BIZENアングラ・アングラーズ
フライフイッシングとフライタイイングに関する話題など
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Sir Moses の十戒
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 やればやるほど、
 あとからあとから色んな課題がでてくるフルドレス・サーモンフライの製作工程のなかで、
 もっとも難しいとおもうのは、
 もうなにをさておき、
 じぶんにとっては幅広なメタルのフラット・ティンセルをビシーッと隙間なく均一に巻くところ。

 一見なんのことはない作業にみえるけど、
 微妙なテーパーをかけたボディを太くすればするほどに、
 その難易度数は飛躍的にアップ。

 が、
 葉巻のように丸々としたボディ全体を、
 金のティンセルでくまなく覆うことができれば……、

 その存在感たるや、
 まるで金の延べ棒のよう。
 
 そしてそのうえに、
 フワッと柔らかな、
 自然の神秘を凝縮したような美しく可憐な小羽根を、
 一枚づつ慈しみながら、
 いくつもいくつも重ねていくと、
 このようなボディが出来あがる。

 たまらんもんがある。

 ああんもう大上段でゴメンねここは自画自賛させてネ。

 そしてそんなボディのうえに、
 でっかいグリーンマコウの肩羽根をドンと据えて、
 白黒マダラ模様が鮮烈なマンダリン・ダックを重ね、
 厳選に厳選を重ねたピンピンの特大コティンガをチークに添えて、
 ドキッとするほど長くて色濃いトッピングとホーンを巻き止めた。

 どれもこれも、
 このときのために大切に保管していた羽根たち。

 完成した姿を一刻も早く見たくて逸る気持ちをグッと抑えながら、
 ことさら慎重に進めてきた作業も、
 とうとう最後の工程となった。

 あとは黒のオストリッチをヘッドに巻いて、
 ウイングの余りのストークをカットしたら完成。

 なんだけど、
 ここで巻く手が止まってしまった。
 
 あんなに「はよ出来あがったところが見たい」と思っていたくせに、
 二日間このままの状態でひたすら眺めた。

 もしどこかやり直すならこれが最後のチャンス。
 ヘッドを巻いてしまうと、
 もう修正できない。
 これでよしとおもえるかどうか、
 何度も自問自答。
 
 そしてなにより、
 完成してしまうのが惜しいとおもった。

 だって、
 これから先、
 そっくりそのままコレと同じフライを巻けるときが来るとは思えないんだもの。

 あえて、
 一世一代のフライと言わせてください。

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 Sir Moses a.k.a Phoebus

 トラディショナルなフルフェザー・ウイングのサーモンフライのなかでは、
 個人的にフォルムも色調もネーミングも、
 なにもかも別格におもっている、
 チャテラーと並ぶタラハーン・コレクションの傑作。

 サイズはパートリッジのフック8/0よりもひとまわり大きく、
 かつロングシャンク。
 規格外かつ迫力満点の巨大さだ。

 一世一代なんて仰々しい大げさを言ったのは、
 この古典に指定されている激レア希少素材を、
 これから先、
 このサイズとこのクオリティのもので入手できるとは、
 時代的にも世情的にも、
 そして愉しみだからこそ公明正大でありたい自分の心情としても、
 またさらに下世話なことをいえば経済的にも、
 今後もうないだろうとおもうからだ。

 という、
 「いつか期が熟したら…」とずっと大切に仕舞いこんでいた、
 まさにあとがない貴重な素材を惜しげもなくズビズバつかっただけでなく……、

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 ゴールデンフェザントのトッピングとともに、
 フルドレス・サーモンフライにはぜったいに欠かすことのできない黒いオストリッチ。

 野暮丸出しでオストリッチに失礼なこというけど、
 はっきりゆうて、
 このフライにつかった他の素材からくらべたら、
 入手はきわめて容易かつ、
 どんだけお財布にやさしいことでしょう。 
 桁がひとつふたつ少ないですよ。

 写真のオストリッチにいたっては、
 大昔にお店を閉められたとあるプロショップのオーナーさんが、
 「コレ、もういらないから、たのむから在庫ひきとってくれ」って、
 どっさ~と束にして半ば強引に送りつけてきてくれたなかの一本。
 ぜんぶで何本あったか忘れたけど、
 色とりどりもてあますくらい大量。

 どれくらいの量かというと、
 友人にサンバ踊るお姉ちゃんがいたらプレゼントしたいくらい。
 宝塚歌劇団に寄付しよかとおもったくらい。
 そんなオストリッチの束のなかに紛れていた一本。

 で、
 ちょっと聞いてくれる?
 この一本を、
 15年くらいまえのフルドレス・サーモンフライ・タイイング超シロート駆け出し修行時代に、
 「あ、これ練習用にちょうどいいや」ものすごい軽い気持ちで気楽につかっておったわけです。
 バッツンバッツン切り刻んで無駄つかいしながら……。

 んで!
 バンバン巻いてガンガン練習して、
 片側のいいとこぜんぶつかいきって、
 反対側もガンガンつかって、
 なんだかさびしいかんじになってきて、
 ちょっと惜しいなって気分で、
 「ここらでちょっとほかのオストリッチもつかお」
 ここでようやくほかの黒いオストリッチを引っ張り出してみたところ……、

 当時、
 数十本はあった我が家の黒いオストリッチの仔細を見てみれば、
 ない、
 まったくない、
 ぜんぜんない、
 ないったらない!
 このオストリッチに匹敵するクオリティのやつが……ない。

 こんなのいっくらでもあるとおもっていたのに、
 なんとしてもない。

 「ひょっとしてボク、えらいことしてしもたんとちゃうやろか?」

 無知ほど恐ろしいものはない。

 そしてはじまった、
 理想の黒いオストリッチを探し求める終わりなき旅。

 業者さんが「これ最高品質だから」と自信満々でおっしゃったのも大人買いした。
 たしかにすごく良いお品でした。
 これまで国内外問わず立ち寄ったショップに良さげなのがあれば、
 それも大人買いしました。
 それもたしかにそこそこ良いお品だった。

 きっと、
 なにも知らなければこれらのオストリッチで充分満足していたことでしょう。

 でも、
 知識も経験もほとんど白紙のスタート時点で、
 あろうことか「ぶっちぎりの最高クオリティ」を知ってしまった、
 というのはある意味とっても不幸。

 いまだ、
 最初の第一歩でつかったオストリッチを越えるどころか、
 肩を並べられるクオリティのものには出会えない。

 そんな稀有なオストリッチを、
 そうとは知らずぞんざいにバンバカ使い倒してしまったこの無念。

 この痛恨の想いなんとしよう……。

 深夜、
 このオストリッチのファイバーをそっとつまんで、
 いっぽ~ん、
 にほ~ん、
 さんぼ~ん、
 と女々しく数える切なくも恨めしい夜をいったい何度過ごしたことでしょう。
 無知な自分への怨念ひとしお。
 四谷怪談の番長皿屋敷のお岩さんもドン引きです。

 嗚呼無情、
 あっちゅうまに数えられちゃって、
 もうこんだけしかあらへんがな……。

 と、
 そんなオストリッチを「あまりに惜しくてもうつかえない」と封印してしまったのが、
 忘れもしない12年前のことでございました。

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 いま、
 封印を解いた。

 な、
 真っ黒やろ?
 ものすごい真っ黒やねん超ブラック。

 で、
 むっちゃ密度こゆいねんワッサワサ。
 しかもオストリッチのフリューにコシが感じられるねん。

 ほんで、
 グルグルっと巻くと、
 濡らしてもないのにフリューが勝手に後方になびいてビッシーッと整然と並んで、
 ビタッと逆三角形の理想形になるねん。

 だもんで、
 特大のコティンガやインディアンクロウやトウキャンの羽根が、
 ただでさえすんごい存在感やのに、
 さらにグワッと立体的に浮き出て迫ってくるように見えるねん。
 しかも、
 金色のボディがひときわビッカーッと引き立つねん。
 まさに相乗効果。

 そんなオストリッチつかうんやから、
 気合の入れ方も尋常やなくて、
 ウイング根元の下に巻き止めたインディアンクロウが、
 ありがちな体裁でウイングに覆われて隠れてしまうのではなく、
 この部分もはっきりくっきり見えるように腐心した。

 たかがオストリッチ、
 されどオストリッチ、
 最高のオストリッチ求めて三千里。

 希少エキゾチック・レア羽根素材探索の旅は、
 じぶんのなかではもう落ち着いた感がある。
 それよりも、
 いま我が家にある羽根たちを随時ぜんぶカタチにしていきたい、
 という焦燥感にも似た気持ち。

 な・ん・だ・け・ど、
 オストリッチ探索の旅はまだ終わってないのです。

 なぜなら、
 クラシック・スタンダードを巻くにせよ、
 フリー・スタイルではじけるにせよ、
 これがないとはじまらないからだ。

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 と、
 このオストリッチをバッサバサ気楽にカットしていたあのころ、
 フルドレス・タイイングにハマッたばかりのころ、
 まさかこんなのが自分でも作れるなんて夢にも思わんかった。
 
 そしてその緊張感や達成感を、
 ぞんぶんに愉しんだ。

 ドリームズ・カム・トゥルー。

 ボディ末端からヘッドの先っちょまで、
 深く満足。

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 グリーンマコウのメインウイングにのせた、
 マンダリンの黒いバーがあまりに鮮やかで鮮烈で、
 脳がクラックラする。

 見つめていると吸い込まれていきそうブラックホールみたい。

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 今年の早春から晩春にかけて、
 ずっとやりたかったことが存分にやりまくれて、
 ほんとに満たされ充実していた。
 いつも気持ちのどこかが高揚しているようだった。

 と、
 そんなおり、
 南国土佐からいつもの嬉しい春の便りが届きました。

 そろそろ、
 アドレナリンどばどばの引きこもりから気分をかえて、
 バカ長履いて、
 お外にでかけて、
 こんどは水辺でアドレナリンぶっぱなしたいところです。

 ひさびさの晴天に、
 釣りごころ疼き気持ちが逸る本日でした。

 これから風呂入ってニシン焼いてトマト食ってリールに新しいフライライン巻いて、
 そんでもって黒いオストリッチをふんだんにボディに巻いたでっかいヘビーウエイト・ニンフ巻くで~。

 なんちゅうても、
 諸事情により黒のオストリッチの大中小いずれも在庫ハンパないので使い放題です。
フライフイッシャー誌春号のオホーツク通信補足版とか…
 2月から3月にかけて、
 東京やら大阪やら内地巡業から帰宅してから最近まで、
 ひたすらにフルドレス・サーモンフライ製作に没頭しておったわけですが、
 それと並行して、
 このブログをはじめた12年前くらいからたまりにたまった写真を整理するというか、
 いちから見直しております。
 
 内地にていろんな方々とお会いしてお話したりなんかしてすっかり感化され、
 このまま寂寞と日々の流れにナチュラルドリフトするままではいかがなものかと、
 ここらでいっちょフラッタリング逆引きリトリーブ、
 ちょっとはジタバタ羽ばたこうとしないと、
 きっとのちのち後悔するんとちゃうやろか?

 ヨッシャやったるデまずは手始めに写真の整理と見直しからはじめよう。

 などとおもって、
 ガラにもなく重い腰をようやくあげて一念発起してみたわけですが、

 ハッキリゆうて、
 写真の見直しなんか2~3日あれば余裕のヨっちゃん、
 かと思いきや……、

 その膨大な量に圧倒されて、
 もはや5秒でアタマがカオス。

 思い出は重いで。

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 12年まえ、
 このブログをはじめたころに、
 ブログに載せようとおもって撮ったけど載せなかった写真。
 
 ちょうどこのころ、
 かのアメリカ中西部フライフイッシング・シーンの重鎮中の重鎮でもあり、
 フライタイイング界の発明王であらせられる、
 かのフランク・マタレリ御大とご縁があって、
 お手紙などやりとりさせていただいて、
 ある日突然サンフランシスコから送られてきた小包を開けてみればアラ狂喜乱舞みつぐ超ハッピー。

 プライベート・カスタムメイドなタイイング・ツールの詰め合わせセットやらドッサリ。
 しかもひとつひとつ自筆の解説付き。
 夢なら覚めないで状態だった。

 そりゃ~嬉々として写真に撮るがな、
 ぜひともブログに載せたいと思うやん、
 でもたしかいろいろあって載せなかったんだよな。

 オトナの事情という表現はキライだが、
 まあそんなとこ。

 でもまあ、
 12年も経てばそんな事情はもうど~~~でもよくて、
 ふと考えてみれば、
 これらのツールたちは、
 いつのまにか、
 じぶんが毎日の食事につかっているお箸とおなじくらい日々の日常で指に触れている道具たちになっている。
 ということにあらためて気がついて、
 この写真を今見ると当時が思い出されてじつに感慨深い。

 そんなツールたちの脇に添えたフライもまた懐かしいというかなんというか。
 レオンのクイルをウイングにつかったウエットフライに、
 ヒグマの毛をアンダーウイングにしたマドラーミノー。

 レオンのクイルもヒグマの毛も、
 この当時すでに自分にとってはもはや欠かせない素材だったわけだ。
 このころ、
 このようなアンユージュアルなマニアック素材は、
 まだだ~れもなんにも言ってなかったけど……。

 いまじゃすっかりお馴染みで。

 12年の月日はとてもみじかい。

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 写真左のフライは、
 ウエスタン・カウボーイ・フライフイッシングの元祖ジャック・ホーナーが原案者となる「ホーナーズ・ディアヘア」
 いわずもがな「ハンピー」の原型。
 ということは、
 このフライこそがウエスタン・ドライフライの出発点のひとつだったと言っても過言ではない。

 なんでも、
 ジャック・ホーナーとフランク・マタレリは大の親友でもあり唯一無二の釣友だったんだけど、
 そのくせジャックはフランクの世紀の大発明ウイップ・フィニッシャーを頑なに使わないで、
 ず~っと指でスレッドをハーフヒッチしていたんだって。

 この頑固者め~。

 きっとご本人はまったく意識しておられないだろうけど、
 フライフイッシングの歴史をひもとけば、
 世界のあちこちの釣り場で歴史の礎を築き、
 その地方独自のフライ文化を豊かに花開かせてくれた陰の立役者さんたちは、
 誰も彼もみ~んなヘンコで頑固。

 そして、
 皆さん揃いもそろってソロバン片手の金勘定には縁遠く、
 フライロッドとボビンを片手に水辺とバイスのまえを寡黙に行ったり来たり。

 とっても素敵です。
 お慕い申しあげます。


 話しかわって、
 右のフライはキャル・バード考案の「バーズ・ストーンフライ」
 このお方もまた、
 そんな尊敬すべき頑固者のおひとりだった。
 そして、
 彼の巨大なカワゲラ・ニンフのダビング・ボディを迅速かつ強固にダビングするために、
 フランク・マタレリが考案したのが、
 写真のシンプルな鉤型ダビング・ツイスターだった。

 現在もはやあたりまえになっているダビング・ボディ・テクニックの発展は、
 アメリカ西部の川にどでかいカワゲラがウヨウヨいて、
 それをマスがガバガバ貪り食っていて、
 それを模したフライを巻こうとしたチャレンジャーな釣り人がいたからだ、
 と言っても過言ではない。

 12年まえ、
 このツイスターはほかのと比べてややつかいにくいかも、
 なんて、
 ロクにつかってもないくせにクッソ生意気をのたまってフランク・マタレリさんを苦笑させた当時のワタシ。
 とってもイタイぞ恥ずかしいゾ自分。
 そのくせ、
 いまじゃコレなしのダビングなんてもうかんがえられない。
 というよりも、
 各種ファーをたんにダビングするだけでなく、
 そこからさらに飛躍していろんな素材をねじったりひねったり、
 現在のじぶんのボディ成形テクの進化と発展は、
 つねにこのカギ棒とともにあった、
 と言っても過言ではない。

 12年の月日はとても長い。



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 若葉の季節に巻くグリーン・ハイランダー。
 オツですね。

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 ボクのグリーン・ハイランダーのチーク見てくれはる?

 インディアン・クロウの発色あざやかでしょ?
 バビーンと色が浮き立ってまっしゃろ?

 このようにインディアン・クロウをチークなどにつかうと、
 この羽根をほかの羽根のうえに重ねたとき、
 下地の羽根に色調が透けて馴染んでしまって、
 せっかくのきれいな朱色の色合いが色褪せてくすんでしまうのが常々とても残念だった。

 じぶんとしては、
 ここのパーツをこそフライ全体でもっとも鮮明に鮮烈に印象深く見せたいのに……。

 いろんな雑事仕事がようやくひと段落して、
 ほんのちょっとだけ気持ちに余裕ができて、
 この二カ月はとにかく自分がず~っとやりたかったことを優先してやりまくるゾと決心して臨んだ、
 昼となく夜とない至福の瞑想フルドレス・タイイング・タイム……、

 その高揚した気分のなか、
 このフライを巻いていてアッと思いついてチョコチョコッと試してみたら……ワクワクドキドキの大成功大満足。

 ワタクシにとって、
 今回の集中巻き倒し月間サイコーの裏ワザ・テク大発見のひとつとなりました。

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 フライフイッシャー誌2018年春号の連載記事に、
 このフライをデデンとでっかく載せてもらいたかったけど、
 えらいちっこい写真になっていたので、
 ここでデデ~~ンとでっかく載せます。

 さっきのスタンダードなグリーン・ハイランダーとそっくりそのまんままったく同じ素材で巻いたけど、
 なんしかこれでもかと盛りまくりで巻いた私的フリースタイル・ハイランダーのキテレツ版。

 じぶんでも、
 出来上がるまでどのようなフォルムになるのか全くわかりません「ラリってるんとちゃうん?トリップ・スタイル」

 クラシック・スタンダードなフルドレスは、
 全体のフォルムが見せどころなわけじゃないですか。
 なので、
 巻くときはフライ全体を注視しつつ常にバランス確認しながら巻くんだけど、
 ここでは、
 あえてそれをしないで、
 素材を巻き止める部分のピンポイントばかり凝視しながら、
 そこに限界までゴッテゴテに素材を巻きつけまくる、
 という無謀を意識しながら一心不乱に巻いてみた。

 そして出来あがったらこんなんになった。

 完成したとき、
 バイスにとまっているフライを眺めながら、
 まるで夢から覚めたように、
 「コレ、ほんまに自分が巻いたんやろか?」
 みたいな。
 そんな感覚が新鮮だった。

 いまも目の前にこのフライを置いて、
 パソコンのキーボードかちゃかちゃしてるんやけど、
 フライを眺めだしたらボ~ッと見入ってしまってどんどん時間が経っていく。

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 フロリカン・バスタードの見慣れたいつもの茶褐色のダンダラ模様サイコーやけど、
 ウイングの最上段にのっている、
 こんなかんじのフロリカン・バスタードの模様と色調も大好き。
 墨絵のようなグラデーションがかっていて摩訶不思議なムードだ。
 

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 でもフライの反対側は、
 お馴染みの見慣れたフロリカン模様の羽根を据えた。

 チークやサイドの仕様も素材は同じやけど、
 配置はガラリと変えた。

 左右非対称が好き。
 性格でるよねこのテのフライってとくに。

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 と、
 テメーの現時点でのスキルを最大限誇示しつつ、
 人に見せて愉しんでもらいたいフライは盛り盛りで巻いたりもするけど、

 実戦用の釣りにつかうグリーン・ハイランダーは、
 もうウイングもハックルもスッカスカのパラッパラ。
 ウイングはフリーファイバーで各種ファイバーをバラけさせて、
 かつ膨らませて巻き止めてあるけど、
 濡れると糸のようになってスイングさせるとファイバーが振動する。
 そしてボディはがっつり補強しまくり。

 このグリーン・ハイランダーを長めのリーダーに結んでフローティングラインで軽快にスイングさせる季節まで、
 北の果ての当地ではまだもうすこしかかりそう。

 それにしてもここんとこ毎日天気悪くてウンザリ。

 スカッと青空がつづいて、
 はやく川の水量が安定してほしいナ。

 って、
 いつからかこの時期、
 毎年おなじこと言ってる気がするんですけど。

 ご自愛くださいませ。
 
カスタム・ウエットフライ・セット&額装サーモンフライ販売のお知らせ
 完売いたしました。
 本当にありがとうございました。

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 おそるおそる、
 ひさしぶりに、
 カスタム仕様なウエットフライ・アラカルト詰め合わせと、
 額装サーモンフライ販売のお知らせです。

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 オリジナル・クラシックなアレキサンドラから、

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 私的チューンアップしまくりの私家版アレキサンドラとか……、

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 ミックスド・ウイング搭載の実弾実践用クラシック・フルドレスサーモン風やら、
 ブルージェイのスロートハックルが小粋なカネマラブラック御三家とか、

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 もちろんマダラ模様も各種各サイズとりまとめて、

 とにかく自分がハマッていて、
 自分がコレで釣りたい熱烈マイブーム中の私的カスタム・ウエットフライズ大中小各サイズを、
 ぜんぶで23本ひとまとめにしてみました。

 また、
 各フライの詳細などは、
 現在出ているフライフイッシャー誌の連載記事にて、
 クドクドクドクドこれでもかってかんじで解説させていただいております。

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 SOLD OUT

 
 
 そして、
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 東洋の神秘、
 アジアの至宝の輝き、
 玉虫色に光るニジキジの背羽根と、
 ピーコックのブルーネック・ハックルを組み合わせ……、

 真っ赤なヘッドを透明なガラス玉のように細工して……、

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 真紅に染められたゴールデンフェザントの羽根のうえに着飾らせた私的フリースタイル・サーモンフライ瞑想系。

 サイズはノーマルシャンク6/0。

 さらに、
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 フライの襟元でギラリと妖しく輝くニジキジのネックフェザーと、
 各色のファイバーのあいだでギラリと光るピーコック・スゥオードのウイングが印象的な、
 ミックスド・ウイング私的サーモンフライを組み合わせて……、

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 タイトルは「エメラルド・レッドの小箱」 SOLD OUT
 
 スポットライトを当てていただきますと、
 まるで羽根に生命が宿ったかのように刻々と輝きがナマナマしく変化します。

 これぞナチュラル・ミスティック。


 
The Chatterer に捧げる愛のポエム
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 スパングルド・コティンガ←(youtube)
 愛称ブルー・チャテラーの襟首に生えている羽根。

 咳払いひとつで全て吹き飛んでしまいそうな、
 軽くて小さな青い羽根たち。

 この希少かつ貴重な至宝の羽根を知り、
 切ないほどに恋焦がれ、
 忘れ得ない偶然の物語を経て、
 我が家にやって来てくれるまで、
 長い長い時間がかかった。
 あれは奇跡だった。

 我が手の平に青い小鳥をそっと載せたとき、
 これから先の人生で、
 これほどまでにピュアな気持ちで胸を震わせることはもうないだろうとおもった。

 あれから時は流れ、
 一本のフライを巻くために、
 この羽根を百ウン十枚一気にむしって、
 こうしてトレイに並べるまで、
 さらに長い長い時間がかかった。

 なぜなら、
 この羽根をここで百ウン十枚つかってしまうと、
 もうあとがないからだ。

 その百ウン十枚があれば、
 ほかのスタンダードなクラシック・サーモンがいったいぜんたい何十本巻けることでしょう。

 それを、
 はたして一本のフライに使ってしまってよいものなのか?

 揺れるし、
 根性いるし、
 精神力いるデ。

 「いつか、自分がヨシとおもえる技術が身についてから……」

 そのようにおもって、
 長い長い時間、
 引き出しの中で眠りながら出番を待っていてくれた青い小鳥。

 いつか、
 いつか、

 しかし、
 そのいつかは、
 じぶんが決心しなければ永遠に来ない。

 己の技をヨシとおもえる日なんて、
 永遠に来ない。

 いやむしろ、
 そんなふうにおもうときがきたら、
 そのときじぶんにとってフライフイッシングはきっと色褪せてしまうだろう。

 それが身に染みてわかったとき、
 引き出しがソッと開けられた。

 ときは来た。
 
 あるときフイに突然、
 「あ、いまだ」ときわめて自然におもえたことが不思議でならない。

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 Tied by チルチルみつぐ

 探し求めていた「シアワセの青い小鳥」を、
 じぶんで作った。
 
 じぶんが巻いたフライを眺めながら、
 我が琴線にはしとどに蜜が溢れ、
 なんどもなんども甘く切ない吐息を洩らし、
 時間を忘れることができるなんて……。

 この満たされつくした時間をシアワセと呼ばずしてなんといおう。

 このフライをいつかじぶんも巻きたいとおもって、
 それが現実のものになるまで、
 途方もない長い長い年月がかかった。

 じぶんにとって、
 ちいさいけれど軽くはない夢と、
 ささやかだけど果てしない夢のひとつが、

 とうとう成就してしまいました。

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 アマゾンに棲むトウガラシ色の胸をふくらませたカラスの羽根も、
 先端に血の色をにじませたキンケイのたてがみも、
 青と黒の縞模様鮮やかなカケスの肩羽根も、
 みんなご機嫌うるわしく……。

 きれいに巻きたいし、
 カッコヨク巻きたい。

 しかしなによりも、
 自分らしく、
 自分の色でこそ巻きたいとおもってる。

 願いはかなった……かもしれない。

 あんなに揺れて葛藤したけれど、
 巻いてよかった…とおもえてホントによかった。

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 嗚呼……チャテラー……そうつぶやいてみるだけで、
 オッサンのココロは無垢の少年に戻ってしまうようだ。

 ロマンチックが止まらんやんけどないするねんエエ年こいてハズいやんけワレ~。

 
グレート・アーガスフェザント・セカンダリークイル
180414 (1)1
 魅惑のピーコック・スゥオード・ウイングのクラシックといえば、
 アレキサンドラon the TMC107SP#8 小悪魔だよね妖しいかんじダイスキ。

 オリジナルのシッポ・レシピは赤く染めたグースのショルダーやダックのセカンダリークイルでしたっけ?
 きっと、
 元祖オリジナルはスワンやろか?

 パステルなダイド・グースショルダーのファイバー数本を、
 私家版ウエットフライのテイルにするの気に入っている。
 んが、
 ここではゴールデンフェザントのクレストフェザーのダイド・レッドをテイルにして、
 ピーコック・スゥオードのウイングのうえにもトッピングして真っ赤なクレストのシルキーな透明感にトキメイテみた。
 スゥオードによく合いますね赤染めのクレスト。

 サイドのワンポイント・ラインはクラレット色のダイド・グースショルダー。

 極細オーバルティンセル4本撚りにミラージュを挟んで捩じってボディに巻いたらアレキ大王にぴったり。
 すごくご満悦。
 今年のハイシーズンはこれやな!なんて、

 マス釣り実弾系もアレコレ気分が盛り上がったりしてますが、
 ここにきてひさびさに湧き出てくれたムダごとの創作意欲に昼夜とわず翻弄され、
 これまでの規則正しかった生活はめちゃくちゃになってしまいました。

 傍から見れば村一番の不節制もん。

 しかし、
 このひさびさのビッグウェーヴに喜び勇んで乗ってます。

 雪どけ水を横目に、
 まだしばらくは珍羽根ひろげてひきこもり、
 のていでいきたい所存です。
 




180414 (2)2

 そんなわけでちょっと、
 ささやかな懺悔。

 函館に住んでいたころ、
 アーガスフェザントのどでかいセカンダリークイルをワンペア、
 近所の友人にプレゼントした。

 その経緯ははしょるとして、
 たいへんお世話になり、
 これはなにか特別なお礼をさせていただきたいとおもった。

 そしてこのばあいは、
 先方がその価値をよく知っていて、
 銭さえあったらカンタンに買えるっちゅうもんとちゃうねんで……、
 それを貴方に贈ります。
 プライスレスなワタシの感謝の気持ちがダイレクトに先方に伝わる贈り物として、
 自分のチョイスではこれ以上のものはないと判断したのだった。

 といっても彼はサーモン・タイヤーではない。
 そのため、
 彼の手元に渡っても、
 この羽根にハサミが入れられることはない。

 骨董などでアレコレじぶんの部屋を飾るのが趣味なその友人が我が家に来たとき、
 アーガスに見惚れながら、
 「これ、自分の部屋に飾りてえな~」と言っていたことがあった。

 そんなわけで、
 彼の部屋にアーガス1ペアがかなりな存在感で飾られることになったのだった。

 おもえば、
 これをプレゼントしようとしたら、
 あのときものすごく遠慮されて恐縮されたんだよな~。

 ……旦那、それじゃあアッシの気がすみやせん、
 ぜひ受け取ってやっておくんなさい。

 いやいや備前屋さんアタシャこんな貴重なもの、
 いただくわけにはいきません。

 なあに御心配には及びませんぜ旦那、
 なんせアッシのうちにはコイツの羽根が一羽分ドッサリあるんでさ、
 さすがのアッシもぜんぶ使いきれそうにもないんで、
 一本二本さしあげたところで痛くもかゆくもないどころか、
 旦那のお部屋に飾っていただければ、
 コイツもお役に立てて本望ってなもんで、
 ささ、
 どうぞ遠慮なく受け取っておくんなさい、
 さ、
 どうぞ…………、

 なんつって、
 豪傑にグイグイ押し付けたんだよなあ~。

 ……ウウウ備前屋さん、アタシャあなたの気持ちに感涙ですよ、
 この友情の証、感謝して飾らせてもらいますぅぅぅ……

 なんつって、
 えらい喜んでくれたっけ。
 
 あれから5年の月日が流れた。

 その間、
 おれはひとつの真理を学んだ。


 「羽根は、つかえばなくなる」
 

 昨年のちょうどいまごろ、
 長年住んだ函館からオホーツク地方への引っ越しを目前に控えていた最中。
 その友人とちょいとしたお店で夕ご飯を共にして、
 函館での思い出話に花を咲かせながら別れを惜しんでいたときだった。

 その場の空気は…甘美に変換された思い出に浸るしみじみセンチメンタル感満載、
 話題は…年とると時の流れはほんとに光陰矢のごとしだねえ…みたいな。

 チャンスはいまだ!

 「ほんまに、年とるごとにアッちゅうまに時間が経つよなあ。
 オレさあ、つくづくおもってんけど、若いころは「なくなるわけがない」とおもっていたものが、
 年とるとどんどんなくなってるなあ、って最近おもってるねん」

 「たとえばどんな?」

 「たとえばさあ、視力とか体力とか集中力とか。ホンマ、こんな老眼になるとおもってなかったで」

 「ああ、そういうことかあ、納得です」

 「それとさあ、身体の機能だけやなくて、年とると、なくなるわけがないっておもってた物も、どんどんなくなるやんな」

 「たとえばどんな?」





 「たとえば羽根とか!」

 そして、
 まくしたてたのだった。

 「いや~ホンマなあ、うちにアーガスっていうキジの羽根、丸ごと一羽分あったやん。つい最近まであんなんぜったい一生使いきれへんやろっておもっててん。ところがさあ、月日の流れっておっそろしいで。アーガスの羽根、なんか知らん間に終わりが見えてきててん。セカンダリーなんか、もうあと数本になっててさあ、脳内勘定で「あ~、あとこれだけ巻いたらおしまいやな~」とか、これから巻くフライの具体的な本数がわかるところまできてしもてん。いや~、ほんま月日の流れってこわいで」

 「ビゼンさん……おっしゃりたいことはよくわかりました。
 それで、わたしになにかお手伝いできることはありますか?」

 「あります」

 「了解いたしました」

 

 …………「かたじけない!」

 まあまあ備前屋さん、頭をおあげなさい。あの羽根を受け取ったとき、いつかこのようなことになるんじゃないか、
 いやさ、そうなるべきではないかと、アタシはおもっておったのですよ。

 アタシャねえ備前屋さん、こうかんがえているのです。あの羽根は、元の鞘に収まって使命を全うすべきだって、
 それに、5年もの長きにわたってアタシの目を愉しませてくれたんだから、もう充分。
 アタシャ、あのときあの羽根を頂いたんじゃなくて、お預かりさせていただいたっておもってんですよ。

 旦那さん!アンタの寛大な心根に触れて、アッシはもう心のなかで感謝感激ヨヨとむせび泣いておりやす。
 アッシの勝手通してホンットにもうしわけございやせん。
 このご恩と旦那のお気持ちは、北の果てに流れても、けっして忘れるもんじゃあございません。
 これからさき、函館のほうに足を向けて寝られませんでげさ(手の平チョーもみもみ)

 (菩薩の笑みで…)ナニを申されますか備前屋さん。アタシとアンタの仲じゃありませんか。
 これもまた、友情の証のカタチだとおもってください。
 あっ、でも、あの羽根はずっと飾っていたので、もうだいぶホコリが溜まっているはず。
 それに経年劣化が心配で…………



 「あ、それ、ぜんぜんダイジョウブ。あの羽根って陽の光浴びてないやろ?
 ホコリだけやったら洗剤で洗ろたらキレイになるから。ほな、そうと決まれば善は急げでさっそくキミんちに取りにいこ!」


 (…え?いま行くん?)
 みたいな、
 やや困惑の彼の表情が、
 いろんなことを物語っていた。

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 燃えあがれグレートアーガス

 鳳凰火の鳥の逆襲やいかに……。

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