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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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Fall Season 1
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 名も知らぬ、
 種種雑多な微細な虫どもが、
 秋の風にあおられて、
 哀れ水面に不時着。
 無数の虫たちが落ち葉のあいだを浮き漂っている。

 風がやんで、
 波ひとつなくなった静かな水面で、
 微動だにせず、
 流れのままに、
 ただ浮いている。

 その様子を仔細観察してみれば、
 どの虫たちも、
 まるで水面のうえに高々とのっかるように、
 爪先だってポッカリ浮いている。
 表面張力のカベをかんじる。

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 アグリーナット18番。

 水面に浮かぶホンモノとは似ても似つかない、
 まるでホコリのような醜いフライ。
 
 ホンモノとの共通項は、
 サイズと、
 水面での「浮き方」だけ。
 このフライもまた、
 水面に浮かぶちいさな虫たちとおなじように、
 表面張力をやぶることなく、
 毛先に支えられたボディが水面に接することもなく、
 水面にのるようにポッカリと浮いている……、

 そのため、
 ちいさいくせに水面のフライがやたらとよく見える。

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 CDCもまた、
 陽の光を透過して「見え方」が変化する羽根素材のひとつ。

 ホコリの塊りにしか見えないグシャグシャが、
 光を透過することで、
 まるで昆虫の半透明な翅のような質感に変身する魔法。

 こんなちいさなグシャグシャだが、
 それを念頭に置いて、
 ボディから突き出るファイバーの量や間隔を調整しつつ、
 かつ水面高くポカッと浮く姿勢を維持できるよう巻く。

 シンプルだけど、
 いや、
 シンプルがゆえに奥が深い。

 そして水面に浮かべると、
 ほのかに光を透過する半透明のちいさな塊りの中心に、
 ピーコックハールで巻いた光沢感のあるボディがボンヤリ覗き見える。
 そしてそのボディは、
 CDCのファイバーに支えられて水面に触れることなく浮かんでいる。
 
 これでっせ。

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 きのう、
 釣りに行ってきた。

 朝方ふっていた冷たい雨がやみ、
 外に出てみると、
 突き刺すようだった晩秋の空気が、
 じんわり緩んでいた。

 小春日和。

 「お、これは……」

 とおもって出かけた。

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 ゆっくり静かにそ~っとウェーディングしながら、
 目を凝らしてライズをさがす。

 水面に浮かぶ落ち葉のジュウタンに隠れるように、
 ポツーンとちいさなちいさな波紋がひろがる。

 水深は膝までもない砂利底の浅場、
 陽の光があたるとすべてが見渡せる透明な水、
 そして微かなライズ。

 そこに、
 ホコリの塊りをそっと浮かべてみれば……、

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 どのサカナも、
 フワ~っと水面まで浮いてきて、
 ポツーンと波紋をひろげて、
 かわらぬ仕草で疑いもなくフライをそっと吸い込んでくれた。

 ゆっくり竿を立てると、
 そんな控えめで微かなライズにもかかわらず、
 グンッと重量感のある手ごたえで……つぎの瞬間ダバダバダバッ!と激しい水飛沫。

 カイカン。

 ともすれば弾かれてしまいそうなほど、
 水面高くポカッと浮いているフライなのに、
 フッキングはすこぶる良好。

 ちいさくて黒っぽく見えるいろんな虫たちが
 「爪先立って浮いている」という状態をこそ、
 彼らがせっせとついばんでいるという、
 なによりの証し。

 このフライが、
 とてもツボにはまっているかんじ。

 超カイカン。 

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 酔いしれるような気分で、
 この静かな小宇宙に浸っていたら、

 正午を過ぎてすぐ、
 冷たい秋風がふきはじめて、
 青空はたちまち鉛色の雲に覆われた。
 まるで、
 舞台に厚い緞帳が降りてきたようだった。

 風にあおられた岸辺の木立がいっせいに揺れながら、
 ザザザーーッと音を立てて落ち葉を水面に落とした。

 水辺から生き物の気配がサーッと消え失せて、
 たちまち無表情になった。

 正味二時間ほどの至福。

 秋が、
 駆け足で通り過ぎようとしているようだ。

 長い冬はもうすぐそこ。

 「さ、仕事だ仕事だ!」
 
 声に出してカラ元気。

 みなさま、
 来シーズン用はたまた額装用フライのご注文などなど、
 手ぐすね引いてお待ちしております。
 どうぞよろしくおねがいいたします。
 
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