BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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フラミンゴの迷宮
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 フラミンゴの羽根は、
 背中や胸や翼の付け根、
 どの部位をとってもそれぞれ純白のうえに紅色と桜色がほんのり交差して、
 そこはかとなく奥ゆかしくもめでたきかな「和」のテイスト。
 
 品がありますよ。

 で、
 そんな羽根を手にとって眺めているぶんには、
 なんともいえず癒されながら創作心が奥底からジワ~ッとうずいてくるような……、

 そんなわけで、
 羽根ゴコロときめきつつ、
 それじゃあこの羽根をひとひら釣り針に縛りつけましょうと、
 ステキな紅白の毛鉤に仕立てましょうと、
 いそいそ作業にうつると……、

 とたんに豹変するんですわこの羽根。

 フラミンゴの紅白模様って、
 その色調といい質感といいあまりにも独特すぎて、
 ほかの鳥の羽根との親和性や協調性が皆無。
 どのような羽根とあわせようとも……なんかちがう、
 ぜんぜん調和して映らない。
 
 ほかの羽根と並べたり重ねたりすると、
 どうしてもフラミンゴの羽根だけ浮いて見える。

 脳内イメージにしたがって、
 アレヤコレヤとっかえひっかえするんだけど、
 なんちゅうかこうどれもピンとこない。

 フライを巻く机の上はアレコレの秘蔵の羽根でたちまちとっ散らかるんだけど、
 どれもこれもボツぜんぶボツ。
 たちまちグッツグツ煮えたぎるんですわ~タイイング脳が……。

 そしてしかも、
 フラミンゴの羽根のイケズっぷりはそのストークにこそあり。
 通常、
 鳥の羽根のストークは例外なく釣り竿のように先細り構造で、
 かつ内側に湾曲している。

 もちろんフラミンゴの羽根も例外ではないのだが、
 コヤツのストークは根元付近はえらい極太でカチカチのくせに、
 先端に向かって中間付近から急にテーパーがかかって先っちょだけ柳の木のようにヘニャヘニャ。
 と、
 そのような構造で、
 かつ放物線のように豪快に湾曲している。

 これがどういうことかというと、
 ピタッと左右ペアで羽根をあわせてフックに縛りつけても、
 ちょっとズレるとズルッとすべってグネッとねじれまくり。

 可憐で清楚な見た目とは裏腹に、
 なんと底意地の悪いイジワルっぷり。

 過去、
 この羽根を主役に据えたフライがほぼ見当たらない、
 というのもさもありなん、

 というところなんですけど、

 このフライの製作ご依頼をいただいたとき、
 いろいろ御希望のイメージを拝聴し、
 また、
 お世話になった大切な方へのおめでたいお祝いの御贈答にするために、
 なんと光栄にもワタシのフライを選んでくださった格別の想いを伺うにつけ、

 今回はフラミンゴでいこう、
 コレしかない、
 と勝手におもってしまったのでした。

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 テイルはまず真っ赤なクレストをドーンと据えて、
 そのうえにヒヤシンス・マコウの尾羽根とヴァルチェリンギニアのラベンダー・クイル、
 そしてアマゾン・パロットのクイルをそれぞれツノ状にのせてみた。

 ボディは、
 黄色と緑のシルクをピーコック・ハールで仕切り、
 そこにゴールドティンセルを一回転させながら、
 ボディハックルとしてイエロー・マコウとアマゾン・パロットを交互に一回転ハックリング。
 そしてこのハックルをスレッドワークですべて急角度に倒しつつ、
 葉巻型の重量感のあるボディに呼応させて、
 ボディ全体のテーパーを強調させた。

 スロートハックルはフラミンゴの超ロングファイバーな肩羽根の片側を削いで、
 それをハックル・セパレーターでほぐしてバラバラにしてハックリング。
 フックのポイントのぎりぎりの長さにセッティング。

 ここまではもうノリノリ。
 もんだいはここから。

 さいしょは、
 フラミンゴの肩羽根をつかったホールフェザーウイングのうえに覆いかぶせるようにして、
 ウイング上部全面にぶあついマリッドウイングをおおきくカーブさせて屋根のように沿わせてみた。

 けれど、
 なんかイメージとちがう。
 厚化粧すぎてフラミンゴの清楚な印象が薄れてしまう。

 つぎに、
 そのマリッドウイングを五本ほどのセグメントにわけて、
 それをウイングの横に放射状に散りばめてみた。

 おっ、
 なんだかとってもイイ感じ?
 深夜、
 悦に入って「明日はいよいよ最終仕上げだ」とウキウキ床につき、
 そして翌朝、
 (……これでいいの?ホントにいいの?……)
 自らに問いかけてみれば、

 (なんかコレ、苦労したわりにフラミンゴの羽根の存在感が霞んで見えるんやけど)
 という意見が脳内会議の多数決で決まり、

 やっぱ最初からやりなおし。

 最終的に、
 2本の太めのマリッドウイングをグイッと曲げてウイングに巻き止め、
 まるでウイングが風になびいているような、
 動きというか生命感を連想させる造りでいってみようじゃないかと、
 このフォルムに落ち着いたのだった。

 で、
 最終的に「日の丸模様」のフラミンゴのウイングカバーをサイドに据えて、
 「幸せの青い鳥」ことフェアリー・ピッタの肩羽根をチョコンとつけて、
 チークはインディアンクロウで〆ようと目論んでいたけれど……、
 フラミンゴのピンクにインディアンクロウの紅色って、
 いかにも相性良さそうなんだけど……、
 だいぶまえに同じこと散々試して失敗したのを思い出し苦笑。

 またもや紅い小さな羽根をアレやらコレやらあわせてみてはウ~ンと唸り、
 ようやくこれいいかも、
 とおもえたのがハイブリット・マコウの胸の紅い羽根のうえに、
 パラダイス・タナガーのグラスちっくな血の色のような半透明の羽根をのせて、
 光に反射するように細工した必殺裏技小羽根重ね。

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 そして完成。
 でっかいフラミンゴの羽根をスックと立てた#8/0特大サイズ。

 いかにも苦心惨澹しまして…みたいにエラそうに書いてるけど、
 苦労したというよりも、
 完成に至るまでの寄り道だらけのアプローチと工程を、
 失敗することで得られたいろんな発見をこそ糧にしながら、
 愉しみつつ堪能しまくりました、
 というところでしょうか。

 釣りも額装フライの製作も、
 愉しみや喜びはその過程にこそあり。
 求めるところはつくづく一緒ですね。

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