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BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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Feathers,Hairs & Furs at the Control Vol.2
200519 (1)1

 アーガス・フェザントのテイル・カバー・クイルをハンプバック・ウイングにあしらったマーチ・ブラウン風サイズ3/0。
 
 先月の初めころ戯れに巻いてすっかりお気に入り。
 それからずっと、
 タイイング机のいつも眺められる特等席に鎮座している。

 鬱屈とした重い気分の日々がずっとつづいている。
 朝、
 目が覚めるたび「ハァ~アやだなあ」とため息ひとつ。

 渋々布団から抜け出してカーテンを開け、
 作業場の明かりを点けると、
 まずこのフライが視界に映る。

 すると、
 かるくときめいて、
 ちょっと気分が弾む。

 けして釣りにつかうことはないけれど、
 こんなふうに愛でられるフライが手元に置いてあるのっていいな。

200521 (1)1

 つい先日、
 ご注文をくださった方の元に送らせていただいた、
 ドライフライとウエットフライ私的セレクションのフレーム。

 むしろ、
 製作した本人が気に入って写真に撮り、
 パソコンの壁紙にして眺めている。

 どのフライも奇をてらわない伝統のスタンダード・スタイル。

 なんだけど、
 素材も巻き方もぜんぶ私家版。

 温故知新をテーマにした2020年度版というところ。

 新しいことを発見するために、
 過去を理解して実践することがいかに重要で、
 いかに豊かで深いことか身に沁みる。

 薄っぺらいことはしとうないねん。

200519 (13)13

 数年まえ、
 志半ばで故人となられた方の遺品のなかから見出した一本。

 生前、
 その方が英国の釣り具オークションや古物商などから収集されていた、
 古い時代のフライボックスのコレクション一式が、
 いろいろな経緯を経てワタシの手元にやってきた。

 なかには、
 万人が認めるお宝もいくつかあった。

 けれど、
 こうしたマニアックな趣味の常で、
 まだ経験も知識も浅いコレクターなら誰しもが勉強代として通過するであろう、
 「……まんまとつかまされはったんやな……」
 という、
 夥しい数量のジャンクも山積み。

 そしてそのフライボックスのなかにズラッと並んでいた、
 経年劣化はなはだしく錆びついて腐っている、
 ただ古いというだけのこれまたジャンクなフライ群。

 そんな、
 ゆうに数百本を越すゴミのなかに、
 なぜだかたった一本、
 コレがまぎれていた。

 ハッとしてボックスから摘まみあげた瞬間、
 劣化したファイバーが惜しくも数本ポロポロとれてしまうほどの傷み方ではあったが、
 仔細じっくり観察してみれば……、

 おもわず鳥肌が立った。

 現在のフックサイズに換算して8番ほどの小さなフックに、
 レシピどおり全ての素材が巻き留められているフルドレス・ジョックスコット。
 もはや、
 原形を留めないほどボロボロに傷んではいるけれど、
 全体のバランスや素材の量や配置から察するに、
 あっぱれ見事な技術の逸品であることが想像できる。

 このサイズのフックに、
 このフライをこのように巻くことが、
 どれだけ修練の賜物であることか……。

 そして、
 マイクロサイズなインディアンクロウやトウキャンにコティンガなどなど、
 使われている素材はすべてホンモノ。

 そんなミクロな羽根素材を収集するだけでなく、
 それを使いこなすことが、
 どれだけ執念の賜物であることか……。

 尋常じゃないデこれは。

 しかも、
 ズラ~ッと並んだフライのなかで、
 なぜかこのフライだけがものすごく使用感が漂っている。

 サカナのヌメリによる素材の固着をかんじる。
 血糊のようなものも付着していた。

 あきらかに歴戦のツワモノであっただろうことが窺える。

 一緒に並んでいたジャンクなフライ群が巻かれたであろう時代から想像するに、
 このボックスの先々代のオーナーもまた、
 このフライを誰ぞ前時代の大先輩から譲り受けたのではなかろうか?

 遠いかの地の、
 往年の時代、
 いつ、
 だれが、
 このフライでどのような物語を刻んだのか……、

 そしてそのフライが現在、
 たくさんの時代を超えて、
 いろんな道のりを経て我が手元にある不思議な縁。

 このフライを巻いた方は、
 まさか自分のフライがこのような運命を辿るとは思いもしなかっただろう。

 そしてまた、
 おおいに僭越ながら、
 数百を超すジャンクに埋もれていたこの一本を、
 とんでもない価値あるものとして見出すことのできた我が審美眼は、
 けして一朝一夕に培われるものではなく、
 長年の経験によって我知らず備わったもの。
 その「見る目」をこそ、
 じぶんにとって数少ない財産として誇りたい。
 
 語り継ぐべき古典は、
 こうして引き継がれていくものなのか。

 期せずして尊い歴史のバトンをうけとったワタシは、
 また誰かにこのバトンを託すことができるだろうか。

 200519 (14)14

 数年まえ、
 ティンセルやシルクフロスのメーカーとして絶大な信頼をよせていたラガータンの先代が亡くなって、
 製造販売をやめる、
 という事態になったことがあった。

 ちなみに現在は誰かが引き継がれて、
 また復活されているとの由。
 現行品はじぶんはまだ見ていないけれど、
 まずはひと安心というところ。

 なんだけど、
 当時はものすごく慌てた。
 ティンセルに関しては死活問題ですよ。

 そんなわけで、
 ラガータンのデッドストックや在庫あればなんでもありったけください。
 と、
 お知り合いのプロショップ関係者各位に声をかけたことがあった。

 ゾクゾク集まってきましたがな。

 めったにつかわないというか、
 普通ならまずつかわれないサイズと色の売れ残りばっかり。
 
 なかでも、
 極太サイズのゴールド・オーバルティンセルがどっさり。

 大見栄きった手前、
 ありがたくしかたなくぜんぶ購入さしてもろたけど……、
 なににつかうのよ?ソレっちゅうやつ。

200520.jpg

 しかしいま、
 ここにきて我が家では、
 この極太ゴールド・オーバルティンセルが空前の大ブーム大爆発中。
 
 あのときの大失敗から転じた幸運を噛みしめております。

 作為的に毛羽立たせたダビングボディではなく、
 ヒグマやエゾリスのファーがボディ全体からフワッと生えているような……、
 そしてその下から、
 まるで金色のクイルボディのように変化した極太ティンセルが透けている。

 これやねん、
 このかんじが表現しと~てずっとアレコレやっとってん、、
 と、
 おもわずワクワクする、
 ワタクシ的満足かつ理想のファジー・スタイルなボディができました。

 それは、
 ヒグマの金毛をつかったドライフライにも、
 エゾリスのファーをつかったウエットフライやニンフにも……、

 蝦夷フライズ・プロジェクト水面下でイロイロ拡がって。

 過剰在庫になって持て余していた我が家の極太ゴールド・オーバルティンセル。
 だったんだけど、
 現在、
 ティンセル類を収納した引き出しを開けては、
 「キャハ、まだこんなにようけあるやん当分いけるやん」
 ニヤついちゃうヨ。

 この、
 鬱々と悶々と引き篭もる毎日のなかで、
 アッと思いついた極太ゴールド・オーバルティンセル私家版ボディ成形スタイルは、
 ワタシの日々の暮らしの活力の源。

 人生、
 なにがどう転んでいくのかホンマにわからんもんですな。

200521 (2)2

 先月と今月にマーヴェリックHP のコラム欄に掲載していただいた拙コラム記事にリンク。
     ↓
 コンプリート・ウイングからクイルをバラして炙って直して巻いてウットリの巻
 私家版シルバーマーチブラウン・フルチューニング仕様、スロートハックルにこだわるの巻
 私家版シルバーマーチブラウン・フルチューニング仕様、ウイングにこだわるの巻

 この三つの記事をまとめているときに、
 この極太オーバル活用方法に「アアッこの手があったか!」と思いが至ったのだった。

 いっしょうけんめい書いたかいがありました。

 そんなわけで、
 このコラムのオマケ的シルバー・マーチブラウンのヴァリエイション作例を……、

200521 (8)8

 TMC2312 10番のロングシャンク・フックのソラックス部分に、
 エゾリスのファーをほんの少量毛羽立たせたタイプ。

 ファーがしっかり吸水してくれて水馴染みの良さ際だつスタイル。

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 TMC9300 8番のソラックス部分に、
 秋ヒグマの柔毛をよく揉んでクシャクシャにしたものをごく少量毛羽立たせたタイプ。

 たったこれだけの量でも、
 フロータントをここにグリグリ塗布すると、
 このようなウエットフライをものすごく良い感じで張り付くように水面に浮かせることができる。
 クイルウイングを水面にちょこんと突き立てるバランスで。

 このテのスタンダード・スタイルなウエットフライを水面に浮かせて流すテク、
 ちょっとバカにできませんよ。
 ときとして威力絶大。

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 つかったフックは「がまかつ」のSC15 の6番。
 セイゴバリ型の本来はソルトウォーター用フック。

 シルバーマーチブラウンなので、
 フックも銀メッキのやつでもええやん、
 という安易な発想。

 でもあるけれど、
 フックの形状的に6番サイズであっても、
 フック・シャンクの長さは通常のウエット用フックで12番くらいの長さ。

 超ワイドゲイプ・ショートシャンク。
 そしてライトワイヤーながらものすごく頑丈。
 かつ、
 ニッポンの釣りバリ伝統のフッキングの良さ追求型セイゴバリで、
 ライトな小型ウエットフライってどうよ?

 みたいなところ、
 はやくお試ししてみたいものです。

 
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