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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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ガーバブル・ホットバットカディス
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 いま出ているフライフイッシャー誌早春号の連載記事で紹介した、
 私家版ボディハックリングの作例をひとつ。

 ティンセルやワイヤーなどのリビング材にハックルを撚り込んでボディに巻くことで、
 リビングおよびハックリング、
 それにボディハックルの補強をすべて同時に施しつつ、
 通常のボディハックルで巻いたフライとは、
 見た目もテイストも機能もまったく別物のフライに仕上げる私的テクのひとつ。

 ヒグマの黒毛の剛毛アンダーファーのバサバサに毛羽立たせたダビングボディの旨味。
 茫洋とした透明感を保ちつつ、
 各種テレストリアルのバルキーでコロンとしたシルエットを表現。
 かつヴォリューム満点のフライでありながら吸水しても水切れが良く投げやすく浮かせやすい。
 また酷使してもフライのシルエットが劣化しにくい。
 といった特性を最大限に引き出したいためのアプローチのひとつでもある。

 ここでは、
 ファイバーがみじかく、
 そして細くやわらかい質感のインディアン・コックハックルのファーネスと、
 ファイバーの長さがファーネスの倍くらいあって、
 かつファイバーが太めでバリッとハリのある質感のコック・デ・レオンのサドルを、
 極細のオーバルティンセルに挟んで捩じり、
 二枚のハックルをティンセルもろとも同時に黒毛のダビング・ボディにハックリング。

 すると、
 このようなボディの体裁に仕上がる。

 ボディハックルの根元周辺は、
 毛羽立った黒毛のファーとハックル中心が黒くなっているファーネスの模様とあいまって真っ黒。
 なんだけど、
 ハックル中央付近はレオンのマダラ模様のなかにファーネスの赤みがかった茶色がグラデーションがかって浮きだしており、
 ハックル先端部分はレオンのマダラ模様が強調されてパラパラッとひろがっている。

 ファイバーの長短ハックルを重ねてハックリングすることで、
 ボディハックルは根元から中間付近まではファイバーがぎっしり濃密に立ちあがっているが、
 ハックルファイバーの先端にむかうにつれ、
 レオンのハックルのみになって薄くスパースな体裁になる。

 こうして巻いたハックルが光を透過すると……、
 厚みのあるハックル根元付近と疎らな先端付近では光の透過性はとうぜんおおきく変化する。
 まるで本物の虫の翅のような自然な印象の透過性。
 また、
 ファーネスのみじかいファイバーに支えられたレオンの長いファイバーは、
 ピックアップをくりかえしても型崩れしにくい。
 というか、
 なんどかピックアップをくりかえしていると、
 ハックル先端部のみが自然にボディ後方にしなだれて、
 さらにソレっぽいシルエットに変化してブルブル震えてくれる。

 ああ、
 もっと早くからこの方法を思いついていれば……、
 とつくづくおもうハックリング・テク。

 さて、
 ここでは合計8回転ハックルとティンセルをボディに巻いて、
 ボディ全体にびっしりハックルを立てているところにもご注目を。

 ちなみに、
 ボディ末端にダビングしている赤いファーはシールズファー。
 ボディ中央部から前方にかけて巻いた黒毛ダビングごとバサバサ毛羽立たせてダビングした。

 銘針スタンダード・パターンのレッドタグやロイヤルコーチマンなどの効果にあやかりたい、
 実際にあなどれない効果を実感する「紅色のおまじない」

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 と、
 そのように巻いたフライをサイドから見てみる。

 ウイングに据えたのはエゾジカのオスの背中のヘアー。
 ヘアー全体の色調はグレイがかった小麦色でなんとも地味なかんじ、
 視認性には欠ける印象。

 ところが、
 ヘアーをスタッカーで揃えてこのようなカディス型ダウンウイングに巻くと、
 ヘアー先端部の明るい小麦色がウイング先端に集中して、
 この部分がインジケーターのような役割を果たし、
 意外にも水面に浮かぶととてもよく見える。

 逆に言えば、
 サカナの視界に映るであろうヘアー根元付近は虫っぽくナチュラル感のある地味な色合いだが、
 釣り人から見えるヘアー先端部分は明るい色調という、
 とても都合のよい色調をしているヘアーというわけだ。

 またさらに言うと、
 このように根元が暗い色合いで先端が明るい色調をしたヘアーは、
 そんな色調コントラストの効果なのか、
 逆光時や薄暗い状況、
 あるいは波立つ水面など、
 単色のインジケーターが見えにくい状況でこれまた意外なほどによく見える。

 これはエゾジカ・ヘアーならではの旨味のひとつ。

 というのはさておき、
 ボディハックルに話しを軌道修正。

 ボディ下半分が、
 まるでハックルをハサミで刈り込んだかのようにスパッとフラット構造になっている。

 が……、

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 こんどはフライを下側から見てみる。

 ボディ下半分のハックルを刈り込んだわけではなく、
 下側に突き出たハックルを左右に振り分けるようにしてフラット構造にしている。

 これがヒグマの黒毛ダビング・ボディと私的ハックリングの組み合わせの最大のミソ。

 ダビングボディをハックルもろともブラシでガシガシ擦って毛羽立たせながら、
 ボディ下半分のハックルを左右に振り分けるようにすると、
 ほとんど勝手にこのような体裁になってハックル・ファイバーの位置が固定される。

 ゴシゴシ擦ることで「しなやかな剛毛」ともいうべき黒毛のアンダーファーと、
 ハックルファイバーが密に絡み合うからだ。

 で、
 これもまた酷使しているうちにハックルファイバーがさらに適度にバラけて、
 より自然でファジーな見た目とバランスになる。

 これぞファジー系大型ドライフライの面目躍如というところか。

 またさらに、
 さきにも書いたとおり、
 ボディハックルをハックリングしたあとにダビングブラシで豪快にゴシゴシ擦って、
 黒毛のアンダーファーとハックルファイバーを同化させるかのごとく毛羽立たせるわけだが、
 このとき、
 ハックルファイバーのストークを傷つけたり、
 あるいは切ってしまうのではないかという心配は杞憂。

 ティンセルで撚り込んだハックルの強固な耐久性はブラシのゴシゴシにも、
 はたまた巨鱒の鋭い歯にもビクともしない。

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 そしてフライをうえから見てみる。

 ボディ下半分のハックルを刈り込んだりせず、
 ファイバーを左右に振り分けて固定しているので、
 ハックルが半円状になってブワッとフライの両側均等に密集しながら拡がっている。

 こうなると、
 ハックルの密度やその体裁から見て、
 もはやボディハックルというよりも、
 密度の濃いハックルが左右水平にひろがったスペントウイング、
 もしくはデルタウイングといったフォルム。

 ココものすごいミソですぅ。

 そう、
 ハックルをこのテのカディス・スタイルには定石のボディハックルの役目として巻くのではなく、
 ハックルが水面にベチャッとひろがって浸りつつ、
 陽の光をバンバン透過しながら水面膜に接するスペントウイングとして巻いている。
 しかも、
 酷使に酷使をくりかえしてもそのようなフォルムを維持しつづける小細工というわけ。

 水面に不時着してしまった「蛾」、
 羽化に失敗した「ヒゲナガ」、
 はたまたセンブリやハムシやジバチなどなどなどなど。

 半透明の翅を水面にベチャッと浸してブルブルもがき震えながら、
 バッカバカとマスたちに喰われている哀れなムシ全般を表現するための、
 スペントウイングな大型ドライフライのご提案とご紹介でございました。

 ビッグサイズ・ドライフライでもスペントウイング・スタイルは安定の実績度数。
 コレ釣れるよ~。

 そしてなにより、
 フライを巻く作業自体もものすごく愉しい。 
 
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