BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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原典で原点を巻く。
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 生まれてはじめて巻いたフライのようなモノはブラウンハックル・ピーコック。
 小学5年か6年のころ。
 4年やったかなあ……、

 それがさあ、
 最初に巻いたのがコレだということは鮮烈に記憶にある。
 ハックルは毛バタキから採取した茶色のハックルだった。
 はっきりゆうて、
 いろんなニワトリの屑羽根が束になった昭和の時代の古式ゆかしい毛バタキこそ、
 ワイのハックル道楽の原点でっせ第一歩。

 それもキョーレツに記憶にあるんだけど、
 フライの道具はおろか、
 マテリアルなんてどこに売っているんだ?
 という五里霧中だったあの当時、
 ボディにつかったピーコックってどうやって入手したんだっけ?

 あれ?

 どうやったっけ?……うわ~ぜんぜん忘れてるわ~。

 まったく思い出せない。
 というジレンマがあったんだけど、

 話は脱線して先日、
 良きご縁がめぐって、
 ほとんどサカナ釣りに縁のない小中学生の男の子たち10数人のまえで、
 フライタイイングの実演を披露する機会があった。

 白紙も白紙まっさらな子供たちに向けて、
 …鳥の羽根や動物の毛をアイディアを凝らして釣りバリに縛りつけると、
 なななんと!ニセモノの虫が作れるんやで…どやスゴイやろ?

 というメッセージを伝えたい最初の一本にどんなフライを巻くか、
 なんちゅうても最初が肝心、
 いわば「つかみ」の「枕」の一本、
 アレかコレかと愉しく悩んだ末に選んだのがブラウンハックル・ピーコック。

 子供たちが見ているまえで、
 まず玉虫色のピーコックボディを巻いて、
 そして茶色のハックルを巻いて、
 ハックルがパラパラーッとファイバーをひろげたとき、
 「うわ~、虫みたい」
 とつぶやいてバイスの先端の一点に集中していた君の視線は、
 オッチャンをタイムカプセルに乗せてくれました。
 
 そのくだりは、
 いま出ている季刊フライフイッシャーズ誌の初連載にて、
 まな板の上の鯉の心境でガーッと勢いで書き殴ったので割愛するんだけど、

 その原稿を書いているとき、
 アッと思い出したんですよピーコックの入手先。

 あの当時、
 近所の釣り具屋さんでクジャクの尾羽根の芯がヘラブナ釣り専用のヘラ浮き用素材として、
 羽根付きのまま数本束ねて売られていたのだった。
 ヘラ浮き用なのでアイの部分はカットされていて、
 クイルの根元付近だが、
 小学生のおこずかいにもやさしい値段で、
 かつ一回買えばず~っとつかえるくらいの量があったのだった。

 が、
 野暮なことあえていうけど、
 そんな羽根は今ならつかわず捨てるところ。

 という道具立てで、
 ラジオペンチにフックを挟んで巻いていた。
 最初のブラウンハックル・ピーコックは、
 それっぽいものが完成するまでたっぷり丸一日がかり。

 疑問はとめどなく、
 悩みは尽きず、
 しかし興味もまたとめどなく尽きることもなく、

 中学にあがってメチャ興奮したのが家庭科で配られた「裁縫箱」
 あの当時、
 オレさまほど裁縫箱を愛してフル活用したやつはいないだろう。
 ただし家庭科以外で。


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 そんな初体験の一本から、
 もはや40年も経っちゃって……、
 
 ボディは、
 ブルーに染めたピーコック・アイ根元付近の光沢感に富んだ部分のハールを3本。

 リビングは、
 現在は生産されていない鈍く赤みがかった銅線。
 なんでもかのフランク・ソーヤーが愛用していたものがまさにこの銅線なんだとか。

 ハックルは、
 レッド・ジャングルフォウル(紅色野鶏)のネックハックル。

 スレッドは、
 もちろんゴッサマーのシルク。
 で、
 そのシルクに塗布したワックスは、
 なななななんと!あのモダン・フルドレスサーモンフライの旗手プライス・タナットの署名が添えられた、
 これまたなななんと!あのタナットでありながら、
 なんとマス用の素材とフックが収納されたタイイング箱から発見した固形ワックス!

 「ええい者ども、ひかえおろう!このお毛バリにつかった素材をどなたと心得よう……」

 とでも言いたいのかという、
 こねくりまわした末のエクスクルーシブっぷり満載な素材を惜しげもなくつかって、
 ブラウンハックル・ピーコックを丁寧に真心込めて巻いたけど5分もたたず完成した。

 40年の月日なのでございます。

 「な、クジャクの羽根って、こないして巻くとハエの胴体みたいに緑色に光るやろ?」
 「ニワトリの羽根をグルッと巻くと…ホラ見て!虫が羽ばたいてるみたいになるやろ?」

 どや?メッチャふしぎでおもろいやろ?手品みたいやろ?

 ブラウンハックル・ピーコックをはじめて巻いたとき、
 すなわちハックリング初体験のとき、
 じぶんがかんじた感想と感動をそのまんま言葉にして子供たちに力説させてもらった経験は、
 記憶の彼方の過去を懐かしむノスタルジーなかんじでなくて、
 ウオ~なんか一周グルッと回ってブラウンハックル・ピーコックがメチャ新鮮やんけコレあたらしくね?、
 みたいなかんじで再発見と学びの場になった。

 タイムマシンは過去の記憶を呼び覚ましながらも、
 そのじつ未来に旅立っておりました。

  
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 レッド・ジャングルフォウル。

 このニワトリのネックハックルをブラウンハックル・ピーコックのハックルにつかった

 なんでもニワトリ最古の品種。
 いわば、
 現在の品種改良されたすべてのニワトリのルーツなのだそう。

 ニワトリの原典ですな。

 羽毛恐竜←wiki

 太古の時代、
 こんなニワトリ型羽毛のどでかい恐竜がいたとしても、
 なんら不思議ではない。

 と、
 オウムや猛禽類やダチョウや雀などなどと比較して、
 ず~っと古代の面影を感じさせるニワトリやキジの羽根。

 白亜紀とかデボン期だっけ?
 恐竜がしのぎを削った時代には、
 ネックハックル一本のストークが全長1メートルくらいで、
 ファイバーの長さが30センチくらいあるようなコーチマンブラウンのハックルとかあった、
 かもしれませんね。

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 通常、
 どのようなニワトリの羽根も、
 サドルとネックの中間境目にあたるスペードハックルと呼ばれる部分のファイバーは、
 ファイバーが硬くて太くなっている。
 また、
 各部位と比較してファイバーに透明感があって太陽光に反射しやすい構造になっているようだ。
 
 たとえば、
 コック・デ・レオンの「サドル・スキン」に生えているスキン手前側の短いハックルがこの部位になる。

 紅色野鶏の全体の羽根のなかで、
 もっとも特徴的なのがこの部位。
 透明感というよりも、
 太陽光の角度によってファイバーがまるでガラスのような印象になって光をダイレクトに跳ね返し鋭くきらめいて反射している。
 また、
 この部位はレオンでもわかるとおり、
 ニワトリ全身の羽根のなかでもとくにファイバーが長いことがスペードハックル最大の特徴となるにも関わらず、
 紅色野鶏だけこの部位だけ妙にファイバーもストークも短い。
 無機質に感じる反射光とあいまって、
 まるで爬虫類のウロコのようだ。

 原典もまた、
 とても興味深くあたらしい。



 
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