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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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ハッピー・マドラーミノー・ハイ
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 水面に浮かぶでっかい毛虫。

 その気にならなければまったく気付かないけれど、
 その気になって注意していれば、
 おどろくほど頻繁に水面に浮いて流れている毛虫。

 流れに揉まれて沈んで流れているだろう毛虫も含めれば、
 きっと想像以上の量が流下しているのだろう。

 落水して間がないのか、
 水面のうえにポカッと浮いて、
 ノロノロと緩慢に身体をくねらせているやつ。

 力尽きて水没寸前、
 水面膜の下にぶらさがるように、
 かろうじて浮いて流れのままに漂っているやつ。

 その浮き方はさまざま千差万別。

 そんな水面に浮かぶ毛虫を仔細観察してみれば、
 体節のあいだから無数に生えているトゲトゲのあいだに気泡が溜まっている。
 サカナの視線で水面下から眺めれば、
 それはきっとティンセルなどのヒカリモノのようにキラキラ輝いて見えることでしょう。
 そしてまた、
 毛虫のモジャモジャした外観とあいまって、
 全体のパッと見の印象は茫洋として捉えどころのないファジーな印象に映ることでしょう。

 そのくせ、
 毛虫の特徴的な紡錘形のシルエットはとても印象的。
 いったんサカナの脳にインプットされれば、
 おいしい御馳走として鮮烈に記憶されることでしょう。

 喰われてないわ~けがない。
 ちゅ~か、
 なんでこんなにも重要なエサにこれまで注目していなかったのか……。

 とはいえ、
 そんな毛虫でキョーレツな釣り体験をしたのは今シーズンが初めてではない。
 30年以上もまえの学生のころのフライフイッシング駆け出し時代、
 岩手の三陸地方の山岳渓流にて、
 禁漁間近の初秋のころ、
 どでかいヤマメやイワナはみんな毛虫を飽食していることをつきとめて、
 ウーリーワーム的なベタなフライで信じられないような釣りをしたことがあった。

 いまにしておもえば、
 ある時期のサカナたちがその季節に集中して流下する特定の昆虫を喰っていて、
 それを模したフライがものすごい効果を発揮する、
 という、
 これぞフライフイッシングの醍醐味!的な釣りを経験したはじめてのできごとだった。

 とはいえ、
 その当時これは特定の川の特殊な例なのだと勝手に納得して、
 そのまんま半分忘れていた。

 そして……、
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 2Xロング6番のフックに巻いたマイルドな常用マドラーミノー・ドライフライ仕様。

 ここ北海道の各釣り場にて、
 ドライフライ・シーズンを通してず~っと、
 また場所を選ばずたいていどこでも、
 なんでこないにマドラーミノーが効くのか?

 それはなんでか?
 
 よく言われるようにバッタやヒゲナガのイミテーションとして効くのか?
 それも間違いではないけれど、
 正しくもない。
 だって羽化期や発生時期や場所が限られるじゃん。

 「マドラーはマドラーだから効くのだ」
 という名言をのべられた大先輩のお言葉は、
 サカナをその気にさせるアトラクターフライとしてのマドラーミノーならば、
 「信じる者は救われる」的フライを称賛する言葉として秀逸だとおもう。

 が、
 もうちょっとこう、
 その効力に対しての自然科学的かつ論理的な解釈もほしいわけで……、

 ながらくそのクエスチョンを胸中に抱きながら、
 マドラーミノーを流れに投じておったわけですが……、

 今季、
 ようやく自分的にものすごく納得する考察を得た。

 ひょっとしてひょっとしたら、
 マドラーミノーって、
 晩春から盛夏を経て初秋にいたるまで、
 ず~っと日常的に流下している大型の毛虫を暗示するフライとして、
 我知らず絶大な効果を発揮していたのではないのかないのかないのかど~なのか? 

 マドラーミノーのモジャッとした体裁と透過光に影響を受けるファジーな印象。
 それでいながら特徴的なヘッドがかもしだすボリューム感と明確なシルエット。
 そして全体として細長い流線形のフォルム。
 さ~らに!
 水面に乗るようにポカッと浮いたり、
 はたまたヘッドの浮力でかろうじて水面直下に浮くようなサスペンド・バランス。

 毛虫のイミテーションとしてマドラーミノーを再度見てみれば、
 もうなにもかもがものすごくしっくりストンと納得できる。

 そんなわけで、
 そのような視点でマドラーミノーを見直すと、
 もうこのフライが毛虫にしか見えなくなってしまった。
 そしてな~により、
 古い付き合いだったこのスタンダードフライの超名作が、
 あらためてものすごく新鮮で新しいフライに映るのでございました。

 のだが……、
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 つい二日前、
 友人とふたりして山奥の渓流にでかけた。

 朝、
 川におりてすぐ、
 ドン深のおおきな淵があって、
 その淵の真ん中に何本もの枝をひろげた巨大な倒木がドーンと横たわっていた。

 ぜったいに潜んでいるだろうけど、
 深すぎてドライフライではパスするような場所。
 といって、
 沈めて流せばたちどころに倒木に引っ掛かりそう。

 「まあ、いちおう投げてみるわ」
 なんつって、
 マイルドサイズ6番のマドラーを倒木の横に浮かべてみたけれど、
 案の定なにも反応はなく、
 ピックアップするついでにマドラーをブルブルふるわせながら水面を引っ張ってみたわけです。

 するとどうでしょう、
 倒木の下からこのプールの主っぽいのがヌ~~~ッとあらわれて、
 マドラーを追っかけてくるではないですか。
 
 ところが、
 喰い気はあるけど水面のエサに襲いかかるまでの気分ではない、
 みたいなかんじでフライを追うのをやめちゃって……、
 そのまま倒木脇の川底にベタッとはりつくように定位しちゃって……、
 なにしろ水が透明なので、
 その様子が丸見え。

 なので、
 すかさずウエイトをがっつり巻いたニンフに変えて、
 川底にドボーンと沈めてみれば……、
 フライをサカナの目の前に誘導するず~っとまえにサカナがフライに気がついて、
 自らス~~ッとフライに近寄るとパフッと喰ってくれちゃって、

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 ズンズン倒木に突進しようとするのをガツンと強引に竿で受け止めて、
 深場からひっぱりあげて会心のイッピキ。

 まずはマドラーミノーで倒木の下の深場から誘い出しておいて、
 まんまとニンフで喰わせたという、
 釣れるまでの過程にいたくご満悦。
 釣りはじめてすぐいきなりハイな気分。

 きょうも良い一日になりそう、

 さあ、
 はりきってまいりましょ~~~。

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 なんせサカナがごつくて厳ついので、
 疑いもなくアメマスアメマスと連呼していたけれど、
 こうして記念写真を見てみれば、
 アメマスというよりもエゾイワナちっくな斑点と魚体。

 それはいいとしても、
 ふたりでキャッキャと釣りあがりながら、
 ちょっと妙なことに気がついたのでございました。

 良いサイズのサカナがバッコーンと水面を割るときは、
 必ずといっていいくらい、
 ドラッグがかかりまくって水面あるいは水面直下をビューンと流れ下るマドラーに、
 川底からものすごい勢いで浮かび上がってきてフライを激しくチェイスすると、
 グワバッ!と魚体を翻してフライに飛びかかってくるのだった。

 技を駆使してフライをナチュラルに流すと、
 でっかいのが出るまえにヤング・サイズがバチャッと出ちゃう。

 なんでやねん?

 この日は、
 いつもの毛虫マドラーとしてではなく、
 完全アトラクターフライとしてマドラーミノー大活躍ひとり舞台。

 「マドラーはマドラーだから効くのだ」

 アトラクターとしてもイミテーションとしても、
 マドラーミノーはいろんな意味で毛鉤の本質に迫るフライだとおもう。

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 ここはぜったいいるでしょ~、
 と気合いのはいるポイントにさしかかり、
 友人に「ここはぜひとも釣っちゃってよ」
 というと、
 「じゃ、フライ交換します」
 と言った。

 そして、
 おなかのポケットに仕舞ったフライボックスからマドラーミノーを摘まみだすと、
 友人はなにをおもったのか、
 いきなり唐突に脈絡もなく、
 マドラーミノーを頭上に掲げて、
 「マァドゥラーミィノ~~~」と、
 ドラエモンの声真似をした。

 ぼく爆笑。

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 そしてまた絶好のポイントにさしかかり、
 「こんどはビゼンさんやってください」
 と友人が言った。
 「マジ?いいの?」
 「もちろんです。マドラーでぶっ叩いてやってください!」
 「いや、アメマスの心の扉をソッとノックしてみるわ」

 友人爆笑。

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 ほんまにもう、
 どいつもこいつもシャクレちゃってガラ悪そうで、
 ほんとにカッコイイ面構え。

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 午後おそく、
 川からあがるとき、
 「コレ、食えんのかな?」
 「旨いのかな?」
 「なんかヤバイ成分の幻覚キノコかも」

 「これ食ったらさあ、このハッピーでハイな気分のまま一生ず~っとトリップできたらええのにな」
 「ウハハハハハそれはそれで日常生活に支障がでますね」
 「べつにそれでもええんやけどなウハハハハハハハ」

 そして我々は、
 背丈くらいもあるクマザサの密林をバッサバッサなぎ倒しながら、
 藪を漕いで川からあがって林道にでて、
 くっだらないおしゃべりを延々愉しみながらクルマに戻ったのだった。

 みなさま、
 炎暑お見舞い申し上げます。




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