BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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ニンフフイッシングの素朴な疑問
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 とまあ、
 思い出つながりで青春の二冊。

 チャールズ・ブルックスの「Nymph Fishing for Larger Trout」
 マイケル・ミゲルとレナード・ライトJr 編による「Masters on the Nymph」

 ともに70年代のニンフフイッシング名著中の名著。

 チャールズ・ブルックスのほうは以前も当ブログにて取り上げた。 

 中学生のころ、
 「ニンフの達人」と改題されて「マスターズ……」の翻訳本がいきなり釣り具屋さんの本棚に並んでいたときの感動いかばかりであったか、
 これは夢か奇跡かと……。

 当代最高のニンフの達人や一家言ある評論家が一堂に会して、
 「オレのニンフ・フイッシング」を存分に語って解説している70年代ニンフ最前線の指南書。

 でありながら、
 最近読み返してみてハタと気がついたことがある。
 どちらのニンフの本も現在主流になっている浮き系インジケーターの類はまだ出てきていない。
 せいぜいラインの先端に色塗って「ニンフ・ライン」などとしていたくらい。

 そこにすごく時代を感じる。

 あのころ、
 ニンフは神秘のベールに包まれていたのだった。

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 赤紫色に鈍く輝く銅線と、
 フェザント・テイルのファイバーを3本つかって、
 「ニンフの達人」のなかでフランク・ソーヤーが解説しているとおりに巻いたフェザント・テイル。

 鳩胸のように膨らんだソラックス、
 そのうえに盛り上がるウイングケース、
 そしてそのウイングケースを巻き止めたソラックス後方のワイヤーのビミョーな巻き加減が、
 オリジナル・フェザント・テイルの「らしさ」を強調するカギだとおもう。

 それはひとまずおいといて、

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 「ニンフの達人」より、
 フランク・ソーヤーの有名な必殺技「誘い出しメソッド」



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 そして「For Larger Trout」より、
 アメリカはペンシルバニア州の60年代~70年代モダン・ソフトハックル時代の伝道者ジェイムス・ライゼンリングの「ライゼンリング・リフト」

 フランク・ソーヤーがつかっていたのは銅線をめいっぱい巻き込んだ沈みやすい小型ニンフ、
 かたやジェイムス・ライゼンリングは諸々の水生昆虫の羽化直前イマージャーを表現した簡素なソフトハックル、
 という、
 つかっているフライのちがいや、
 はたまたフライを送り込む水深などのちがいはあるにせよ、
 …狙っているマスの鼻先にフライを流し込み、その直前でロッドワークによってフライに動きを与えたり上昇させたりして誘う・・・
 というところで求めるところは全く同じだ。

 駆け出し時代というよりも、
 まだまだアレコレ夢想して想像していた白紙の時代、
 これらの本でこうしたテクニックを知ったときは「これはスゲエ!」と色めきたったものだった。

 が、
 そこからほんのすこし経験と実践を重ねてみれば……、

 まずものすごく素朴な疑問。
 水中深く沈んで目視できないニンフが、
 なんでサカナの目の前まで流れていることが分かるの?

 というよりも、
 やればやるほどに深く沈めたはずのニンフが実は自分がおもっていたよりも全然沈んでいない。
 しかもナチュラルに流しているはずなのに、
 実際に仔細観察してみればどうやっても流れに翻弄されて常にドラッグかかりまくり。

 だいたいそもそも幾重もの流れの筋をかわしながら、
 じぶんのイメージ通りに軽いニンフを目的の水深まで沈めるだけでも至難といえる技じゃん、
 という壁にぶち当たるのであった。

 そして生意気にも思うのであった。
 …これ、ホンマにできるんか?机上の空論とちゃうんか?…

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 コック・デ・レオンのチカブーをハックリングして、
 ウイングケースのかわりにジーロンなどの化学繊維をブレンドしたヤーンをマシュマロ・エクステンション・スタイルで巻き止めた。

 このモッサリしたフライが、


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 しとどに濡れそぼると、
 このようなかんじになる。

 ヒグマの黒いガードヘアーを捩じって巻いたボディには、
 各色のエンジェルヘアーをほんの数本混ぜ込んである。
 そのため、
 この部分が水を吸うと半透明で艶を帯びた珈琲色のボディから、
 エンジェルヘアーのキラメキが斑点状の模様のようになって、
 まるで浮き上がっているように見える。

 で、
 ソラックス部分にはやはりヒグマのゴワゴワした黒っぽいアンダーファーを毛羽立たせてダビングしてコブ状に巻いている。

 ので、
 ソフトなチカブーのファイバーが流水になびいたときに、
 ボディにしなだれかかってしまうのを防ぎ、
 このソラックス部分がファイバーの根元支える役目を果たして、
 フワ~ッとひろがったままユラユラ揺れ動く。

 こうして見ると、
 乾いた状態ではものすごく目立っていたマシュマロ・エクステンション部分が、
 濡れてしまえばもうスッケスケ。
 ほとんど存在感がなくなっている。
 たっぷり吸水したジーロンの束が常に水分を含み、
 フライの重量を増し、
 水馴染みを良くしてくれ、
 流れの抵抗を増して、
 水中でのフライの姿勢やバランスが安定するだけでなく、
 ドラッグ・ヘッジ効果も飛躍的に向上している。

 というようなお気に入りフライをつかって、
 流れの中で定位していたり捕食行動にいそしんでいるマスを目視しながら、
 いわゆるサイトフイッシングで狙う機会がやたらと多かった今シーズン、

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 このニジマスもまたそうやって釣った忘れられないイッピキ。

 テレ~ッとゆっくり流れる、、
 だだっ広いけど浅いプールの流れ出し周辺をウロウロしながら、
 ときどき射程距離ギリギリのところにやってきては、
 しばらく旋回してまた深みに消えていき、
 しばらく待っているとまたスーッと浅場にやってくる、
 という行動をずっと繰り返していた。

 パッと見「いただき!」ってかんじなんだけど、
 いかんせん距離がありすぎて苦心惨澹。

 サカナのうごきを見ながら予想しながら何回目かのアプローチのとき、
 サカナの進行方向の先にフライが落ちた。
 サカナは知ってか知らずかフライが沈んでいる方向に泳いでいる。
 のはいいけど、
 この距離だとサカナのうごきもイマイチよくわからない。

 なので、
 サカナがフライの近くまで来たなと思われたとき、
 フライをうごかして誘うというよりも、
 もっともっと消極的というか控えめというか、
 イメージとしてはものすごくおそるおそる竿をかる~く立てながら、
 けしてフライにアクションをくわえるつもりではなく、
 ラインを軽く張って「どうですか~?くわえてくれてますか~?」
 と、
 ものすごい下手な姿勢でおうかがいを立てる、
 くらいの呼吸でソ~ッとかる~~くフワ~ッと竿を立ててみれば、
 かすかにラインに感じる重みというかなんというか……、

 「あ!くってる!!」

 ビビンッとかんじる直感を信じてバシッと合わせてみれば、
 ドドンッと竿をにぎる手の平にかんじる確かな重量感。
 そして、
 自分にとってははるか彼方に思える距離の、
 しかも水中深くでグワングワン首を振ってるニジマス。

 してやったり奇跡の一発。

 この、
 まるで様子を窺うような控えめな「ききアワセ」
 とくに意識してやり出したわけではなくて、
 必要にかられていつのころからか無意識にやっていた方法ではあるんだけど、
 また、
 きわめてこうなんちゅうか…感覚的な…。
 うまく説明できないもどかしさ系の…やってはるお方なら「あ~わかるわかる」的な…。

 とくに止水やトロ場などでのサイトフイッシングで、
 かつ水中のサカナの行動すべてが見渡せるわけではない状況では、
 ほとんどこの「ききアワセ」で掛けているような気がする。

 このニジマスのように、
 「ききアワセ」をすることでサカナがすでにフライをくわえていることを感知したり、
 はたまた、
 フライがスッと微かに動くことで、
 反射的にサカナがパクッとくわえてくれたり……、
 

 名づけて「積極的に誘うというよりも、むしろ姿勢としては消極的にご機嫌おうかがい」リフト。
 
 偉大な先人の名人芸のようなワザとは次元も姿勢もまったくちがうんだけど、
 無意識にやっていた自分なりの「阿吽の呼吸」みたいなものは、
 いまごろ気がついてみればソレと似ていなくもないかもしれない、
 というオチでございます。

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