構造などなど、
 
 おいしいですよ!

 と、
 このフライでこのサカナとはじめて対峙したときの模様と、
 このフライのタイイングの話題は、
 釣りたてホヤホヤのアドレナリンだばだば状態で、
 先月号のフライフイッシャー誌に書き殴らせていただいたわけですが、

 じつはまだこのサカナとの物語にはつづきがあって……、


 さいしょにこのサカナを釣りあげた日からかぞえて五日後くらいだったか、
 また同じ釣り場に行って、
 ヤツがライズしていたポイントに行ってみたら、

 午後遅く、
 湖面をなでていた微風がピターッと止まってしばらくしたら、
 またもやコプンッコプンッとはじまった。
 しかも、
 最初の遭遇のときよりもはるかに高活性。

 さ~らに、
 その日は朝から釣り場全体が高活性。
 オレ様特製コロコロ・ビートル大活躍ぼくノリノリ……。

 で、
 このときはよもや前回と同じサカナだとはおもわず、
 もう釣れる気満々自信満々でフライを投じたわけですよ、

 それでさあ、
 聞いてくれる?

 ゆ~っくりクルージングしながらコプコプいわせてるサカナの回遊コース予想して、
 何投目かにタイミングもサカナとの距離もドンピシャ!
 とおもわれる地点にフライが浮かんで……、

 こ~れはイッちゃうでしょ~気持ちがビーーーンとはりつめて心臓バクバク。

 が、
 が、
 が、
 フライの真下まで来たサカナが、
 「おっとヤバイヤバイ…」みたいな態度で反転してUターンしたときの残り波がユララ~ンとたって、

 フライが水面でフワッと揺れて、
 それでおしまい。

 「え?ウソ?見切られた?なんで??????」

 あとは、
 いくら待っても水面はシーンと静まり返っちゃってサカナの気配も消えて……、

 (ひょっとしてアレ、このまえのシャクレ・サムライやったんか?)

 もはや、
 チンピラを相手にする気にはなれず、
 水面に浮いてるムシ探しに没頭し……、

 ショートシャンクの18番かでかめの20番くらいの、
 極小ハムシ的甲虫の仲間が点々と水面に浮いているのを確認。

 シビアなライズ攻略のキモは、
 なんちゅうてもまずフライのサイズと確信しているワタシとしては、
 161102(5)5.jpg
 アジトに帰宅して、
 アンデス・コンドルのブラッククイルをねじって巻いて、
 ソッコーこんなん拵えて、
 出撃の機会を待ったのですが、

 翌日から雨風ビュービューで……、
 仕事も溜めちゃってハラハラで……、

 ようやく出かけられたのは一週間後くらいだったかそのくらい。

 で、
 他のポイントでも釣りながらも、
 このサカナが陣取っているであろうピンスポットが気になって気になって……、

 で、
 また微風がとまって湖面がビターーッとなるやいなや、
 そのピンスポットに行ってず~~っと一点見つめながらヒマ過ぎてタバコ何本吸ったやら。
 吸い過ぎてえずいてしもたがな。

 で!
 まるで周囲の森があらゆる音を吸いこんでしまったかのような、
 シーーーンと静まり返ったなかで、
 午後おそくコプンッて微かな音が響いてドッキーン。

 さいしょは、
 写真左側の小さいほうのフライをドッキドキで投げたわけですよ。
 先週観察した極小ハムシのぴったりサイズ。
 しかも倒木だらけのこのポイントではデンジャラスな6Xのティペットに結んで。
 
 もうとにかくまずは掛けたい一心下心丸出しですね。

 ところがさあ、
 クルージングコースにフライを浮かべると、
 サカナのやつ、
 ライズはやめないけどスーッと回遊コース変えちゃうの。

 そしてまた、
 予想外のところに浮上してコプンッコプンッ。

 (ダメだこりゃ……)

 そのころにはなんか根負けしてしまい、
 負け戦ならいっそ実験してみたろと、

 ティペットを5Xに変えて、
 フライも写真右のおおきいほうに変えて、
 濡れた指先でフライのボディだけグリグリ揉み倒して濡らして、
 目の前の水面に浮かべてみれば……、

 フックのシャンク中央に立てたCDCだけが水面に突き出て、
 ボディもヘッドも水面膜の直下に張り付くような姿勢。
 そして、
 ヘッド部分が水面下に突き刺さっているので、
 とうぜん結び目から数センチくらいだけ、
 ティペットも水面下に沈んでいる。
 で、
 そのうえでフライは水面直下にぶら下がるのではなく、
 水平姿勢を保って水面直下にはりつくように浮いている(←ビートルのバランスこれすっごい重要だとおもう)

 先につかった小さいほうは、
 フライのサイズが小さすぎるのと、
 構造上どうしてもティペットがフライの結び目から水面に張りつくように浮いてしまう。

 フライのサイズが異なるだけでなく、
 この浮き方が両方のフライの一番大きな違い。

 で!

 サカナが立て続けにライズするたびに、
 投げたくなる気持ちをグッと抑えながら、
 もっともアプローチしやすい地点に回遊して来るまで待ちに待って……、

 一投入魂。

 コプンッ

 奇跡だとおもった。

 掛った瞬間、
 前回はダバダバダバッと水面ではげしく身をよじらせてからギューンと走ったので、
 こちらもなんとか冷静に態勢を整えられたんだけど、
 今回はフッキングするやいなや、
 ギュギュギュギュギューーーンッと倒木めがけて爆走して、
 そのままズズズッとティペットが倒木にスレている感触があって、
 口から心臓を半分出しながらヒイヒイハアハアで強引にいなした。

 6Xのままやったら、
 ひとたまりもなかったんとちゃうやろか?

 この一幕で、
 ティペットの影にこそ警戒していたのだと結論付けるのはナニやけど、
 これほどあからさまにサカナの態度が変わるとは……。

161102(3)3.jpg
 おもったとおり、
 前回釣りあげたのと同じニジマス。

 このお顔ですもの、
 見間違いようがない。

 うえから見てもすんごい下アゴ。

 じつに挑戦しがいのあるイッピキのサカナと長い時間をかけてじっくり対峙させてもらって、
 フライフイッシングのエッセンスここに極めり的な至福で至高の濃厚な時間を、
 なんと三日間にわたって堪能させてくれたニジマス。

 フライフイッシングの神様が、
 ぼくに遣わしてくれた最高のイッピキ。

 って、
 言っちゃってもいいですか?
 
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.