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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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戦慄ヒゲナガ・アタック
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 近所の釣り場のヒゲナガのサイズに合わせたシンプルなヒグマヘア・カディスTMC102Yの9番。

 竿先を震わせてビビビとフラッタリングさせると、
 ヒグマのガードヘアーを折り返して巻き止めて作った小さなヘッドが、
 いかにもな引き波を立てて、
 グリズリーのヘンハックルをつかったソフトなパーマハックル・ボディは、
 浮いているときは水面にベタッと張り付く下翅スペント。
 フライを沈めてスイングさせればファイバーが流水にザワザワ震えなびく下心満載のフライ。

 あれは6月のはじめ、
 近所の釣り場でのことだった。
 その日の夕暮れのイブニングライズは、
 そりゃ~もう素晴らしかった。

 晴天の昼間、
 生命感をまったく感じさせなかった水面のうえに、
 チラホラとヒゲナガが飛び交いはじめてしばらくすると、
 まずは対岸のバンク際でグボンッ!と重量感のある水飛沫があがった。

 陽が落ちるにつれ、
 どんどん数を増していくヒゲナガの群飛。
 真っ白な下翅をバタつかせながら、
 右に左に無秩序にジグザグに滑るように走るヒゲナガがたてる引き波が、
 薄暗がりの水面あちこちに見える。

 と、
 そんな水面をバタつき走るヒゲナガが対岸の岸際にやっと辿りつこうかという刹那、
 バンク際ぎりぎりのところでバサッ!と水飛沫があがって、
 次から次に水面からヒゲナガが消えていくではないか……。

 15ヤードから20ヤード先の対岸の際ギリギリにフライを投げ入れ、
 流れに押されるラインとリーダーに引っ張られるようにフライが水面をゆっくり滑りはじめた瞬間、
 ギラッとおおきな魚体が翻ってゴボッ!と重々しく水飛沫が飛び散り、
 フライもまた水面からかき消された。

 それはそれはエキサイティングでファンタスティックでアンビリーバブルな瞬間。

 そしてリールがギャーンッと悲鳴をあげ、
 極太の魚体が暗がりのなかシルエットになって魚体をくねらせながら何度も水面高くとびあがった。

 サカナを取り込んでいる最中にも、
 あっちこっちのバンク際でゴボッと水飛沫があがっているのが横目に見える。

 グオーッはよフライ投げたい!

 狂乱タイムのゴングが高らかに鳴り響いたのだった。

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 そして一心不乱に闘い抜いた。
 その余韻はとても甘美だった。
 夢のようだった。

 これはヤッバイでスッゴイでと、
 真っ暗になるまで水辺でとりつかれたように竿を振って、
 帰宅してからも、
 ああもあろうこうもあろうと、
 深夜までとりつかれたようにフライを巻いた。

 なんといってもすぐ近所の釣り場。
 明日から当然はじまるであろう連日連夜の夕暮れ川詣。
 昼は昼でどこかしら他の場所に釣りに行くし、
 はたして我が体力気力はもつのだろうか?

 明けて翌夕暮れ。
 昼間、
 ほかの川で釣りをしていても、
 あの狂乱タイムな夕暮れをおもうと気もそぞろ。

 まだぜんぜん陽が高いうちからこの釣り場に到着して、
 早々に準備して待機。
 川岸に座って、
 あまりにもヒマなので、
 ああなったらどうしよう?
 こうなったらどうなのか?
 ああでもないこうでもないと独り脳内妄想がはかどりまくる。
 それゆえ、
 ティペットに結んだばかりの濡れてもいないフライを別のやつに交換する。
 まだ一回も投げていないのに……。
 なんせ昨夜は巻きに巻いたのでヒゲナガ・フライ超充実。
 それだけに、
 コッチのほうがエエんとちゃうか?
 それともコレのほうが?
 いまかいまかとライズを待ちながら揺れに揺れる釣りごころ。
 たしか、
 そうやって4回くらい無意味にフライを交換したころ、
 遠目に見ると真っ白に見えるヒゲナガの飛翔する姿が川面にチラホラと……、

 見えはじめたな~とおもってすぐ、
 川面は産卵飛行のために上流にむかって飛翔するヒゲナガの大群飛で満ち溢れた。
 それはまるで水面にかかる天の川のよう。
 壮観。

 昨夕とはくらべものにならないほどのヒゲナガの量。

 これは……高まる期待。
 いや、
 高まりすぎる期待。

 ところがだ、
 このテの釣りに精通しておられる方ならば、
 もうすでにお察しかもしれない。

 この日の夕暮れ、
 羽ばたくヒゲナガの翅音が聞こえてきそうな集中群飛のなか、
 真っ暗になるまで待ってみたけれど、
 とうとう水面が弾けることは一度もなかった。

 (…ま、こういうこともあるでしょう、明日に賭けよう…)

 トボトボ川からあがって着替えてクルマにのって、
 その川沿いの道を帰路について、
 橋をわたってカーブを曲がったときだった。

 いきなりとつぜん、
 クルマのフロントガラスにバチバチバチーッと当たって砕ける無数のヒゲナガ。
 前方が霞むほどにあとからあとからぶつかってくるヒゲナガたち。
 ほんの一瞬で、
 つぶれたヒゲナガの亡骸と潰れて飛び散った脂の塊りで、
 もうなんにも見えなくなってしまった。

 まさに、
 ヒゲナガの集団大遡上飛行のピークの真っただ中にクルマを乗り入れてしまったのだった。

 「うわわわわ~~~!」

 路肩にクルマを止めて、
 外に出てガラスを拭こうとすると、
 こんどは我が身を包み込むようにブワ~と全身にたかってくる無数のヒゲナガ。

 たちまちヒゲナガのヒト柱。

 カサカサ全身を這いまわるヒゲナガ。
 シャツの襟元首筋ズボンの足元いたるところから侵入してくるヒゲナガ…あとからあとから…。

 「や~め~て~もうゆるして~~~!!!!!!」 

 発狂した。

 ふんだりけったりで帰宅。

 この季節のあの時間、
 あそこの道を通るのはとてもキケンなのだなと学習した……つもりだったのに……。

 明けて翌日の夕暮れ。
 のど元過ぎればなんとやら……「夢よもう一度」と。

 昨夜の天の川状態ほどではないものの、
 ものすごい大量のヒゲナガが上流にむかって川面を飛び交い、
 水面を走り回っていた。

 そして、
 昨夕と同様、
 一回も竿振ってないのにフライだけ無駄に結び変えながら、
 そんなヒゲナガの様子を川辺に座ってただひたすら眺めただけで日没。
 今夜もトボトボ帰路についた。

 そして……

 あのカーブを曲がった瞬間……、
 「しまった!」とおもったけれど時すでに遅し。
 バッチバチバチバチーーーッと、
 昼間きれいに洗ったクルマは、
 哀れ一瞬にしてブチャッと潰れた無数のヒゲナガの亡骸と脂でグチャグチャのベチャベチャ。
 ついでにニュルニュル。

 行き場のない怒り。

 もう懲りたこんなとこもう来るもんか!

 

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 でも、
 来ちゃったんだよねその次の日も……なんでだろうね?釣りたいんだね?。

 そしてこの日の夕暮れも、
 無数のヒゲナガ飛び交う水面はまったく異常なし。

 だったんだけど……クルマを走らせ例の橋のカーブにさしかかって、
 「あ、ヤッバイまたやってしもた!」
 とおもったつぎの瞬間……、

 バッチバチバチバチーーーという、
 数え切れない小さな命が弾け潰れ飛び散る後味のワル~イいや~~な破裂音が、
 しばらく耳に残ってしまった……。
 夢にも出た。

 しかし、
 じぶんはなんでこうも学習能力と危機管理能力に欠けているのだろう?

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