BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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雑感
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 フックサイズはウエットフライ用の4番。

 全長で小指よりもやや短いくらい。
 そんなマグナムをライトタックルでも快適に投げられて、
 かつ水面でのバランスと姿勢が安定していて、
 さらにラクラク水面からひっぺがして軽快にピックアップできる、
 
 というところを目指して、

 キャスティング時の空気抵抗が悩みの種だったフロントハックルを細工したら、
 こうしたドスコイ・クラスのドライフライの泣き所だった水面での姿勢とバランスも飛躍的に改善されて、
 してやったり感満載だった。
 だけでなく、
 倒木のキワッキワや草の生い茂るバンク際ギリギリなど、
 奥に突っ込むのに躊躇したくなるピンを狙う際、
 立て巻きハックルのウィードレス効果を実感するというウレシイおまけ付きだった。
 
 そして、
 獣毛ウイングを扇状にバッサ~とひろげて巻き止め、
 かつ使用中にウイングがしぼまずそのフォルムが維持できるように、
 ウイング基部にプラットホーム(土台)を据えて、
 かつドッサ~と大量に巻きこんだ獣毛が抜け落ちないように、
 ヘッド基部にちいさな突起を突き出してストッパーにしたら、
 それが虫のアタマを連想させる生命感を醸し出してほど良いアクセントになるだけでなく、
 フラッタリングさせるときの引き波やピックアップ時のスムーズ感といった機能面でもうれしい効果を発揮した。

 さ~らに、
 ロイヤル・コーチマン型に巻いたボディは、
 ピーコックハールが濡れてもふっくらしたヴォリューム感が維持され、
 むしろ濡れてハールのフリューがつぶれてからこそ良い感じのフォルムになるように巻いてある。

 そしてまたさ~らに、
 計4枚のコックとヘンのハックル各色をハックリングしたフロントハックルは、
 こうしてLEDライトに照らして見ると黒っぽい印象なんだけど、
 陽の光に照らされればアラ不思議。
 なんともいえない透明感のある赤っぽい黒焦げ茶ビカリに変化。

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 ほらね、
 ゴンぶとアメマスの口元にご注目を……。

 ハックルっておもしろいね。

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 とまあ、
 このようにフライのすみずみ細部にわたるまで、
 こだわりとか目論見とか計算とか気分とかセンスとか、
 自分らしさを目いっぱい反映させたフライをティペットに結んで、
 かつ、
 ほんとに自分が気に入って心酔している血が通った道具をつかって、
 そのうえで、
 忘れられない水辺での興奮と感動のストーリーを経て、
 こういうサカナが釣れてくれる豊かな喜びやシアワセにばかり浸っていると、

 その甘美で秘めやかで麻薬的な蜜の味のまえには、

 効率と能率をこそ最優先して、
 何センチだ~とか、
 ナンビキ釣れた~とか、
 そういう結果だけを追い求めるドヤ顔作業は、
 ぶっちゃけどこか空しくなっちゃうんですよ。

 それだけだと、
 オレの心は満たされないコノ欲張りさんめ。

 もちろん、
 「愉しみと喜びをどこに求めるか」というのは各人の嗜好なので、
 それを否定するような野暮を言いたいわけでなく、

 ときとして、
 じぶんの進んでいきたい方向は、
 これからの時代にそぐわなくなるんかな~とか、
 一抹の寂しさを感じたり感じなかったり……。

 ま、
 小難しいことは考えず、
 己の快楽に忠実にあるしかないんですけど。

 座右の銘は「ケセラセラ」

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 唐突に、
 現在はどうしておられるのか知らないけれど、
 アメリカでは知る人ぞ知る人気プロ・タイヤーであらせられる、
 かの御大A.K.ベストが80年~90年代ころに販売していたハサミ。

 いまも販売しているのですか?

 ハサミの脇のところにニードルも装備されているんだぜ。

 なんだけど、
 見てわかるとおり、
 現在の高品質ハイエンドな高級ハサミと同列おなじ土俵では語れない、
 あえて言葉悪く言えば「小中学校の家庭科の裁縫箱」のお裁縫セットですよ。

 じゃあ、
 使っていないかというとその逆で、
 ここ近年とくにものすごく使用頻度の高いハサミのひとつ。

 たとえば車中泊の遠征釣行で、
 クルマのなかやホテルなどにて、
 深夜とか雨の日とか時間つぶしの戯れにフライを巻いてみようとか、
 期待感で胸いっぱい明日の釣りのためのフライを巻くとか、
 そんな贅沢な独りの時間のお供にはなんてったってこのハサミが気分。

 あったかいんだよね、
 このハサミ。

 「A.K.sタイイングツール」なんてカッコイイ刻印もはいってるしさ。

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 と、
 このA.K.ベストの活躍がよく見聞された、
 80年代~90年代のアメリカのフライフイッシング事情といえば、
 まずスパークルダンを筆頭格にして、
 良くも悪くも効率重視の、
 化学繊維の特性にたよりきったようなフライが続々誕生した。

 そしてそこにCDCフェザーが加わって、
 さらに簡素かつ画一化されたようなフライが右ならえするようにズラ~ッと横並びに並んでいた。

 などと書いているじぶんもまた、
 勇んでその列にくわわった。

 その渦中にあって、
 A.Kベストの巻いていたフライは、
 クイルボディとヘンハックルのウイングを素材の核にして巻いた、
 最先端とは一線を画するようなフライだった。

 当時の最新に浮かれきっていた視線で見れば、
 ぶっちゃけ時代に取り残された感さえもあった。

 にもかかわらず、
 フライフイッシングのショーなどでは、
 なみいる有名著名最先端タイヤー連がズラリと並んでいるタイイングデモのなかでも、
 彼のブースの前だけはいつも常に人だかりでごったがえしていたそうだ。

 

 その理由と秘密の一端を、
 じぶんはこの映像から垣間見れたようにおもう。

 彼のタイイング・デモはピープルズ・チョイスだとおもった。

 じぶんも時としてタイイングデモなんて仰々しくも人前で恥を晒す立場として、
 他人様のタイイングを拝見するときには、
 そこから実用的ななにかを学ぶというよりも、
 巻いている方がどのように解説しながら物事を伝えるのか、
 というところにこそ興味があり学びがある。

 そうした視線からみれば、
 多からず少なすぎない解説の言葉数、
 なによりもその言葉の明解かつ簡潔さ、
 そしてそこにおもわずトキメいて共感するような装飾句を挿入するおしゃれ言葉テクニック。
 そんな語りの間とタイミング、
 見ている方の視線をフライを巻く手元に集中させてしまう天性のエンターテイメント性、
 なによりも「フライを巻くことは難しくないよ愉しいよ」という一貫したメッセージ。
 さらに、
 親しみやすい容姿から口調や声の響きまで、
 これがプロの仕事なんだな~と、
 今さらながら、
 というより今だからようやくわかった気がする。

 フライタイイングの愉しさや創作の喜びを万人に伝えるプロとして、
 別格中の別格のプロタイヤーにあらためて敬意と尊敬をこめて……。


  
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